俺が宇宙人やら未来人やら、はたまた超能力者が、  
この世に存在するはずがないと思っていたのは、  
もう遠い昔のような気がする今日この頃。  
 
 今やものすごく身近にそういう存在がいるのだから、  
信じざるを得ない。  
もちろん、俺だって本当は平凡な日常を楽しみたい  
一般男子高校生なわけで、そんなの信じたくはないっつーのが本当のところ。  
 
 しかし、そんな少しの望みというか願望というか、  
どちらでもいいがそうであってほしいという考えを  
ぶち壊すやろうがまた現れた。  
 
 俺がいつもどおり教室に入り、  
今日も勉学にいそしもうかと準備しようとしたところ、  
教室にものすごい勢いで駆け込んできた女に、  
一気に廊下まで引きずり戻された。  
 相変わらずの馬鹿力と勢いだなと感心しつつ、  
俺はまず聞いてみた。  
「今度は何だ、ハルヒ」  
 
 この女、涼宮ハルヒが朝からこういうテンションだと、  
必ず俺が疲れる。そういう流れになっている。  
「聞いてよキョン!また来たのよ、なぞの転校生が!」  
 こいつは部室で見せる満面スマイルを、今日は珍しく朝から見せている。  
しかし、先ほども言ったように、こいつがテンション高いと俺がつかれ、  
そしてこいつがこういう表情を見せても疲れる。  
方程式のような状態である。  
 
 ところで、話を戻してやろう。  
「今回はどの辺がなぞなんだ?」  
俺の疑問に対して、ハルヒは猛烈な勢いで回答する。  
「もう謎も謎よ!出身地、年齢、体重、身長、国籍、  
どこの高校か来たかとか、すべてが分からないんだって。  
どう思う?」  
 相変わらずお前の頭がおかしいと思う。  
「国籍はともかく、年は分かるだろ。15か16なんだろ?」  
「そうとも限らないわ。もしかしたら、年齢を偽っているのかも。」  
 どこぞのスパイじゃあるまいし、なぜ年齢を詐称する必要がある。  
「だから国籍不明なんじゃない。」  
 それはお前が勝手に考えたんだろ、ハルヒ。  
 
 そうこうしているうちにチャイムがなり、俺は急いで教室に戻り、  
準備をした。  
 ハルヒのやつ、自分はしっかり準備し終わってやがる。  
俺にもそれくらいの時間をくれ。5分とは言わん。3分でいい。  
 
 いつものようにホームルームが始まり、授業が始まるのかと思いきや、  
担任の岡部がこういった。  
「今日は転校生を紹介する」と。  
そうか、このクラスに転入か。ハルヒはそこらへん何も言わなかったからな。  
などと思えなかった。  
 
 クラス全員(ハルヒを除く)が耳を疑った。突然すぎる。  
昨日まではそんな前振りなんてまるでなかった。  
しかし、俺はこれに似た、よく似た感じを覚えている。  
 
朝倉涼子の転校  
 
 俺の脳裏にあの恐怖がよみがえる。  
できれば二度とあんな思いしたくない。思い出したくもない。  
あんな俺に命の危険が伴うような体験はごめんだ。  
 まあしかし、必ずしもそうとは言えん。そう思いたい。  
そんな俺の考えなど知らず、転校生は入ってきた。  
 
 男だった。体つきは非常にしっかりしており、がっちりとしている。  
顔はどこにでもいそうなやつで、髪は短め。  
しかし一番気になったのは目だった。  
 まるで、死人がよみがえったかのように、目は死んでいた。  
「伊藤徹です。よろしく」  
その男はそういった。  
 
