プロローグ
「いやーっ、こんなのイヤですぅー。」
「いいからサッサと着なさい! コレを着てまたビラ配りするわよ!」
ハルヒがなにやら紙袋を持って朝比奈さんに迫っている。
このやりとりでもうお分かりかと思うが、SOS団(文芸部)部室なわけである。
どうやらハルヒはまたビラ配りをしようとしているらしい。懲りない奴だ。
その前にその紙袋の中身を見せてもらいたいのだが…
「ん、これ? またネット通販で買ってきたの。 これならバニー以上に注目度バツグンよ!」
さて、ここでひとつ話を挟むが、ドラクエというものを知っているだろうか。
では、あぶない水着という防具があるのはご存知であろうか。 まぁ、知らなくてもいいが、名前だけでどういう物かはお分かりになるはずだ。
なぜその話を持ってきたかというと、ハルヒが紙袋から出した衣装が、まさしくそれだったのである。
「やめとけ。」
さすがに止めに入ったね。 たしかにそれで出れば注目度(男子は特に)は増えるだろうが、朝比奈さんが痴女の烙印を押されてしまうのは間違いない。
「何よ、私も着るわよ。」
そういって紙袋からもう一着を取り出すハルヒ。
そういう問題じゃない。 この服(とも言い難いが)を着るのなら一人でやれ。 朝比奈さんまで巻き込むんじゃない。
「みくるちゃんはSOS団のマスコットキャラなのよ。 キョンにとやかく言われる筋合いはないわ。 団長は神聖なる不可侵たる私、あんたたちは言うことを聞いてればいいのよ!」
その言葉を聞いて、頭の奥のほうでブチッという音が聞こえた気がする。
古泉が止めに入ったようだが間に合わず、俺の平手がハルヒの頬をはたいてた。
「…っ」
ハルヒの左ほほが徐々に赤くなっていき、そこで俺は我に帰った。
やっちまったよ、俺…
ハルヒの反撃が飛んでくるぞ…、ってあれ? 飛んでこないぞ。
見ると、今まで見たことがないような形相でこっちを見ている。
ふいにハルヒの目から涙が零れ落ちる。 ハルヒの涙なんて初めて見たぞ。
「………何よ、もうあんたの顔なんて見たくもない!」
そういってハルヒは入り口に駆け出す。 そのまま
ふいに古泉を見ると、いつもの張り付きスマイルが消えて、変わりに神妙な面持ちになっている。
「やってしまいましたね。 明日にでも涼宮さんに謝ってください。 これで我々は徹夜を覚悟しておいた方が良さそうです。」
たしかにやりすぎた。 はっきりとそう思う。
朝比奈さんに目を向けてみると、さっき以上にオロオロしている。 仕方ないか。
長門はというと、さっきの出来事に反応もせず、フランス語らしき字で書いてある本を読んでいる。
ふたたび古泉
「不幸中の幸いなのは、あなたがその場で消滅しなかったことですね」
幸い? お前が徹夜になるかもしれないんだぞ。
「問題とするべきところはそこではありませんよ。 涼宮さんが本気であなたの存在を否定すれば、もう我々には手の打ち様がないですからね。」
ちょうどそこで長門の本を閉じる音が響き、解散することになった。
まさか次の日にあんな事態になるなんて、誰が思う? まぁ、いつぞやみたいに世界改変でないだけマシだが、それでも十分に迷惑な事態だ。
神様行きのポストがあるんなら、クレームの手紙を大量に出してやりたいくらいだ。
本当に思う。 やれやれ
1章
次の日、妹のいつものモーニングコールで目を覚ますわけだが、いつもと若干違っていた。
「キョンくーん、朝だよーー!…ってあれ?」
あれ? って何だ。 何か如何わしいものでも見えていたのか?
