俺が高校に入ってからかなりの月日が経った。  
この前モミジの落ち葉を掃除したと思いきや昨日は初雪だ。  
時間が流れるのはこんなにも速いものなんだろうか。  
 
ハルヒと俺の関係ももう長い。  
と言っても恋人同士とかではなく普通の団長と下っ端団員の関係だが。  
高校入学と同時に俺はハルヒに強制的にSOS団に入部させられ、  
その頃俺はハルヒにほとんど嫌悪感しか抱いていなかった。  
しかしその内に俺は色々なハルヒの内面を知ることとなり、次第にハルヒに対する見方も変わっていった。  
 
そして今。  
 
俺はハルヒに恋愛感情を抱いてしまっている。  
 
その所為か最近はろくにハルヒの事を直視することも出来なくなっていた。  
気がつけば俺は部活を休む事は無いまでもハルヒの事を自然と避けるようになっていた。  
そして次第にハルヒの機嫌も数年前の日本の景気のごとく着実に下降の一途をたどっていた。  
 
 ━━━━━━━  
 
 「―――あーなんかもうムカツク!今日はもうおしまい!帰るわアタシ」  
 「は、はい!」  
 「お疲れ様です」  
 「・・・・・・」  
 
団長様が帰るというのに長門は一瞥もくれず黙々と本を読んでいる。  
まあ俺も人の事は言えないのだが。  
 
 「最近特に機嫌悪いですね涼宮さん」  
 「以前のように私に抱きついても来ないです」  
 「キョン君、あなたは最近団長に冷たい感じがします」  
 「そ、そうか?古泉」  
 「ええ、何か意図的に顔をあわせまいとする感じです」   
 「そう言えばそうですね、最近キョンくんと涼宮さんが2人で絡んでることが少なくなった気もします」  
 「長門さんはどう感じますか」  
 「・・・空気が停滞している、すなわちこの部の活動の活発性が無くなっている  
  その一番の原因は貴方と涼宮ハルヒの関係の悪化」  
 
やっぱりこいつらも薄々気づいてはいたらしい。・・・当然か。  
 
 「何故キョンくんは涼宮さんを避けてるんですか」  
 「いえ朝比奈さん・・・ 僕は別にハルヒの事を避けようと思って避けてるわけじゃ」  
 「ではなんで・・・」  
 「キョン君は涼宮さんに恋をしてしまった」  
 「!! 古泉!」  
 「違いますか」  
 「・・・・・・まあお前には隠し通せないよな、  
  そうだ、俺はハルヒが好きだ」  
 「キョンくん・・・」  
 「同じように涼宮さんはあなたを愛しています」  
 「何だと!? ハルヒが俺を!?」  
 「ええ、ここ最近部活が早く終わってたり時には休みになったりしてましたが  
  それは貴方同様涼宮さんも貴方に顔をあわせるのが恥ずかしかったからですよ」  
 「・・・・・・」  
 「じゃあキョンくんと涼宮さんは両想いって事なんですか」  
 「そういう事ですね」  
 「俺と・・・ ハルヒが・・・ 両想い・・・・・・」  
 「ええ、告白は早い方が良いですよ」  
 
古泉!お前は何を言い出すんだ!?  
 
 「そのまんまの意味ですよ、では僕達は失礼します」  
 「キョンくん、頑張ってくださいね」  
 「私は貴方と涼宮ハルヒの恋の成就を応援している」  
 「お、おい!お前ら!」  
 
出て行ってしまった。  
夕日の差し込む文芸部室には俺一人が残された。  
 
 
・・・・・・俺も帰るか。  
 
 ━━━━━━━  
 
 「ただいまー」  
 「キョンくんおかえりー」  
 「あー疲れた」  
 
そう言って俺は椅子に腰掛ける。  
 
たまたま掛かっていたテレビは再放送のサスペンス劇場。  
俺はそんなものには全く見向きもせずさっきの事を考えていた。  
 
 「キョンくん、冷たいお茶だよー」  
 「お、気が利くなお前」  
 「ねーキョンくん、ほかのテレビに替えていいー」  
 「俺は別に見てないから構わんぞ」  
 「わかったー」  
 
妹はリモコンのボタンをポチポチと押し始めた。  
アニメでも見たいのか知らんが今の時間はそんな物やっていない。せいぜいドラマと生番組と通販くらいだ。  
しばらくチャンネルを替えまくっていた妹だったが、  
自分の見たい番組はやってないと悟ったのだろうかどうも普通の情報番組で我慢するようだ。  
まあサスペンス見るよりは良いか。  
 