 
 徹の席は、ハルヒの席の後ろになった。  
何だってこいつの後ろにするか分からないが、  
ハルヒにとっては好都合だろう。まあ彼にとっては災難だがな。  
 
 一限目の終わりの号令とともにハルヒは後ろを振り向いた。  
そして伊藤の顔をまじまじと見つめている。  
ハルヒ、伊藤は珍しいか?  
「・・・・・・・」  
ハルヒが見つめてるのに気づいた伊藤は、ハルヒを見つめ返す。  
そのとき、伊藤は微かに生き生きしているように見えた。  
「・・・・・・・・・」  
 長い沈黙が訪れた、かのように見えた。  
二人の間は時が止まっているのかと思えるほど静かだった。  
 そしていきなり、ハルヒはこう叫んだ。  
「決めたわ!」  
何を。  
「あなた、SOS団に入りなさい」  
・・・・・なんだって?  
「ああ、かまわない。」  
「ちょ、ちょっと待て!」  
俺は止めに入った。  
ハルヒが入団させるなんてこと、古泉以来なので驚いた。  
まあこいつにとってはなぞの転校生なんだろうけどさ。  
伊藤よ、そう簡単にOK出すのはどうかと思うぞ。  
「伊藤、お前SOS団が何をする団か知っているのか?」  
「知らん。だが面白そうだ」  
興味本位で入ってはいけない。取り返しがつかなくなる。  
「俺が決めたことだ。二言はない」  
あーあ。だめだな、こりゃ。  
「じゃあ決まり!放課後部室棟、SOS団本部へ来なさい」  
「ああ、分かった」  
 結局俺の忠告は無視され、めでたく伊藤はSOS団の団員となった。  
俺は知らんぞ。  
 
 
 放課後、伊藤はハルヒより先に教室を出た。  
俺はハルヒを呼び止め、聞いてみた。  
「何で入団させたんだ?」  
「わからないの?」  
ああ、さっぱり分からん。  
「彼、伊藤君だっけか。他の人と違うような気がしたの」  
「どのようにだ」  
「そうねぇ、うまく話せないけど、彼は必ず何かあるわ」  
「その必ずを信用しろというのか」  
だが、俺の最後の言葉は聞き流され、ハルヒは部室棟へと駆けていった。  
俺は仕方なくハルヒの後を追った。  
 
 部室に入ると、いつもどおり朝比奈さんがメイド姿でお茶を入れていた。  
長門は読書中。古泉は一人オセロをしていた。  
だが彼、伊藤の姿はなかった。  
「何で来てないのよ!」  
ハルヒのイライラ声。  
「迷ったんじゃないか?今日来たばかりなんだろ?」  
「こんなことなら腕引っ張って、  
いや、首根っこ捕まえてでも一緒に行くべきだったわね」  
来たくなくなるのではないだろうか。  
「あの・・・何のお話ですか?」  
朝比奈さんが首を傾げる。  
俺は自分専用パイプイスへと行き、腰をおろした。  
「今日転校生がうちのクラスへ来たんですよ。  
そいつがこの団に入ることになって、どうやら校内で迷ったようで」  
「有希や古泉君は何か見てない?」  
「何も」  
と長門。  
「僕もそのような方は見ていませんが」  
古泉も続く。  
「そう・・・・・」  
不機嫌そうなハルヒ。まあすぐ直るだろう。  
 
 
コンコン  
突然ノックする音が聞こえ、  
「おーい、お客だよ〜。入っていいかい?」  
 と大声が聞こえる。声の主は鶴屋さんらしい。  
「キョン、開けなさい」  
 命令口調で言われ、少々気に入らんが仕方なくドアを開けた。  
そこにはやはり鶴屋さんがいて、隣には伊藤がいた。  
どうやら校内で迷っていたところを鶴屋さんに保護されたらしい。  
「じゃ、迷子ちゃんは届けたし、あたしは帰るから。」  
「あの・・・・・」  
 伊藤が呼び止める。  
「ん、なんにょろ?」  
「・・・ありがとうございました」  
「ああ、いいのいいの。これくらいなんでもないっさ。じゃ、またね〜」  
 そういうと、鶴屋さんは帰っていった。相変わらず明るい人だ。  
「・・・・・・・・にょろ?」  
 伊藤が微かに呟いた。  
 
