消えていく、リセットされていく、否定されていく  
 
また、だめだったのか?  
 
経験が消えていく、肉体がリセットされる、記憶が否定される。  
 
・・・ちくしょう、・・・・・・・ちくしょうっ!  
 
輪廻する世界に抵抗する俺は世界に侵されていた。  
 
何がたりない!どうすれば満足する!  
 
終わりが始まりになる、使い古された新世界が始まる。  
 
・・・ハルヒ!この宇宙一のわがまま女が!  
 
理不尽の親玉に、無自覚の暴君に叫ぶ。  
 
くっ・・・・・・長門、・・・・・・すまん。  
 
次ぎに無表情な、一人ぼっちのあいつの事を思う。  
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・頼んだぜ、・・・・・・・・・・次の俺  
 
そして、また新しい物語が始まる  
 
 
 
長門ユキの牢獄1  
 
 
 
何かがおかしい。  
 
朝、予定も無いのになぜか目が覚めてしまった。  
そして起きた瞬間、なにか違和感があった。  
 
何かがおかしい。  
 
目覚めたての頭の中で単語検索する。  
キーワードは「しなくてはならない事」  
まず夏休みの課題がヒットするが普通にスルーする。  
次にいつも夏休みにする事として、田舎に遊びに行く事が浮かんだが既にクリアしている。  
必死に頭を動かすが、目が覚めていくにつれに違和感も薄れていく。  
 
まあ、すぐに思い出せないならたいした事は無い筈だ。  
 
己を納得させ、検索を終了する。  
―――――頭の片隅にしこりを残しながら。  
 
時計を見ると学校に登校するために起きる時間よりも少し早い時間だった。  
とりあえずタオルケットをどけて起き上がる。  
 
久しぶりに朝飯でも食うか。  
 
そんな事を思いながら  
 
 
 
八月十七日―――午後二時八分  
 
俺は今、市民プールのプールサイドにいる。  
なぜこんな所にいるかというと、  
俺の目の前で小学生低学年と本気で遊ぶ冷静に考えると少し痛い系の女のせいだ。  
 
「あはははははははははっ!」  
 
女、涼宮ハルヒの腹の底からの笑い声が、屋内プールに木霊する。  
俺が家でだらだらと高校野球を見ていると電話がかかってきて、有無を言わせずに呼びつけられたのだ。  
まぁ、仕方のない事だ。あれに常識、羞恥心、止まる事を求めてはいけない。  
むしろ、あいつの性格を知ってそれを求めるなら、そいつは馬鹿か聖人だ。  
もちろん俺は、まともな一般人・・・・ちょっと変な交友関係が広いがな。  
 
「楽しそうですね。」  
 
隣から聞きなれた声が聞こえた。  
横を見るとそこには、胡散臭い笑顔があった。  
超能力少年、古泉一樹。  
もっともその能力は限定された空間でしか発揮する事は出来ず、  
通常空間にいる分にはただの頭の切れる優男だ。  
 
「微笑ましい光景です。それに平和を感じます。  
 涼宮さんも、けっこう常識的な楽しみ方を身につけてきたと思いませんか?」  
 
いきなり電話をかけてきて一方的に用件だけ言って切っちまうような誘い方はあまり常識的とは言えないだろ  
 
「あなたに断られるのが怖かったんでしょう。」  
 
古泉がクスクスと笑う。  
 
はっ、あいつが?ありえないだろ、いきなり地球が逆回転するのと同じくらいにな。  
それにもしかしたら、もう何か常識的じゃないことが起きているかも知れんぞ?  
俺はお返しにとばかりに軽口を叩く。  
 