 
  《では次は『お宝中継』のコーナーです》  
 
 「・・・・・・『お宝中継』?」  
 「ああ、いつもこの時間にやってるんだよ」  
 「そうなのか」  
 
  《毎日この時間は視聴者の皆さんのお住まいの地域にお邪魔し、  
   地元の人にその人が大切にしている『お宝』を持って皆さん集まってもらい、そのお宝の凄さを競うものです  
   そして見事『大賞』に選ばれた人は素敵な記念品を差し上げます》  
 
 「ほう、なるほどお宝」  
 「ねえねえキョンくんのお宝って何かあるー?」   
 「俺のお宝か・・・ お宝お宝・・・  
 
  ・・・おいお前、ここで言うお宝ってどういう物を指すんだ」  
 「んーとね、別に何でも良いんだって、  
  キョンくんの大切にしているものとかずっと捨てられないものとかー そうそう、願い事でも良いみたいだよ」  
 「・・・ホントに何でも良いんだなオイ」  
 「そうだよ、例えばあたしとずっといたいとかー」  
 「きっぱり言う、それは無い」  
 「うわーんキョンくんがいじめたキョンくんがいじめたー!!うわーん!!」  
 「おいコラ泣くな泣くな!!すまん俺が悪かった、お前も俺の大切な宝物だ、だから、な」  
 「ほんとー?」  
 「ああホントだ」  
 「わーいキョンくんだいすきー」  
 「・・・やれやれ」  
 
サリン並みに扱いに困る妹だ。  
 
テレビを見ると先ほどの『お宝中継』が続いていた。今日はどこか山間の村にお邪魔しているらしい。  
カメラの前には手ぬぐいを掛けたおじさんや  
赤ちゃんを負ぶったおばさんらが壷や大根やアルバムなどを持ち寄って自慢していた。  
・・・なるほどこういうものなのか。  
 
  《では今日の大賞は3番のお母様方が持ってきて下さったこちらの木彫りの人形に決定しました!  
   えーお母さんにはこちらの番組特製ど○も君人形をプレゼントします》  
 
出た!N○Kの板こんにゃくお化け!  
 
 「キョンくんあれ欲しいー」  
 「無理だと思うぞ、だってあれあのコーナーに出てしかも一番にならなきゃいかんのだろ  
  そもそも中継がこの街に来ること自体」  
 
  《えー明日のお宝中継は北口駅前商店街にお邪魔します、では以上中継でしたー》  
 
・・・来た。  
 
 「キョンくんキョンくん北口駅に来るよーキョンくん人形欲しいー」  
 「幾ら中継来たって無理なものは無理なの!良い子だから諦めなさい」  
 「つまんなーい」  
             
 
 
 
部屋に上がった俺は部室での出来事を思い出していた。  
 
 「・・・俺とハルヒは両想いなの、か」  
 
でもまあ超能力者が言うんだからこれは間違いないんだろう。  
 
 「ハルヒも俺に告白したいのかな」  
 
実際俺自身何度もハルヒに告白しようとした。何枚も手紙を書きかけては丸めて捨てた。  
しかし宇宙人未来人超能力者をこよなく愛する"あの"変わり者のハルヒだ。  
一般人の並の告白では受け入れてもらえないだろう。でもまあ向こうも俺の事を好きなのなら関係ないか。  
 
―――もう一回手紙を書くか。  
・・・しかしどうも俺は手紙を書く気にはなれなかった。  
 
 その時俺はさっきの番組を思い出した。  
 
 「そういや明日駅前の商店街に中継が来るって言ってたな・・・ ―――そうだ!!」  
 
 
その時点と点は線でつながった。  
 
 ━━━━━━━  
 
翌日の放課後。  
 
 「ああキョン、今日SOS団休み、もうみくるちゃん達には言ってあるから」  
 「そうか、分かった」  
 
俺はハルヒに言う。  
 
 「・・・なあハルヒ、今日この後用事あるか」  
 「用事・・・? 無いわよ、ってかキョンからあたしに話し掛けるなんて珍しいじゃない」  
 「ああ、そうだな」  
 「で、用事無かったらどうなるのあたし」  
 「ちょっと一緒に来て欲しい所がある」  
 「何よ、山の中にでも連れ込んで変な事でもする気?」  
 「心配するな、そんな人の少ないところには行かない、むしろ人が大勢居るところだ」  
 「じゃあどこなのよ、言いなさい」  
 「北口駅前の商店街だ」  
 「・・・分かった、ついていってあげる、感謝しなさいよ」  
 「ああ、大いに感謝する」  
 
