「さーぁどっからでもかかって来なさい」  
「敵性種族に遭遇[ガーゴイル]lv64さほど驚異ではない」  
「さて、いきますよ」  
「あのう魔法ってどうやって使うんですかぁ?」  
さていきなりで申し訳ないが俺達は恐らくゲームの世界にいる。  
普通のゲームはちゃんとストーリーを進めれば終わるのだが、このゲームはハルヒを中心に回っている。  
つまりハルヒが納得するまでこのゲームは終わらない。  
やれやれ。  
では回想編をどうぞ。  
 
コンピ研に勝ったハルヒはコンピ研から一つのゲームを「有希のレンタル料ね」とか言ってかっぱらってきた。  
まあ暇だったんだろう。  
ちなみにそのゲームは市販のもので。いわゆるARPGで自由度が高いぶんハルヒには向いているかもな。  
システムはハルヒに向いていても難易度が半端なかった。  
「ちょっとキョン!手伝いなさい」  
「一人プレイのゲームをどう手伝えと?」  
「うー。まぁいいわ。続きは明日やればいいし。こういうのは一日経つたら意外とさっくりできるものなのよ。」  
「まあいいわ」なんて言っときながら全然良くなかったんだね。  
だから俺達はこんな所にいるんだね。  
まぁいいさハルヒは夢だと思ってるし明日は学校休みだし予定も特にないまぁ気楽にやるさ。  
 
さてハルヒ作?のゲームはコンピ研と戦う時に少し話していた無茶なつくりでハルヒの宣言どうりいきなり魔王風なハンサム野郎が何の前触れもなく現れた。  
さすがに全滅するとどうなるか実験するきにもならずハルヒもヤバいと感じたのか逃走に同意した。  
さて逃走後なのだがハルヒが「こんな装備で戦えって方がおかしいのよ。」  
おかしいのはお前だ。  
古泉の提案で武器防具屋にいった俺達は勇者だと話すと歓迎され最強装備をフルで無料で貰った。  
「装備が凄くてもlvが低くちゃね」  
さぁメタル○ライムが群れでやってきたぞ。  
やれやれ、色々すっとばして俺達は決戦前の宿屋の前にいる。  
 
「すいませんが男二人で席を外してもいいでしょうか?すぐもどりますので」  
「いいわよ。じゃーんと気合い入れてきなさい」  
じゃーんとの意味が分からんがまあすぐもどる。  
朝比奈さん、長門はハルヒの「こっちはこっちで気合い入れるわよ」の声についていく。  
朝比奈さんがこっちを見て微笑みながらてをふっている仕草に感動していると古泉が「では夕方にまたここで。」とつげる  
「さて、少しいいですか?」  
嫌と言ったら止めてくれるのか?  
「それは困りますね」  
じゃあいいから手短に話せ。  
「では...宿屋でいいですか?」  
そこぐらいしか落ち着けそうな場所もないしな。  
 