「・・・・・・・・・。」  
 
その言葉に古泉は沈黙で返した。  
おい、返事を返せよ。不安になるだろう。  
 
だが、何か心当たりがあるのか古泉は黙り込んだままだ。  
だめだな、完全に自分の世界作っちまってる。  
俺は嘆息して視線をプールサイドに戻した。  
外から刺し込んでる夏の日差しがじりじりとタイルを焼いている。  
そういや長門も日に焼けたりするのかなと思って姿を探すと、小柄の短髪無言娘は先ほど昼食を食べた日陰にいた。  
いつもの姿だ。どこに行っても変わりなく、土偶のように静止している長門の姿である―――のだが、  
 
「うん?」  
 
俺の視線が一瞬で硬直する。  
長門の、いつも宙に固定されている怜悧な瞳が、こちらを、というか俺を見つめていたのである。  
その真摯な瞳は彼女の中に渦巻く感情の何割かを写していた。  
俺は最近に身に付けた、長門の感情を読むというスキルを発動した。  
何かを伝えようという葛藤と焦燥が微妙に感じて取れた。  
そのまま数秒か数分を見詰め合っていると―――  
 
「何してんのよっ、キョン!そんなとこで遊んでいないでこっちに来なさいよっ」  
 
声に気をとられて、プールを見るとバシャバシャと水を巻き上げるハルヒがいた。  
急いで視線を戻すと長門は、何事も無かったかのように何も無い空間を見つめている。  
 
「コラ!聞いてるのキョン」  
 
俺はしょうがなくSOS団部長に視線を向ける。  
そこには小学生低学年女子を兵士のように従えた王様の姿  
ハルヒは厳かに片手を挙げる。  
 
「突貫っ!!」  
 
号令と共に手を振り下ろした。  
その言葉と共に兵士達が水を掻き分け俺めがけて襲い掛かってくる。  
良く見るとその中の一つ、無邪気な顔の中に知り合いがいた。  
 
「・・・・・・何やってんですか、朝比奈さん。」  
 
俺の素朴な疑問は上陸したガキどもの叫びによってかき消された。  
ハルヒがガンホー!ガンホー!とか言ってるのが目に入ったがどうでも良かった。  
 
 
 
 
 
 
八月十七日―――午後六時十九分  
 
遊び果てた俺たちは市民プールを後にして、ハルヒ提案の喫茶店に行く事になった。  
 
「♪〜♪〜〜♪〜〜」  
 
荷台の一番後ろからハルヒの調子の外れた鼻歌が聞こえる。  
なぜここで一番後ろという表現を使ったかというと、俺の自転車には現在3人乗っているからだ。  
即ち、俺、長門、ハルヒの順である。  
朝、プールに行くときは長門とハルヒの順番が逆だったが長門の無言の訴えにハルヒが負けたのだ。  
そんなわけで、俺の背中には遠慮がちに長門の手が置かれている。  
こいつが自転車から落ちる事など確率的に言えば無に等しいだろうから、ハルヒへのカモフラージュのためだろう。  
俺の前には青春タンデムをしている古泉と朝比奈さんの姿、うらやましくなんかないぞ。  
とにかく俺は五月蝿いハルヒを無視して、背中に触れる長門の暖かい手の感触を愉しんでいた。  
 
 
 
八月十七日―――午後七時四十八分  
 
喫茶店で今後の予定を決めたというかハルヒの野望を聞いた後、やっと俺たちは開放された。  
ハルヒは俺が支払いをしている間に走って帰っていったらしい。  
たぶん奴には体内に永久機関でも積んでいるんだろう。  
研究して学会に発表すればノーベル賞が取れるかもしれないな。  
もちろん俺はやらないけどな。  
馬鹿なことを考える思考を停止して俺も古泉、朝比奈さん、長門に別れを言って帰ろう。  
 
「はい、また明日ですね。」  
ニコニコと笑いつつ  
 
「おやすみなさい。」  
クスクスと笑いつつ  
 
「・・・・・・・・・・・・。」  
黙々と無表情  
 
古泉と朝比奈さんはそれぞれ自分の家へ帰るが、長門だけが動かない。  
プールの時と同じく俺の目を見つめ、じっとしている。  
2、3分ほどたったのか、古泉と朝比奈さんが完全に見えなくなってから長門が話かけてきた。  
 
