「あ〜っ、もう平和ね・・・何か面白い事は無いかしら?ねぇキョン?」  
 
知らん。そもそもお前が満足するような面白い事というのは、とどのつまり  
お前を除くSOS団メンバーにとっては迷惑極まりない事件への発端なんだ。  
いつも騒動の原因はお前だが、幸か不幸かお前だけは何も知らないんだよな。  
それはそれで不幸っちゃぁ不幸なんだろう。  
 
そもそも日常というのは平凡な毎日の繰り返しであり、そんな中に時折キラリと光る  
楽しい出来事があるからいいんじゃないか。  
毎日が楽しい事ばかりじゃ、本当に楽しい事の区別が付かなくなるぞ。  
 
俺は朝比奈さんのお茶を啜り、部室を見回した。指定席でハードカバーの本を読む長門。  
それにメイドコスプレの朝比奈さん、そして、今まさに明日の昼飯をかけた決戦を  
行っている古泉。いつもの光景だ。  
 
「ん・・・?へぇ〜。ふ〜ん」  
 
それまで団長席に置かれたコンピ研から強奪したPCでネットサーフィン中だった  
ハルヒが何やらぶつぶつ独り言を呟きだした。正直嫌な予感がする。  
どうした?2ちゃんで祭りでもあったのか?  
 
「何よ、私があんな低俗なサイトなんて見るわけないじゃない。まさかキョン、  
 2ちゃんねらだったの?・・・幻滅ね」  
低俗とは失礼な香具師め。お前は今全世界の2ちゃんねらを敵に回したぞ。  
2ちゃんは今夜のおかずからハッキングまで幅広く網羅してるんだぞ。  
「・・・もう、バカキョン!いいからこれ、黙ってみなさい!」  
半ば呆れた顔をするハルヒ。俺はいかにも面倒臭そうな面構えで立ち上がると、  
我らが団長のお側に置かれているPCのモニタに目を通した。  
「見なさい。最近の話ね。これ、違う高校なんだけど、変な噂が流れてるみたいよ。  
 ・・・これは事件ね。調べてみる価値があるわ!」  
そのサイトは、最近流行のブログ・・・というものらしい。正直、俺には  
このブログが他のサイトとどう違うのか分からんが、ようするに公開日記みたいな  
もんだろう?後で読み返したらおもいっきり恥ずかしくなるような。  
んで、それにはこう書いてある。  
 
2XXX XX/DD 21:47:41  
 
「ねぇねぇ、最近ウワサになってる死神がまた出たんだって。  
 5組のT川って不登校だった子がいたじゃない?  
 この間自殺したウチの高校の生徒って、そのT川らしいんだよ。  
 でね、多分自殺する少し前の時間に友達に携帯で電話があって、  
 ”死神”に殺されるって言ってたんだって」  
 
2XXX XX/DD 21:47:41  
「( ̄○ ̄;)えっ、やだよぅ。そういう怖いネタはやめて(◎0◎;)  
 だってさ、そんなのいるわけないじゃん。迷信だよ迷信。  
 都市伝説だって〜(>へ<)」  
 
       ・  
       ・  
       ・  
 
3XXX XX/DD 33:99:66  
 「みくるビームっ!!(@u@ .:;)ノシ」  
 
4XXX XX/DD 01:08:79  
「なによその変な顔文字は?ふざけてるの?」  
 
後半部分は見なかった事にしよう。とりあえずこれ以降にもログは続くのだが、  
ネットに垣間見える人間の深層心理のドス黒い負の感情を十二分に味わう事が出来た。  
ハルヒが注目したのは、最初の辺りのコメントだ。。  
よくこんなブログにたどり着いたよな。これもイデ・・・じゃない、ハルヒの成せる業なのか。  
それからハルヒはネットサーフィンに夢中なようで、今まさに2ちゃんの  
オカルト板へと潜入している。・・・しかしなんでオカルト板の存在を知ってるんだ?  
そもそもそれ以前にだ、なんでお気に入りに登録してあるんだよ。  
おい、まてって、糞スレ建てんな。犯すぞ。おい待て、それはバーボンだ。  
 
 
・・・その日は一日中ハルヒはネット浸りとなり、静かにしてくれるならそれはそれで  
良い、と俺達は平和な時間を過ごす事が出来たわけだ。  
ハルヒはどうも、その噂の死神、とやらに興味があるようで、とにかく  
色んなサイトやブログを回って情報を集めていたようだ。  
 
後にこれが、俺にとってあまり良い思い出ではなく、できる事なら朝比奈さんの  
禁則事項の未来技術の記憶操作で消して欲しい最悪な思い出なのだが、  
いちおう、ここにうpする事にしようと思う。  
 
 
                               つづく  
 

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