とりあえず宿屋の一室を借りた。  
何が悲しくて野郎と二人きりなんだ。  
これが朝比奈さんとなら天国なんだが、、、いや天国おも凌駕できるぜ。  
まあ現実を受け入れよう。  
んで話ってのは何だ。  
「あなたは自分の職業を把握していますか?」  
俺は高校一年生だが?  
「この世界での職業です。」  
んな事考えてる暇ねーよ。  
「ではあなたは特に自覚もなくあの大剣を振り回しているんですか?」  
何が言いたい。  
「失礼ですがあなたの筋力であの剣を振り回すのは不可能です。」  
んなことは俺が一番良くわかってんだよ。  
悲しいこと言わすな。  
んで何が言いたいんだ?  
「この世界は『あのゲーム』にとても忠実に出来ているんですよ。」  
このチート満載のでたらめ世界がか?  
「では種明かしをしましょう。」  
ああこいつはどこでも解説役なんだな。  
「答えは簡単です。  
あのゲームはコンピ研が改造した物なんですよ。」  
つまりハルヒ式チートと思われていた物はコンピ研の物だと言いたい訳か?  
「ええ長門さん調べですから間違いないでしょう。」  
じゃあいきなり話が飛んだのは何だ?  
「これは憶測になりますが  
涼宮さんはあのゲームを持ち帰り自宅で遊ぼうとした。  
しかし彼女のセーブデータは消えていた。  
かわりにあったコンピ研のデータを間違って読み込んだのでしょう。  
そのデータが話の飛んだ地点なのです。」  
つまりハルヒの勘違いで俺は大いに混乱したという訳か。  
古泉と長門はこうなることを予想していて『あのゲーム』のことを前もって調べておいたんだそうだ。(もっとも調べたのは長門だが。)  
だから二人は全く動じなかった。  
朝比奈さんが何かあるごとにびくびくするのはいつものことだろ。  
何かすげー損した気分だ。  
「さて職業の話に戻りますよ。」  
ああ好きにしろ。  
「あなたは『重剣士』涼宮さんが『格闘家』朝比奈さんが『僧侶』長門さんが『魔道士』そして僕が『弓使い』となっています。」  
考えたこともなかったが確かに戦い方を思い出すとそんな感じだ。  
「この職業のうち『僧侶』『魔道士』『弓使い』がそれぞれ回復 攻撃 補助の魔法が使えます。」  
だからどうした。  
「僕らのことに涼宮さんはどこかで気づいているのかもしれません。」  
おいおい大丈夫なのか?  
「恐らく問題ないでしょう。では本題に入ります。」  
どうでもいいのかよ。  
 
「どうでもいいと言えばどうでもいいですね。」  
お前疲れてないか。  
「代われるなら代わってよ。  
涼宮さんのご機嫌を伺いながらするゲームってのも疲れるし、悪い夢でもみたのか閉鎖空間作っちゃうしそろそろヤバイんだよね実際。」  
おーいキャラおかしいぞ。  
そう言うと古泉は「やべっ」て顔をしたあといつものニヤケ面に戻った。  
いやー実にいい顔だったぞ。  
「本題に入ってもいいですか?」  
古泉の顔はニヤケ面だが雰囲気が笑ってない。  
かなりのプレッシャーを感じる。  
俺の無言をどう受け取ったのか古泉は話を続けた。  
「それぞれの担当するキャラクター設定のことです。」  
一応確認した方がいいだろう。  
黙って古泉の話を聞くことにした。  
 
 
「まず言っておくとあなたの担当する『重剣士』がこの物語の主人公です。」  
流石に驚いた。  
大抵主人公あたりはハルヒか俺以外の団員がかっさらっていくと思っていたのに。  
ましてやこの世界の作り主はハルヒだ。  
まさか俺が主人公だとは思わなかったね。  
ハルヒが主人公じゃないのか?  
「あなたの担当する『重剣士』をヒーローとすると、涼宮さんが担当する『格闘家』はヒロインとなります。」  
ハルヒがヒロイン?  
凄まじいミスキャストに俺はさらに驚く、ここは朝比奈さんがヒロインだろう。  
朝比奈さんのためならたとえ火の中水の中でさらに未来にだっていけるね。  
そう、君のためなら死ねる。  
「涼宮さんが願ったからあなたが主人公なんです。」  
またそれかよ。  
「あなたは選ばれたんです。」  
悪徳商法みたいだな。  
「涼宮さんがどこまでゲームを進めたのか僕には分かりませんが、この宿屋でパーティー全員で泊まるとイベントが発生します。  
イベント内容は魔王との戦い前になかなか寝付けない『重剣士』が仲間一人の元を訪ねる。  
と言うもなのですが、ここで大きくストーリーが分岐します。  
エンディングにも関わる重要な部分ですよ。」  
よし、じゃあ朝比奈さんとのラブエンドを作り上げてやるぜ。  
「それは無理です。」  
ホワイ?なぜ?誰かの陰謀か?  
「陰謀かはおいといて朝比奈さんと長門さんが担当する職業はそれぞれ男性のものですから友情はあっても恋いは無いでしょう。」  
朝比奈さんと長門が男役でまさかお前の担当する『ハンター』は女だって言うんじゃないだろうな。  
「残念ながらそうなんです。ですので可能なら夜中目が覚めても僕の元へは来ないでください。僕にそういう趣味はありません。」  
俺にもねーよ。  
安心しろ死んでもいかねえ。  
「あ、『格闘家』は女性ですよ。」  
へーそいつは明日使えない無駄知識だな。  
 