「来て」  
 
長門らしさ満載の、簡潔極まる言葉、それだけで長門は歩き出す。  
おそらくは4月のときと同じく自分のマンションへ  
久しぶりの、およそ3ヶ月ぶりのお誘いに少しだけ戸惑う  
だが、俺は心の何処かではこの事態を予測していた。  
既視感にも似た確信が俺を歩かせていた。  
長門の後ろについていく。  
 
 
 
八月十七日―――午後八時二十分  
 
俺は靴を脱ぎ、久しぶりの長門の家にお邪魔した。  
ここにいたるまでは双方無言、長門はいつもどおり  
俺の方は長門に聞けば答えてくれるだろうが、聞く時間はたっぷりあるので聞かないでおいたからだ。  
部屋の中はいつもどおりに無駄な物がなく、広々としている。  
中は熱帯夜だというのに涼しい、クーラーをつけっぱなしにしているのだろう  
だが、カーテンすらかっかていないのはどうかと思う。  
おせっかい以外の何物でもないとわかっているが、長門は妙なところで常識を知らないし、具申するべきだろうか  
 
「座ってて」  
 
俺がつったっていると長門の声がかかった。  
十畳くらいのフローリングにはカーペットすら無い、俺は頭の「長門の買い物リスト」に座布団を追加した。  
俺が座るのを確認してから長門はキッチンへと引っ込もうとする。  
 
「待て。」  
 
長門が振り向く。  
 
「お茶はいいから先に用件を言ってくれ。何が起こっている?」  
 
長門の顔に軽い驚きの色がが浮かぶ。  
失礼な、俺はそんなに鈍くは無いぞ。むしろ長門に誘われた時点で誰だって気付くさ。  
 
「そう」  
 
納得したのか、長門は俺の前に座った  
というか目の前に座った。  
あの、長門さん?  
近すぎませんか、ひざとひざがくっつきそうなんですけど。  
 
「時間がループしている。」  
 
・・・・・・はい?  
いきなり何を言い出すんだこいつは、ループ?なんのことだ。  
俺の反応を待ってからぽつぽつと、重要な事だけ話し始めた。  
 
「性格には八月の17日から31日の間」  
 
「実行者は涼宮ハルヒ」  
 
「31日になると自動的に記憶が消され17日が始まる」  
 
「理由は夏休みにやり残した事があるからと断定」  
 
「あなたも記憶をリセットされている」  
 
「涼宮ハルヒはこのことを自覚していない」  
 
との事だ、普通の奴なら長門の気が触れたとでも思うかもしれないが俺は違う  
俺はむしろこんなにもしゃべる長門に驚いているぐらいだ。  
長門には命を救ってもらった事が何度かある、その長門が言う事を信じずに何を信じればいいのか。  
 
「だいたいはわかった。」  
 
俺の言葉に長門が頷く、今度は俺の質問タイムだ。  
 
「やり残した事はわかるのか?」  
 
「不明」  
 
当然か、知っていればループなんてさせないだろう。  
と、そこで最初に気付かなければならない事にきづいた。  
 
「長門、今回で何回目だ?」  
 
「一万五千四百九十七回目に該当する」  
 
思わずクラリときたね。  
良くて数回目、悪くて数百回を予測していた俺に5桁はきいたね。  
15497円になおしたらカーテンが買えるな、と意味不明な事を考えてしまうくらい動揺した。  
 
「長門の記憶は消えていないんだな?」  
 
「私は情報統合思念体のサポートを受けている、情報統合思念体は空間や時間に囚われない」  
 
つまり毎回記憶をダウンロードしているという事か  
長門が頷く  
長門とその親玉がそんな事しそうなのは予想がつく、俺が気になったのは別のところだ。  
つまり、こいつは15497回×14日、のべ216958日を、約594年をループに囚われていたとぬかすのか  
俺が記憶を失いのうのうと過ごす裏で、長門は今までの俺の人生の37倍近い時間を過ごしたというのか  
 
