いつもの部室。  
「涼宮ハルヒのフラストレーションが増大している」  
「んなアホな」  
ここ最近そんな素振りは全く無く、そろそろ髪が金色に逆立つのでは無いかと思うほど元気だ。  
いつぞやのような鬱ブルー全開でひたすら毎日フラストレーションを充填していた面影は無い。  
SOS団による世間体の概念を真っ向から否定した活動は毎日のように続いているし、  
退屈が積ってストレスになっているとは思えない。  
今までの判定基準から判断するにオールグリーンでないとおかしい。  
「周期的な身体現象による精神の不安定が原因」  
「周期的、って」  
「生理」  
 
どうやら周期的な現象と健康的な欲求不満が重なったのが原因らしい。  
そんなことを無表情に語るなよ、と思ったが嬉しそうにされても悲しそうにされても  
心中複雑なものをかかえるはめになるのは確実で、すぐに撤回した。  
「閉鎖空間も発生している。対処すべき」  
青春のイライラを破壊活動に向けるなよ、とツッコミたいが本人は今いない。  
しかし対処って言っても放っとく以外に方法が無いんじゃないのか。  
「心理的圧迫を和らげて閉鎖空間の拡大を抑制し、収束を待つ」  
ようはイラダチを抑えつつ安静が戻るまで待つらしい。  
いや、だからどうやって抑え込むんだよ。  
「…………」  
具体的な提案を求める俺に長門は珍しく悩み出した、ように見えた。  
ややあって、  
「涼宮ハルヒの性的欲求を解消する」  
「せ、セイテキヨッキュウって」  
「イかせる」  
 
この時即座に何を馬鹿な事を、とか突っぱねておくべきだった。  
人生の汚点日記に記念すべき2ページ目が刻まれる事になろうとは。  
「手順を教える」  
長門の言う手順はこうだ。  
部室でハルヒを眠らせ、情報を少し細工して起きないようにする。  
他の団員には手を回してその日はすぐに帰らせる。  
お膳立てができたところで俺が登場して任務を遂行する。  
正直悪質な性的悪戯じゃないのかコレは。  
「大丈夫、ばれない」  
「論点が違うだろう」  
「顔が嬉しそう」  
 
で、翌日の部室。  
夕日を背に団長机に突っ伏すハルヒの姿があった。  
そのほかには俺しかおらず、部外者はもちろん仕掛人の姿も無かった。  
さて、この状況をどうすべきか。  
と思った時点で既に俺は団長机に歩み寄っていた。  
下半身にあるもう一つの脳(往々にして本能と証される)のほうが足に近く、  
脚部の掌握においては頭という僻地にある脳との有利不利は明白である。  
「こうやって寝てれば可愛いんだがなぁ」  
髪を撫でたり頬をつつくくらいなら問題あるまい、と頭のほうの脳が  
手に命令を送る。  
これが間違いだった。  
既に手のほうも下半身のコックピットに収納したほうの脳が掌握していたのだ。  
待て、待つんだ俺、俺の理性軍は武田騎馬隊じゃなかったのか。  
しかし直後に、長門が本能軍に鉄砲を支給しているイメージがそれを上書きした。  
 
これはもしかして俺まで長門に妙なスイッチを押されているんではなかろうか。  
という疑問を即肯定した俺は意気揚揚とハルヒの服を脱がしにかかっていた。  
しかしアレだ。女物を脱がすのはけっこう難しいんだな。  
「……」  
起こしてしまう恐怖心もあり、時間をかけてなんとか両腕からセーラー服を抜き取る。  
下着は色気の無いスポーツブラだった。どうみても水着です、本当にありがとうござました。  
次だ。スカートを脱がすには椅子から浮かせないとダメか。  
エビとかカニっぽいな、おいしいけど面倒くさい。  
いやいやいや、俺は何を考えているんだ。  
突っ伏しているハルヒの上半身を浮かせ、両腕で脇の下から抱え込む。  
結構重量あるな、と感想を漏らしつつ長机の上まで運搬する。  
ちょっと堅い場所だが我慢してくれ、床よりゃましだろう。  
許せハルヒ。そして許すぞ俺。俺よ、今お前は長門に妙な仕掛けで操られているんだ。  
両足を持ち上げてスカートを抜き取り、はずれないホックに悪銭苦闘しながらブラをはずす。  
夕日に照らされて美しい稜線が影を作る様は、エジプトの観光写真を彷彿とさせた。  
最も気が退ける最後の布は、一旦躊躇すると脱がす勇気が無くなりそうなので  
スカートと同じ要領で手早く脱がせてしまう。  
生理用品ってこうつけるのね、という知的好奇心は大いに満たされた。  
それにしても、長机に目に毒どころではない肢体が横たわっている光景は現実感が希薄で  
差し込む夕日の演出で一枚の絵のようにも見えた。  
デジカメどこに置いたっけな。  
 