「どこ行ってたのよ!」  
「・・・・・すまん。ついていけばよかった」  
 伊藤はハルヒの逆鱗を受け、しばしまいっている。  
朝比奈さんはハルヒの怒声に怯えつつ、伊藤に茶を渡す。  
長門は本から目を放さない。  
古泉はいつもの微笑みのまま、伊藤とハルヒのやりくりを眺めている。  
「彼がうわさの転校生ですか?」  
「ああ。伊藤徹というらしい」  
 俺が名前を口にした途端、古泉の表情が変わった。  
いや、古泉だけじゃない。朝比奈さんも、愕然としている。  
長門も、少しばかり驚いているようだ。ほんとに僅かだが。  
しかし、すぐに三人とも元の表情に戻った。戻したのだろうか?  
「おい、どうしたんだ?」  
「い、いえ。少し思い当たる名前でして。もしかしたら、彼が・・・・」  
古泉が動揺している。顔はいつものニヤケ面だが、声が少し震えている。  
こんな古泉ははじめて見る。いったいなんなんだ。  
「ふう」  
 ハルヒの怒鳴り声がしなくなった。説教終わりみたいだ。  
「次から気をつけなさいよ」  
「ああ。もう覚えたから間違えん」  
「あ〜、もう、イライラする!」  
 ハルヒは湯飲みのお茶を一気に飲み干し、  
「みくるちゃん、お茶」  
 と湯飲みを机にたたきつけた。ていうか、それは伊藤のお茶だろ。  
「いいのよこの際!」  
 まあ本人がいいのなら別に俺はなんとも言わん。  
「・・・・・いいか?」  
「なによ」  
「・・・・・だめか」  
「何も言ってないわよ。ほら、言ってみなさい」  
「わかった」  
 伊藤よ、もう少し自信を持って話したらどうだ?  
しかもさっきから点の数が多すぎる。長門でもそこまで多くない。  
いや、長門はもっと簡潔すぎるんだな。もう少し喋れ、長門。  
「ここは何をするところなんだ?メイドいるし、読書してるし、  
 微笑んでるし」  
 きたか、この質問が。朝比奈さんも古泉もしたこの質問。  
まあ確かに、傍から見れば俺たちは目的もなしにただ何気なくここに集まる  
涼宮ハルヒご一行様だ。  
 できればして欲しくないんだよなぁ、この質問。  
なぜなら、毎回ハルヒのぶっ飛んだ回答には呆れさせられ、うんざりするからだ。  
「そうね、あなたにも教えておかないといけないわ」  
ハルヒは立ち上がり、堂々と宣言した。  
「今一度言うわ。SOS団の活動内容、それは、  
 宇宙人や未来人、超能力者などを探し出して一緒に遊ぶことよ!」  
 などとは何だ、などとは。  
しかし、俺はこの発言で毎回世界のどこかで時間が止まってしまっているのでは  
ないのかと思ってしまう。  
 だが伊藤はもっと衝撃的な言葉を言い放つ。  
「それは都合が良かったな」  
「え?」  
 ハルヒが聞き返す。いや、俺も聞き返したい。  
なぜ都合がいいんだ?普通驚いたり呆れたりするだろ、こういうのは。  
だが、呆れない理由がすぐに分かった。  
 
「俺は異世界人だ」  
 
全世界は再び停止した。  
 
勿論、嘘である。が、そう思えたからしょうがない。  
俺はともかく、朝比奈さんは石化呪文でもかけられたかのごとく固まっている。  
古泉はもう微笑んでおらず、これまた朝比奈さんのような状態に。  
そしてあの長門でさえ、(ほんの少し)表情を変えて驚嘆していた。  
「・・・・・」  
 ハルヒも黙り込んでいる。そりゃそうだ。  
勢いで連れてきた男が、まさか本当にそんなファンタスティックなやつだとは思うまい。  
しかし実際は朝比奈さんも、長門も、古泉も、超非科学的な顔ぶれなんだが。  
「信じられないか・・・ま、当たり前だけどな」  
伊藤は一人話を続ける。  
「そりゃ確かに俺はこの世界の人間となんら変わりない姿をしている。  
 だがそれは単に同じような人間社会が成り立っているだけであって、  
 本当は違う部分があるか分からん。まあそんなことはどうでもいいが」  
 まったくだ。  
「この世界の人と違うところねぇ、そうだな。  
 俺は魔法が使える。妥当なところだろ?」  
 
