彼の視線が向かう先を調べてみた。
朝比奈みくるの胸と顔を交互に見ていることが多い。胸のほうがやや比率が高いようだ。
彼がわたしを見る時は、わたしの目を見ている。胸に視線を移すことはほぼ無い。
さらにわたしと彼女を見ている時間の比率でも、彼女のほうが圧倒的に多い。
その差は、胸の大きさなのだろうか。
このインターフェイスの外観を変化させれば、彼がわたしを見る時間が増えるかもしれない。
……。
情報統合思念体に外観の変更を申請したが、却下された。
当然かもしれない。身体的特徴が、短時間の間に変化することはありえないからだ。
わたしは手元の本に溜め息を落とした。
A「いやだからな、長門有希の乳はちっちゃいほうがいいんだって」
B「そうだそうだ! そもそも俺はメガネを外すのだって嫌だったんだ」
C「ちょい待て。メガネは無いほうがいいだろ」
D「なんでやねん、メガネがあったほうがええて」
A「落ち着けお前ら。とりあえず、俺たちは貧乳好きってことで一致してるだろうが。喜緑だって小さいしな」
B「ああ、あれはいい子だ。ちゃんと言うこと聞いてくれるし」
C「朝倉なんか酷かったもんな……。胸をちっちゃく設定しようとしたら、怒るし」
D「ほんまに。なんかあの子だけ性格も明るくさせられよったしな。俺らはもっと大人しい子が好みやのに」
A「そう言うなよ。まぁとりあえず、長門の申請は却下でいいな」
B・C・D「異議無し!」