いつもと変わらない風景−−ハルヒが後ろの席で不機嫌そうな顔して座ってて、谷口がバカな冗談を言い、国木田がそれに合わせて受ける。  
と、谷口が思い出したように  
「そうだキョン、知ってるか?今日の朝礼は新任の先生の紹介があるらしいぞ」  
 
「新任?こんな時期にか?」  
 
「ああ。なんでも、英語の内藤が産休で今年いっぱいだめらしい。その代わりなんだとさ」  
 
「どんな先生なの?」  
 
「さあな、そこまでは俺も知らんさ」  
 
と、そこで担任の岡部が「朝礼のために体育館に並ぶように」と皆に声をかけにきたので、俺達はそれにしたがって体育館に移動した  
 
体育館に移動し、朝礼が始まり、舞台に上がるなり校長は  
 
「あー、みなさんに紹介します。英語の内藤先生が産休でお休みすることになりましたので、代わりにこちらの……」  
 
そこで校長は区切って舞台の裾を見遣った。  
と、舞台の裾から出てきた人物に男子連中(特に谷口)から歓声があがった。  
なんでかって?そりゃあ……  
 
「『砂堂(さとう)霧花(きりか)』先生をお呼びすることになりました。それでは砂堂先生、ご挨拶を…」  
 
その人が若い女−−しかも遠目からわかるほどの美人−−だったら、どんな男でも興奮するだろうさ。俺?まぁ声あげるほどじゃないくらいには。  
砂堂と呼ばれた年若い女教師は、壇から退いた校長の傍らに立ち、会釈をすると壇に立った。  
 
「今日からこの学校で1年間、英語を教えることになります、砂堂霧花です」  
 
凜としていて、なお優しく響くその声でまた男子がざわめく。  
 
「短いかもしれませんが、みなさんと仲良くすごしていけたらいいなと、思っています」  
 
挨拶を終え、砂堂先生は校長に会釈をして舞台から降りた。  
 
そのあとは校長のつまらん話や生活指導教師の説教じみた話が続き、解放されるのに30分もかかった。  
 
教室に戻ってくるなりハルヒは  
 
「キョン、あの女教師、絶対怪しいわ」  
 
いい加減慣れたが、コイツはいきなり来た人物には疑いしか持たないのか?  
 
「きっと内藤もあの女にやられたんだわ。間違いない」  
 
あー、もう勝手に言っといてくれ。  
俺は授業が始まるまでハルヒに生返事をし続けたが、ハルヒはそこを言及してこなかった。よっぽどヒマだったんだろう。  
 
全ての授業が終わった瞬間ハルヒは教室を駆け出していった。  
あれか?こんどの団員は教師か?  
 
部室に行くと長門がいつも通り本を読んでいた。  
 
「よぅ」  
 
なにともなしに挨拶する。  
と−−  
 
「ん……ぅん……」  
 
俺はまた何かハルヒがやらかしたんじゃないかと思ったね。  
あの長門が−−挨拶する程度なら視線しか寄越さない、宇宙人製アンドロイドが−−俺の挨拶に返事を返したのだ。  
そりゃ長門だってそんなときはあるだろう。  
だけど俺が言いたいのはそこじゃない。  
それは長門の返事の仕方。  
 
どこか落ち着きなくて、そわそわしている。  
現に本を読んでいても、ぱら……ぱら……と、ページをめくる音をさせている。  
だってそうだろ?いつもなら長門は、ページをめくる音さえ、ほとんどさせないんだ。  
それに、ちゃんと読んでるかわからないほど速くページをめくっている。  
 
