長門の部屋にて  
 
 「実はまたなんですが……閉鎖空間が発生しました。」  
 「またそれか……」  
 ここ一週間くらい続いている。なんでなんだ? ハルヒは今日もいつも通りだったし、機嫌も悪くなかった。  
 「それは僕にもわかりません。ただここ一週間、夕方になると涼宮さんの身に一時的な、それでいて巨大なストレスがたまっているのが観測されています。」  
 「データでは約三十秒の間に涼宮ハルヒの限界点を越えるストレスが観測されている。しかし一時間後には完全に消える。」  
 「一時的で巨大……?」  
 なんだそりゃ? 毎日タンスのカドに小指でもぶつけてんのか?  
 「……流石に涼宮さんでも、それで毎日閉鎖空間を起こす程ではないでしょう……さて、僕はもう行かなければなりません。」  
 待て、俺は行かなくていいのか?  
 「ええ、一時的なものですから閉鎖空間を削除するのもかなり簡単なんです。それでは僕はこれで、何かあったらまた来ます。」  
 ……まあ行きたいわけじゃないからいいんだけどな。  
 
 「…………」  
 なあ長門。  
 「……なに?」  
 お前にはわかるんだろ? 何故ハルヒが閉鎖空間を発生させるのか、その原因が。  
 「…………」  
 その沈黙は肯定ととっていいんだな。なあ、よければ話してくれないか……?  
 「……でも」  
 珍しく長門が渋るな。なにか言えない状況なのか……?  
 「あなたの……涼宮ハルヒに対するイメージが崩れる恐れがある……」  
 ……どういうことだ……?  
 「涼宮ハルヒがここ一週間、きまって夕方に閉鎖空間を起こす原因は……」  
 …………。  
 「…………」  
 …………。  
 「……ザンギエフのレバー一回転技がでないこと……」  
 
 …………。  

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