「今回は遊園地で不思議を探すわよ!」
という団長様の思い付きによって、俺たちは親子連れで賑わう遊園地にやって来た。
入園した直後にハルヒはくじ引きでペアを決めると何故か口をアヒルの形にしながら
古泉と必死に泣いて抵抗する朝比奈さんを引き連れて木製のジェットコースターへと
走り去っていき、後には俺と長門だけが取り残された。
結局お前は遊びたかっただけか。そうなんだな?
まあいい、お前がそうなら俺たちもそうさせてもらうとしよう。と横の方を見たが、
そこにいたはずの長門はいつの間にか近くのベンチに座って本を読んでいた。
こんな所でもそれか。まあ、いかにもらしいが。
「長門、せっかくなんだから俺たちも何か乗ろうぜ。どれがいい?」
と、本と顔の間に入園時に貰った案内を割り込ませる。
こうして多少強引にやらないと、いつまで経っても主張してくれないからな。
とりあえず、ジェットコースターを選ばない事を祈るぜ。ああいうのは苦手なんだ。
しばらく長門は案内を見つめていたが、ふと顔を俺のほうに上げ、
「これ」
長門が指差した先にあったのは、観覧車だった。