頭が柔らかい何かに乗せられている。
しかしそれにしてはどうにも頭がズキズキする。
そうだ、ハルヒのやつにやられたんだった
気絶するほどの威力を蹴りに乗せること無いだろうに、一体何の恨みがあると言うんだ・・・・・・
それよりもこの頭に敷いている物は一体何なのか、目を開けて確認する。
周りはそれなりに暗く、もう日が沈む寸前だ、そして傍にセーラー服を着ている誰かがいた。
どうやら俺が目覚めたのを感じたようでこちらを覗き込んでいる。
「長門・・・・・・?」
膝枕されているのに気づき慌てて頭を退けようとしたが、額を抑えられる。
「もう少し寝ていたほうが良い」
まぁなんだ、一体何がどうなってこういう状況を作り上げいるのか、今日の放課後の行動を思い返してみようと思う。
部室棟の廊下を歩き文芸部の部室をノックする。
「どうぞ〜」
いつも通りの朝比奈さんの声、扉を開けるとすでにメイド服姿の彼女がそこにいる。
長門は隅で分厚いハードカバーから顔を上げこちらを確認する、古泉はダイヤモンドゲームを一人でやっていた、それ一人でやるゲームじゃないだろう
「こんにちはキョン君、涼宮さんは一緒じゃないんですか?」
「ハルヒのやつは授業が終わるなりどこかにすっ飛んでいきましたよ、そろそろ来るんじゃないのかな」
この間攫われたばかりだと言うのに、微笑みながら挨拶をしてくれるこのSOS団のマスコットかつ心の天使に癒されつつ
やはり朝比奈さんは笑っていないとな、などと思いながら椅子に座ると横から湯飲みが差し出される。
「昨日新しく買ったお茶です、おいしくなかったりしたら言ってくださいね」
それはありえません、朝比奈さん貴女の淹れた飲み物ならばどんなものでもおいしく飲み干す自信があります。
そんな事を話しお茶を飲みながらくつろいでいると、いつの間に移動したのか長門が俺の横に立っていた。
「今度はあなたが言うことを聞く番」
長門は突然言い出した。
こんな事を言い出すなんて初めての事だ、返答に困っていると長門が言葉を継ぐ
「探索の時にわたしと一緒になるようにして欲しいというあなたの願いは叶えた」
ぐ・・・・・・長門のやつまだ根に持ってたのか
「だから今度はわたしの番」
周りを見ると朝比奈さんは急須にお湯を注ぎながら呆然とし、古泉は相変わらずのニヤケ顔でこっちを興味深そうに眺めている。
ハルヒが居なくて助かった、というか居たら長門はこんなこと言わないだろう、恐らくだが・・・・・・
などと思っている内に長門に朝比奈さんが立ち向かう。
「な、長門さん、あれは確かにキョン君が悪いですけど・・・い、いきなり言うことを聞けだなんて・・・・・・」
「・・・・・・」
「えっと・・・あの、その・・・」
「・・・・・・」
「あうう・・・なんでもありませぇん」
すごすごとお茶汲みに戻る朝比奈さん。
長門よ、今、何気に睨んでなかったか?はたしてこれを変わってきた兆候と見て喜んで良いのだろうか。
朝比奈さん涙目で震えていたぞ、まぁいつものことだがな
長門がこちらを向き、多少の期待と悲しみの混ざったような眼差しで顔をこちらを見つめてくる。
「私の言うことを聞くのは嫌?」
そんなことはない、むしろ首を少し傾け上目遣いでそんな事を言われたら断る気も失せると言うものだ。
それに長門にはいつも助けられてばかりではあるし、俺に出来ることだったらいくらでもしたいくらいだ。
「それならば、明日は私と共に過ごして欲しい」
「共に、って明日も学校なんだが?」
「構わない」
俺としてはもっと色々言ってきて欲しいのだが、学校で一緒に過ごすだけでいいのだろうか。
明後日だったら休みだし朝から暇なんだがな、本当に明日でいいのか?