「そしてこれは推測なのですが、この物語を涼宮さんは『自分の夢』と考えています。」  
だから魔法やらを気にせず使えるし気にする必要もない。  
これはハルヒの夢だから。  
俺的には楽で良いんだが?  
「涼宮さんの夢ですから僕たちが知っているのは変でしょう?」  
つまりハルヒは夢としてこのことを覚えていて、俺達はこのことを忘れちまうのか?  
「ええ恐らく。」  
何にせよ楽で良いな。  
すると古泉は急に深刻ぶった顔になって。  
「この世界はゲームが主体になっているとはいえ涼宮さんの作った世界です。彼女が納得するまで出られませんからそのつもりでお願いします。」  
んなことは分かっている。  
どういう意味だ?  
「神人が暴れなければ僕としてはどのエンディングでも良いのですが」  
だからどういう意味だ?  
「では、お話はこれで終わりです。  
ほかに何かありましたら今のうちにお願いします。」  
急に終わりやがった。  
俺の質問はスルーか?  
「それに関しての答えは自分で出してください。僕が答えを提示するのはフェアじゃありませんから。」  
じゃあそうするよ。  
こいつに聞くのも何かむかつくしな。  
 
「でしたらここからは自由行動にしましょう。」  
そうするか。  
異空間の物だが外の空気が恋しくなってきた。  
さらに言うと疲れた。  
「あ、最後に一つ。」  
何だ?  
「このゲームには宿屋の時点で十八禁のストーリー分岐もありますので、、、」  
じゃあな。  
俺はそういって去った。  
とりあえず健全にゲームを終わらせたいもんだね。  
さーて、どうしたもんかな。  
さて、考え事をしていると時間ってやつはダッシュで駆け抜けていく。  
もう夕方だ。  
宿屋に入る。  
ここでも歓迎されたのは言うまでもないか。  
「さあ明日は決戦の時よ。明日に備えてしっかり休みなさい。」  
「ああそろそろ休ませてもらうよ。じゃあまた明日ここで。」  
朝比奈さんが爽やかにかつクールにあり得ない発言をする。  
そういえば朝比奈さんの担当キャラは『男』なんだよな。  
「僕もつかれたから休もうかな。キョン、びびって逃げんなよ?」  
長門も『男』なんだな、、、  
なんだそのやんちゃ少年な台詞は、、、  
イベントってのは恐ろしい物だな。  
朝比奈さんをクールにして長門をやんちゃに出来るんだからさ。  
ある意味魔王よりタチが悪い。  
せっかくなら朝比奈さんが戦闘中呪文を噛んで唱えられなくなるのを何とかして欲しかったが。  
なんて考えてると長門がすれ違い際に  
「花瓶に気をつけて。」  
と言ったのが気になるが気にしていても始まらない。  
今はわかんねーけどそのうち分かるんだろうよ。  
じゃあ俺も抜けるぞハルヒ。  
「ちゃんと休みなさいよ?あんた最近無理してるっぽいから。」  
どきっとしたなんて死んでもいわねえからな。  
こんなハルヒも悪くないかな?とは思ったが、、、  
ハルヒは顔を真っ赤にして続ける。  
「勘違いしないでよ?あんたがいないとあたっ、、、みんなが困るんだから。」  
「ああ、ちゃんと休ませてもらうよ。」  
これはイベントの物なんだろうか?  
それとも、、、ハハハっまさかね。  
 
