第三章  
 
 
 
今俺はハルヒと向かい合って座っている。  
これが教室か部室ならなんにも変わったことではないのだか、俺の部屋、  
しかもベッドの上とあった日にはきっと明日は雨どころか雪が降ることになるだろう。  
ちなみに今は五月、ゴールデンウイークの真っ只中だ。こんな時期に雪が降ろうものなら、  
ここ数年の異常気象に頭を悩ませている気象学者がさらに追い込まれることになる。  
気象庁が週間予報、月間予報の修正にやっきになるのもまた規定事項だ。  
「……キョン」  
そんな俺の心配は気象庁の方も知ったことではなく、もともと天気予報をそれほど信じちゃいない俺も省庁の職員の苦労などどこ吹く風である。  
「キョン!」  
「悪い。ちょっと考え事してた」  
「もう、今日は二人にとって大事な日なのよ! いったい何考えてたのよ?」  
決まってるだろ俺とハルヒの未来についてさ。やっぱり子どもは四人ぐらいは欲しいよな。  
最初は女の子、続けて男の子二人、そして最後は女の子だ。ハルヒはどう思う?  
「な、なに言ってんのよ! 子どもなんて気が早過ぎるわよ。まだ、そういうこともしてないのに……」  
「これからするんだろ?」  
そう俺たちはこれからいわゆる愛の儀式を行うわけだ。準備は万端。二人はすでにシャワーで身を清め、纏っているのはバスタオル一枚。  
もちろん家には誰もいない。  
ゴールデンウイークは田舎のバーさん家に行くのが毎年の行事になっているのだが、重要な模試があるといってボイコットさせてもらった。  
俺としてはそんな模試など全国統一センター模試並にどうでもいいと、  
全く例えになっていないことを思い浮かべるほどどうでもいいわけで、  
目の前のハルヒとの行為のためであることは言うまでもないだろう。  
「ちょっとキョン! やっぱりあんた変よ」  
そりゃこれから俺のロケットがハルヒの小宇宙に飛び立つわけで、正気を保てと言うほうが酷ってもんだ。  
「まったく……しっかりしてよね。それと優しくしてよ。あたし初めてなんだから」  
俺も初めてだ。そんな自信はピコほどもなかったが、  
「まかせとけ」  
と言っておく。何事も初めが肝心なのである。  
 
この初体験でなんとかアドバンテージをとってこれからの関係では少しでも俺の優位性を確保しておきたい。  
このままではカカァ殿下になることは目に見えてるからな。やはり古風な俺としては亭主関白のほうがいいのだ。  
まあ相手がハルヒならそんなのどっちでもいいがな。  
こいつと一緒に過ごせるなら例え無間地獄に堕ちたところで幸せであることは間違いない。  
地獄の鬼達も俺たちのラブラブオーラによって退散してしまうだろう。  
鬼も泣いた赤鬼に代表されるように鬼のようなやつだけではなく、  
心優しい鬼もいるわけで案外祝福してくれるかもしれない。  
俺の乏しい仏教知識では無間地獄とやらに鬼がいるかどうかなど知らんがな。  
 
んっ? なんだか息苦しいぞ。  
俺が頭の中のビジョンを妄想から視覚器官に接続すると、目を瞑ったハルヒが唇を押し付けていた。  
「うん……ちゅっ、くちゅっ、ふぅっ」  
さらには舌まで侵入させてきている。  
「んっ!」  
突然のことに驚き俺は背をのけ反らせ顔を離す。  
するとハルヒの舌と俺の口の間で名残惜しそうに糸が引いた。  
「いきなり何すんだよ」  
危うく窒息するところだったぜ。  
「それはこっちのセリフよ! さっきから上の空でなんのつもり!」  
ハルヒの瞳はクエーサーをまとめて十個ほど詰め込んだ光を放っており、  
その勢いに押された俺はさらに体を反らせて思わずベッドに仰向けになってしまう。  
「もういいわ。キョンがそういう態度なら、あたしがやってあげるんだから!」  
ハルヒに押し倒される形になる。  
初体験が女性上位とはなんとも情けないが、これも俺達らしいといえばらしいな。  
「優しくしてくれよな」  
少しからかうような調子で言ってみる。するとハルヒは、  
「保証できないわね」  
唇を吊り上げいやらしい笑みを浮かべた後、再び強引なディープキスをあびせてきた。  
 
