期末テストが目前の日曜日、オヤジとオフクロは妹を連れてデパートに  
買い物に出かけている。  
俺はというと、自分の部屋でハルヒに家庭教師をしてもらっている。  
日曜日にまで家に押しかけて来るハイパーアクティヴなこの女といると  
俺の安息の日はいつくるんだろうとも思うが、ハルヒが俺のテストを気に  
かけてくれているのは、少し嬉しくもある。  
「ちょっと、キョン、何ぼーっとしてんのよ。」  
「まあ、いいわ。疲れたなら少し休憩にしましょう。お茶でも入れなさいよね。」  
 
俺が煎れた雁金の煎茶を二人ですすり飲みながら、テストのことや今度の  
球技大会のことを話していると、ハルヒは俺の部屋をぐるっと見渡して、突然  
言いやがった。  
「キョン、白状なさい。エロ本はどこにかくしてんのよ。高一の男子が部屋に  
エロ本を隠していることは、観測者がいなくても箱の中にいる猫が生きている  
ことより明らかだわ。」  
突拍子もない例えがこいつらしくて訳が分からんが、こんな質問に狼狽える俺  
ではない。だいたいアイドルの写真集なんか、アイドルより可愛い朝比奈さんを  
生で見ている俺には不要だからな。  
 
「あれっ。ベッドの下に何か隠しているわね。エロ本ねっ、エロ本に違いないわ。  
ちょっと、キョン、何抵抗してんのよ。見せなさい。」  
いかん、俺としたことがアレを隠すのを忘れていた。草むらから飛び出してきた  
イノシシのような勢いでハルヒが俺に突進してきたので、思わず後ずさる。  
ハルヒにマウント・ポジションを取られ、虚しく抵抗を試みる俺に向かって、  
ハルヒは勝ち誇った毒花のような満面の笑みで言いやがる。  
「さあ、観念してその本をわたしに見せなさい。」  
「あれっ。これSOS団のアルバムじゃない。何でアルバムを隠すのよ?」  
アルバムをめくるハルヒの顔に少しずつ朱がさしてくる。  
「もう、ばかキョンたら。まあ、特別に許しておいてあげるわ。」  
その後俺たちはお互いにちょっと照れながら日曜日の午後の試験勉強を終えた。  
アルバムの内容?ハルヒの写真ばっかり編集したアルバムだったんだよ。  
                                終わり。  
 
 
 
 

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