「いい、でも一つ保険をかけさせて貰う」
そういいながら長門は俺の背に手を回して抱きついてきた。
「保険って、なっ長門?!」
ここには朝比奈さんと古泉もいる部室な訳だが、どうやら長門は気にしていない様子
吐息が首筋に感じられる。
「じっとして、力を抜いて」
耳元でそう、囁かれる。
そして顎間接辺りから鎖骨の辺りまでツツツと舌を這わせられ
「な、ななっ?」
顔に血液が集まるのが感じられる。
そうされた瞬間全身の力が抜け、椅子に全体重を預ける事になった。
長門の後ろから顔を真っ赤にしながら朝比奈さんがこちらを見ているのに気づき視線が合った。
誤解しないでくださいね?好きでやってるんじゃないんですよ?まぁ嫌でもないですけど
そんなことを思いながら朝比奈さんと目線を合わせていたが、真っ赤な顔をして顔を伏せられてしまった。
不意に良い香りが嗅覚を刺激しだした、恐らく長門の髪の香りなのだろう。
良い香りがするな、と思っていると首筋に皮膚を突き破る感触、それでいて痛みが全く無いという矛盾。
この感触は一度体験している。
あの七夕の日、腕を噛まれた時と同じ感触、またナノマシンでも注入されているのだろうか、今度は一体どんな効果が・・・・・・
10秒くらいそうしていると
「――ッ!」
次は強く吸われる感じがした。
まさかとは思うがキスマークでも付けているのか?印がついてそれをハルヒにでも見られたら何されるかわからんのだが・・・・・・
てかこの状況も見られたらヤバイ?
「長門、これ以上は」
やめてくれ、と言おうとしたら、
お約束のように扉を親の敵のごとくぶち開け、颯爽と登場するのは我らが団長
「いやー!皆ごめんねー!掃除当番で遅れちゃ・・・・・・た?」
その団長の目線の先には、俺の首筋に顔を埋めている長門が、
そしてその周りにはお盆を抱えながらあわあわ言っている朝比奈さん、髪をかき上げながらいつものニヤケ面で笑っている古泉、
そして
「この、変態!バカキョン!皆の前で何してんのよっ!」
問答無用にハイキックを繰り出すハルヒ
どうして俺がこんな目に・・・・・・などと感想を述べていると見事なまでに綺麗に入るハイキック、しかも頭部。
ナイスキックハルヒ、お前は格闘家にでも転向すべきだな。
意識は闇の中に落ちて行った。
そして今に至る。
どうやら俺は気絶した後パイプ椅子を並べそこに寝かされたようだ。
それにしてもなんで長門に膝枕されているのかその辺りは本人に聞いたほうが早いだろう。
「わたしが勝ったから」
勝った?どういうことだ?聞きたい事がいくつかあるが、まずハルヒ達は居ない様だがどこに行ったんだ?
「涼宮ハルヒ、朝比奈みくる、古泉一樹の3名は1時間17分23秒前に帰宅した」
そうかそうかハルヒのやつ人を蹴るだけ蹴って帰ったのか、明日教室であったら文句の一つでも言ってやることにしよう。
「勝ったってのは?」
「涼宮ハルヒと朝比奈みくる、それにわたしの誰があなたが目を覚ますまで様子をみるかで口論となり、何か勝負事で決定する事になった」
何で勝負したかは知らんがそれで長門が勝ったと、それにしてもこんな時間まで残るなんて普通勝負に負けた方がやるんじゃないのか?
「・・・・・・鈍感」
「何か言ったか?」
「なんでもない」
その後、俺たちは誰もいなくなった文芸部部室に鍵を掛け、校舎を後にした。
無言で長門と共に通学路を歩きながら帰宅していたが、俺には一つ気になる事があった。
「そういえば長門、あの時保険をかけさせて貰うとかなんとか言ってたが、あれどういう意味なんだ?」
長門は突然歩みを止め俺の方へゆっくりと顔を向ける。
その顔は無表情、傍目にはわからないだろう、しかし俺にはわかる。
今、長門は動揺している。
「部室でも言ったがな、俺はお前にしてやれる事はなんでもしてやりたいと思ってるんだ、長門になら何をされたって笑って許せる自身はあるぞ」
俺がそういうと長門は俯き僅かながら頬を染めているように見えた。
少しの間そうしていると長門は顔を上げこう言い出した。
「あなたに情報因子の植え付けによる条件付けをさせてもらった、期間は1日効果は・・・・・・」
効果は?