 ◇  
 
俺とハルヒが商店街に向かうと既に局の中継車が到着して中継の準備を行っていた。  
 
 「あらテレビの生中継!?   
  まさかキョン一人でテレビに映るの恥ずかしいからあたしを連れてきたってわけ? ・・・じゃあたし帰r」  
 「違う!断じてそんな理由じゃない」  
 「じゃあ何なのよ!」  
 「良いだろ、とにかく来てくれ」  
 「あ、ちょっと、キョン引っ張らないでよキョン!コラー!!」  
 
俺は嫌がるハルヒを何とかなだめて中継車の所へ向かった。  
そこで中継に出たい人の受付をやっているのだ。  
先着順で4組までと言う事だったが俺達は何とかその4組目に滑り込むことが出来た。  
 
 「へえ、『お宝中継』ね、  
  でキョンはどんなお宝持ってきたのよ、見せなさい」  
 「別に今見せなくったって良いだろ、その時が来りゃ見せるさ」  
 「良いじゃないの見せなさい」  
 「すまんハルヒ、今はどうしても見せられないんだ」  
 「・・・何よ、もうしょうがないわね分かったわよ」  
 
 ━━━━━━━  
 
 「後3分で中継来まーす」  
 
スタッフの声が響いた。  
既に周りには店の店主や通りがかりの人たちの輪が出来ていた。  
ちなみにこの番組はこの地方は全域で流れているらしく視聴率はそこそこ高いらしい。  
 
俺は心なしか緊張してきた。  
 
 「キョン大丈夫?」  
 「ああ大丈夫だ」  
 
  [ 料理コーナー終了まで後15秒 ]  
 
スタッフのスケッチブックが捲られた。ちなみに料理コーナーとはこの中継の直前のコーナーである。  
 
 「すぅーー はぁーーー すぅーーーー」  
 「・・・もうキョン、なんであたしまで緊張しなくちゃいけないのよ・・・」  
 
 
 
 
 「料理コーナー終了、スタジオからこちらに中継来まーす」  
 
 
 
 
  《はい、松茸の天ぷら美味しかったですね、  
   では次はお宝中継、略して『おたチュー』のコーナーです》  
 
・・・俺は思わずコケそうになった。そんなふざけた名前が付いてたのか。  
 
  《今日は北口駅の駅前商店街からです、呼んでみましょう、谷川さーん》  
  「・・・はい、こちら北口駅前商店街です、今日は私達の周りこーんなに人が集まってくれています」  
 
野次馬が歓声を上げる。  
 
  「そして今日お宝を持って集まってくれたのはこちらの4組でーす」  
 
俺達に最新鋭であろう真新しいハイビジョンカメラが向けられた。  
この瞬間この地方のお茶の間に俺とハルヒのハイビジョン撮影の高画質の映像が流れている事であろう。  
 
 
   「では早速紹介していきましょう、まずはこちらのお父様です、  
   お父様はこの商店街で魚屋を営まれているとかで」    
   「は、はいそうです、はい」  
 
俺以上にかなり緊張しているようだ。ちなみに俺達の出番は受け付け順に4番目、つまり最後だ。  
 
   「そしてお父様のお宝はなんでしょうか?」  
   「ええ、この赤ちゃんです、2ヶ月前に生まれたばかりなんですよ」  
   《可愛い赤ちゃんですねー、すやすや寝てますね、あっ?起こしちゃったかな》  
    
俺以外にも人間を出してくる所があったか。  
 
  「何か言った? キョン」  
  「いーや何にも」  
 
   「えー可愛いまさに『子宝』でしたね、次はこちらのお母様です  
    お母様は今日はどんなお宝を持ってきてくれたのでしょうか」  
   「はい、梅の盆栽です、今は花つけてませんけどね、ウフフ」  
   「この盆栽には何か思い出とかでも」  
   「ええ、去年亡くなったおじいちゃんが大事に育ててたんですよ、今は私が仕事の間に大事に育ててます  
    天国のおじいちゃーん!見てるー!?」  
 
泣き落とし作戦か。・・・ってかハルヒも涙目だし!!  
 
