翌日なんの気もなく教室に入ると、黒板いっぱいくらいの大きな字で、変態涼宮とかいてある。あたしと目が合うとみんな目をそらした。
馬鹿馬鹿しいから宇宙人を探しちゃ可笑しいかと聞いた。するとクラスメイトの一人がしかし髪型七変化は普通ではないだろ、なあ、と言った。三編みにしようが四編みにしようがあたしの髪をあたしが結うのに文句があるもんか、とさっさといつもの校内巡回に戻った。
十分経って教室に戻ってみるとひとつ金曜は四編み也。但し笑うべからず。と黒板に書いてある。
さっきは別に腹も立たなかったが、今度は癪に触った。冗談も度を過ごせばいたずらだ。全裸のみくるちゃん(反語は脱ぎかけのみくるちゃん)のようなもので誰も褒め手はない。
ただの人間にはこの辺りの加減がわからないからとりあえず全部脱がせばいいや、という了見だろう。
休み時間の間に見回れるようなつまらない学校に通って、他に芸もないから、有希が一言喋ったくらいで中庭落書き事件のように騒ぎ立てるのだろう。つまらない凡人どもだ。
子供のうちから、下らない義務教育を受けているからこんな日教組の信者みたいなつまらない人間に育つのだ。
世の中の不思議探しなら付き合ってやってもいいが、こりゃなんだ。そのくせうちのオモチャと備品(みくるちゃんと有希)を狙っている。
あたしはだまって、黒板の七変化を消して、こんなことをして宇宙人が見付かるのか。無駄な努力だ。あんたたちは無駄という言葉を知っているのかと言ったら、おまえのしてることこそ無駄というものだろ、と答えたヤツがいる。腹の立つヤツだ。
わざわざこんなバカどもと顔を合わせに東中からやってきたかと思うと情けなくなった。