「ガチャリ」と誰もいない部屋に音が響く。
かばんを置き本を取り、本を読む。
時間が経ち日が落ちて暗くなった部屋に聞こえる…いや、私の中から聞こえる
情報結合を解除し、もういないはずの彼女の声が…
「キョン君のこと好きなんでしょ?わかってるくせに…」
本を閉じ、台所に向かう。コンロに火を付けカレーを温める。
いつものメモリエラーだ。今日も自己判断モードに入らないと…ここのところ毎日だ。
あの夏以来、ずっとこんなエラーが続いている。自己診断しても削除できない修復できなかった。
彼には聞き取れていなかったが、彼女のあの言葉はいまの私に深刻な負荷となっている。
カレーを盛り付け、居間のテーブルに座り、黙々とカレーを空にした。
本来、睡眠は必要としないが自己判断モードに入る際、一種の睡眠状態に入らなければならない。
布団を広げ、制服を脱ぎ下着姿の状態のまま布団に入る。
読書予定の本のリストを整理しながら…
彼女は目を閉じた。