ベットに潜り込んで考える。  
さて、そろそろ決めねばならない。  
『どのエンディングを望むか』を、、、  
長門や朝比奈さんとの友情物語も悪くはない。  
しかしそういうわけにもいかない。  
古泉は無条件で却下。  
となるとハルヒが消去法で残るわけで、、、  
「本当にそうか?」  
俺は俺に問いかける。  
「別に友情エンドでも良いじゃないか?」  
まぁそうなんだがハルヒが許してくれるかが、、、えーと、、、そのー、、、  
「いい加減にしろよ俺?お前は気づいてるんだろ?怖がって逃げてるだけじゃねえか!」  
聞かれた俺は無言のままだ。  
何も言い返せないね。  
そうさ、俺は逃げてきた。  
この日々を俺は失いたくなかった。  
「そろそろ覚悟を決めたらどうだ?消去法じゃねえだろ。お前は、、、」  
目が覚めた。  
ゲームの中から出られた訳じゃないが。  
どうやら俺の一人尋問会は夢の産物だったようだ。  
さて、この話を終わらせるには俺が何らかのアクションを起こさなければならないわけで、俺は何をするかもう決めている。  
俺の眠り姫を叩き起こしに逝くんだよ。  
逝くは変換ミスじゃないぜ。  
覚悟を決めた今の『俺』は目が覚めると消えちまうんだからな。  
でも俺はハルヒを起こす。  
迷いなんか無い。  
ようやく見つけた本当の気持ちに嘘をつくことの方が俺には耐えられないんでね。  
俺は今の俺の気持ちをぶつけるだけだ。  
 
 
俺はハルヒの部屋へ向かっている。  
途中で怪しげな花瓶を見つけたが  
長門に「花瓶に気をつけて。」と言われていたのでほっておいた。  
下手にいじってよけいややこしくなるのはごめんだからな。  
今の俺はよけいなこと何かしていられない。  
立ち止まってはいけない。  
ハルヒの部屋についた。  
宿屋が込んでいて部屋をバラバラに借りたから少し迷ったがここで間違いない。  
『勇者様』とでかでかとドアに張り紙がしてある。  
「コンコン」と控えめにノックする。  
ハルヒが寝てたら無理に起こすのも悪いよな。  
なんて弱気なことしか思い浮かばない。  
いやー少し前の俺が別人みたいだね。  
面目ないが大丈夫だ、ゲームの都合上ハルヒは起きている。  
ノックをした時点でゲームは動き出している。  
同じく朝比奈さんも長門もついでに古泉も起きているんだろうがそれは今はどうでも良い。  
「はい?」  
ハルヒの声を聞いて俺はもう死にそうだ。  
心臓が凄まじいテンポを刻んでいるし。  
顔が引きつった笑顔で固定されているし。  
足はがくがくいっているし。  
汗だらだらだし。  
ハルヒ?俺だ、入って良いか?  
声は裏返っている。  
かなりヤバイ。  
『重剣士』さんもこんだけ苦労したんだんだろうか?なんて考える。  
いや苦労なら俺の圧勝だ。  
「いいわよ」  
ハルヒの声だ。  
聞けば聞くほど俺の心臓はテンポをあげる。  
ハルヒの顔を見たら破裂するんじゃないかと思う。  
やっぱ少し外に出ないか?  
星が綺麗なんだ。と付け足す。  
もちろん星が出てるかどころか外の天気も分からない。  
雨が降ってたらどうしようかなんて考えてたが心配はない。  
ハルヒが望めば雨だって笑顔で晴れるだろうからさ。  
おっと日本語がおかしいなんて言うなよ?  
なんて一人つっこみでもしないとやってられないぐらい俺はいっぱいいっぱいなのに、、、  
「雨降ってるじゃない?綺麗な星は?」  
じとっとハルヒがこっちを睨んでいる。  
かなりまずい。  
つか何でよりにもよって雨なんだ?  
あれか?ハルヒに告白するからにはもっと面白そうなシチュエーションを用意しろって事だろうか?  
神様仏様いるんだったら恨むぜ。  
つーかこの世界作ったのはハルヒだからハルヒが神様って事か?  
「こらキョン!何ぼーっとしてんのよ!」  
ハルヒに殴られて少し頭が冷えた。  
心臓も少しだけ落ち着いてきた。  
人間死ぬ気になれば何でも出来る。  
ーー頑張ってくれよ?俺ーー  
雨の中俺は歩き出す。  
傘なんかいらない。  
ーーあいつがついてきてくれるなら何もいらないさ、、、だろ?ーー  
「覚えてるか?俺達が始めて出会った日を。」  
「忘れるわけ無いでしょ。一人だったあたしにあんたは手を差し伸べてくれた。それであの時、、、」  
「『無いなら作ればいい。一人じゃ無理だってんなら俺が手伝うから。』だっけ?思えばこれが始まりなんだな。」  
何言ってんだ俺?  
そんなこといった覚えねーぞ。  
「そう。あんたがいてくれたから頑張れた。」  
 