ハリウッド映画のラブシーンより濃厚な口付け。これでは間違いなく指定が付くな。  
来年の映画は十八禁のラブストーリーにでもしたらどうか。もちろん主演は俺とハルヒで。  
しかし今日のハルヒはなんか変だな。  
積極的なのはいつも通りなのだが、それにしても度が過ぎるような気がしてならないのだ。  
車のギアを段階もなくトップに入れようとしているような、そんな感じだ。  
まあハルヒの頭のギアは常にトップでありクラッチの必要性どころか、  
ブレーキさえその存在を疑わせるほどの暴走っぷりを見せつけているのだが。  
しかしそんなことを考えていても頭と切り離された俺の下半身の一部分には盛んに血液が送り込まれており、  
刻一刻と発射にむけて準備が整えられている。  
ああ、このロケットは日本製ではあるが、開発はNASAの全面協力を得ているので完成度は非常に高く、  
間違っても大気圏脱出を果たす前に分解してしまうなどといった失態はしないので安心してほしい。  
俺はすでにハルヒのやわらかい体の膨らみによってカウントダウン寸前まで準備が整っていた。  
ハルヒの方はどうかな?  
腕を動かしバスタオルの下にある秘密の花園へ手を伸ばしてみた。次の瞬間、  
「いやっ!!」  
ハルヒは俺の体を突き飛ばすようにして――俺はベッドに固定されていたので、  
実際に移動したのはハルヒのほうだった――俺との距離を開かせた。  
「ハルヒ?」  
体を起こしてハルヒの方に顔を向けてみる。  
そこで俺は信じられない――いや、信じたくないものを見た。  
ハルヒは両手で抱きしめるように自分の肩に手を置き、ぶるぶると震えていた。  
「ハルヒ……?」  
近づいて俯いた表情を伺ってみる。  
唇は震え、頬は引きつっている。  
「アハハ……どうしたんだろ、あたし」  
無理に笑おうとしている様子が痛々しい。今ハルヒの顔から、全身から読み取れる感情は唯一つ。  
 
それは恐怖だ。  
 
あの時のことは確かにハルヒを傷つけていたのだ。  
俺の意識はあの日、二人の想いが通じ合った、本来なら喜ぶべき卒業式の日へとダイブしていった。  
………  
……  
…  
 
「ハルヒが望んだこと?」  
「そうです」  
俺の問いにあっさりと頷く古泉。  
俺としてはあの時のことは思い出したくもなかったのだが、そのまま放っておくのもはばかられたので、  
ハルヒと別れてから自称ハルヒの心理専門家である古泉をいつもの喫茶店に呼びだし、こうやって相談してるわけだ。  
この人選は某プロ野球チームの選手獲得なみに納得のいかないものではあったが消去法によって得られた答えであるのでしょうがない。  
まず朝比奈さんは論外。ハルヒがあんなことをされたと知ったら泣きじゃくって話をするどころではなくなってしまう。  
次に長門。一見有り得そうなのだが俺はもう長門にはできるだけ迷惑をかけないと誓っていて、  
それは三年ほど魚を食べないという誓いよりもはるかに強い強制力を持っているので却下だ。  
まあそんな小難しい話でもなく、ただ花も恥じらう(?)女子高生にあんな話をしたら立派なセクハラになり、  
俺はそんな醜態をさらすぐらいなら谷口からノートを借りた方がまだマシだと、思っているだけなこともあるが。  
とにかく俺は論理的帰結として古泉を相談相手に選んだのだが、やはりそれはスキーを履きながら海岸に行くほどの見当違いだったらしい。  
訂正させてもらおう。海パン一枚で雪山に行くぐらい見当違いだ。  
最初の例えだと水上スキーでもするのですか? と目の前の万年微笑顔にツッコマれるのが目に見えてるからな。  
「先に自分で言わないでくださいよ」  
「そんなことはどうでもいい」  
自分で言っといてなんだが本当にどうでもいい。  
問題はこいつがさっき言ったことだ。  
『そのような現象が起きたのは涼宮さんが起きてほしいと望んだからです』  
ふざけるな。  
あの惨事がハルヒの望んだことだと?  
「そうは言ってませんよ」  
「どういうことだ?」  
毎回思うがお前の説明は遠回しで解りにくいんだよ。  
「それは失礼。でも今回ばかりはその言葉をそっくり返しますよ」  
「…………」  
沈黙する俺。  
そうだった。いくら古泉が一番話しやすかった団員といえども、やはりそのまま伝えるわけにもいかず俺の説明は、  
「ハルヒがなにか言いかけたところで俺が逆にかなり非道いことを言ってしまい、  
翌日ハルヒが物凄く酷い目にあってしまい、その状況からなんとか助け出して仲直りしたら、  
そのハルヒが何かを言いかけた瞬間に戻り、その後二人は少し仲良くなった」  
というオブラートを十枚ぐらい重ねて包み込んだ代物だったのである。  
 