   「ええ、感動できるお宝でしたね、次はこの男の子です、ボクは何を持ってきてくれたのかな」  
   「このサッカーボール!」  
   「サッカーボールかー、結構使い込まれてるね、あ、誰かのサインが入ってる」  
   「大黒選手のサイン」  
   「すごーい!大黒選手のサイン、どうやって貰ったの!?」  
   「この前の公開練習のときにもらったの」  
   「凄いねぇー、えー、まあ日本代表は残念な結果に終わっちゃいましたけどこれからも頑張って欲しいです」  
   《そうですね、あと代表監督の後任人事も気になるところですがね》  
 
 「キョン私達の番よ」  
 「そうだな」  
 
   「では最後はこちらのお兄さんにお姉さんです」  
   「「こんにちは」」  
   「こんにちは、今時珍しい礼儀のいい二人ですね、  
    お二人は私達スタッフにも事前にお宝の内容を公開して下さらなかったのですが、  
    今日はどんなお宝を持ってきて下さったのでしょうか」  
   「あのねオジサン、キョンってばあたしにも教えてくれないのよ『お宝』の内容」  
   「なるほど、付き添いにも教えてないと言うお宝とは、一体何でしょうか、ではどうぞ!!」  
 
   「ハルヒ」  
   「・・・何よキョン、早く見せなさいよ、そのお宝」  
   「そこにある」  
   「どこよ」  
   「俺の目の前」  
   「キョンの目の前・・・? ・・・・・・って!!?」  
   「ハルヒ、お前は俺を愛してる、ずっと愛してきた」  
   「ちょっと何言い出すのよバカキョン!これテレビで生中継なのよ!」  
   「ああそうだ、つまり俺のお宝はお前、ハルヒだと言いたいんだ」  
   「ちょ・・・ ちょっと・・・ そんな・・・ そんなの・・・・・・!!」  
 
リポーターも中継クルーもモニターの中のキャスターも野次馬もキョトンとしている。・・・が、俺は続ける。  
 
   「思えば今年の春、俺はお前に強制的にSOS団に入らされて」  
   「バ、バカ!テレビの前で言わないで、あたしの品位を下げるような事!」  
   「その頃は俺はお前を迷惑な存在としか見ていなかった、長門はその場に居ただけで部員にされたわ  
    朝比奈さんを無理やり部室に連れて来てはとんでもないコスプレばっかりさせるわ  
    ・・・ああ古泉は別だ、やめとこう、  
    しかしお前と一緒にいるうちにいつの間にかお前の事が頭から離れなくなってな、もちろん良い意味でだ」  
   「キョン・・・」  
   「そうそう改めて言う、この前の文化祭のライブとても凄かったぞ、シビれた」  
   「あ、アレは・・・」  
   「自信持てハルヒ、お前はちょっと強引過ぎるだけで本当はとても優しい人間なんだ、  
    しかも何やらせても上手いときた、ハルヒみたいなマルチな凄い人間はこの世のどこを探してもいない  
    ・・・俺が断言する」  
   「キョン・・・ あたしも・・・」  
   「だから俺みたいな平凡な特にとりえもない人間がお前なんかに告白しても良いのかとさえ思った、  
    他にもまあ色々理由はあるがその所為で俺は今までお前に告白できなかった、  
    でも今日は言わせてもらう、もうさっき言っちまったがな  
 
 
    俺はハルヒが好きだ!! お前は俺の一番の宝だ!!」  
   「あたしも!! あたしの一番の宝はキョンよ!! あたしも愛してるのキョンの事!!」  
   「ハ、ハルヒ・・・!」  
 
商店街のアーケードにハルヒの大声が反響した。その声は商店街の雑音を一気に消し去った。  
 
   《ええ・・・ なんかそっちは凄い展開になってますね・・・ お宝中継始まって以来と言って良いでしょうか・・・?》  
   《良いと思います・・・ 中継の谷川さん!》  
   「はい!ええと・・・、よろしいでしょうかお二人さn」  
   「待って!!」  
   「はい待ちます!!」  
 