「お前・・・・・」  
 
言いかけて俺は口を閉ざす。長門がリスのように首を傾けて俺を見る。  
その純粋な瞳、まるでなんでもないといった感じに俺は長門を抱きしめたい衝動に駆られた。  
その感情は凶暴で、長門から目を逸らす事で耐えた。  
だがそれを抑えると今度は別の激情が噴出してきた。  
ハルヒ!いくら無自覚だからって、やっていい事と悪い事があるぞ!  
ここにはいないあいつに軽い殺意を覚える。  
そこで先ほどからこちらを見ている長門に気付く。  
俺は深呼吸をして感情を沈め質問を再開した  
 
「どうして俺に教えた?お前の役割は観察だろう」  
 
俺の冷たいとも取れる質問に対して長門は答えた。  
 
「それは、前回のあなたに頼まれたから」  
 
前回の俺?  
そうか、15496回目の俺か  
前回の俺がリセットされる前に長門に頼んだのか  
 
「そう、それとあともう一つ」  
 
もう一つ?  
何を頼まれたんだ、長門  
俺の疑問に対して長門は少しだけ息を吸った、それは長門らしくなく緊張しているようだった。  
 
「私が頼まれた事、一つは事態の説明。もう一つは記憶の継承。  
 あなたは、前回までの記憶を継承する事を望む?」  
 
それはもしかしてリセットされる前の記憶の事か?  
長門が頷く  
 
「あなたは今回まで23回の記憶の継承をおこなっている」  
 
一年分近くか、その数字はつまり俺がループ阻止に失敗した数でもあるのだろう。  
記憶の継承のできるできないは問題ない、長門ができるといえばできるのだ。  
 
「あなたは、前回までの記憶を継承する事を望む?」  
 
長門がもう一度、問う  
そこで気付く、長門の声がほんの少し弱々しくなっている事に  
そこで俺は理解した、いくら長門といえどもこの繰り返す日常は苦痛なのだろう  
だから少しでも同じ時を、同じ記憶を持った仲間が欲しいのだろう  
それ故に、俺に拒絶される事を恐れているのだろう  
それがわかって断るような奴は俺は男とは認めない、だから。  
 
「あたりまえだ、とっとと頼む。」  
 
ごく自然に、その言葉を言った。  
長門は少しだけ、少しだけ唇の端を持ち上げた。  
ダイヤ以上に希少であり、ダイヤ以上に価値がある長門の微笑に俺は少し見とれる。  
――――と、その顔が少しづつ近づいて来る  
 
「な、長門?」  
 
「前回のあなたにこの方法を指定された」  
 
ぜっ前回の俺!、お前はなんて素晴らし、じゃなくて無茶な事を!  
俺が戸惑っていても長門は顔を近づけてくる。  
鼻と鼻が触れ合うほどに近く、息が相手の顔を撫でるほどに近くに、  
接触の一瞬手前、少しだけ顔を赤らめた長門が目を瞑るのが見えた。  
 
それを見た俺は覚悟を決め、目を瞑る。  
 
「・・・・・・」  
 
果たして唇と唇は触れ合う、・・・・・だが長門はそれだけでは止まらなかった。  
いきなり自らの舌を刺し込んできたのである。  
無防備な俺の唇は一瞬で突破され、口内が長門の小さい舌に蹂躙される。  
俺は驚き、反射的に顔を離そうとすると―――ガチッッて感じに長門の両腕にあたまを固定された。  
目を見開くが長門は目を瞑ったままだった、その間も舌は止まらずに動きつづける。  
俺に唾液を送り込もうと、俺の唾液を奪い取ろうと。  
そして観念した俺が舌を動かそうとしたときそれは起こった。  
 