妹は振り返り、ドアに向かって駆けていく。
「おかーさーん、キョン君いないよ~!」
ちょっと待て。 俺は思わずベッドを降りて妹を呼び止めた。
俺はこうしてここにいるわけだし、タチの悪いイタズラだと思ったからだ。
妹はキョロキョロしつつ、再度こちらに駆け出して…
「あれ、やっぱりキョン君いるんっうわっ!」
俺にぶつかった。もののみごとに全速力で…
「キョンくんの部屋には幽霊がいるー!」と言い残し、俺の部屋から逃げ出す。
とりあえず状況を確認しようと、鏡を見たが、何も鏡に映ってない。 いや、映っていなければならないものも映っていない。 そう、俺の体だ。
「なんてこった!」
どうやらこれが透明人間というやつらしい。 最近SOS団の関係で不思議なことは多いが、透明人間とのはじめての邂逅が自分だとはどんな奴でも思うまい。
もちろん俺の体だけでなく、確かに着ているパジャマやパンツまでもが見えない。
案の定制服に着替えたら制服が透明になったし、脱いだパジャマはしっかりと色を取り戻していた。
制服に着替えた(といっても見えないが)俺は、原因を思い浮かべている。というか原因はひとつだ。
昨日のハルヒとの件、それしか考えられない。
とりあえず家を出たわけだが、人がとにかくぶつかりかける。まぁ、ぶつかったとしても何か気づかないだろうけどな。
そして学校に来たわけだが、さすがに透明のまま授業を受けるわけにはいかない。
というわけでまず、職員室に行き、岡部の机にメモ用紙を貼り付けておく。
【お休みの連絡をいただきました】
これでよしっと。 ついでに成績表があったので書き直そうかと思ったが、それはダメだろうという良心が打ち勝った。
とりあえず向かうところはただ一つ。 部室だ。 今の時間は授業中だがきっと長門がいる。なぜだか分からないけど分かる。きっと長門なら、長門なら何とかしてくれる。
2章
「保健室、職員室、用務員室、女子更衣室、女子トイレ…」
俺は当てもなく学校内をうろついてる訳で。
え? 部室はどうしたって?まぁ、結論を先に言うとだな、
『まだ誰もいなかった』
よく考えてみたら長門だって表向きは高校生なんだし、そりゃあ授業受けてる訳だ。
俺の思い込みの激しさも、ついに谷口を抜いたか…
とりあえず『部室に居続ける』という手もあったんだが、まだ昼前だからな。 あのまま何時間も駅前に放置された自転車のように待ち続けるのは勘弁してほしい。 …撤去されないだけマシか。
とりあえず五組に行くか。 谷口と国木田が俺の机に花でも飾ってたらたまらん。 ハルヒの様子も見たいし、謝らなくてはならん。
途中、巡回の先生にビクつきながらようやく5組のまえに来た訳だが、よく考えたら見えないんだから怖がる必要もないな。
ちょうど授業中で、先生が俺が見ても分からない数式を黒板に書き連ねてる。
さすがに今扉を開けると、誰か外に居ますというのがバレバレなので、授業終了まで廊下で待つことにする。
念のため言っとくが、窓から失礼しますはムリだからな。 廊下側は鍵がかかってるし、外からなんて考えたくもない。
とりあえずやることがないので、素数を数えて暇をつぶしていると、ようやくチャイムが鳴った。
よし、これで扉が開いたら入るか。 そう思って扉に近づいくと、勢いよく扉が開いた。
中から…、谷口が勢いよく飛び出してきて、俺と正面衝突。俺と谷口は扉を境にしりもちをついた。
「いってぇ~、何だぁ!?」
谷口は疑問符を頭に浮かべながら、トイレに走っていく。
「ぐはっ」
おもわず声を出してしまったのは、谷口にぶつかったからではなく、その後を追ってきた国木田に腹部を踏まれたからである。
「待ってよー。」
国木田は少し走った後、少しこちらを見て、やはり疑問符を浮かべながら谷口を追っていく。
お前ら、あとて憶え…って、ぐえっ、ちょっと待っ…痛っ、ふまないでくっ、ふぎゃ、マジ痛、折れる折れる…
聞いての通り、教室を出た他のクラスメイトにも踏まれまくった。 マジで痛い。
その後何とか教室に入れたが、多分アザだらけだ。 まぁ、見えないがな。
それよりもハルヒだ。 えっとハルヒはっと、いたいた。
うーん、やはり不機嫌な顔をしてらっしゃる。 やっぱりこの透明化はコイツが原因か?
