『鶴屋さんの観察』  
 
やっほーっ! みんな、元気かいっ?  
今日はあたし、鶴にゃんがSOS団のみんなを紹介するっさ。  
キョンくんだと身内への遠慮が入るからねっ。  
SOS団をよく知ってるごく普通の一般人であるあたしにおまかせ!  
 
「おっはよーん、みくるっ、今日もがんばってるかい?」  
「あ、鶴屋さん」  
教室に入ったらみくるがいたから、最初はみくるから紹介するっさ。  
朝比奈みくる。あたしのクラスメイトのめがっさかわいい、抱きしめたくなるような女の子っ。  
「わふっ、ひゃっ、つ、鶴屋さん、もまないでええ」  
「あははっ、軽いスキンシップスキンシップっ」  
ちっこい体に見合わないおっきな胸を持ってて、そこをハルにゃんに買われてSOS団に勧誘されたんだよねっ。  
最初の頃はあたしに泣きついたり愚痴ってたりもしてたけど、いまは楽しい毎日を過ごしてるみたいだ!  
親友のあたしとしても、悲しそうなみくるはみたくないからね。ほっとしてるのさっ。  
まっ、いろいろとコスプレされることに関しては、いまだに愚痴ってるんだけどね。  
 
「あっ、そだ。みくる、今日終業式のあとでクリパやるんだって?」  
みくると体育館へ移動しながらキョンくんのことで盛り上がってたら、思い出した。  
すっかり忘れるところだったさっ。  
「うん、なんで知ってるの?」  
目をまんまるくするみくる。  
「ハルにゃんに誘われちゃってさ。あたしも参加させてもらうよっ」  
「わあ、鶴屋さんがいっしょなら、もっと楽しくなりそう」  
手を合わせてうれしそうにしてるみくるを見てるだけで、あたしもうれしくなっちゃうよ。  
「あっはは。そういうわけでさ、授業が終わったらいっしょに部室まで行こうっ」  
「うん。あとは成績表の中身さえ良ければ、楽しいパーティになるんだけど……」  
たまに高校生らしいこと言ってるけど、棒読みなんだよねえ。  
でも、本人はそう思ってない気がするから、あたしも指摘はしないっ。  
「みくるなら大丈夫! あたしが太鼓判を押しちゃうよ」  
みくるは優等生ってタイプじゃないけど、努力家なのはよーく知ってるからね。  
 
おやっ。体育館の入り口が見えてきたと思ったら、向こうから見覚えのある顔が歩いてきてるね。  
相手もこっちの姿を認識したのか、にこやかな笑みを浮かべてるっさ。いつもそうかもしんないけどっ。  
手をぶんぶん振って、呼びかけちゃおう!  
 
「おーい、古泉くーん」  
あたしの呼びかけに近寄ってきて、如才ない笑みのまま口を開く古泉くん。  
「鶴屋さん、おはようございます。朝比奈さんも」  
古泉一樹くんはSOS団の副団長さんなんだよね。  
学年はあたしたちよりひとつ下の1年生。笑顔がトレードマークの色男っ。  
たしか春先に転校してきたんだったかなあ。うちの女子がキャーキャー騒いでた気がするっさ。  
見た目はいいのに、前に出ることがあまり好きじゃないないばーで、縁の下の力持ちって感じだねっ。  
そこんところが奥ゆかしいとか紳士的とかで、隠れファンもそこそこいるらしいよっ。  
あたし? あたしは、あはは。  
 