ちょっと待てなんだこの展開は?  
そこまで思って気がついた。  
これはイベントだ。どっから始まったのかはわからんが『ゲームのプログラム』が動いているに違いない。  
そろそろ覚悟を決めよう。  
これだけは俺の意志で言わせていただきたい。  
イベントなんか関係ないね。  
初めてあったときから俺はお前が好きだった。  
言えた、ほかならぬ俺の意志で、後は待つだけさ。  
「あたしもね、ずっとキョンのことが好きだった。」  
これはイベントなのか違うのかまるでわからんのだが、そんなことどうでも良いね。  
忘れていたが俺達が宿をとっているこの町は『ウィンターグラウンド』なんて町で  
これもイベントなのか、はたまたハルヒが改変したのか  
ーー雨が雪に変わる頃俺達は何を思い過ごすのだろう、、、なんてねーー  
そう雨が雪に変わった。  
ベタって意味では案外普通なんじゃないか?  
「綺麗。」  
「そうだな」  
二人寄り添いキスをした。  
唇が触れるだけのキス。  
まぁ年相応なんじゃないか?  
ーー俺の隣で笑う君、君は君じゃないけど、俺も俺じゃないけど、でも俺は幸せだからーー  
俺は世界一幸せだ。  
いや宇宙一か?  
世界と宇宙だとどっちが広いんだろ。  
まあどうでもいいさ。  
広い方を採用すれば良いんだし。  
もちろん目をつぶっているからハルヒがどんな顔をしているのかはわかんねーけど、見たら失神しそうだから我慢するさ。  
ーーだから終わりにしようーー  
「大好きだ。」  
ーーエンディングまでもう後すぐだけどーー  
「あたしも。」  
ーーエンディングまではまだ早いーー  
俺の前には顔を真っ赤に染めたハルヒがいる。  
俺も人のこといえねーけど。  
ーーなんてねーー  
「キョンあのね、、、  
目眩がした。  
ハルヒにではなく物理的に、世界が回っている感じがした。  
凄まじい目眩の中  
、、、おーい聞こえるか?  
人の声がする。  
ハルヒじゃないし朝比奈さんでもないし長門でもないし古泉でもない。  
そう俺の声がする。  
「じゃあな。あとは任せろ。ハッピーエンドを迎えるのは俺達の仕事だからさ。」  
未来の俺がまた出てくるのか?  
ってことはまた俺はここに来なくちゃならんわけか?  
何にせよとりあえず一段落したって事はとりあえずハルヒは満足したんだろうか?  
ゲームは終わってないのにね。  
ハルヒのあのねの続きがひたすら気になった。  
 
 
「キョン君おっはよー。」  
目が覚めた。  
妹のラリアットで。  
うー今日は休みだろ?  
「シャミーおっはよー。」  
どうやら俺はついでらしい。  
休日のグダ寝を対価に得た物が妹の笑顔ってのは等価交換なんだろうか?  
人によっては望むところなのかもしれんが俺としては願い下げだ。  
眠い、、、  
そう言や夢ってやつは脳みそのデータ整理によって見る物であって『みたい夢』のことを本気で考え続けていると案外見れちまう物なんだと。  
まあ忘れちまうのが大半だからあんま意味は無いんだが。  
強く願えば見えるかもってのはなかなか良いと思わないか?  
ふとハルヒの力みたいだなんて考えてゾッとした。  
なんてどうでも良いことを考えつつ眠りにつこうと思っていたのにまた叩き起こされた。  
今度は携帯に。  
充電器の上で鳴るバイブは結構五月蠅い。  
電話をとるといきなり  
「私たちは4時間32分53秒この世界から離れていた。」  
一応一言くらい欲しいもんだ。  
話し方や声からして間違いなく長門なんだが。  
私たちってのは誰々だ?  
「涼宮ハルヒ、古泉一樹、朝比奈みくる、そして私とあなた。」  
また何かあったのか?  
「分からない。でも事態は解決している。」  
じゃあ問題ないんだな?  
「ない。」  
すまんが眠いからこれで良いか?  
「いい。」  
それじゃあな。  
「おやすみなさい。」  
それだけ言って電話は切れた。  
長門も眠そうな俺を気遣ってくれたのかね。  
どうだかはわからんがありがたく寝せてもらうよ。  
ヴーン、、、ヴーン、、、ヴーン、、、  
また携帯が鳴る。  
今度の相手は古泉だ。  
シカトしても良い所だが俺は電話に出てさっさと終わらせて早く寝たかった。  
「休日にすいません。一つ気になることがありまして。」  
電話なんだから手短に頼むぞ。  
長くとも五分後には俺は電話を切って寝る。  
「単刀直入に言うと僕たちが閉鎖空間に進入した4時間半の間のことをご存じないかと思いまして。」  
ご存じないな。長門もよく分からないんだとよ。  
「何か思い出しましたら教えてください。」  
分かったよ。本気で眠いからもう良いか?  
「ではまた明日。」  
流石に気になる事があったので朝比奈さんに電話をした。  
「はぁい。」  
朝比奈さんのスィートヴォイスを聞くと『普通』な会話がしたくなってきたが今回はそうもいかない。  
まぁいつも『そうはいかない』な状況に巻き込まれる訳だが。  
とはいえ少し無駄話をしてしまたのでそろそろ本題に入る。  
 
