その日、俺の目を覚ましたのは、顔に触れた生暖かいものだった。
とはいえ、こういうことがないわけじゃない。
エサの欲しいシャミセンが、俺の顔を踏んづけたりとかな。
だから俺は文句を言いながら目を開いた。
「くすぐったいから俺の顔を踏――」
ん? なぜ妹の顔が見えるんだ?
「んむー、あ、キョンくん、おはよう」
「ああ、おはよ――」
寝ぼけてた俺は返事をしようとして口をふさがれた。
「ちゅっ、じゅるっ……あむ、はむ、れろ」
俺の目に妹の目が映る。妹は俺の口腔をぺろぺろ舐めながら
朝起ちしている俺のに小さいお尻を押し付けこするように動き、って
「ひゃうっ」
「なにやってんだお前は!」
思わず思い切り突き飛ばしてしまった。ころころベッドから転がり落ちる妹。
ついでゴンっという痛そうな音がする。やりすぎたか?
ベッドから下を覗く。妹が頭と口を押さえて涙を浮かべていた。
「ぐすっ、ひょんひゅんひどひ……ひたかんひゃっひゃ」
「大丈夫か?」
舌を噛んでしまったらしい。それはどうしようもないから、頭をなでてやる。
だが、いったいなにがどうなってあんなことをしたんだ?
「はんなほとってなーに?」
「俺にキスしてきたことだ」
妹は俺の質問に答える代わりに、舌をべーっと出した。
「ひでてる?」
「あん? ああ、血か? ちょっと待て」
舌をつかんで見てみる。血がにじんでるな。
「ちょっと切れて血が出てるぞ。とはいえ、舌なんかどうしようもないな。ツバでもつけとけ」
血が出てると聞いて、妹の目に浮かんだ涙の粒がますます大きくなる。泣かれても困るぞ。
妹は口を閉じてじっと我慢しているようだ。偉いぞ。涙はぽろぽろ出てるがな。
「あーあー、ひょ、きょ、キョン、キョンくん、あ、直った」
しばらくして口調が戻り、もう大丈夫そうだと思った俺は、改めて質問した。
「でだ、どうして俺にキスなんかしてきたんだ?」
「なあに、キョンくん、しらなあい」
どこまでふざけとるんだ、コイツは。
「わたしはただ、キョンくんを起こせってお母さんから言われただけだもん」
そうかい。
「それで、部屋に入って、キョンくんを起こそうとしたら――」
俺を見ながらそこまで言って、動きを止める。
「どうした?」
妹はにへらっと笑みを浮かべて、
「ねえ、キョンくんしてあげるー」
いきなり俺のズボンを脱がしだした。朝起ちはまだ治まってねえ。
「おい、なにしてんだ、やめっ」
どこにこんな力があったのかわからないが、押さえたのもむなしく剥ぎ取られてしまった。
「いただきまーす」
行儀よく言うと、両手で俺のを抱え込むようにしてから咥えやがった。
舌にしみたのか、ちょっと眉根を寄せたが、すぐに絡めだす。
「んっ……んむっ……じゅる」
憑かれたように舐める。気持ち良すぎる。
「れろ……んう……ひゃっ、ちゅるっ、わっ大きくなった」
反応して大きくなった俺のに圧迫されたか、一旦口を離す。
そして俺のを見て、無邪気に嬉しそうな声を出す。
こんなことはやっちゃいけない。
「や、やめろって」
「んふふ、だーめ」
妹は俺の言葉に普段見せたことのないような小悪魔的な笑みを返し、今度は舌を先端に這わせた。
「ぺろっ、あ、なんかにがーい。でもすきかも」
にこにこ笑う妹。
そして再び咥え込む。
「んぐ……はむっ……んっく……むぐぅ」
うっ、で、出そうだ。
「んむっ……あふぅ……んふっ!?」
俺は妹の頭をつかんで、強引に引き剥がす。
「ちょっと、キョンくん、わたしまだ、きゃっ!」
不平を言う妹の顔に思いっきり出してしまった。
顔に精液がついた妹にかける言葉もない。
「キョンくん、なあに、これ」
妹は自分の顔についたものを指ですくって、ぺろっと舐め、顔をしかめた。
「わっ、にがーい」
だがどこか楽しそうな声の響きだ。
なにが起こったんだ、いったい。
妹は風呂場に送って、俺はそそくさと制服に着替える。
俺の頭は混乱しっぱなしだ。
なぜ妹があんなことをしたのか、さっぱりわからん。
しかし高校には行かねばならん。
妹が誰にも口外しないことを願いつつ、家を出た。
まさか、高校ではもっとすごいことが起こるなんて思ってもいなかった。