ここは・・・なんていうんだろうな。とにかくラグビーを俺たちは見てる。
その中に同じ中学だった中河が・・・こいつが、長門に告白したんだが・・・
そんなことはどうでもいい。ハルヒが後ろから朝比奈さんに抱きついたのだ。
「しばらくこうしてましょ。ふふふ、キョン、羨ましい?」
当たり前だろうどうせなら真正面から抱きしめ合いたいがな。
「ふうん?」
ハルヒはアヒル顔を作ったのち、
「ど・・・」
言いかけて口を閉ざし軽く息を吸い込んでから、
「それ、みくるちゃんと?」
・・・さて、どうしよう。会話と雰囲気から察するに、
朝比奈さんとハルヒどっちと真正面から抱きしめ合いたいかを
聞いているわけだよな。
まあハルヒも黙ってりゃ可愛かったし、今みたいに
はしゃいでる時はかなり可愛いし、別に悪くはないかな。
ハルヒとでも。
・・・予想はつくと思うが、最後のところ口に出しちまった。
やべ、ハルヒの顔も真っ赤だが俺も真っ赤だ。
やばいぞこれは。
「・・・マヌケ面」
何か非常に気まずい空気になった。
その状況を打破するかのように・・・
ラグビー中の中河が壮絶に吹っ飛んだ。
そのまま中河を病院に連れて行き、俺と有希でお見舞いをして
病院から出て帰る予定だった。
そこには、ハルヒがいた。相変わらずアヒル顔だ。
「お前、帰ったんじゃなかったのか?」
「うるさいわね、どうでもいいでしょそんなこと
どうでもいいからついてきなさい」
「何処に行くんだよ」
「何処でもいいでしょバカ」
何処でもよくない。よくないぞ。という俺を無視して引っ張って
いくハルヒ。
終始無言。ちょっとだけしゃべったかな。
「今日のアレ、本当?」
「嘘でもなくはないな。」
「どっちなのよ」
まあ、そんな感じだ。
さて、なんだかものすごいでかいお屋敷に到着したが何処だここは。
「あたしの家よ」
・・・おい。なんで俺がお前の家に連れ込まれなきゃならんのだ、断固抗議するぞ。
ちょっと入ってみたい気もするが。
「入って」
言われた通りに入っていく。庭はそこまで広くないが建物が馬鹿でかい。まさに豪邸だ。
「・・・お前、親とかは?」
「お母さんは6歳の時死んだわ。お父さんは今単身赴任中。たまに帰ってくるわ」
「そうか、すまん。」
「いいのよ別に。あんまり覚えてないし。」
・・・はあ、また沈黙が空気を支配する。大体なんで俺がここにいるんだよ。
「それで、何のようだ?何もないんなら帰るぞ。」
「真正面から抱きしめ合いたいんでしょ?」
ハルヒはニヤニヤ笑いながら、顔を近づけてきた。
ヤバイ。これはヤバイ。頭がパンクするというか沸騰寸前だ。
「何期待してんの?マヌケ面。」
「・・・帰るぞ。」
「ちょっと、泊まっていきなさいよ。」
はあ?なんで泊まっていかなきゃならんのだ。
「うっさいわね。団長命令よ。泊まっていきなさい。速く家に電話しなさい。」
はいはい・・・携帯で家に電話する。とりあえず友達の家に泊まるとだけ言っておくか。
「風呂入ってくるから、そこでくつろいでて。テレビなら見てていいわよ。
あと、余り部屋の中のもの見ないでね。それから・・・」
それから何なんだ。
「覗くんじゃないわよ。わかってるだろうけど。」
大体お風呂がどこなのかもわかんねーよ。
俺に覗きの趣味はないしな。ちょっと見てみたいが。いや、なんでもない。
さて、ハルヒの部屋はなかなか可愛らしいもんじゃないか。ピンクの家具とかな。
とりあえず本棚を探ってみよう。・・・恋愛小説が10冊ほど。SFやミステリーの類が大半。
・・・リーダーシップがどうとかいう本も見つけた。団長だからか?