「おはようっ、一樹くん、今日もいい男だねっ」  
元気よく言うあたしとは対照的に、みくるったらかしこまっちゃって、  
「古泉くん、おはようございます」  
「ちょいと、みくるぅ、もうちょっと先輩らしくしなよー」  
みくるはSOS団唯一の上級生なのに、腰低すぎ。  
そんなんだからハルにゃんにおもちゃにされるのにね。  
「ふえっ、え、えと、古泉くん、お、おはよ」  
みくるにしてはがんばったほうかなあ。  
古泉くんはそんなあたしたちのやり取りをほほえましく見てたけど、あたしのほうを向いて、  
「そういえば、鶴屋さん、今日はよろしくお願いします」  
「ほいほい。みくるといっしょに向かわせてもらうにょろよっ」  
あたしと古泉くんの会話を聞いたみくるは不思議そうな顔をして、  
「あれ、古泉くん、なんで鶴屋さんが来ることを知ってるんですか?」  
古泉くんが返事をするより先にあたしが答える。  
「みくる、いつか合宿のこと言ってたしょ。そいであたしが一樹くんに別荘空いてるよって打診したのさっ」  
「それを僕は渡りに船と思い、鶴屋さんを伴って涼宮さんに話したわけです。涼宮さんは大変喜んでいました」  
ナイスフォローっさ、古泉くん。  
「そしたら名誉顧問の腕章とともに、クリパにご相伴預ることになったってわけっ」  
さらに付け足す。  
「だからさ、合宿も参加させてもらうよっ。楽しみだねー」  
不思議そうな顔から納得げな表情になって、笑顔に移る様は見てて楽しかったっさ。  
 
終業式はクラスごと、男女ごとに整列しないといけないから、古泉くんとは入り口でお別れっ。  
おしゃべりしてた分、遅れちゃったみたいで、もうほとんど整列しちゃってるなあ。  
みくると急いで並んでから、きょろきょろと見回す。  
いたっ。長門っち、有希っこ、どっちでもいいけど立ちながら本を読んでるからわかりやすいっ。  
長門有希ちゃんに関しては、あたしあまり知らないんだよね。  
1年生で古泉くんやキョンくん、ハルにゃんとはまた別のクラスにいて、趣味はたぶん読書っ。  
たまにあたしが部室に乱入しても、いつも本を読んでるっさ。  
小柄で寡黙、表情もそんなに動かない感じで、笑った顔や怒った顔を見たことないねー。  
あとは意外と足が速かったりして、ハルにゃんが「有希は万能選手」って言ってたっけ。  
なんとなく、キョンくんにホの字なのかなって思ってるけど、これは読みすぎかも。  
 
次にめっけたのはハルにゃん。周囲の誰ともおしゃべりせずに腕を組んで前を見据えて、っていう  
傲岸不遜な態度を取ってる女子なんてハルにゃんしかいないっ!  
涼宮ハルヒちゃんはSOS団の団長さんで、普段はなんだか難しい顔をしてるっさ。  
かなりかわいいだけに、もったいないなあってあたしなんかは思うんだけどね。  
性格はどんどん前に進んでいくタイプかなっ。春先から色々騒動を起こしてたから  
学校中にハルにゃんの名前は変人として知れ渡ってるけど、実際付き合ってみたら行動や言動が  
突拍子なだけで、中身は常識人を地でいくような人だと思ったねっ。見てて飽きないのは確かっ。  
ハルにゃんなくしてSOS団はありえないね。団員もみんなハルにゃんのことを心の拠り所にしてるっさ、たぶん。  
 
ハルにゃんの後姿を観察してたら、頭が横に動いた。どっかを見てるみたい。  
ははーん。あたしにはその視線の先に何がある、いや誰がいるのかわかっちゃった。  
だってハルにゃんの横顔が、どことなく優しそうに見えたからっ。  
その先にいたのは、SOS団最後の団員、キョンくん。何回か会ったことのある友達とだべってるね。  
キョンくんは、言っちゃ悪いけど古泉くんほど美形でもないし、みくるのような愛嬌もないし、有希っこみたいに  
ミステリアスは雰囲気を背負ってもいないし、ハルにゃんと肩を並べる変人ってわけでもない、普通の男の子。  
かわいい妹くんがいるからか、気の優しいお兄ちゃんって感じるときもあるけどね。  
でも、キョンくんはSOS団のみんなから慕われてる。見てるこっちがうらやましくなるぐらいにっ。  
自分では気付いてないかもしれないけれど、果報者だよ、キョンくんは。  
ただ、ひとつだけ不思議なのは、キョンくんの本名をあたし知らないんだよね。こればっかりは謎だっ。  
 