「なぁ、長門」  
 
俺が声をかけると  
 
びくっ  
 
肩を大きく震わせ、俺を見つめ返してきた。  
 
「どうした?調子悪いのか?」  
 
この問いにも、長門は  
 
「別に…そういうわけでは…ない」  
 
視線をあちこちに彷徨わせ、かつこちらを見ずに返す。  
 
なんだ?何が起きたんだ?  
しばらくの沈黙−−  
 
こんこんっ  
 
−−をノックの音がかき消した。  
誰だ?朝比奈さんか?  
それにしてはすぐに入ってこない。  
 
こんこん  
 
もう一度のノック。  
今度は間違いない。ドアの向こうには、この団の人間はいない。  
 
俺はドアノブに手をかけると、ゆっくりと、未知が待ち受けているだろう扉を開けた。  
 
「失礼。SOS団という同好会の部屋はここかしら?」  
 
俺は何回心底驚けばいいんだ?なんで新任の教師がいきなり−−しかもこの団の名前まで明確に言って−−こんなとこに来る?  
それにハルヒはどうした?アイツはこの先生捕まえに行ったんじゃないのか?  
 
「あ…えっと、そうです」  
 
疑問に思いつつも、相手が先生ということで俺も畏まってしまう。  
 
「ちょっと入っていいかしら?」  
 
「あ…はぁ…どうぞ」  
 
「ありがとう」  
 
ドアを押し開け、俺を退けて先生が入ってくる。  
タイトなドレススーツに身を包んだ姿はスラリと高く、俺とそう変わらない。  
 
髪はさらりと長く、目は切れ長だが、厳しさは感じられない。  
 
「…………」  
 
先生の向こうで長門がいつの間にか立っていた。  
本を閉じ、いつもの無表情に戻り、直立不動−−いわゆる気をつけ状態−−で立っている。  
 
「…ふふ」  
 
それを見た先生は不意に笑みをこぼした。  
なんだ?先生は長門に用なのか?  
 
「…会いたかったわぁ」  
 
会いたかった?なんだ、知り合いか?それともこの人もインターフェースか何かか?  
先生は机を周って長門の傍らに立ち、長門を自分の方に向けるといきなり  
 
ぎゅっ  
 
「っ?」  
 
熱い抱擁を俺にみせつけた。  
 
「うふふ…やっぱり貴女の抱き心地が一番いいわぁ…」  
 
だ…抱き心地?  
先生は長門の背中に回って抱きなおすと、長門ごと俺に向きなおった。  
 
「ふふ…ごめんなさい。この子を見たら、抑えが効かなくてね…」  
 
「いや…あの…」  
 
「キョンくん…私がなんだか…わかる?」  
 
先生が長門を後ろから抱いたまま俺に問う。ていうか俺は名乗った覚えはないんですが。それに先生まで俺をあだ名で呼ぶんですか?  
 
「何か…って…?」  
 
俺が疑問に疑問で返す。  
やっぱりこの人もインターフェースなんだろうか?  
 
「そう。この子からよく聞かない?この子の…もっとも上にいる上司…」  
 
「まさ……か」  
 
ウソだろ?  
 
「うふふふ…わかったみたいね…」  
 
先生の瞳が妖しく光る。  
 
「そう、私の本当の名前は…『情報統合思念体』」  
 
やっぱり…。  
でも、なんでだ?情報統合思念体は実体を持たないんじゃなかったのか?  
そんな俺の考えを見透かしたのか、先生は  
 
「私がこの体を持った理由…でしょう?」  
 
「……ええ」  
 
一体なんなんだ?  
俺が神妙な顔で答えを待っていると、先生は微笑みながら  
 
「娯楽よ」  
 
「……は?」  
 
今なんて言いました?先生。  
 
「お堅く見えるだろうけど、私だってこの世を楽しみたいわ。インターフェース達の話を聞いてると、とても興味が湧くもの」  
 
なんともあっけらかんに答えてくれましたが…。  
 
「それに、私の本体はちゃんと別にあるわ。これはあくまで私の意思を表出させるためのもの」  
 
そうですか。で、なんでわざわざ長門に会いに?  
 