「まあいいでしょう。話を続けますね」  
そうしてもらえると助かる。  
「涼宮さんはその惨事を望んでいたわけではなく、あなたの話の後半部を望んでいたのです」  
というと?  
「詳しく説明しましょう。あなたにかなり非道いことを言われた涼宮さんはそのショックで閉鎖空間とはまた違った世界を作り出した。  
 あなたが言った時間にちょうど僕も違和感を感じましたからこれは間違いないでしょう。そこで彼女はあなたを試したのです」  
「ハルヒが俺を試した?」  
「そうです。自分が物凄く酷い目にあったとき助け出してくれるかどうか、それを試したんですよ。  
 きっと涼宮さんはあなたの言ったことが本心ではないと薄々判っていたのでしょう。でも不安だった。  
 だからあなたを試すために新しい世界を創り出した。  
 そしてその世界であなたは涼宮さんの期待通りの行動をとった」  
「だから俺はこの世界に戻ってこれたわけか」  
五月の時と同じだな。おそらくあそこで判断を間違えていたなら、今この世界は存在していなかっただろう。  
「あなたには本当に感謝していますよ」  
古泉はそう言った後も何か付け加えていたが俺の耳にはもう入らなかった。  
 
この時俺の頭を支配していたのは巨大な不安だった。  
 
五月と一緒……今回の現象が世界再構築と時間遡航の合わせ技であったため、全く同じというわけではないがやはり共通点は多い。  
 
だとすると…………。  
…  
……  
………  
 
震えるハルヒを見ながら俺は自分のとった行動の愚かしさを改めて思い知り、大驚失色していた。  
確かにあの世界からは戻ってこれたがあんな世界をハルヒに創らせた原因は間違いなく俺にあるのだ。  
全くなんていう様だ。  
去年の十二月、そして一ヶ月ほど前の八日間のロールプレイで自分の進む道というものをしっかり確認したというのに……。  
実際は五月から全く進歩していなかったということか。いくらなんでも情けなさ過ぎるぜ。  
これが江戸時代なら間違いなく切腹ものだ。  
 
「キョン、ごめんね……あたし怖いの。大好きなキョンが相手なのに……ごめんね」  
そう言ったハルヒの顔があの時とダブって見えた。  
 
俺はハルヒを抱きしめる。  
それは自然な動作だった。何も考えずただ身体がそう動いたのだ。  
ハルヒは始め身体を硬直させていたが、だんだんと力を抜くと俺に身を委ねてきた。  
いつもは饒舌なハルヒだったが、この時ばかりは黙って俺の背に手を回すだけだった。  
しばらくして俺は身体をゆっくりとベッドに倒していった。  
横たわる二人の身体。  
俺はさらに力をこめてハルヒを抱きすくめる。すっぽりと俺の腕の中に納まるサイズ。  
この大きさが愛おしくてたまらない。  
艶やかな黒髪の上に何度も唇を落とす。右手は頭に、左手は背中に当てて優しくさする。  
情事の最中にあってその行為に性欲はなかった。  
ハルヒが愛おしい。そしてハルヒの傷を癒したいという慈しみ。  
ハルヒの身体は俺の腕で包み込もう。  
ハルヒの心は俺の慈愛で包み込もう。  
すっと背中の手が移動して頭と頬に当てられる。  
それは優しく俺の頬を、髪を撫でてくれる。  
心地良い。  
今まで感じてきたどんな瞬間よりも、今この時が心地良い。  
人生の全てにも値する一瞬があるとすればそれはきっと今だ。  
しばらく俺たちはそうして幸せに浸っていた。  
突然目の前のハルヒの姿がぼやける。  
何事かと思い手を伸ばして、初めてそれが涙によるものだと気づいた。  
「なに泣いてんのよ」  
ハルヒの指が俺の涙をぬぐってくれた。はっきりとする視界。  
「なんでだろうな。でも……」  
俺はハルヒの目元に指先を運び、流れ出ている熱い液体をすくった。  
「ハルヒも泣いてるぞ」  
「えっ……」  
人が泣くのは何かが溢れ出し、胸の中にそれを収めきれなくなったからだという。  
今俺から溢れ出しているものはなんだろうか。  
今ハルヒから溢れ出しているものはなんだろうか。  
断言できる。それは一緒のものだ。  
「ハルヒ、愛してる」  
「キョン、愛してるわ」  
その言葉がどれほど重たいものかは解っている。解った上で俺は言う。  
愛していると。  
そしてハルヒも応える。  
愛していると。  
きっとこの溢れるものを伝える言葉はこの世にそれしか存在していないのだから。  
 
愛を語らったところで突然ハルヒが俺の身体を抱え仰向けになる。その結果俺はハルヒに覆いかぶさる形になった。  
間近に迫るハルヒの瞳。  
もうそこに恐怖の色はなかった。逡巡もなかった。覚悟すらなかった。  
ただそれが当然であるかのようにハルヒは一言、  
「きて」  
そう呟いた。  
 