そこで気づいた。 どうやって謝ろう…
今この場で謝る
まず俺が認識できてない。 認識したとしても俺のこの状態だ。 後の言い訳がかなり苦しくなる。
置手紙を机に置く
俺が居ないはずなのに、誰が置いたという話になるな。
仕方ない、とりあえず放課後まで待つか。それで再度部室に行って、みんなと相談するか…
かといって時間が有り余ってるからな。 さすがに素数を数えるのも飽きたし、こっそり授業を受けるか。 退屈よりはいくらかはマシだ。
授業中だが、やはり俺にはわからない単語で例文を書いたり、モル質量がどうとか言われても、俺にはまったく分からん。ハルヒは不機嫌そうな顔でノートをとってるが、よく分かるなこんなの。
実際暇をつぶせたといえるのは休み時間で、俺は谷口と国木田の会話を横で聞き耳を立てていた。
「しっかしキョンは休みか。 せっかく頼まれてた例のアレ、持ってきてやったのに…」
「カゼかな? 最近病気になってないし。 で、例のアレって?」
まさか本人が真横で聞いてるとは思うまい。 谷口、例のアレは後でしっかりいただいていくぞ。
そんなこんなでようやく今日最後の授業になり、扉が閉まる前に、俺はそそくさと教室を出た。
3(ry
ある程度の時間になるまで時間をつぶし、ハルヒより先に部室の前まで来た。 とりあえずノックは忘れずに。
コンコン
「はぁーい」
聞いただけで心が愛で満たされそうな朝比奈さんの声である。
返事を確認し、俺はドアを開ける。
朝比奈さんはいつも通りのメイド服に身を包み、古泉は一人で人生ゲームをし、長門は微動だにせずSFらしきハードカバーの本を読んでいる。
「どうも、朝比奈さん。」
普通に挨拶をしてみる。 俺の姿は見えてないはずだ。
「あれ? キョンくんどこですか?」
朝比奈さんは生まれたばかりの鳥のヒナが間違って最初にワニを見てしまったかのような顔で俺を探している。
「ここですよ。」
わざわざ真横まで行き、耳元に声をかける。 ふとこちらを見ていた長門の目が俺を確実に捕らえてた気もするが、錯覚だろう。
「ひぇ、ど、どこですかぁ」
朝比奈さんはかなりあわてた表情で、陸上選手もびっくりな速度で横に飛びのいた。
「見えてないと思いますが、ここに居るんですよ。」
そういっていつもの場所に腰かける。
反対側に居る古泉が、いつもの3割8毛増しのスマイルでこっちを見た。
「おやおや、昨夜閉鎖空間が発生しなかったと思ったらこういうことでしたか。」
そのニヤケ面をこっちに向けるな。
「ユニーク」
お前も言うに事欠いてそれか。
「で、でも何か食べたら見えちゃうんじゃないですか?」
とりあえず見えないみたいです。 とても可愛い質問です、はい。
「原因は昨日の件と見て間違いないでしょう」
それは分かってる。
「あなたの体の情報が周りの景色を透過させてるかのように断続的に改変されている。」
という事は本当に透明なんじゃなくて、ゲームでよくあるステルス迷彩の強化版みたいなものか。
「そう」
長門は2ミリほど首を縦に振った。
そこで朝比奈さんが、遠慮深そうに手を上げる。
「あ、あの~、ステルス迷彩ってなんですか?」
そこで古泉が口を挟む。 お前はしゃべらなくてもいい。
「簡単に言うと、周りの風景を写して、見えなくすることですよ。」
はい、頼んでもいないのに説明ありがとう。
まぁ、景色のブレすらないんだからたいしたもんだ。
「で、長門、何か策はないのか? 前みたいに噛み付いてナノマシンでどうにかするとか。」
「できない事はない。 ただ、推奨はできない。」
「どうしてだ?」
「たとえ情報を再構成したとしても、同じように見えなくなる可能性がある。」
つまり意味なしになる場合があるって事か。 それは噛まれ損だな。
「あとこの状態は、涼宮ハルヒがあなたの顔を見たいと思えば解決する。」