「本当に?」  
 ハルヒが食いついた。  
こいつにとって伊藤は長年待ち続けた存在になるかもしれんからな。  
もうすでに近くにいて、気付かないだけでもあるのだが。  
「あなた、本当に異世界人?嘘じゃないのよね?」  
「ああ。俺は嘘は滅多につかん。それと、俺は徹だ。  
 名前で呼んでくれ」  
「・・・あなたみたいな人を待っていたのよ!」  
 ハルヒは今までで一番嬉しそうな顔をしている。  
そうかー、ついに見つかったかー。おめでとうハルヒ。  
ここは素直に称えてやる。俺の負担も軽減するからな。  
しかしな、伊藤が本当にそうだとは限らんぞ。  
「だから名前で呼んでくれ」  
 そうか。じゃあ徹。  
早速魔法とやらを見せてくれ。いんちきくさいマジックはだめだ。  
「そうね、ぜひ見たいわ!」  
 ハルヒは非常に興奮している。横で朝比奈さんが少しビクついている。  
「そうだな・・・・」  
さあどうする徹。お前がもし嘘800であんなこと言っていたら、明日にはさめの餌だ。いや、今日中かもな。  
「今は何月だ?」  
「ん?」  
 何を言う。今は7月、夏真っ盛りだ。確かめる必要はない。  
「プールの水をすべて氷に変える」  
「・・・・もしできるとしても迷惑だからやめろ」  
「大気を急激に、しかも限られた範囲で変えるのは危険」  
 長門も反論。珍しい。  
「それより、分かりやすい何か身近なものでお願いします」  
「そ、それがいいですね」  
 古泉や朝比奈さんも。何かあせっているのか?  
「そうか・・・・じゃあ、何かリクエストでも」  
 リクエストだそうだ、ハルヒ。  
「そうね、じゃ、みくるちゃんの服を手を使わずに脱がしてみて」  
「ひぇっ!?」  
 おい待て、なぜそうなる。  
お前は朝比奈さんを実験台に使うつもりか?それは断じて許せん。  
見ろ、今にも泣きそうになっている朝比奈さんを。  
「・・・・・・・・」  
 恐怖で声も出なくなったではないか!  
「止めておこう。彼女がトラウマにでもなったら大変だ」  
「そう?残念」  
 よく止めた徹。あー良かった。  
少し残念な気もするが、朝比奈さんが泣き止んだからいい。  
「それに」  
まだ何か?  
「俺はエロが苦手だ。好きでもない」  
 
 結局この日はそこで終了。全員帰宅となった。  
しかしハルヒは徹のマジックが見たいからと無理やり家へ徹を連れて帰った。  
徹いわく、  
「家が無いからちょうどいい」  
らしい。住み込む気か?太い野郎だ。  
俺はハルヒと徹が行った後、古泉に聞いてみた。  
「おい、徹のことだが」  
「あなたもさすがに、大体のことには気付いているでしょう」  
 今はあわてる様子も無い。いつもの落ち着いた様子で話している。  
それもまたむかつくのだが。  
「彼は恐ろしい存在なのです。まさかこの世界へ来てしまうとは。  
 いえ、おそらく今回も涼宮さんでしょうけど」  
 またハルヒか、いい加減聞き飽きた。  
「どういうことだ」  
「それはまた明日、彼も交えて話しましょう。  
 彼はこの世界については何も知らないようなので」  
 それだけ言うと古泉は帰っていった。  
いったい徹が何だというんだ。そう思いながら、ふとプールに目を向けた。  
 
プールの水はすべて氷になっていた。  
 
 次の日、ハルヒは珍しく・・・・・最近珍しいことばかりだが。  
まあとにかく、ハルヒはとても上機嫌だった。  
「もう徹ったらすごいのよ!私がやってっていったこと全部やってくれたの」  
 それはどんな召し使いだ。  
「違うわよ。たとえばボールを浮かせたり、見たものを石にしたり、  
 手から鳩を出したり、もうすごいのよ!」  
それは良い手品師だな。それともメデゥーサか?  
いや、あれは目を合わせたものを石にするんだったな。  
 などと考えながら、俺はハルヒの話を半分以上聞き流していた。  
徹を見てみると、なぜか昨日より目が生き生きしているように思えた。  
間違いない。長門の反応を見分けるのに比べたら、楽なものだ。  
 