「言ったでしょう?この体は娯楽用だって。ここに来たのは、一番のお気に入りの子と遊ぶため…」  
 
そう言うと先生は、長門の耳に「ふっ」と息を吹きかけた。  
 
「はっ……」  
 
俺は目と耳を疑ったね。  
長門が……息を吹きかけられて、無表情な顔を揺らしている。  
 
「どうしたの?有希、我慢しなくて…いいのよ?」  
 
先生はその姿を見てクスクスと笑っている。  
 
「…………」  
 
長門は先生を縋るような瞳で見ている。  
 
「…ああ、そっか…。そうね…」  
 
先生は長門の瞳から、何やら言いたいことを読み取ったらしい。  
 
「でも…」  
 
先生はいたずらっぽく笑うと  
 
「そんな顔されたら、いぢめたくなっちゃうわ」  
 
今度は長門の耳の裏をなぞるように、唇から僅かに舌を出して這わせる。  
 
「ひぁ……や……ぁ」  
 
目をつむり、必死に声が出ないように長門が耐えている。  
アンドロイドでも…感じるんだ…。  
って、そうじゃなくて!  
 
「ほら…キョンくんが見てるわよ…」  
 
先生は長門の耳もとで囁き、うなじや首すじに舌を這わせていく。  
後ろから抱かれているせいで、長門は抵抗することが出来ない。  
 
「はぅ…は……やぁ…見ない…で……」  
 
俺は動けなかった。  
いきなりの展開に着いていけないのか、「いけない」と思っても、俺の体はコンクリートの池に放り込まれて固められたみたいに動かなかった。  
 
「あら…もうこんなにしてるの?」  
 
先生の両手が長門の胸を制服越しに揉み、その双丘の頂点の部分を中指で刺激する。  
 
「にゃぁっ……はぅ…ぁ…ぁぁっ……はふ…はぁ…」  
 
あの長門が−−  
いつも無表情で読書人形のような長門が−−  
耳や首を愛撫され、胸を揉まれて、熱く悩ましい声を漏らしている。  
 
「ほら…こうすれば…」  
 
先生は僅かに動かしていた中指の位置に人差し指と親指をもってくると、二つの指でキュッと双丘の頂点を摘んだ。  
 
「あぅっ…くはっ…ぁ……らめ…きりか…しゃまぁ…」  
 
長門の声が快感で舌足らずになる。  
感じやすいんだ…。  
って、だからそうじゃねーだろ!  
そんな俺の葛藤を先生は露知らず  
 
「うふふ…それっ」  
 
更に長門の双丘の頂点を摘んだ指を擦り、同時に掌で双丘を揉みこんだ。  
 
「あっ…やっ…きりかしゃまっ…いっひゃうのぉっ…あっ…ふぁっ…あ…はぁぁぁぁぁっ〜〜〜〜〜…」  
 
背中を弓なりに反らし、声にならぬ声を長門はあげた。  
 
 
「はっ…はぁ…はぁ…はふ……ぅ…」  
「ふふ……」  
長門は達したショックで軽い失神状態になったらしい。  
それを見て先生は満足気に微笑む。  
と――  
ぱちんっ  
不意に先生が指を鳴らした。  
瞬間、俺の体が金縛りから解けたかのように動き出し、バランスを崩すまいと俺はタタラを踏んだ。  
「キョンくん、有希を…」  
はっ、そうだ、そうだよ!  
「長門っ」  
俺は先生に抱かれている長門に駆け寄ると、先生から受け取るような形で、長門の肩を抱えた――と同時に  
――ぱちんっ  
「あ?」  
また俺は動けなくなった。  
今度は長門の肩を抱いたままで。  
先生、何をしたんです?  
ていうかさっき俺が動けなかったのも先生が?  
「ふふ……」  
先生は微笑むだけだ。  
あるいはそれが答えの代わりなのかもしれない。  
「さ…有希……貴女の好きにしていいわ…」  
いつの間に失神状態から醒めたのか、長門が俺の顔を見上げていた。  
ちなみに俺は頭部だけが動くという、かなりどうしようもない状態である。  
「……………」  
長門は5秒間俺を漆黒の瞳で見つめたあと突然  
するするする  
そのままの体勢で、下へ下へ、どんどん下へ。  
そして俺の耳に届いたのは  
 