ハルヒの閉鎖空間について何か心当たりはありませんか?  
「えー禁則時効ですよ?何かあったんですか?」  
何も知らないらしいのでとりあえず俺の中の情報をまとめる感じで説明していく。  
・俺達は約4時間30分閉鎖空間にいた。  
・事態は解決している。長門によれば問題はない。  
・そこで何があったかは少なくともハルヒ以外誰も知らない。  
こんな所だろうか?  
「そんな?知らなかったです。」  
何か思い出したら教えてください。  
「お役に立てなくてすみません。」  
いえいえから続く言葉をつなぐ元気も俺には無かった。  
いえいえそれでは。  
朝比奈さんも知らないとは、、、  
新聞を見てみるとどうやら日にちが狂ったりはしていないみたいだ。  
他にもおかしいところも特にない。  
閉鎖空間だって?あそこはハルヒの巨人の遊び場だろ?  
おぞましき記憶にぶち当たったので閉鎖空間についての回想はやめにしよう。  
古泉はともかく俺も入ったことがあるし長門も朝比奈さんも良いとしても  
なぜハルヒが閉鎖空間なんぞに来たんだ?  
また世界を改変する様な大事をしでかしたんだろうか?  
なぜそこにSOS団を呼んだんだ?  
そしてなぜ誰も覚えてないんだ?  
疑問が募るばかりだ。  
まぁそんなことより眠い、、、  
頭脳労働は頭の良い古泉やらに任せるとしてとりあえず寝よう。  
起きてりゃよかったなんて思うのはこの後の話だ。  
 
 
目が覚めた。なんて言うのももう何回目かはもう忘れたが目が覚めた。  
さて俺達が閉鎖空間で何をやっていたかを完璧に思い出した。  
俺はまた『あの世界』にきちまったから。  
ゲームな世界でゲームっぽいことをやってゲームなら思わずリセットボタンを連打したくなるような事をやらかしたことも思い出した。  
あの時の俺はどうかしてたなんて言い訳は出来そうにない。  
でもあれは『ハルヒの夢』だから…  
悲しくなるところ何だろうか?  
苦しくなるところだろうか?  
切なくなるところだろうか?  
それとも喜ぶところだろうか?  
気がついたら頬を涙が伝っていた。  
そのとき気がついた。涼宮ハルヒが目の前にいることに。  
「あれキョン?ここって夢で見たゲームの…」  
ああそうだよ神人様御用足しの閉鎖空間だよ。  
何でお前がここにいるんだ?そしてなぜ俺がここにいる?あんな展開はもう嫌だぞ?  
…閉鎖空間でゲームな世界で色々やってた俺が嘘みたいだな。  
俺はおかしくなってしまったんだろうか?混乱している俺をよそに  
「キョン泣いてるの?」  
俺の涙をそっと拭くハルヒ。  
あぁ俺はおかしいんだな。どうかしてるに違いない。  
「どうしたの?」  
心配してくれているハルヒを強く抱き寄せた。  
「ちょっとどうしたのキョン?」  
おかしくなっちまったんだろうよ。  
「は?ふざけてるなら怒…  
おかしくなったついでに聞いてくれないか?  
俺はハルヒを無視して続けた。  
この気持ちが何かは分からない。俺はおかしくなっちまっているから笑いたきゃ笑えばいい。  
でもこの気持ちに嘘はない。  
俺はお前が好きなんだ。  
「キョン…」  
どうした?  
「あのね…」  
目眩がした。  
ハルヒに出はなく物理的に。もうこれも二回目だな。今度は記憶を失いたくないものだ。  
ハルヒ  
「何?」  
これは俺の夢だ。  
「はぁ?」  
でもお前にも知っておいて欲しい。だから、忘れないでくれ。  
「うん。」  
ねじれる世界の中で交わした約束だがねじ切れることもないだろう。  
なんてね。  
 