3年でこんな育つもんなのかね。  
手のひらを満たす胸の感触を堪能しつつ、あの日に思いを馳せる。貧乳でも悪くないんだが。  
やや力を入れて触れる度に寝息が乱れるのは感じているんだろうか。  
もしやと思い、両足を広げ、目をそらしていた場所を覗き込んでみる。  
うっすらと潮に濡れた天岩戸が夕日を受けて神々しく輝いていた。  
局部で後光を放てるのは世界広しといえどハルヒだけだろう。  
しかし多少胸に接触したくらいで、素人目にみてこのありさまというのは  
ちょっと過敏過ぎじゃないか。それだけ溜まっているということだろうか。  
前に自分で発散させてるような事をちらっと言ってたのは何だったんだろう。  
そこまで考えて長門マジックに思い当たった。お膳立てしすぎだ。  
両手の指を添えてスリットを開いてやると、それだけでハルヒの寝息が不整脈を打つ。  
現れたピンク色のその部分をちょんちょんとつついてやると水分が指に移った。  
その水分を塗りつけるようにクリトリス格納庫を軽く押してやると、  
びくり、と大きくハルヒの腰が跳ねた。  
「ん……!」  
やべぇ、起きたか!?  
一瞬心臓が止まったが、死期よりハルヒの寝息が先に訪れたおかげで一命を取り留めた。  
しかしなんて敏感な奴なんだ、イメージ的には不感症の方が正しいだろうに。  
ただ長戸マジックラリホーの威力が絶大なのを再確認できた。  
俺は爪の手入れが完璧なのを改めて確認してから、人差し指をソロモンの鍵よろしく鍵穴に進めた。  
 
ゆっくりとスリット内部、下方の鍵穴へと侵入していく指を柔らかい感触が迎えてくれる。  
その表面は極度に滑っていて進行に摩擦を感じさせない。  
「っ……ん……!」  
ハルヒは指が1ミリ内部を目指すたびに声を漏らす。  
そろそろ第2関節、というところで何かにぶつかった。  
悲鳴のような声を上げて腰を跳ね上げ、侵入していた指を振りほどく。  
もう何者をも張り込ませない、ぴったり閉じられたスリットはその堅い決心の現れにも見える。  
しかし内部から滲み出る水分が体の表面を伝って腰へと伝っていく様は  
長門スイッチで狂っている俺をさらに狂わせるのに充分だった。  
というかこの状況でまだ冷静な奴は人間としてどうかと思うね。  
ズボンとトランクスという2重の安全装置で封印された本能が、  
役目を果たさんと外界に飛び出す。  
ハルヒ、なんだかんだ言っても俺はおまえのことが(略)  
 
スリットにおしつけた本能がぬるりと滑った。  
指なら簡単に入るのだが口径的に多少難があるらしい。喜ばしい。  
待て、焦るな俺、ちゃんと狙うんだ。  
両足を机の側面に垂らしてあられもない姿のハルヒを前に苦戦中である。  
多少強引に行くか、と考えた矢先に唐突に本能の先端が潜り込んだ。  
「〜っ……!」  
声にならない鋭い吐息が漏れる。  
かなり体重をかけていたのでその勢いでずるずると本能が埋まっていく。  
ぷつりぷつりと糸を切るような感触があり、その度にハルヒは体をよじって逃げようとする。  
「く、あ…痛っ!」  
この感触は網状処女膜だろう、必ず切れてしまうため痛くて辛いタイプである。  
ここで及び腰になってはさらに痛がらせてしまうだけだ。  
ぐっと体重をかけると、抵抗をまとめて引き裂くようにして本能は最億部へと到着した。  
ぐっと目を閉じて歯を食いしばり、涙をぼろぼろ零しながら耐えていたハルヒは  
異物感と激痛に耐えながら、思わず止めてしまっていた息を継ごうと胸を震わせている。  
「すまんハルヒ、痛かっただろう」  
例え眠っていても、届かなくても。そう言って髪を撫でてやらずにはいられなかった。  
そんな俺の手にしがみついて震え、見上げる弱気な瞳がたまらなく可愛い。  
 
 
 
ん? 瞳?  
 
<<WARNING、警告、当該対象による睡眠プログラムの強制削除を確認>>  
脳内に直接声が響く。長門、まさかそれは。  
やっぱり見てたのか! じゃない、それはつまり──  
<<起きた>>  
 
〜終〜  
 

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