情報が、経験が、記憶が、膨大な情報量を持って無秩序に俺に流れ込む  
 
プールの、  
盆踊りの、  
花火大会の、  
バイトの天体観測のバッティング練習の昆虫採集の肝試しの金魚救いのスイカ割りのコスプレの海水浴の  
その他いろいろの  
23回分の大小さまざまな、俺がこれから体験するはずの、俺が体験したはずの情報が、  
1年分近い経験の全てを追体験する。  
そして最後に、長門と共に過ごした記憶が蘇る。  
 
くちゃぁ  
 
粘質な音を響かせ口と口が離れる、それをつなぐ唾液の糸  
俺にはずいぶんと長い時間に感じたが、現実で言えば1秒か2秒くらいだったのだろう。  
長門が少し心配そうに俺を見ている。  
そんな長門に苦笑しつつ答える。  
 
「ただいま、長門。」  
 
「・・・・おかえりなさい」  
 
俺は23回分の記憶を取り戻した。  
 
 
 
 
 
俺は取り戻した記憶を確認しつつ長門に言う。  
 
「キスによる継承を頼んだのは16回目の俺のはずだが?」  
 
23回目の俺はそんな事いってないはずだ  
俺の疑問に対して長門はしれっと答える。  
 
「"前回のあなた"という意味では同じ」  
 
「そうか」  
 
前回、前々回と一緒の会話を楽しむ。  
 
「今日は泊まっていくから。」  
 
「そう」  
 
「今度も国木田の声で頼む。」  
 
長門の家に泊まるときは国木田の家に泊まる、と家族には言う。  
電話口で長門が国木田の声を真似ればそれで信じる、3回目のとき覚えた小技だ。  
 
ふと、カーテンの無い窓を見る。  
 
「また買いなおさなくっちゃな。」  
 
リセットごとに買いなおさなくてはならないのが不便だ。  
 
「今度のはどんな奴にする?」  
 
「前回と一緒がいい」  
 
またか、無趣味に見える長門にもデザインの好き嫌いがあるらしくカーテンは長門の趣味に合わせて買ってくる  
 
「あの幾何学模様と象形文字を合わせた奴か?」  
 
長門が浅く頷く  
 
「了解、とりあえず金をくれ。お泊りセットを買ってくる」  
 
予測していたのだろう、ポケットに手を突っ込むと長門は諭吉さんを数十枚単位で取り出した。  
長門から渡された金を握りながら思う。  
昔はけっこう抵抗あったんだけどな、なんかヒモみたいだし。  
まぁ、ループを抜け出してからかえせばいいさ。  
そんな事を思いながら、俺は近くのコンビニに行くために玄関のドアを開ける。  
 
「いってくる」  
 
「いってらしゃい」  
 
どことなく、気分は新婚な感じで  
 
 
 
八月十八日―――午前二時  
 
・・・・・ジュプッ、・・・ジュ、・・・グチュ、グッ  
 
「――――はぁ、んぅ――、ふっ―――」  
 
暗闇の中に湿った摩擦音とせつなげな女の呼吸音が響く。  
俺は今、長門の寝室にいる。  
俺は今、寝そべる長門に覆い被さっていた。  
二人は今、全裸だった。  
二人は今、ぶっちゃけ本番中だった。  
誘うように尻を上げた長門の秘部には俺の陰茎が挿入されていた。  
結合部から流れ出す愛液と精液、それから破孤の血で長門の内股はぐしょぐしょに濡れていた。  
混ざり合った液体は長門の白磁の太ももを滑り布団に吸収されていく。  
俺の両腕は、上から押さえつけるかのように長門の腕をつかみ離さない。  
まるで犬の交尾のような姿で俺は長門を、挿し抉る。  
 