ハルヒの唇を俺のそれで軽くはさむ。それを合図として俺たちは深く長いディープキスを開始した。  
二人の舌はまるで境界線をなくしたかのように互いの口内を縦横無尽に動き回る。  
歯列、歯茎、口蓋……口内を余すとこなく愛撫した後は舌を強めに吸いあう。  
奥歯のほうから首筋へとぞわぞわしたものが駆け巡る。まるで蕩けるような快感。  
ハルヒとこういう関係になって俺は初めてキスがこれほど気持ち良いものだと知った。  
続いて俺たちは唾液を盛んに交換する。二人がこくこくと嚥下する音が響く  
俺が覆いかぶさっているという体位上確実に俺の送り込む量のほうが多くなるのだが、  
ハルヒは舌と口内の圧力を実にうまく使い俺と遜色のないほど大量の唾液を送り込んでくる。  
こんなところでも負けず嫌いなハルヒが可愛くて、そして少し滑稽で俺は思わず苦笑する。  
それを感じ取ったのかハルヒは俺の舌に犬歯を突き立てた。  
「……っ!」  
思わず口を放しそうになったが何とか耐え、意趣返しの意味をこめてハルヒの舌を強く、強く吸ってやった。  
「んんっ!」  
これだけじゃ終わらないぜ。  
さらに腕を動かしハルヒの身体を覆っていたバスタオルを剥がし、じかに胸を揉んでやる。  
形容できない感触。こんなやわらかいものがこの世界に存在していたとは……。  
俺はその感触をもっと味わいたくて盛んに手を動かした。  
「ぷはっ……っ!! ちょっ、キョン、そんな…あっ、んっ!」  
俺の執拗な攻めに耐え切れなくなったのかハルヒは口を離し、顔を背けた。  
その顔は夕暮れの太陽よりも真っ赤に染まっていた。激しい息遣いも聞こえてくる。  
「ハルヒ……可愛いぞ」  
耳元で囁いてからそのまま耳朶に軽く口付ける。  
「ひうっ!」  
俺の唇は耳から頬、首筋、鎖骨へと下がっていく。  
どんどんハルヒの心音が大きくなっていく。  
さあこれは俺がハルヒの心臓に近づいていっているからか、ハルヒのテンションが上がっているからか一体どっちかな。  
ああ、言わずもがな。俺のテンションはもうとっくに最高潮まで上り詰めているのでこれ以上は上がりようがない。  
ついにふくよかな山のふもとに達した俺はいったん顔を離しその丘陵をまじまじと観察する。  
風呂上りのようにほんのりと桜色に染まった乳房、ふくらみの頂上に位置する桃色の可愛い突起。  
白い肌に映える何種類のピンク色がたまらなく綺麗だ。それはまるで桃花鳥のようでもある。  
胸は大きく上下しているし、乳首もすでに尖っている。どうやら俺の愛撫はハルヒを陶酔させるには十分だったらしいな。  
「もうこんなに乳首も立てちゃって……エッチだなハルヒは」  
「キョンの、キョンのせいじゃない! それに……」  
ハルヒの視線が移動して俺の下腹部を注す。  
「そこをそんなにしてるあんたに言われたくないわ」  
薄い布の下で俺の分身はすでに痛いほど勃起していた。  
「ハルヒのせいだよ」  
互いに責任転嫁を終えて、俺はとがった山の頂へと舌を伸ばしていく。  
シャミセンが器に入ったミルクをなめるように、ハルヒのてっぺんを一舐めする。  
「あんっ!! きょんっ……そこ、よすぎるよぅ」  
それはいいことを聞いた。アイスを舐めるようにぺろぺろと何度も刺激する。  
「んっ! いい、よぅ……胸が、おっ、おかしくなっちゃいそう……っ!」  
ハルヒの嬌声に刺激された俺はついに乳首を口に含むと念入りな愛撫を開始した。  
強く吸ってみたり、甘噛みしてみたりと様々なバリエーションをつける。  
ハルヒの左胸は前記のように口で攻め立て、  
右胸は先ほどからずっと俺の左手が押しつぶしたり、揉み解したり、こねくり回したりしている。  
 
しかしなんだ右手が遊んじまってるんだよな。  
両方のふくらみは抑えてるのでもう攻めるところは一つしかないんだけどな。  
「こっちはどうなってんのかな?」  
右手をハルヒの下腹部へと移動させる。  
指先に熱い粘液の感触。  
「やっ! そこは……だめぇっ! あ、あたし、感じすぎちゃうっ!」  
「もうぐしょぐしょだな」  
顔を上げてハルヒの瞳をじっと見ながら問いかける。  
「こっちもいじっていいか?」  
もう完璧主導権はこっちのものだ。ハルヒの目はとろんとしていてすでに抵抗の意志は感じられなかった。  
しかし……その目にだんだんと力が戻ってくる。  
それと同時にハルヒの背後からは凄まじいほどのオーラが立ち昇る。その色は黄金。  
そうだよな。ハルヒがこのままおとなしくしているわけはなかった。  
さっきのしおらしい雰囲気にすっかり騙されちまったぜ。  
「さっきからおとなしくしてれば……ずいぶん調子に乗ってくれたわね。このエロキョン!」  
ハルヒががばっと身体を起こし俺の肩を掴むとそのまま覆いかぶさってきた。さっきまでとは反対の体位。  
「や、やさしくしてくれよ」  
ハルヒは唇を三日月のように吊り上げて、  
「保証できないわね」  
どんな幽霊も一発で退散しちまいそうな壮絶な笑みをうかべた。  
 