んー・・・アルバムっぽいのがあるな。SOS団のアルバム・・・か。
「!?」
なんということか、俺が8割占めてるじゃないか。しかも、なんだこの寝顔は。
いつの間に撮りやがった、あの野郎。
本棚はこんだけか。他には・・・。
ぬいぐるみが2,3個あるな。まあ別にどうでもいい。
正直疲れた俺はベッドに入って寝ようかと思ったが、さすがにまだ8時である。
眠れず、テレビをつけてみていると・・・
本が置いてあった。
これは日記だろうか?・・・ちょっと気が引けるがまあいい。見てやれ。
×月○日 変な夢を見た。あいつがポニテ萌えとか言ってキスしてきた。むかつく。
×月×日 昨日の夢が気になったので、ポニテにしてみた。まだ長さが足りないわね。
△月◇日 あいつが私を殴ろうとした。ちょっと調子に乗っただけじゃないの。何よ、まったく。
○月○日 今日もあいつはみくるちゃんのことを見てる。ムカツク。
○月×日 あいつがストーブを運んできてくれた。疲れていたらしく、私が部室に戻ると
寝ていた。可愛い寝顔じゃない。写真撮ったりもした。(相合傘!)
○月×日 なんか最近有希とあいつがおかしい。あいつがよく有希を見てる。
何があったんだろう。
・・・とりあえず、見てはいけないもののような気がしたので見るのをやめた。
いや、もう十分見ちゃったんだがね。しかし、ハルヒも普通の女の子だよな。
もう入学当初のあの、憂鬱全開なハルヒはいない。ちょっと寂しいが、ハルヒも成長したんだろう。・・・もう9時か。
「変なことしてなかったでしょうね?」
ハルヒが入ってきた。なんかヒラヒラのついた、パジャマというのかなんていうのか分からんが
白い服を着てきた。まあ、似合ってるんじゃないか?
「あんたもお風呂入る?」
「着替えがない。」
「お父さんのがあるから入ってきなさいよ。多分ぴったりよ。」
「そうか。じゃあ案内してくれよ。広くてよく分からん。」
「こっちよ。」
案内してもらったお風呂は広くて、すごかった。
「じゃ、ごゆっくり。」
「覗くなよ。」
「誰が覗くかバカ」
なんて会話交わしつつお風呂に入った。
・・・お風呂に入ってたら宇宙人がどうとか起きる訳がないから、お風呂は飛ばすぞ。
お風呂を出ると、若干迷ったがなんとか部屋に戻れた。
「なんか夜食食べる?」
「いいのか?お腹ペコペコだ。」
「じゃあ作ってくるわね」
・・・数分後
「はい、どうぞ」
「ああ、ありがとう。」
まあすごいおいしかったな。ハルヒの料理の腕は俺が良く知っている。
ちなみにサンドイッチだった。
その後一時間くらいバカ騒ぎした。カードでいろいろ賭けて俺が全部負けたりな。
「そろそろ寝ましょうか。」
「ああ。」
カチッ。電気を消す音。アレ?
「おい、なんでお前がそこにいるんだ?」
「何よ。悪い?」
いや悪い・・・くはないがやっぱり悪い。
「うっさいわね。速く寝なさいよ。」
はいはい。
「お前の部屋初めて見たけど、以外だったよ」
「何がよ。」
「いや、もっと奇抜というか変わってるかと思ってた。」
「私ね、前にも話したと思うけど、中1の時から宇宙人とか必死に探してたの。
人と違うことしたかったのかしらね。でも、見つからなかった。
結局、4年間探してきたけど何も見つからなかったわ。だからね、
もう諦めたの。宇宙人とかなんてやめようって。もっと高校生らしいことしようって。」
・・・宇宙人は諦めてくれたらしい。助かった。
「でも!でもよ!SOS団は終わらせないわよ。まだ不思議なことはいっぱい世の中にあるのよ。
それを何とかして見つけ出すのよ!何とかして!・・・」
やれやれ、寝やがった。まあ、ハルヒはこうじゃなくちゃな。
いつもはしゃいでて、笑ってて、時々怒ったりして・・・。
ちょっとだけ、ハルヒの方に移動してみた。・・・バレタ。
明日の朝がちょっとだけ怖い。
終わり