 
目が覚めた。ちゃんと俺は布団の中でジャージを着ている。時計を見ると九時半だった。  
結局何も分からずじまいで寝ちまったんだったな。  
携帯がまたバイブ音を鳴らす。今度はハルヒだ。  
もしもし。  
「どうせ暇でしょ?市内パトロールするから今すぐファミレスに来なさい。」  
電話が切れた。唐突すぎんだよお前は。  
朝飯食ってないなぁ。腹減ったなぁ。  
「遅い!罰金!」  
結局飯も食べずにダッシュでファミレスへ向かったのだが当然の如く俺が最後な訳だ。  
俺の奢りのファミレスで適当にハルヒの演説を聞き流して爪楊枝を引いて今日の組み合わせを決める。  
俺が無印で朝比奈さん、古泉、が印つきを引いた。  
「さぁ有希好きな方を取りなさい。」  
長門が引いた爪楊枝には印が付いている。  
十年ぶりに再会した親友と見る目で爪楊枝を見るハルヒ。  
にやにやとこっちを見ている古泉。  
少し大人っぽい…そう年の近い妹を見守るような目でハルヒを見つめる朝比奈さん。  
無表情な長門。少しだが残念そうな顔をしている様な気がしなくもない。  
「じゃあ四時にここに集合ね。」  
それぞれの思いを乗せて市内パトロールが始まった。…らしい。  
「ほらさっさと行くわよ。」  
了解だ団長。  
結局何だったんだ。こいつはまた何かをやらかしたんだろか。  
いっそ全部話ちまいたいがそんなこと出来ない。出来やしない。  
いつか全部話してやりたいがそれは今ではない。  
「不思議って奴は楽しそうにしてるところにやってくるのよ。」  
それから俺達は普通に遊び回った。そう『普通』に…。  
もどかしさがつきまとうが今はこれでいいんだろ?  
「いやあ相変わらずのチキンですねえ。」  
「問題ない。むしろ好都合。」  
「そうですこれで良いんです。」  
「しかし男としてはどうですか。」  
「消極的。でもそれが良い。」  
「可愛いですキョン君。」  
「時々羨ましくなりますよ。ええ時々ですが…ね。」  
三時半頃だろうかハルヒが急にこっちを向いてきた。  
何とも言えない、しいて言うなら女の子らしい顔をしている。  
「キョン、あのね…。」  
何だ?  
とてつもない既視感に襲われる。何かあったか?  
「ありがとね。」  
話すわけにはいかないけどもう少し素直になっても良いのかもな。  
まあ少しだけだけど。  
ああでも感謝なんかするな。俺も楽しいから。  
「ありがと。」  
柔らかい笑みを浮かべるハルヒ。  
それからはどうして良いか分からずずっと下を向いていた。  
そんなこんなでもう四時近いそろそろ走らないと間に合わない。  
走るぞ。  
そう言ってハルヒの手を掴んで走りでした。  
「うん。」  
本当の事は言えやしないけど、でもいつか言うから。  
「へ?何か言った。」  
いや何も言ってないぞ。  
それまでにはもう少しお前の近くに行くから。  
良ければ待っててくれ。  
「だから聞こえないって。」  
ははっ気にするなただの妄言だ。  

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