「さあ、さっきからあたしの太ももに当たってたあんたのはどうなってるのかしらね? 見せてもらうわよっ!」  
ハルヒは威勢のいい声を上げると勢いよく俺のブツを覆う布を取り去った。  
「…………」  
 
沈黙。  
 
黙るなよ。がっかりしたのかと不安になるだろうが。  
「どうした?」  
「……ぃよ」  
「あー、すまん。聞こえんかった」  
「おおきいよ……キョンの、こんなのあたしの中に本当に入るの?」  
不安げに聞いてくるハルヒ。やばい、こんな顔を見せられると……。  
「わっ! まだ大きくなってる」  
「なんだよ? ここまできて怖気づいちまったのか?」  
いつもハルヒに虐げられ真性のマゾ疑惑をかけられていた俺にも人並みの加虐心はあるんだぜ。  
 
「なによっ! こんなの怖くもなんともないんだから!」  
ハルヒは俺をキッと睨み付けると、高々とそびえ立つ物に手を伸ばした。  
ハルヒの指先が触れた瞬間、俺のものがビクンと脈を拍った。  
「きゃっ!」  
ハルヒは凄まじいスピードで手を引っ込める。  
そのまましばらく逡巡していたが、決心したのかおずおずと手を伸ばし、遂に俺の肉棒をしっかりと握った。  
「うっ……」  
ただ握られただけだというのに俺は情けない声を出してしまう。  
「気持ち良いの?」  
「ああ」  
「キョンのすごく硬くて、熱いよ。それにビクン、ビクンってなってる」  
そんな解説はいいから早くこの状況を何とかしてくれないか。  
握ったままなのに何もしてくれないのは、蛇の生殺しもいいところだ。  
「へぇ、この状況がそんなに辛いんだ。だったらもうしばらくこうしていようかしら?」  
「マジで勘弁してくれ」  
そんなことをされたらリアルに頭がおかしくなりそうだ。  
「冗談よ……男の人ってこうされると気持ち良いんでしょ?」  
ハルヒはおもむろに手を上下させ始めた。  
「ぐぅ……っ」  
凄まじい快感が腰椎から脳髄にまで駆け巡る。  
「ふふっ、気持ち良さそうね。あたしにしごいてもらえるなんてキョンは本当に幸せ者よね」  
小悪魔的なハルヒのセリフ。すでに限界かと思われていた性的興奮がさらに高まっていく。  
なんでだ? 一人でやってる時とそんなに変わってないはずなのに……。  
他人にやってもらえるとこんなに気持ちが良いものなのか。それとも相手がハルヒだからかな。  
おそらく後者だろう。しかしこの気持ちよさ……冗談抜きでやばい。  
「なんか先っぽからネバネバしたのが出てきたわよ」  
「ちょっ…待て、それ以上は……」  
「もうイキそうなの? 男のくせにだらしないわね」  
そう皮肉を言いながらもハルヒは手を放してくれた。  
助かった。危うく本番前に発射してしまうところだったぜ。  
限りある資源をこんなところで無駄にするわけにはいかな……  
「……いっ!!」  
安心したのも束の間。  
何を思ったのかハルヒは俺の怒張に顔を顔を近づけると、そのまま舌を這わせてきやがった。  
 
