よう! みんな元気かい? オレは元気だぜ。
え、オレがだれかって? ニヤケヅラで有名(?)な古泉 一樹だよ
本当はこんなもんなんだよオレの正体なんてさ。
機関の命令で変った奴を演じているのさ。
さーて今日も今日とて涼宮ハルヒが作り出したSOS団にいくとしますか。
ドアを三回ノックすると「はぁい」と間の抜けた返事と同時に天然ボケ未来人がドアを開けてくれる
いつものことだ。知りつくしたことだからいまさら言うのもなんだがドアを開けてオレだと分かった瞬間残念そうな顔をすんねやめてくんねぇかな?
でもさ、俺だってわかるよ。オレもキョン吉好きだよ? いやもちろん普通の好きね。
もっと仲良くなってもいいんじゃねぇのかなぁ。とか思ってんだけど今のままじゃ無理、普通のオレにならないと、でもそれは涼宮の好みじゃねぇからな
しかたがないからいまも黙ってる、大体ずっと笑ってるってめちゃくちゃ顔の筋肉痛くなるんだぜ?
終始笑ってられるやつの顔が見てみたい。おれだっていつも風呂で顔の筋肉毎日ほぐしてるくらいだぜ
指定席に座る前に適当に挨拶をして・・・キョン吉以外はみんな来てるね、俺が言うのもなんだがいくら仕事でも毎日ここ来てるなんて暇だよな〜特に最近は、まあいいけど。
さて、今日は何をしようかね?
オセロは飽きたしチェスは昨日やったろ〜将棋も最近はマンネリだしな〜
ああ、そうそう。オレがいつもボードゲームやってんのは役作りの一環なんだよ。
こんなつまらんアナログゲーム好きの高校生なんているわけないんだからな。
まあ何もしないよりはましだろ、と思って持ってきているんだよ、経費で落ちるしな。
この前経費でP○P買ったことは内緒だが。
なんにしようかな〜と思いながらふと窓を見ると中庭にキョン吉を発見、何やってんだあいつ?
ここ来る前の俺だったら大声で「お〜いキョン吉」とか呼んでるんだろうけど今のオレの性格上それはない
「どうしたんですか〜?」
窓を見てる俺が気になったのか朝比奈が聞いてくる、手にはお盆とお茶。本当にこの人はただのお茶汲みになってけどいいのかねぇ? キョン吉目当てで来てるんじぁないのかとオレは思う。
「いえ、外に彼がいるのが少々気になりましてね。ああ、ありがとうございます」
面倒な敬語で返事をしながらお茶を受け取る、
「キョンが? どこにいるの?」
涼宮が反応した、まったくこの女は。
「そこにいますよ」
窓の外を指してやると外を見つめる、「まったくキョンは・・・」とかぶつぶつ言っていた
好きなら好きって言えばいいのにね、そうすればオレの仕事も楽になるだろうに。
オレも窓をみるとキョン吉のそばに見知らぬ女子が。ああ、告白されてんのか
キョン吉裏で結構もてるんだよな、自分は知らないみたいだが。
「何話してるのかしら・・・」
分かってるくせに、告白されてんだよ。
「告白・・・とか」
わざとためてから言ってやった、いやぁ〜ほんの小さないたずらのつもりだったんだがね。
な〜んか大きな音がして後ろを振り返るとキョン吉の湯のみが割れてるよ。
朝比奈の手に中でって握り潰したのか!? どんな握力だよ。やっぱこいつ天然じゃなくて計算してたのか・・・?
ふと気がつけば部室の空気がめちゃくちゃ淀んでいる
朝比奈は握り潰したままうごかねぇし・・・血、でてますよ?
涼宮は窓の外を見たまま動かない・・・手握りすぎて真っ白になってるんですが
あと、なんかぶつぶつと言ってるのが怖いですよ。気のせいかギロチンとか言いませんでしたか今?
