「俺は、な…と……好きだ」
――!? 今、長門が好きって聞こえたんだけど? ちょっと、キョン。どういうつもり。
あたしの前でそんな話するなんて。いいわ、もう少し黙って聞いててあげる!
パソコンに夢中で聞こえてないフリをしてあげるから、続けなさい。
「おや、奇遇ですね。実は僕も大好きなんですよ」
えっ!? ねぇ、冗談でしょ。いきなり三角関係? 我がSOS団ではそういうイベントはお断りなのよ、古泉くん。
「お前もか。それは意外だ」
キョン!? あんたは何でそんなに嬉しそうな顔してんのよ。ライバル出現よ! それなりのリアクションがあるでしょ。
「苦手という人も多いようですが、あの魅力が分からないなんて。僕は理解できませんね」
「ああ、確かに。ところでお前は何を入れる?」
いっ挿れる!? いつの間にあんたらはそんな関係になったのよ!
「僕はそのままかけますね」
かっかける!? ……有希、あなたをそんな子に育てた覚えはないわ。
「おい、古泉。質問に答えてないぞ。お前まさか……、アレを入れるのか?」
「ふふっ、ばれてしまったようですね。
そうです、あなたにしてみれば許せない行為かもしれませんが、これは僕の趣味なので……。口出しはしないでくださいよ」
ちょっと、アレって何よ? 何なのよ? そんなにやばいモノなの?
「……私は古泉一樹に賛同する」
有希、あんたは古泉くんを選ぶのね。『アレ』はそんなにイイの?
「長門、お前もか。俺は信じてたのに……」
キョン……、あんたはそんなに有希が好きだったの? 俯いてるけど悔しそうな顔をしてるのがあたしには分かる。
大丈夫よ、キョン。あたしはいつでもあんたの味方よ。
「そうだ、ハルヒ! お前は……って顔、赤いぞ?」
心の準備ってものがあるでしょ。
「はぁ? なんだそりゃ。まあいい。で、お前はどっちだ?」
来た!! これはチャンスよ。今なら邪魔者はいないわ!
「そんなの………………キョンに決まってるじゃない。このバカっ!」
言った! 言っちゃった!! うわー、恥ずかしい。
「??? ……ほっほらな。いくらハルヒだってそれはないってよ」
キョン、あんた何言ってんの? 『ある』から言ったのよ。
「遅れてすいませんでしたぁ」
「あぁ、朝比奈さん、いいところに来てくれました。ちょっと聞いてくださいよ。古泉と長門が……」
事の次第を説明するキョンとそれを聞いて目を白黒させるみくるちゃん。で、耳まで真っ赤のあたし。
でも次の瞬間、ほぼ全員が阿鼻叫喚した。楳図かずおを思い出すわ。
「マヨネーズも砂糖もありえませんよぉ。納豆にはイチゴジャムです」
……違うでしょ、みくるちゃん。納豆にはお酢。これ常識よ!
えっ? キョン、やれやれって何よ。
(終)