ブチュッ、ジュッ、ジャプッ、グリュッ、  
 
「あ――――、はぁっ、ふぁ―――」  
 
俺が腰をわずかに動かしただけで、長門は呼吸に甘い物を混ぜる。  
その声の淫靡さといったら普段のギャップと合わせてきくだけで昇天しちまいそうになる。  
 
それだけでも反則なのに長門の膣内はさらに反則じみた動きで俺の肉棒を包み込む。  
数えるのも馬鹿らしいほどの数を長門としてきたが、一向に飽きない。  
飽きるどころか極上の麻薬のごとき依存性を持って俺を虜にしている。  
とそこで、俺は意地悪な事を思いついた。  
カリのあたりまで引き抜き、腰を止める。  
ふしぎそうな顔で振り向く長門、  
乱れた髪は顔に張り付き、上気した頬は暗闇でもわかるほどだ、唇から少し苦しげな吐息  
そして、恍惚を写した瞳は俺に問いかけていた。  
 
「なぁ、俺と長門って何回SEXした?」  
 
腰を回すようにスイングして入り口のあたりをかき混ぜる。  
 
「っあ――――、・・は・・い」  
 
秘肉を刺激され、快感に震えながらも律儀に返事をする長門  
俺は顔を長門の耳元に寄せ囁く  
 
「今回で・・・・231回目」  
 
一時期、馬鹿みたいにやっていたからな。  
それはもう獣の如く、長門が気絶するまで、もしくは気絶してからも。  
ともかく俺はご褒美に、深く腰を押し付ける。  
 
「あぁっ――――――」  
 
快楽に長門が甘い叫びをあげる。  
間をおかずに次の質問にうつる。  
 
「長門のイった回数は?」  
 
「くぁぁ、そん、な」  
 
俺はカリのあたりまで一気に引き抜くとパァンといい音をさせて腰を打ちつけた。  
微かな抵抗を見せる長門に無慈悲な一撃をくらわせる。  
 
「んっあぁ―――」  
 
「イった回数は?」  
 
「はぁ――、1012回」  
 
そんなにも、と俺は少し驚くがよくよく考えてみると  
一回につき4、5回は逝かせるから妥当な数字かなとも思う。  
とりあえず答えた長門の頭をくしゃくしゃと撫でる。  
 
「よしよし」  
 
「あ」  
 
撫でられるのが気持ちいいのか長門は目を閉じて感じ入っている。  
だがまだ質問は終わっていない、ことさらに耳元に口を近づけ囁く。  
 
「じゃあ、ここは何回使っている。」  
 
俺の右手が長門の小さい菊座を撫でる。  
 
「―――!」  
 
長門が驚きに振り返るが俺は微笑を浮かべ視線を受け止める。  
 
「そこは・・・、17回」  
 
「正解、ご褒美をあげなくちゃな」  
 
そう、ここは長門が嫌がるのであまりしていないのだ。  
なんか違和感が残るとかなんとか、俺的にはよく締まって良いからたまに頼んでやっているけど。  
俺は菊門をほぐすように撫で、擦り、広げていく。  
 
「あ、んっ、ふぁ―――」  
 
俺の指の動きの一挙一動に敏感に反応する長門  
そのあまりの可愛さに、いまだに突き刺さったままの肉棒に血がめぐるのを感じた。  
 
「そこは、ダ、ダメ――っひぃあぁ」  
 
長門が拒否の言葉を言い切る前に俺は親指を長門の菊座に挿入する。  
突然の侵攻に長門が跳ねるが自分の体重で押さえ込む。  
 
「い・い・だ・ろ」  
 
俺はなるべく優しく、ゆっくりと長門の耳に囁いた、親指を軽く動かしながらだけど。  
 
「うぅ―――は、はい」  
 
「よーし、いい娘だ」  
 
俺は長門の秘唇から一気に引き抜くと菊門に照準をセットした。  
長門が俺の卑猥な物の熱を感じたのだろう、ビクッと震えた。  
普段毅然としている長門が怯えてるのを見ると俺の中にある征服欲が満たされていく気がする。  
 