「んっ……はぁ、んふっ、キョンの、なんだか変な味がするよ…ん、ふうっ……」  
ちゅばちゅばといやらしい水音を立てながらハルヒは俺のものをまるで千歳飴のように舐め上げている。  
「ちゅっむっ……あっ、熱いよ…んっ! れろっ」  
まず亀頭の方にキスをしてそのまま先っぽをチロチロと、ついでカリの辺りをぺろぺろと、  
さらには根元から先端にかけて裏筋を舌でなぞるように一気に。  
「うあっ、やばいって、くうっっ……本当にもう……」  
余程切羽詰った顔をしていたのだろう、ハルヒは意外にもあっさり口を放してくれた。  
糸を引く唾液がたまらなくエロい。  
「もう。せっかくこの後は咥えてあげようと思ってたのに……まあいいわ。  
 それは次回に持越しね。あたしも初めては顔や口に射精されるよりも、ちゃんと膣内のほうに射精して欲しいしね」  
ちょっと待て。俺の聴覚器官がその能力を不足なく発揮しているとしたら、今膣内に射精して欲しいと聞こえたのだが。  
ハルヒよ、それは俗に言う膣内射精だぞ。エロ漫画かなんかだと“なかだし”とルビがふられるぞ。  
「特別よ。と・く・べ・つ。今日は危険日ってわけでもないし……初めてだしね。  
 でも初めの一回だけだからねっ! 調子に乗って抜かずに連発なんてことはダメだからねっ!」  
初めの一回だけかよ。それは残念だ……っと、そうじゃなくて、  
「ハルヒ、初めの一回だけとはいえ膣内はまずくないか。せめて生でやって寸前に引き抜くとか」  
「そんな中途半端なことはSOS団団長として断固拒否するわ」  
「いや、しかしだな……」  
「なによ。キョンはあたしの膣内に射精したくないの?」  
ああ、そんな、まるで「今日は部室に来ないの?」みたいなノリで聞かないでくれ。俺が断れるわけないだろ。  
「射精したいです」  
「うん。素直でよろしい。じゃあ早速……」  
ハルヒは仰向けになっていた俺にまたがるとそのまま腰を沈めていった。狙いがそれないようご丁寧に俺の肉棒に手を添えながら。  
「待て、待て。まさかこのまま?」  
「そのつもりだけど」  
いきなり騎乗位かよ!  
「女性上位よ」  
「大して変わんねぇよ!」  
初めてでハルヒに攻められるなんて俺は堪えられんぞ。  
そんなことになったらこれ以上容量の空きがない俺のトラウマアルバムに新たな一枚が加わることになっちまう。  
「なによブツブツと。じゃあキョンはどんなのがいいのよ?」  
「そりゃお前、初めてなんだからここは正常位にするべきだろ」  
ハルヒは顎に手を当ててまるで地獄の門にいる人のように考え始めた。  
そのまましばらく黙考していたが、  
「初めてだしね。今回だけは主導権をキョンに譲ってあげるわ」  
と言って結局俺の提案を受け入れてくれた。  
しかし今回だけって……もうどうでもいいか。ハルヒと一つになれるならどんな体位でもこなしてやるさ。  
今度耳年増な谷口の野郎に四十八手のことを聞いておこう。  
 
俺は身体を起こしハルヒと向かい合った。ハルヒはそのまま後ろへと倒れこむ。  
「じゃあいくぞ」  
ハルヒの足の間に腰を進めていく。  
「乱暴にしたら死刑よ」  
「わかってる」  
俺は脈動する暴れん棒を手で制御しながらハルヒの入り口へと近づけていった。  
「……っ」  
ちゅくっとそんな音を立てて俺の先端がハルヒの割れ目に触れた。  
もうそこはぬるぬるになっていて触れただけでも気持ち良かった。  
「じゃあ入れるぞ」  
「うん」  
ハルヒはベッドのシーツを掴みこれから来る衝撃に備えているようだった。  
俺は腰を動かし挿入を開始した。かなりの抵抗に逆らい俺の亀頭はハルヒの膣内へと埋没していく。  
「は、入ってくるよ、キョンがあたしの膣内に……」  
ハルヒの狭い膣道を押し広げながら俺は奥を目指して進んでいく。  
「……っ!」  
前戯にたっぷりと時間をかけたためハルヒの中は十分に濡れていたが、そこはやはり処女である。  
挿入にはかなりの痛みが伴ってるらしくハルヒの顔は歪んでいる。  
俺は動きを停めてハルヒに問いかけた。  
「痛いのか?」  
「い、痛いけど……大丈夫。これ、ぐらいならなんとか」  
俺はすでに信じられないほどの快楽を感じていて、さらなる高みを目指してすぐにでもピストン運動を開始したいところだったが、  
ハルヒの痛みを無視することはできない。  
俺は身体を倒していきハルヒに密着するとその小さな身体を抱きしめた。  
「無理するな」  
「無理なんてして……」  
「して……?」  
「……してるかも」  
「やけに素直だな」  
「あたしは、いつだって、素直よ……や、やっぱり痛いわ。キョンのが大きすぎるのよ」  
いや、ハルヒの膣内が狭すぎるんだ。俺のも痛いぐらい締め付けられてるぞ。  
「でも気持ち良いんでしょ」  
それはかなり、いや凄く。  
「キョンばっかりずるいわ……あたしも、もっと気持ち良くなりたい」  
そんなこと言われてもな……。  
俺が三角関数の問題並に頭を悩ましていると、ハルヒが俺の背中に手を回しぎゅっと力をこめてきた。  
「ゆっくりなら大丈夫だと思うから、優しく入ってきて」  
「わかった」  
俺は頷くとゆっくり腰を進めていった。  
 