「という事は、ハルヒが俺を見たいと思えば今にでも戻るわけだな。」
「そう」
今度は3ミリほど縦に振った。 俺もよく分かるよな。
ここで古泉が再度首を突っ込む。
「長門さん、あなたの予想では涼宮さんが、彼を見たいと思うまでどのくらいかかるでしょうか?」
長門が珍しく小首をかしげて
「分からない。」
ふむ、長門に分からないんじゃしょうがないな。…ってそれじゃ困るんだが。 元に戻るまで、家にも帰れないし、授業にも出れないんだぞ。 そのうち家族から捜索願が出されて、富士の樹海あたりで俺に似た遺体とか発見されたらそれこそシャレにならんぞ。
「あのー。」
また朝比奈さんが声をあげる。 あなたの意見ならどんな小さな声でも聞き逃しませんよ。
「手紙を書いてはどうでしょうか…」
手紙か…。 教室でも考えたんだが、学校にきてもいない人間が手紙を持ってくるのはおかしいだろう。
「では我々が直接預かったという事にすれば大丈夫ですね。 さすがに団員経由できたものを偽物の思うほど、涼宮さんはひねくれてませんから。」
たまにはいいアイデアを思いつくじゃないか古泉。 しかしハルヒはひねくれまくってる気がするが。
「そうでしょうか。 かなり分かりやすいと思いますが。」
そこで俺の頭上に閃光が走った!感じがした。 何か強烈なプレッシャーを感じる。 まぁ、この場合は一人しか該当する人物が居ないのだが。
「………」
昨日と打って変ってダウナーな雰囲気を背負ってハルヒが入ってきた。
団長席に進みながら、まるでビームを放つかのような目でこっちを見る。(俺は見えてないはずだけど。)
そのまま団長席に座り、なにやらパソコンをカチカチ動かしてる。
何をやってるか見てやれ。 こういうとき透明だと便利だ。
物音をたてないように某太陽のエネルギーを作り出すような動きでハルヒの後ろに回りこむ。
お、これは朝比奈さんのコスプレ衣装か。 なるほど、こうやって買ってたんだな。
よく見ると昨日のあの衣装まであるぞ。 すごい品揃えだ…
む、ポインタが【購入】に移動していく。 これは、ペンギンの着ぐるみか!? 何か小さな高校生が着そうな…
そこでハルヒがワンクリック。 これで購入か、便利な時代になったものだ。
4(ry
しかしまた高いな。 っていつの間に俺、こんなに前のめりになってんだ? うお、ハルヒの顔まで3センチ!!
あぶなかった… 今気づかれたらオゴり1年分じゃすまないぞ。
離れた直後にハルヒが立ち上がった。 本当に危なかった。
「これでよし…」
何がよしだ。 結局朝比奈さんの衣装を買っただけだろう。
そのまま早歩きで入り口に向かっていき
「ごめんみんな、今日は先に帰るわ…」
端の方で朝比奈さんが急須片手に慌てている。 おそらくハルヒのお茶を用意してたであろう。
「えぇ、帰るんですかぁ?」
「うん、今日はちょっとね…」
そういうハルヒの顔は、唐辛子をまぶしたオブラートでワライタケの粉末を飲み込んだ直後のような、つまりよくわからない表情であった。
ドアが閉まってハルヒが離れたのを確認した俺は、改めて相談を持ちかけることにした。 外は日が校舎から半分だけ顔を出している。
「とりあえず長門、今夜のところはお前の家に泊めてくれ」
長門のマンションなら何度も行ってるし、一応泊まった事(3年間の時間凍結だが)もあるしな。
さすがに朝比奈さんの家に転がり込む訳にはいかないし、古泉の家に至っては、夜にナニされるか分かったものじゃない。
「わかった」
あっさりと承諾してくれた。 正直言うとホント助かるよ。 また今度図書館に行こう。
「…」
長門がじっとこちらを見ている。 これは約束したということでいいのだろうか。
「じゃあ、今日は解散ということでいいですね。 何か変化があったら僕に連絡してきてください」
お前は何が何でも関わりたいようだな。 そんなに『神人』と戦いたいのか?