「一定範囲内にわたしがいないもしくは視認出来ない状態になると満たされない、何かが欠けているという気持ちになる、一般的には寂しいをいう感覚」
次の日、天気は快晴、だが俺は朝起きるなり何かがぽっかりと無くなったような喪失感を感じながらダウナーな気分でその日は始まった。
そんな気分のまま登校し、いつもの坂を登っていると訳も無く涙が出てきそうになり、それを一緒にいた谷口にからかわれもしたが、反論する気も起きないほどに気分が沈んでいた。
しかし、それも校門前にいた長門の姿を確認すると一気に吹き飛んだ。
欠けていた何かが埋まるような感覚、それどころか多大な安心感と幸福感を感じ、すぐにでも駆け寄り抱きしめてやりたいとも思ったが公衆の面前なので駆け寄るだけにしておいた。
一緒に教室の前まできて扉を開けようとするが開かない、と言うより開けようとする気が起きない。
長門の方を向くと何か紙のような物を渡される。なんだこれは?
それを受け取り裏返してみると長門が写っている、どうやら写真らしい。
写真を見ていると安心感が沸いてくる、そうしているうちに長門は自分の教室に向かっていた。
長門のやつ俺がこうなる事を予測していたのか?写真だなんて準備が良い。
去り際に「予想以上」なんて呟いていたが一体何だったのか。
長門にもらった写真をブレザーの内ポケットにしまう。
少し寂しくなるが大丈夫だ、写真であろうと身近に長門の姿がある、それだけでも安心はできる。
写真でも良いと言うことは例の保険とやらは俺の心持ち次第なのだろうか、まぁ本人がいるほどの効果は無いようだが。
一度深呼吸をした後いつも通り5組の教室へ入ろうと扉を開ける。
するとそこにはハルヒがいつも通り腕を組んで立っていた。
「おはようハルヒ、良い天気だな」
「おはよう、キョン良い天気ね」
どうやら団長殿は不機嫌そうなアヒル口でそう返してきた。
「有希と何話てたの?」
どうして扉の前にいたのが俺と長門だと判別出来たのかはわからんが、とりあえず席に座らせてくれ。
自分の席に着くとそのまま俺は机に突っ伏した。
「ちょっと!あたしの質問に答えなさいよ!」
「昨日の礼を言っていただけだ、悪いがハルヒ少し気分が優れないんでそっとしておいてくれると助かる」
それに、誰かさんが頭に一撃くれたからな。
「うっうるさいわね!あれはアンタが悪いんじゃない!有希にあんな事させて!」
声が大きいぞ、気絶するほどの蹴りを繰り出すお前もお前なんじゃないのか。
「アレくらいで気絶するアンタが軟なのよ!まぁいいわ、それにしてもキョン、体調不良なんてSOS団員失格よ?しっかりしなさいよね」
大きな溜息を吐きながらそんな事を言う。
やれやれ、この団長殿は心配しているのか呆れているのかはたまたその両方か、まぁ1限目が始まるまで少し眠るとしようか。
ハルヒにばれない様に内ポケットに入っている写真を確認し、目を瞑る。
じゃあなハルヒ、おやすみ。
そうこうしている内に今日の授業が終わる。
今日は全く身が入らずただただ寂しさと戦っており呆けていることが多かった、長門と一緒にいれば大丈夫なんだろうが、正直もう写真だけでは限界だ早く会いたい・・・・・・
それにしても長門との一緒にいるという約束を破ってしまったのではないだろうか。
授業中はしょうがないとしても授業の合間の休み時間も昼休みも何故かハルヒが絡んできて長門に会えなかったからな。
それに長門の言う保険とやらの効果は1日だって言ってたしな、噛まれたのは部活、いや団活中だしもう少しで効果は切れるだろう。
部室棟を歩きいつも通り文芸部の部室に行く途中で珍しく長門に会った。
「大丈夫?」
「あぁ、貰った写真があったからなんとかな、それに今はお前が目の前にいるから大丈夫だ」
昨日の帰り道のように長門は僅かに頬を染め少し俯いていた。
それに団活中にでも例の保険の効果も切れるんだろう?