「いこっ、みくる」  
「うん」  
放課後、といってもまだ午後にもなってないけど、みくるといっしょに部室へ。  
成績はどうやらあまり悪くなかったらしいっ。よかったよかった。  
 
部室のドアを開けたら、有希っこが椅子に座って読書をしてた。  
有希っこの頭に三角帽子がのっかってるのを見て、クリスマスなんだなあ、って思っちゃった。  
「やっほー、有希っこ、みんなはどこだいっ?」  
有希っこは顔を上げ、あたしのほうを見て首を上下させてからぽつんと、  
「買い出し」  
「買い出しか! あたしもうおなかぺっこぺこっ」  
あたしがおなかを押さえる仕草をしていると、ゆるゆると有希っこの視線は本に戻り、また読書を始めた。  
もう慣れっこだけど、この態度がダメって人もいるかもしんないなあ。  
合間を見計らったかのように、みくるがかばんを置いて、  
「それじゃ、あたしは服を着替えて準備しなきゃ」  
メイドさんの衣装に手をかけるみくるに、あたしは後ろから近寄って抱きすくめちゃった。  
「手伝うよっ。さあさっ、脱いだ脱いだっ」  
「えっ?」  
そう言って、おもむろにみくるを脱がしにかかる。ふふふふん。  
「わわっ、つ、鶴屋さん、手伝ってもらわなくてもあたし自分で」  
「まあまあ、厚意は受け取っておくものだよっ」  
コートを剥ぎ取られたみくるは手をばたばたさせながら、抵抗してるけど、ムリムリっ。  
「こんなのは、涼宮さんだけで十分なのにー」  
「ハルにゃんはオッケーであたしはダメだっていうのかいっ?」  
わざといじわるく聞いてみる。スカートを脱がされまいと手で抑えていたみくるは半泣きで、  
「そうじゃないけど、そうじゃないけど……」  
「そんならあたしにまかせなさいっ」  
「ひえええっ」  
みくるの悲鳴も、聞く人がいないと意味ないなあっ。  
 
「さて、まずお皿を並べるのかなっ?」  
「ううっ、鶴屋さん、ひどい……」  
髪を少しほつれさせたメイドみくるがよろよろと机に寄りかかる。すると読書をしていた有希っこが、  
「食事は後」  
読書を続けながらもあたしの言葉を聞いてたみたい。  
「後?」  
「そう」  
「じゃ最初に何すんのっ?」  
ページをめくりながら有希っこはあたしの疑問に一言で、  
「芸」  
「誰が?」  
「あの人」  
それで誰のことかわかったけど、味気ないなあ。  
「あの人ってどの人?」  
あたしの言葉に有希っこはやや間を置いて、  
「……涼宮ハルヒとクラスメイトのSOS団員」  
ちょいと有希っこがかわいく思えてきた。  
「それって誰さ?」  
「古泉一樹ではないほうの男子SOS団員」  
「って?」  
「わたしと図書館に行ってくれた男子生徒」  
「わたしの部屋に上がった男子生徒」  
「わたしを案じてくれた人」  
「わたしが重要視する人」  
ぽろぽろ暴露してくれるのに、肝心なことは答えてくれない。あたしはついに聞いてみた。  
「つまり、名前はっ?」  
有希っこは、じっとあたしを見てた目線をずらし、視線を泳がせる。  
「……」  
こんな有希っこ初めて見た。そのまましばらく時間が流れたあと、  
「……キョン」  
恥ずかしいのか、ぽつりとつぶやいた。  
 
