ある日突然のことだった。
私は学校へ行き、いつもの様にキョンに向かって叫んだ。
「おはよう!相変わらず朝から辛気臭い顔してるわね!」
キョンが私を見て嫌そうな顔をするのはいつものことだ。でも
「うっさいな。何親しげに話しかけてんだ?お前」
その日は、明らかにいつもと違っていた。
キョンは私に一切話しかけなくなった。
みくるちゃんは私を見ると露骨に嫌悪感を示すようになった。
有希は前と変わらない。でも、決して私と眼を合わせようとはしない。
古泉くんは私を存在しないかのように扱う。
何かが変わってしまった。
「ねえ、今日は宇宙人を探しに行くわよ!裏山に隕石が落ちたらしいのよ!」
「……」
「……」
「……」
「……」
「その…だから放課後皆で駅前に集合よ!分かった!?」
「……」
「あの、駅前に新しいカフェが出来たらしいんです。今から皆で行きませんか?」
「おー!さすが朝比奈さん!放課後行こうぜ!」
「そうですね。それじゃあ行きましょうか。あ、その前に大事なことを言うのを
忘れてました。涼宮さん。」
「え?」
「ついてこないで下さいね。非常に迷惑なので」
そう言い残して四人は私の横を通り抜け、賑やかに出て行った。
私は一人団長の椅子に座り腕章を手の中で弄ぶ。
休み時間、教室にいると突然国木田が皆で自己紹介をしようと言い出した。
「それじゃあ一番、涼宮から!前と同じようにやれよ!同じようにな」
「嫌よ…なんで私が」
「何だよ、空気読めねえ奴だな。冷めるっつの。なあキョン?」
「まったくだ。少しは周りのことも考えろよ」
キョン…
「いいわ、やればいいのね」
私は不機嫌そうに壇上に立つ。そして声を上げて言った。
「ただの人間には興味ありません。宇宙人、未来人、超能力がいたら…
「また言ってるよあいつ」
「きっと頭おかしいんだよ」
「ねえ、ちょっとうるさいから止めてよ!」
罵声が飛び交い一瞬言葉に詰まる。しかし回りはそれを許さない。
「なんだよ途中で止めんのかよ。興ざめだな」
「質問です!宇宙人がいたらどうするんですか?もう一度説明してくださーい」
私はいたたまれなくなって席に戻った。しかし戻ったとたんにキョンが言った。
「何で途中でやめんだよ。さっさと戻って続きやれよ」
「……嫌よ」
「何こいつ?冷める奴だな……いいからやれっての」
キョンは私を無理やり立たせ、教壇へ突き飛ばした。
「ねえ、邪魔ですよ」
気が付くとみくるちゃんが目の前にいた。みくるちゃんは私を押しのけキョンの
所へ向かっていった。
みくるちゃんは私の席に座り、キョンと楽しそうにお喋りをしていた。
私は席に戻ることも許されず、ただ教室の真ん中で立ち尽くしていた。
○月○日
今日も部室には誰も来ない。
私は今日も一人団長の椅子に座り空を眺めている。
つまらない
○月○日
部室に古泉くんとキョンが来た。置いてあったゲームを取ると
二人で話しながら出て行った。
「まだいるよ。馬鹿じゃねえの?」
「きっと他に居場所がないんですよ」
「友達とかいないのか?」
「あれで出来ると思います?」
「ああ、納得」
そんな話し声が聞こえた。
○月○日
キョンが谷口と持ってきたエロ本を読んでいる。
「あー、俺もヤってみてぇな…」
「でもそんな相手いねえだろ。まずは彼女作れよ」
「でもさ、そうそう可愛い子なんて……」
突然会話が止まった。つい見ると二人ともこちらを見ている。
いや、正確には私の胸を見ている。
嫌な感じだ。
○月○日
キョンが部室に来た。
嬉しかったが後ろに谷口達がいる事に気が付いた。
「でもこんなゴミ女じゃ勃たねえぞ」
「朝比奈さん想像して犯ればいいじゃん」
彼らが近寄って来た時、私はもう諦めていた。抵抗する気すら失せていた。