 放課後ハルヒがいなくなったときに、俺は徹を呼び止めた。  
古泉が俺に呼び止めておくように言っていたからな。  
古泉の頼みなんてあまり聞きたくは無いが、まあいいだろう。  
なかなかに偉そうだな、俺。  
古泉はちょうど教室の外で待っていた。ウインクするな、気持ち悪い。  
 
 俺たちは以前古泉と俺が話した屋外テーブルへと席を移した。さて。  
「古泉、何を話すんだ?」  
「そうですね、まあ、彼の出身を確かめるといったところでしょうか」  
 なら部室で話してもいいと思うのだが。  
「念のためですよ。さて、伊藤さん、あなたは」  
「ちょっと待て」  
 古泉の言葉を区切る徹。  
「何を聞きたいか大体分かるが、なぜ聞く?  
 俺のことを知っているなら、確かめる必要はない」  
「やはりあなたが、最強の魔術師でしたか」  
 また分からないワードだ。最強の魔術師?なんだそりゃ。  
どこかの勇者ご一行の連れか?  
「われわれ『機関』の人間は、あなたを危険視する考えが強いのですよ」  
「『機関』?なんだそりゃ」  
「そうですか。やはりあなたはわれわれについて、  
 そして長門さんや朝比奈さんについても、分かりませんか」  
「いったい何の話だ?」  
 そうだ。俺にも分かるように説明しろ。  
第一、何で俺まで呼んだ?嫌がらせか?  
 古泉は少し微笑み、その後長門や朝比奈さん、そして古泉自身のことを話した。  
それとこの世界がハルヒ中心に動いているということ。  
あー、いつ聞いてもややこしいうえにさっぱり分からん。分かりたくもない。  
 しかし徹は分かったようで、  
「馬鹿な・・・宇宙人に未来人、超能力者だと・・・」  
 いや、お前も同じようなものなんだろ。  
「異世界から来た俺はともかく、三人は似ていた。いや、ほぼそのままだ。  
 だから分からなかったのか」  
 何がだ。頼むから分かりやすく言ってくれ。  
「話すと長いし、とまらんので話さない」  
「それがいいですね。時間は限られていますし。  
 そろそろ涼宮さんが僕たちを探し始める頃でしょう」  
 古泉は話しながら時計を見る。俺もつられる。  
大体話し始めて15分くらいか。俺は何にもしてないけどな。  
確かにハルヒなら我慢の限界に近くなっているはず。  
さっさと戻らないと後が面倒になりそうである。  
 
「古泉、話は終わったのか?」  
「ええ。もともと少し確認できればよかっただけなので。  
 彼がどのような人間か」  
古泉は徹を見て微笑む。  
「少なくとも敵ではありませんね。勿論味方でも。  
 でも、少し安心しました。あなたは強大な力を持つ以外、  
 我々ただの人間と変わりない」  
 お前は違うと思うが。それより、強大な力?  
「だから説明すると時間がかかる。面倒だ」  
 徹はゆっくりと立ち上がり、それに応じてゆったり話す。  
「いずれ分かるかもな。分からないほうがいいのだが」  
 そう言って徹は校舎へと戻っていった。部室棟へと戻るらしい。  
俺たちもさっさと戻ることにした。  
ハルヒに何かしら言われるだろうし、適当に説明しないといかん。  
 
 予想通り、ハルヒは俺たちがどこへ行っていたかを聞いた。  
ただ、なぜか俺一人にだ。  
こいつにとって責任があるのは俺一人なのか?  
 その日はたいした活動もせずに終了。まあいつものことだ。  
ハルヒはまた徹を連れて帰るらしい。やつは帰り際に、  
「キョン、何か用事があるならちゃんと団長の私に断ってからにしなさい。  
 私がいいと言ったらいい。だめなら引き戻すから。  
 それくらい幼稚園児でもできるわよ」  
 と言う。  
お前に言うとほぼすべてが引き戻しだろ。それこそ赤ん坊にだって分かる。  
「いい?分かったわね、キョン?」  
 はいはいわかりました。  
 それだけ言うとハルヒは、徹の腕をもぎ取るような勢いで引っ張っていった。  
徹は何も言わず、ただ引かれていった。  
 
 

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