ぢぃぃ〜……  
誰でも必ず聞き覚えのあるだろう音。  
しかも俺のズボンのあたりから。  
「……は?」  
気付いたときには、もう長門は俺のナニを取り出していた。  
どこからって?そりゃもちろん「社会の窓」から。  
「って、ちょっ…!おい!長門!!」  
ここにきてようやく俺の思考回路が立ち直ってきた。  
長門の目の前には俺のイチモツ――お恥ずかしいことにさっきの長門の姿を見せつけられてビンビンになっている――が曝け出されている。  
長門はそれを両の手で握ると、ゆっくりと前後に動かし始めた。  
 
「う…く」  
もう一度言っておくが、まだ動かし始めたばかりだぞ?  
なのに俺の体は電気が走ったような感覚に襲われている。  
なんだこれ、ホントに俺の体か?  
長門はなおも俺のナニを攻め立てている。  
「な……なが…っく…」  
俺はなんとか長門を止めんと動こうとする。  
が、一向に全身は麻痺したように動かな――あれ?  
 
ぐぐ…  
おお、なんと腕が動くじゃないか。  
あれか?いわゆる俺の被害妄想とか、催眠術とかか?  
何はともあれまずは長門を…。  
ぐ……く…  
おい、なんだこれ、全然動かないぞ?  
いや、実際には動いているんだが、この動く量の少なさと言ったら――  
わしっ  
なんとか長門の頭を掴むことには成功。  
だがそこから力が入らない。  
なんだ、この中途半端なストロークは。  
俺が内心愚痴っていると、長門は頭を掴まれた―というより力が入ってないから触っているようなものだ―のをどうとったのか、いきなり  
「ん……」  
ちゅぅ  
「くっ……ぁ…」  
俺のナニに吸い付いてきた。  
そしてそのまま、その口中に俺の愚息が吸い込まれていく。  
「はむ…ん……ふ…」  
長門の口の中は暖かく濡れ、そこに入っているだけでも、俺の快楽中枢は焼き切れてしまいそうになる。  
「ながっ……ながとぉ…やめ……ぅあっ」  
長門の動きはぎこちなく、いかにも初めてしていますという感だ。  
まぁそんなこと関係なしに気持ちいいんだが。  
と、そこへ  
 
「有希……それじゃぁキョンくんが気持ちよくなれないわ…」  
長机に腰掛け、横から愉快そうに笑う先生の声。  
いや、十分気持ちいい、っていうか先生、何をおっしゃいますか。  
「性技のダウンロードを許可。さぁ、本気で彼を攻めてみなさい…」  
待て、今なんて言っ――  
「はも…んちゅる……れろ…ぬろ……」  
「ぐぁぁっ……くっ…あ」  
長門の動きが突然変わった。  
おそらくダウンロードとかいうのを完了したせ――  
「んむ…んむ…はふ…ぅ……」  
「待…おい……ながっ…このっ……ままじゃ…出ちまう……っく」  
情けないことに、長門の激しく急な攻めに、俺の体は素直な反応を見せてしまっていた。  
我ながら早――  
「んっんっ…ふむぅ…れろれろ……」  
 
ぐっ…ホントにこのままじゃもたない…。  
何か…何か打開策は――  
「むぐ…はむ…れる……」  
そうだ…腕が動くなら…。  
俺は長門の頭を掴んでいた右手を下へと伸ばした。  
ぽよん  
「はんっ……んっ…んみゅ…」  
やっとのことで長門の胸へと俺の手がたどり着く。  
俺は双丘の頂点で、ぴんっ、と勃った蕾を親指と人さし指の腹で摘み――  
きゅぅっ  
「んふぅぅぅうぅ!?」  
出る限りの力で思い切り抓った。  
「んむっ!んぅぅぅぅんんっ!!」  
長門の体が大きく、びくんっびくんっ、と跳ねる。  
だがそこで俺も限界を超えた。  
びゅくんっ、どくっ、どくんっ  
「くっ…ああぁ…」  
長門の口の中で俺が大きく跳ねる。  
しかし跳ねた反動で口から飛び出してしまい、長門の顔すらも俺の精が蹂躙する。  
「あ…はぁっ……はぁ…」  
恍惚とした表情を浮かべ、長門は俺を見上げたまま、その場にぺたんと座り込んだ。  
 
 

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