「いくぞ」  
 
コクッ  
 
長門が頷くとほぼ同時に俺は長門のアナルを貫いた。  
 
「――――――っぎぃあぁっ」  
 
長門らしくない、濁点のついた悲鳴が上がる。  
だがそれも無理は無いだろう、いくら愛液に濡れているとは言え俺の肉棒は決して小さくない  
それが長門のちいさく初々しい菊座を一気に犯したのだ痛くないはずが無い  
だがそれでも俺は手加減なんてしない、そんな事をしては長戸に失礼だしな。  
はた迷惑なだけの武士道精神を持って俺は長門にピストン運動を開始する。  
ギチギチという音まで聞こえてきそうなほど良く締まる、気を抜けばそれだけで果ててしまいそうになる。  
 
「あっ、がぁ、ぐっ、んあっ」  
 
俺の肉棒が腸内を抉るたびに長門の口から苦しげな嬌声がもれる。  
だが今の俺とってそれは快感しかもたらさない。  
 
「ひぃ、くぁ、ぎっ、うぁあっ」  
 
「くっ」  
 
長門のアナルはいつもどおりに俺の肉棒を食いちぎらんばかりだ。  
俺は長門の締め付けを楽しみつつ右腕を長門の胸に、左腕を長門の秘裂に持っていった。  
それぞれが別の生き物のように長戸を攻め立てる。  
右手は乳房をまんべんなく撫で回し柔らかさを楽しむ  
 
たまに思い出したように乳首をつまみ、長門をのけぞらせる  
 
「――はぁっ、―――はぁあっ」  
 
ピストン運動から来る愉悦とは違った感触に長門の声も甘くなる。  
左手はすでに混ざり合った液でびちょびちょのスリットを撫でる。  
 
「―――あぁ」  
 
長門が俺のすることを予測して陶然となる。  
俺は期待どうりに秘唇を掻き分け、小指、薬指、中指を挿入する。  
 
「――――――っあ」  
 
俺は指三本を自由自在に操り長門の内側を、撫で、ひっかき、摘む  
長門の膣内は柔らかく蕩けるように熱い、しかも俺の肉棒が奥深く貫くたびに全体が締まりやがる。  
このままだと指だけでも昇天しちまいそうだ。  
 
「つぁっ、ひぅんっ、うあぁ」  
 
俺は挿入していない親指と人差し指を器用に使い、ぷっくりと膨らんだお豆を見つけ出す。  
布団に顔を押し付け嬌声を上げることしかない長戸に囁く。  
 
「覚悟」  
 
「え?―――――!!!!!!」  
 
俺は敏感なそれを二本の指で挟むとつぶさんばかりの力を込めて圧迫した。  
達してしまったのか長門は口を限界まで開いて軽く舌を覗かせていた。  
一気に腸内が圧縮され俺への快感が倍加する。  
俺としてはもう少し楽しみたかったがここら変が限界だ。  
口から涎を撒き散らし、全身を使って喘ぐ長門の腰を掴む  
 
「長門ォ、いくぞ!」  
 
掛け声と共に部屋中に音が響くくらいの速度で腰を長門の尻に打ち付ける。  
 
「―――っ!、ダッ、ダメッ!、壊れっ、るぅ!」  
 
長門の抗議の声などまるで無視して打ち据える、そのせいで長門の白い尻は赤くなっている。  
終わりは唐突にきた、脳裏が白に染まり悦楽が思考を満たす。  
 
「――――ぐぅ、射精すぞッ!長門」  
 
ビュ、ドピュ、ドプ、ビュッ  
 
長門の中に大量の精子を放つ  
 
「―――――――――――――――――――!!!」  
 
その瞬間に長門も達したのだろう、肛門がきゅっと締まる、  
声無き声を喉から振り絞った後、長門は糸が切れた人形のように倒れふした。  
俺はすべてを出し切った肉棒を菊座から引き抜いた。  
栓が取れたアナルからは長門がぴくぴくと震えるごとに精液が吐き出されていた。  
俺は長門の痴態に満足しつつ長門の上に倒れこんだ。  
そして世界最高の抱き枕を抱きつつ、眠りについた。  
 
続く  

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