ハルヒの膣内を少し進んでは戻り、また進む。そんな一進一退の攻防を繰り広げる。  
「つぅ……っ」  
背中に回されたハルヒの腕により一層力がこもる。  
ハルヒの痛みは推し測れたが、しかし俺も自分の射精感を抑えるのに精一杯だ。  
いっそのこと一気に奥まで……。  
ダメだ。  
ハルヒを傷つける可能性があることなんてしてたまるか。  
俺の頭が例え鶏並の記憶力しかないとしても三十分前の決意は一生忘れないぜ。  
焦らされている様で辛い。でもこの辛さもハルヒと一つになれた証拠だ。  
大体初体験の負担が女の子だけにかかるってのも理不尽な話だしな。  
「キョン……あんたって、意外とフェミニスト、なのね」  
意外とは心外だ。俺はいつだってどこだってフェミニズムを貫いてきたぜ。  
今はハルヒの処女膜を貫こうとしてるがな。  
「な、なによそれっ……っう!」  
ハルヒが言った瞬間だった。抵抗が一気になくなり俺のものはまるで吸い込まれるようにハルヒの最奥まで達した。  
「あっ、き、キョンのがいっ、一番奥まで……すご、いよ、あたしたち一つになったんだ……うれしい……」  
喜んでもらえて俺も嬉しいぜ。  
「キョン……いいよ、動いて」  
「いいのか?」  
「うん。今度はキョンが満足する番よ。あたし順番はちゃんと守るわ」  
痛そうに顔を歪めながら言う様子が健気だ。  
「いや、ハルヒにももっと満足してもらうぜ」  
「えっ?」  
俺はハルヒの口を覆い、いきなりのディープキスをあびせる。  
キスをしながらなら痛みも少しは和らぐだろう。これが今俺のできる精一杯のことだ。  
上と下で繋がって、俺はハルヒに入っている両方のものを動かし始めた。  
 
舌を盛んに動かしながら、腰をスライドさせてハルヒを突く。  
キスをしているので呼吸は鼻呼吸がメインになる。  
吸うたびにハルヒの匂いが頭の中を駆け巡る。どんな華よりも良い香りだ。  
「ん、くっ! ふぁっ…ちゅっ、あっ……はぁ」  
ハルヒの膣は俺の精液を搾り取ろうと絡まってくる。  
「ん……はぁ、ハルヒの膣内、き、気持ち良すぎ」  
「はぁっ、あたしも…んあっ! 凄いよ、キョンのが膣内で暴れてる……んっ!」  
いったん口を離し語らう。  
「い、いいよ。もっと激しくしても……くうっ!!」  
ハルヒの許可を受けて俺は腰の回転速度をあげる。ぐちゃぐちゃといやらしい音が部屋に響く。  
俺はハルヒを最奥まで突き刺し、肉襞をめくりながら入り口ぎりぎりまで引き抜く。  
そして子宮に届くほどにまた深く深く挿入する。  
「お、俺っ! 大好きなハルヒをこんなに、こんな風に!」  
「あたし、もっ、大好きなキョンとこんな、こんなっ! すごい、すごいよ……っ!」  
お互いに絶頂を求めて睦言を交わす。  
ハルヒの襞の一つ一つが的確に俺を刺激する。  
それにハルヒの膣内はとても温かく結合部が蕩けてしまいそうだ。  
もう快感は極限まで達していた。  
 
「もう……だ、ダメだ」  
「な、膣内に、キョンの精液全部あたしの一番奥にぃっ!」  
「は、ハルヒっ! 射精すぞ!!」  
「き、キョン。またぎゅうってして!」  
俺はハルヒを強く抱きしめてそれと同時に勢いよく分身をハルヒの一番奥にたたきつける。  
「ハルヒっ!!」  
「キョンっ!!」  
俺はハルヒの名前を呼びながら絶頂に達した。  
どくん、どくん……と何回も脈を拍ちハルヒの膣内に想いの丈を注ぎ込んでいく。  
「ふぁっ、き、キョンのすごい熱い……いっぱい、いっぱい、あたしの膣内に射精てるよ」  
「はあっ、はあっ……」  
荒い息を整えて俺はハルヒにもう今日何度目になるかも判らないキスをした。  
「んっ……」  
そして、  
「愛してるよ。ハルヒ」  
「キョン……あたしも愛してるわ」  
再び愛を語り合った。  
 
俺は繋がったまま布団を手繰り寄せると二人に掛けた。汗もかいてるし身体を冷やしてはいけないのでな。  
しばらくそのままで俺たちは抱き合い、身体の至る所に何度もキスをした。  
そして幾度となく互いの想いを口にした。  
その布団に包まれた空間はとても暖かかった。これはきっと布団以外にも温かいものが二人を包んでいたからだろう。  
たっぷりの後戯を終えて俺は何種類もの粘液が纏わり付く精器を引き抜き、そのまま両手を広げベッドに大の字になった。  
するとハルヒは猫のように身体をすり寄せ、俺の左腕に頭を乗せてぴったりと密着してきた。  
まったく可愛いやつだよ、お前は。  
俺は天使の輪とも形容されるキューティクル輝く髪を優しく撫でる。そして額にキス。  
ハルヒは微笑みながら俺の顔を見つめてる。  
そのハルヒの表情は俺が見たどんな笑顔より爽やかなものだった。  
 
しかし疲れたな……。  
肉体的にも精神的にも限界近くに達していた俺はゆっくり眼を閉じていった。  
疲れてはいるがとても幸せな気分だ。いい夢が見れそうだな。  
いや、この現実以上の夢などどこにも存在しないか。  
「……キョン」  
どうしたハルヒよ?  
「起きてよ」  
いや無理だ。寝させてくれ。  
「起きろってんでしょうが!」  
なんだよこのデジャビュ。  
 