長門は本を読むのをやめて何か集中しているようだ、オレはキョン吉とは違い長門の表情を読み取ることは出来ないがそんなオレでもわかる。怒ってる。
どうすれば・・・いい。元はといえばキョン吉がはっきりしないのもそうなんだがオレがいたずら半分で余計なことを言ったからだよなぁー失敗した
とりあえずオレが動かなければ誰も動かない。キョン吉に「危険だ、来るな!」とかメールを送る余裕もなさそうだし。
そーだな、まずは割れた湯飲みを片付けよう。
そんなオレのささやかな動きに反応してくれたようだ、涼宮は「みくるちゃん、いらっしゃい」
と救急箱片手に言って朝比奈は「・・・はい」と言って治療を受けている。
長門は湯飲みを入れる袋と雑巾をもって来てくれた、助かる。
掃除をしているとドアをノックする音、キョン吉がきたらしい。
誰も反応しない、仕方がないのでオレが「どうぞ」とさわやかに言うと仏頂面でキョン吉が入ってきた
部室にはオレしかいないと思っていたのかオレ以外を見つけると驚いたようだ、まあ長門だけはいてもいなくても同じだが。
「あれ? 朝比奈さん、どうしたんですか」
「あ・・・すいませんキョン君。うっかりキョン君の湯のみを落としちゃって」
うっかり!? うっかりって言ったこの人!?
「いえ、そんなの気にしないでください。それより手の怪我は大丈夫ですか?」
やさしいねキョン吉、でもその計算未来人にはあまり近づかないほうがいいよ
「大丈夫ですよ、ちょっと切っちゃっただけですから・・・」
「そうですか、それならいいんですが」
涼宮は治療に専念している振りをしているようだ、キョン吉には見向きもしない。と、ここで掃除終了。
割れた湯飲みが入った袋を持って・・・どこに捨てればいい?
それよりこのままだと閉鎖空間が発生する恐れがあるな。なんとかしないと・・・とりあえず
「遅かったですね」もちろん超さわやかに
「ん、ああ。知らない奴に呼び出されてな」
その瞬間、世界が凍った。だが、オレはそれでも進まなければならない
「おや、大丈夫でしたか?」
「別に不良に絡まれたわけじゃない」
「では何を?」
「お前に言うことじゃない」
そういうな、言え。お前の命に関わることだ。もちろんオレも。
「別にいいじゃない、減るもんじゃないし」
と、そこで涼宮が横槍を入れてくる。告白の結果が知りたいようだ。それならそうと言えばいい、てゆーか言ってくれ。
「なんだよ、知りたいのか?」
「別にー・・・暇だからよ」
キョン吉は涼宮に不信感を抱いてるようだ。頼む、答えてくれ。
「まあいいけどな、三組の子に告白されただけだよ」
温度がさらに下がった、キョン吉、その続きをたのむ。
「どう返事をしたんですか?」
「だからお前に答える義理はない」
確かに無い。義理はな。
「まあ断ったさ、やりたいことがあるからってな」
断った、と聞いて温度が上がった。よし。いい感じだ。
「もったいないわねぇ〜あんたに告白する娘なんてなかなかいないんじゃない?」
いや、結構いるよ、ここにも三人しるし。キョン吉は「かもな」とか笑っている、それがまた三人娘の温度を下げる
いかん、なにかを言わなければ。
「やりたいことですか、それはいったいなんです? 差し支えなければ教えていただけますか?」
あ〜これ失敗だったかも。キョン吉のことだから変なことをいうに違いない・・・
「SOS団全員でここにいることだよ、これ以上望むものはないね」
あ〜やっぱり失敗だったぁ・・・え?
今の発言の意味に気づいてキョン吉は顔をしかめた、小さく「しまった」とかいったのをオレが聞き逃すはずがない。
み・ろ・よ、涼宮のあのうれしそうな顔。お前をまっすぐ見つめているぜ、朝比奈と長門もうれしそうだ、よかったよかった。
オレがニヤニヤ見てるのに涼宮が気づいたようだ、すぐに不機嫌そうな顔をして
「ふん、やっとあんたもSOS団の団員として自覚が芽生えたようね」
などと言っている、これだからオレの仕事はいつまでたっても終わらない。でも、まあ。今日は閉鎖空間は無さそうだし。今日の所はよかったってことでいいのかな。
全員が低位置について思い思いの行動に移る、まあいつもと変わんねぇけどな。
幸せな気分に浸っていると、
「あの、キョン君」
「なんです?」
「キョン君の湯飲み私が割っちゃったし、責任を持って新しいのを買いに行きたいんですが。
どうせならキョン君に好きなのを選んでほしいの。今度の日曜一緒に買いに行きませんか?」
自分の胸をキョン吉に腕に押し付けながら言った、唇の端がつりあがったのをオレが見逃すはずが無い。
キョン吉はのんきに「もちろんです」とか言ってるし。
やっぱ閉鎖空間発生するかもな・・・