   「ごめんねキョン・・・ この所ほとんどあたし達会話してなかったよね、  
    あたしも、キョンの事見る度に胸が締め付けられる感じで・・・ だからさっさと告白しようと思ってたの、  
    でも出来なかった・・・  
    そしたら今日さっきアンタがあたしをここへ誘ってくれて・・・   
    その時にあたし言っちゃったわよね、  
    『キョン一人でテレビに映るの恥ずかしいからあたしを連れてきた、あたし帰る』って・・・  
    そんな事口走ったあたしが情けないわ、  
 
    ・・・・・・あたしもキョンの事が好きだった・・・  
      
    もう一度言うわよ、  
 
 
        あたしの一番のお宝はキョン!!こいつよー!!! あたしはキョンを誰より愛してるのーー!!  
        テレビの前の皆さーん!! こいつはあたしの彼氏なのよー!!」  
   「俺も愛してる!ハルヒ!」  
   「キョン!愛してる!!」  
 
   「・・・ええー、よろしいでしょうかお二人さん」  
   「「は、はい」」  
 
ようやく現実世界に引き戻された。  
 
   「・・・こうして二人は見事結ばれました・・・ と、  
    では以上4組のお宝を紹介し終えました、スタジオの皆さん判定お願いします」  
   《はい、ではええと・・・  
    ――1番から3番のお宝って何でしたっけ》  
   《1番赤ちゃん、2番おじいちゃんの形見の梅盆栽、3番大黒選手のサッカーボール》  
   《ああそうでした、・・・でも4番の印象があまりにも凄すぎて正直》  
   《私もです》  
   《まさかこのコーナーを告白の場に使うなんて・・・ その発想にびっくりです》  
   《俺のお宝は彼女ですーなんてなかなか言えませんよ、しかも公共の電波で》  
   《そういう意味ではこの男の子にはガッツがありますね、  
    では世の中のなかなか相手に告白できない男女へのエールという意味もこめて》  
   《もう4番で良いですね、はい》  
   《では全会一致で4番で!!》  
   「はい!!決定しました4番です!  
    今日の大賞は4番の先ほどカップルになったばかりのお二人に贈られます!!」  
 
パンパカパーンと言うトランペットの音楽がなった後にくす球の紙吹雪が降ってきた。  
 
   「おめでとうございます、ではお二人にはこちらのど○も君人形を差し上げます」  
   「「有難うございます」」  
   「はい、では観客の皆さん、見事結ばれたこのお二人に盛大な拍手を!!」  
 
商店街のアーケードに新幹線のガード下並みのうるさい拍手音がこだました。  
 
   「では以上北口駅前商店街から中継でした!!   ・・・あとで僕も好きな女の子に告白しよ」  
 
 
 「でもキョンもバカよ大バカよ」  
 「スマンかった、恥ずかしい思いさせて」  
 「・・・でもまあ良いわ、これであたしとキョンはこの地方全域で公認のカップルなんだから」  
 「でもこの後数日間は覚悟しておいた方が良いな」  
 「そうね、  
  でも恥ずかしい事じゃないじゃない別に」  
 「そうだなハルヒ」  
 
俺とハルヒはアーケードの真ん中で熱い口付けを交わした。  
 
 
 
その後俺とハルヒがどうなったか。  
まあ容易に想像できる事ではあるが、翌朝、教室の俺とハルヒの机が向かい合ってくっつけられ、  
黒板には『ハルヒ|キョン』の馬鹿でかい相合傘が書かれ、更に谷口と国木田の野郎には散々冷やかされた。  
そしてそのバカ谷口がスポーツ新聞を持ってきたのだが、  
そこには『公共放送の夕方ワイド中継コーナーでバカップル電撃告白!!』という見出しが躍っていた。  
それによるとその後局にはこの件に関して数百数千という電話が殺到し回線がパンクしたらしい。  
俺達は見ていなかったが昨日の番組の後でお詫び放送まで流されたという。  
 
また記念品のど○も君人形だがあの後番組を見ていた妹にあっさり取られてしまった。  
折角俺とハルヒの愛の証にとっておこうと思ったんだがな。まあ欲しがってたんだから良いか。  
 
 
 
放課後2人で手をつないで部室へ行くと古泉と朝比奈さんと長門が昨日の中継コーナーの録画DVDを見ていた。  
 
 「おめでとうございます」  
 「おめでとうございます!」  
 「おめでとう」  
 
すまん、某何とかゲリオンのネタはやめてくれないか。   
 
何かむかついたので3人に抱擁ディープキスシーンを見せ付けてやった。      【終】  
 
 

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