もうちょっとからかってやりたかったけど、買い出しに行ってたハルにゃんたちが帰ってきたので見合せ。  
この二人だけといっしょだと、いたずらしたくなっちゃうなあ。鶴にゃん反省っ。  
「ん、鶴屋さん?」  
ハルにゃんをハイタッチで出迎えたあたしを見て、買い物袋を提げたキョンくんが疑問符を上げる。  
「やあ、キョンくんっ。今日はあたしも参加させてもらうよっ」  
「ああ、そうなんですか」  
「芸してくれるんだって? 楽しみにしてるにょろよっ」  
芸≠ニいう言葉に有希っこがぴくりと反応したのが、またかわいいっ。  
キョンくんはというと、苦いコーヒーを飲んだような顔で、  
「ええ……」  
あらら、あまり自信がなさそうな返事だね。  
同じく買い物に行ってた古泉くんが荷物を置きながら、  
「僕も楽しみにしていますよ。あなたの芸などそうそう見る機会がありませんし」  
「期待すんな」  
ぶっきらぼうに答えるキョンくん。  
ハルにゃんはハルにゃんでにやにやしながら、  
「なに言ってんの。今日のパーティはあんたのジョークが唯一の出し物なのよ。精々がんばんなさい」  
「プレッシャーもかけんな。あと精々とか言うな。これでも昨晩はどうするか散々悩んだんだぞ」  
「あはははっ」  
やっぱ楽しいね、このメンツはっ。  
 
みくるがめげずにいそいそと準備してくれてたおかげで、パーティの準備は万端っ。  
「メリークリスマス! かんぱ〜い!」  
ハルにゃんの音頭で、しゅわしゅわ音を立てる液体入りのコップを打ちつけあう。  
「んぐ、んぐっ、ぷはーっ、うまい!」  
一気飲みしたあたしのグラスにすぐさまみくるがついでくれる。  
「みくる、悪いねえ、あたしがこんな体じゃなけりゃもっと楽をさせてやれるのに、ごほっ」  
「さっき無理矢理脱がせたくせに……」  
ほかの人には聞こえないように、こそっと毒を吐くみくる。  
「あははっ、それは言わない約束だよみくるー」  
 
「わははっ、いやー、キョンくんのトナカイ芸は面白かった!」  
「鶴屋さんだけですよ、笑ってくれたのは」  
情けない顔をしながら言うキョンくんを見てたら、また笑いそうになっちゃった。  
キョンくんがやった芸はあらかじめトナカイに扮してする芸と決められてたらしく  
トナカイの着ぐるみを着たキョンくんが、右往左往しながら慌てふためく芸だったっさ。  
ちなみに一応ストーリーがあったらしく、サンタさんに使われてたトナカイが  
ある日サンタさんがいないことに気付いて、サンタさんを捜し求める、というものっ。  
「しっかし、あちこち探したのに、すぐそばにいたってのは傑作だったねっ」  
「仕方ありません。トナカイと縁のない場所だったんですから」  
んー? 妙に感慨深げに言ってるけど、  
「あれってもしかして実話?」  
「さあ、どうでしょ」  
なにげなく言ってたけど、あたしは見逃さなかったね。  
キョンくんがSOS団のみんな、特にハルにゃんと有希っこを見たのをさっ。  
「ふーん、へーえ、ほーお。ま、そういうことにしとこっか」  
キョンくんの肩をばんばん叩いて、この話はこれで切り上げる。  
 
「それより鍋、なべっ、ハルにゃんまだかいっ?」  
メインディッシュは鍋とのことで、机の上にはぐつぐつ煮立った鍋がおでましっ。  
「そろそろかしら……うん、いいみたいね。どうぞ!」  
鍋奉行という腕章をつけたハルにゃんが、肉を串でつっついたりしてから、オーケーサインを出した。  
そしたら突然、空気を切り裂くような速度で箸が動き、あっという間にアンコウさんをお椀に移し変え  
その次の瞬間にはアンコウさんは口の中へ消えてたっさ。  
「……」  
もぐもぐと口を動かしているのは、有希っこ。相変わらずの無表情だけど、なんだか使命を  
成功裏に果たし終えたあとのような、いい表情をしてるようにも見えるっさ。  
ハルにゃんも、ちょっとびっくりしてたけど、あたしにも衝撃的だった。  
そう、鍋は戦場だということを、あたしはすっかり忘れてた。  
「有希っこ、あたしは負けないっさ!」  
箸を右手に、お椀を左手に、あたしの戦いが始まった。  
 