「もう。何寝ちゃおうとしてんのよ!」  
「かなり疲れたからな……」  
「何言ってんの! あんたの家族帰って来るのいつよ?」  
なんだ? それと俺が寝ちゃいけないこととなんの関係があるんだ。  
「いいから答える!」  
「明後日の昼過ぎだ」  
「ほらもう四十時間もないじゃない。大切な二人の時間なんだから一秒だって無駄になんかしないわよ!」  
まだ四十時間もあるじゃねぇか。お前は一体何発やる気だ?  
「そうね、とりあえず今日買ったコンドームが無くなるまでやるわよ」  
ああ、そう言えば今日の午前中にドラッグストアに行って買ってきたっけ。  
二人でコンドームを選んでる姿は立派なバカップルだったな。  
しかしハルヒが「どうせなら色んな種類を使ってみたいわね」とか言っていっぱい買ったからたっぷり五ケース、ゆうに三十個はあるぞ。  
「いいの! とにかくやるんだから! ほら、あたしが着けてあげるから」  
ハルヒはカザゴソと黄色い袋をあさり、  
「じゃ、取りあえずこの超薄型を使いましょ」  
俺の目の前に可愛いラベルの箱を突き出した。  
あー、もう! こうなったらハルヒの足腰が立たなくなるまでやってやるぜ。  
「ふんだ。望むところよ。キョンのが一滴も射精なくなるまで搾り取ってあげるわ。  
 そうね。どうせだから勝負しましょう。先にへばったほうが次の時相手の言うことをなんでも聞くこと」  
俺に拒否権なんてものは存在してないよな。  
「当然!」  
そうか……なら、  
「やってやるぜ。俺の愛の深さを思い知れ」  
「それはこっちのセリフよ!」  
ハルヒは素早く俺の上に馬乗りになる。  
「さあ、始めるわよ」  
こうして俺たちは長い永い愛の儀式に再突入したのであった。  
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ちょっと待て。始める前に言わせてくれ。  
「何よ?」  
「愛してるぞ、ハルヒ」  
「ふふん」  
ハルヒは語尾に音符が付きそうなほどご機嫌な声色で鼻を鳴らし、  
「愛してるわ、キョン」  
本当に幸せそうな極上の笑みを広げて言った。  
 
 
 
エピローグ  
 
 
 
ハルヒと初めて一つになったあの日からもう一ヶ月以上が経った。  
季節は梅雨に突入して空模様はいつもぱっとしないが、それとは裏腹に俺の心は実に晴れやかだ。  
いつもと変わらない非日常な毎日。ハルヒの起こす事件に巻き込まれるSOS団。  
うん。全く以て楽しい毎日だ。  
最近の特筆すべき事項といえばこの間の土日に始めてラブホテルに行ったことぐらいか。  
初めての時も気持ち良かったけど二回目も良かったな。  
それに……  
 
「あのう……誰かこの部室でするめでも食べました?」  
「ん? どうしたのみくるちゃん。メイド服をそんなにクンクンと嗅いじゃって。匂いフェチにでも目覚めた?」  
「違いますよ。ただ、なんかイカ臭いんですよね……。  
 それにところどころパリパリしてるし……これはなんなんでしょうか?」  
この会話だけでも一回目の勝負は誰が勝ったか分かるだろう。  
ああ、よかったな。  
まさかハルヒがノリノリであんなことや、そんなことまで言ってくれて。あまつさえ×××なことまでしてくれた日には……。  
ええ興奮しましたとも。メイド服が真っ白になるほどにはね。  
一応その後すぐ手洗いしたのだがどうにも臭いや、粘液は完璧に取り去ることができなかったようだ。今度クリーニングに出さないとな。  
「気、気のせいよ」  
あわてて取り繕うハルヒ。  
「でも確かに……」  
「そ、そんなことはどうでもいいわ。それよりもほらお茶、早くお茶持ってきて」  
「はぁ」  
朝比奈さんはそう生返事をするとお茶の準備に取り掛かった。  
会話の途中古泉の方から鋭い視線を感じていたがそれは無視しておいた。  
 
で、今現在の団員の様子は……  
長門は部屋の隅っこで百科事典と見紛うばかりの分厚い本を読んでいる。  
朝比奈さんはパタパタと可愛い効果音をつけてお茶の準備中。  
古泉は相変わらずの物知り顔でにやにやとしてやがる。  
そしてハルヒはというと……なにやら凄艶な笑みをうかべてこちらを見つめている。  
これはきっと土日に負けた俺への罰ゲームを考えているんだな。  
どんなプレイを要求されるのかは分からんが、取りあえず四十八手なら全部把握しているので安心してくれ。  
しかしハルヒのことだ。先人が思いも寄らない様な体位を考案してくるかもしれない。  
 
まあいいさ。  
 
覚悟はとっくに決まっているからな。  
 
 

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