「んだよ…これ…」  
 
 
朝起きると、昨日以上の激痛が腹に走る。  
…そういや2日目が一番酷いってなんかで見たような…。  
あー。ダメだ。これは学校とかそういう問題じゃない。起き上がることすら困難だ。  
 
激痛に悶えながらベッドの上でごろごろしてると…。  
 
「おーい!迎えに来たよー!」  
 
迎えに来てくれたのか。  
でも、俺は玄関まで行く気力も無ければ大声を出す力も無い。  
どーしたもんか…。  
 
 
「もう、寝てんの?ほら、さっさと起きる!」  
 
勝手に上がってきた。…まぁ元々こいつの家だしな。  
 
「ちょ、ちょっと待ってくれ、ハルヒ…。ちょっと今日は無理だわ、これ…」  
 
「何?またダウンしてんの?」  
 
「これはちょっとシャレにならん…。お前こんなん耐えて今まで生きてきたのか?」  
 
「そんなに辛いと思った事無いけどねぇ。アンタが大袈裟なんじゃないの?」  
 
大袈裟なんかじゃない。神に誓ってもいい。これは生理痛とかそんなレベルじゃない。  
多分俺の腹にエイリアンかなんかが入ってるんだ。  
 
一瞬頭の中に浮かんだ長門の姿を振り払って前のハルヒを見る。  
 
「ったく。しょうがないわね。私も付き合ってあげるわ。」  
 
「え?だって学校…」  
 
「休むわよそんなもん。こっちのが大事でしょ。」  
 
「ハルヒ…」  
 
「あ、ち、違う!私の身体が!ってこと!」  
 
必死に否定する。  
 
「すまん…今日は動けそうに無いわ」  
 
「ん。わかってる。私に任せなさい!それぐらいやったげるわ」  
 
「すまん…なんかお前に頼ってばかりだな、俺」  
 
「いいわよ。むしろどんどん頼ってきなさい。」  
 
もしかしたら世話焼き資質があるのかもな。  
 
 
その後は食欲無いと言ったらお粥作ってくれたり  
生理痛和らげる薬持ってきてくれたりと色々世話を焼いてくれた。  
 
「ほんとに生理痛なの、それ?病院行ったほうがいいんじゃない?」  
 
「いや、薬飲んだら大分楽になった。多分大丈夫だ」  
 
「そ。…あーなんか一仕事終えたら眠たくなってきちゃった。ちょっと入れて、そこ」  
 
「バ…お前、駄目だっつの。狭いだろうが。」  
 
「いいじゃん。ま、駄目だって言っても無理やり入るしね」  
 
「だー。もう。勝手にしろよ」  
 
無理やり入ってくる。…2人では狭すぎる。  
 
「…なぁハルヒ」  
 
「…」  
 
「ハルヒ?」  
 
「…」  
 
早えぇよ。寝るの。  
 
つーかこっち向いて寝るな。顔が近ぇよ。  
 
「…おい、ハルヒ」  
 
「…」  
 
本気で寝てるのか。  
 
あー…。アップで自分の顔見てたら昨日のおぞましい記憶が蘇ってきた。  
思い出しただけでも寒気がする。  
 
そういやキスされたのはこいつの身体だっけ。  
…なんか腹立ってきたな。  
 
おや、こんな所に丁度いい具合の唇があるじゃないか。しかも眠ってやがる。  
前に一度やってるし…。問題無いよな?いや、無いはずだ。きっと。  
うん。浄化しよう。そうしよう。  
 
 
すっと目を閉じて唇を近づける。  
 
「……キョン」  
 
「ぬわっ!」  
 
起きてたのか。  
 
「何しようとしてたの?」  
 
ニヤニヤ笑いながら聞いてくる。分かってるクセに。  
 
「別に。眠いから寝ようと思って目を閉じただけだ」  
 
「ホントに?」  
 
「ホントに」  
 
「ふーん…」  
 
「んだよ」  
 
「こういう事しようとしたんでしょ?」  
 
すっと唇を重ねられる。  
 
「な…!」  
 
「何よ。自分でやろうとしてたくせにやられたらパニくっちゃって」  
 
「だって…」  
 
「でも、やっぱりアンタの身体だとなんか違うわね。」  
 
「…」  
 
「決めたわ。元に戻ってアンタにあったらイの一番にキスしてやる。なんかこのままじゃおさまらないわ」  
 
「んだよそれ」  
 
「いいじゃない。約束するわ。」  
 
いや、そんな約束されても。  
 
 
 
「あーあ。でもアンタはいいわよね。ダンクも出来るしウザったい生理も無いし」  
 
「お前のがいいよ。勉強も出来るし、スポーツ万能だし」  
 
『でも…』  
 
ふと声が重なる。  
 
「やっぱり俺は俺でいたい」  
「やっぱり私は私がいいわ」  
 
 
目が合う。なんだか…その目に…吸い込…ま…れ…  
 
 
「…ん」  
 
 
辺りを見渡す。見慣れたベッド。見慣れた部屋。枕元で寝るシャミセン。  
鏡を見る。…俺の顔だ。間違いない。  
 
…なんか、長い夢でも見てたようだな。  
 
「キョーンくー…。なんだ起きてる。つまんないにゃぁ」  
 
シャミを抱いて部屋を出る妹。いつもの日常だ。  
 
 
 
クソ長くて疲れる通学路を谷口を喋りながら教室に入る頃にはあれは夢だと思うようになってた。  
…あいつが来るまでは。  
 
 
そのあいつは珍しく、チャイムギリギリに入ってきた。  
そして俺の後ろの席に座ると同時に  
 
「ね、キョン」  
 
「んだよ」  
 
俺が振り向くと同時に壊れた万力みたいなバカ力で俺の頭を掴む。  
と、同時にハルヒの顔が近づいてきて…。  
 
「お、おい、ちょ、ハル…!」  
 
 
たっぷり30秒はそうしてただろうか。  
教室中の視線を集めるのは十分すぎる時間だった。  
 
 
そしてやっと解放された。  
 
「おま、何する…!」  
 
そいつは満面の笑顔でこう言った。  
 
 
「だって、約束したじゃない!」  
 

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