「切れない」
「なに?」
「効果が切れるのは明日の午前0時0分0秒」
1日って今日1日って意味だったのか・・・・・・
てことは家に帰ってまであの状態が続くというのか、今長門が傍にいるこの状況を失うのは遠慮したい。
もう写真だけで何とかなる自信は無いぞ・・・・・・
どうしようかと悩んでいる最中にブレザーの裾に後ろに引っ張る力が加わる。
「だったら、わたしの家に来れば良い」
「いや、しかし・・・・・・いいのか?」
「あなたの状態を考えるとわたしと離れないほうが良い」
こちらの目をしっかりと見据えながらそんな事を言われる。
微動だにしないその瞳に見つめられながら何か断る理由は無いかと探してみるが何も思いつかない。
それに長門が離れないほうが良いと言うのだから本当に離れないほうが良いのだろう。
仕方がない長門、世話になる。
「構わない、それにこれは・・・・・・わたしの願いでもある」
SOS団の活動が終わった後、長門の薦め通り長門の家に泊まる事になった。
部室では時折こちらの方を見るハルヒの視線が気になったがそれ以外は特に何も無く平和な時間だった。
帰りは長門と一緒に帰ることになった。傍にいる、写真ではない本物と。
一緒に晩飯の買い物をしにスーパーに寄る。
材料からするとカレーのようだ、しかも今回はレトルトではなく小麦粉からルーを作る本格派らしい。
しかし、やはりキャベツ玉が買い物籠の中に入っていたそれも2玉。
着替えを取りに一度家に帰るといったら「必要ない」と言われたのでそのままマンションに向かう事になった。
道中、何故か長門の一挙一動に注目してしまう。
普段と変わりないはずなのに、その一動作に心臓の鼓動が高鳴り、記憶に刻み込まれていく。
例の保険は長門がいなければ寂しくなるというだけの物ではなかったのか。
だとすればこの感覚は一体何なのだろうな。
そんな事をぼんやりと考えていると「良い傾向」という声が聞こえた。
長門の方を向くと首を横にちょこんと傾け疑問を返してくる。気のせいか?
長門の部屋に着く。
長門はすぐにキッチンに立ちカレーの用意をし始める。
俺も手伝おうか、と言ってはみたが断られた。
だからといってリビングで待っているだけでは勿体無い、何をしようかと思案していると料理中の長門に目が留まる。
相変わらずの北高の制服に真っ白な簡素なエプロンを着け料理をしている長門
食器棚から皿を取り出す長門
出来たカレーと千切りのキャベツを皿に盛り付ける長門
こちらを向き、驚いたような表情を浮かべる長門
長門、長門、長門、長門・・・・・・長門、有希
「大丈夫?」
はっ、と辺りを確認する、目の前には長門、キッチンには綺麗に盛り付けられたカレーと千切りキャベツ。
あれ、さっきは何を考えていたんだっけ?