「そういうわけではないのですが、最近僕が関わる事件の方が少ない気がして…」
たしかにそうだな。 だからといって世界改変や8日後から跳んでくるというのは無しだぞ。
とりあえず今日はこれで解散することになった。
親には携帯で友達の家に泊まると言っておいた。 しかし携帯も透明になるのか。 どういう効果範囲だ。
俺は長門とマンションに向かう。 心なしか長門の足が速いのは気のせいか?
「なぁ長門、もしかして俺が見えてるのか?」
「視覚的には見えてはいない。 でも他の情報がそのままだから分かる」
そんなやりとりをしながら俺たちは玄関につき、長門は残像でもできそうな速さで玄関のロックを開ける。
「入って」
断ったら入れないので、ここは素直に入る。 はたから見てたら長門の行動はどう見えるんだ。 俺は見えないわけだが。
そのままエレベーターに乗り、7階まで移動。 その間俺たちは無言。
ハルヒと乗ったときにも思ったんだが、やっぱエレベーターは黙って階数表示をみてるのがマナーだな。 そのわりに視線を感じる気が…
7階に着き、長門の家に入れてもらう。 これで何回目なんだろ。
「9374回目」
「いや長門、8月のループの分は入れなくてもいいから。」
「分かった」
いつもの居間に通される。 思わずキョロキョロしてしまうのは俺だけだろうか。
微妙に物が増えてるか? ってか朝比奈さん(大)の靴がまだあるし…
そこで長門が一言。
「取りに来ない」
律儀に置いてるところ悪いが、こりゃ後になっても取りに来ないな。
やることもないので紅茶にブランデーを入れて飲む将校のマネをしていると、長門がなにやら持ってきた。
「食べて」
長門、これはどう見ても乾燥したままのチ○ンラーメンです。 本当にありがとうございました。
てっきりキャベツ山盛りカレーが出てくるものだと思ってたので正直びっくりした。 で、何でチ○ンラーメンなんだ?
「涼宮ハルヒにこれを生で食べるのが好きだと聞いた」
ハルヒよ、確かによく食べるが生では食わん。
「そう…」
じっとこちらを見る。 そんな困った顔をするな。
「とりあえずお湯をくれ。 そうすりゃ問題なく食える」
「分かった」
そのまま台所に消えたかと思うとすぐさまヤカンに入ったお湯を持ってきた。 沸かしてたのか、何かから作ったのか、まぁどっちでもいい。
お湯をそそいで3分待つ。 さぁ、出来上がりだ。
俺はラーメンをすすりながら、長門を見る。
「そういや長門は食べないのか?」
「いい。 もういっぱい」
なにがいっぱいなのかは知らんが、まぁ、いいだろう。
食い終わった俺は、やることもないのでさっさと寝ることにした。
ふと見ると、布団を2組引いている長門が見えた。 ってかまだ制服なのかお前は。
「ここで寝て」
妙になつかしいこの部屋、俺と朝比奈さんが時間凍結された部屋か。
まさかまた時間凍結するとか言わないよな
「それはない。 あれはエマージェンシーモード。 よほどの事ではないと駄目」
それはよかった。 また浦島太郎気分は勘弁してほしいからな。
「って長門、お前は横で寝るのか?」
「そう」
うーん、谷口が聞いたら泣いて羨ましがるな。
「大丈夫、何もしない」
それはむしろ俺のセリフな気がするんだが。
「私は何もしない」
ん、それはどういう意味だ?
「なんでもない」
視線を逸らされる。
俺はさっさと布団にもぐりこみ、無垢な少年のように明日を待つことにした。
横から視線を感じるが、色々あったためにグッスリ眠ったようだ。
夢の中で長門にこんな事を言われた気がする。
「いくじなし」
続く
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