「・・・・・・大丈夫?」
大丈夫だ、だからそんな顔はするな
少し眩暈がするが目頭を押さえ頭を少し振り、無視する。
「晩飯、出来たんだろ?早く食べよう、腹が減って死にそうだ」
心配そうにこちらを見つめてくる2つの眼がある、初めて会った頃に比べたら随分表情を読めるようになったものだ。
そんなことで感慨に耽っていると自然と頬が上がるのがわかる。
リビングに戻ろうとしたが体が動かない、それどころか床が近づいてくる。
フローリングの床にぶつかる瞬間、あぁ折角の長門の手料理を食い損ねちまうな、そんな事を考えながら意識は沈んでいった。
薄っすらと眼を開ける、何故か布団の中にいる。
俺は倒れたようだ。今布団の中にいるということは長門が運んでくれたのか。
どうやらまた長門に迷惑をかけてしまったらしい。
辺りは暗闇、だが傍で正座して座っているやつの姿は鮮明に見える。
その顔は悲しそうで、俺には何故そんな顔をするのかわからなかった。
「ごめんなさい」
何故謝る?声に出そうとしたが少し口が開いただけで発声にまでは至らず、身振りで伝えようとしたが寝返りすらも打てない。
「あなたの異常はわたしが施した条件付けによって引き起こされた感情の揺らぎによる、脳の分泌物異常によるものと思われる。効果が当初の予想以上だったとはいえ、あなたをこんな目に遭わせる予定ではなかった」
あぁ、そういえば人の感情ってのは脳内で生成される分泌物によってコントロールされてるってのは聞いたことあるな。
確かそれって劇薬と同じような物だったはずだ。使いすぎれば良くて廃人、げ、良く意識があるな俺。
「わたしはあなたを涼宮ハルヒに誰かにとられたくないと感じた、出来ることならば、あなたの・・・・・・心を、わたしに・・・・・・」
いつもの淡々としたような口調が乱れ、切れ切れに言葉を紡ぎだす。
長門の手が俺の頬をまるで壊れ物を扱うかの様に撫でる。
「こんな事をして許されるとは思っていない、けれど・・・・・・一人だけではわたしも寂しい、今だけ良い、わたしだけのあなたでいて欲しい」
長門の顔が近づいてくる。
静かに唇が重なり合い、舌が差し込まれる。体が動かないのが勿体無い
口内を舌で愛撫されているとその舌から唾液が流れ込んでくる。
それを飲み下すと途端に眠気が襲ってきた、必死に耐えようとしたが目蓋はそんな俺の意志に反してどんどん降りてくる。
「起きた時には体調は良くなっているはず、だ・・・安・・・・・・・て」
さて、一体どういうことなのだろうかこの状況は。
目を覚ますと胸の辺りに圧迫感を感じるから見てみればなぜか長門が上で寝ており、俺の上着はなぜか床に放り出されていた。
つい下も確認してしまうがちゃんと穿いているようだ。ほっとしながら長門の寝顔を見る。
なんだか猫みたいな奴だな、なんて考えていると自分の胸の辺りが所々赤くなっているのに気づく。
倒れた時にでも打ちつけたのか、まぁ気にしないでおこう。
昨日一日は大変だったな、それに寂しいをいうものを侮っていた。
何をやっても満たされない喪失感と孤独感、それは自分と言うものを曖昧にして何をするにもやる気がおきない。
それにそれを取り払ってくれる存在に出会えた時の幸福感は、相手に全て委ねても良い、そんな感覚だった。
そんな貴重な体験をさせてもらった礼をいうか、文句をいうか。
しかし幸福感とも喪失感とも違う、別の感情を感じたのも確かだ。
不意に昨日の寝る前の事を思い出した。
「一人だけではわたしも寂しい、今だけ良い、わたしだけのあなたでいて欲しい」
今だけだなんて事いわないで欲しい、それに寂しいのなら俺がいつまでだって傍にいてやるさ。
それにコイツがあんなに感情を表に出すなんて今まで無かった。
コイツは変わってきているのだろう少しずつだか確実に。
そうだ、決めた。
俺はコイツを支えてやろう、何の力も無いただの一般人の俺がどれだけ支えになってやれるかわからないが。
何より今は俺が支えられてるとも言えるからな、まぁその辺りは追々何とかしていくさ。
それに昨日は長門をよく知る事が出来た。
長門が身動ぎするのが伝わってくる。そろそろ起きるのか。
さて、この寂しがりやな宇宙人が起きてきた時、昨日の事は気にしないよう伝えるべきだな。
だったらする事は決まっている。
――そう
長門が目を覚ます。
――最高の笑顔で
「おはよう長門、いい朝だな」
「・・・・・・おはよう」
――コイツを迎え安心させてやれば良い
END