なーんてねっ。  
「はぐっ、むぐっ、これめちゃウマっ! ハルにゃんいい料理人になれるよっ」  
鍋は楽しくみんなでつつくのが一番なのさっ。  
有希っこも、アンコウを最初に食べたかっただけみたいで、そっからはぼちぼち箸を動かしてた。  
「キョン、これできてるわよ」  
「すまん」  
ハルにゃんは楽しそうに鍋奉行を務めてるみたい。キョンくんのお椀に白菜を移して  
また鍋を監視してるね。こういう役が向いてるんだろうなあ。  
「みくるちゃん、お野菜の追加お願い!」  
「はあい、すぐに入れます」  
みくるは鍋奉行の補佐。ハルにゃんの指示にてきぱき応えてる。  
なんだかそうやってるときがいちばん幸せそうに見えるね、みくるは。  
「古泉くん、ちゃんと食べてる?」  
「ええ、これほどおいしいものを遠慮する人間ではありません、僕は」  
古泉くんもいつもよりリラックスしてる気がする。  
いっつも笑ってる古泉くんだけど、笑ってる下の苦労を少し知ってるだけに、ちょっとね。  
別荘提供するよって提案したときに見せたほっとした顔は、忘れられない思い出さっ。  
「有希、もっと野菜も食べなさい!」  
「……そう」  
有希っこは、最初に会ったときからいちばん変わったと思う。  
ハルにゃんみたいにわかりやすくないけど、それだけにちょっとした変化が新鮮だ!  
キョンくんのことだって、鍋のことだって、新しい有希っこの一面を見れてうれしかった。  
「こらー、キョン、それはまだできてないの! こっちにしなさい!」  
「そうか」  
キョンくんは、さっきから有希っこを気遣ってるみたいなんだよね。  
どうしたんだろ。ハルにゃんは敏感だから、あまり見てばっかりだと文句言われるぞっ。  
「鶴屋さん、楽しんでる?」  
「モチのロンだよっ!」  
ハルにゃんの鍋をつつきながらの質問に、あたしは笑顔で答えた。  
 
あっという間に鍋も空っぽになって、お開きの時間になっちゃった。  
「鶴屋さん、あたしたち有希の家で二次会するんだけど、来ない?」  
ハルにゃんが申し出てくれた。  
うれしいんだけど、そういうわけにもいかないねっ。  
「ごっめーん、あたしさ、どうしても抜けらんない実家のパーティがあるから、パスっ」  
実家のパーティはほんとだけど、別に抜けられないってことはなかったんだよね。  
でもさ、合宿にもあたし同行させてもらうんだし、団員だけで過ごす時間があってもいいじゃない、ねえ?  
「えっ、鶴屋さん、来れないの?」  
「うん、ごめんよう、みくる。合宿最初に日にどうだったか報告しておくれっ」  
きっと、楽しい報告になるだろうね。  
あたしは、それを聞ければ、満足だよっ。  
「残念ですね。鶴屋さんとこの楽しいひとときをもっと共有したいと思っていましたので」  
「あははっ、それは合宿のときに、ね? 古泉くん」  
「そうしましょうか」  
古泉くんとは、お互いに笑みを交換する。  
「鶴屋さん、別荘に押しかけることになってしまって済みませんね」  
「いいんだよ、キョンくん。あたしもみんなと遊べるほうがうれしいっ」  
これは本当さっ。  
「……合宿で」  
「有希っこも、楽しんできなよっ」  
自発的に声をかけてくれただけでもありがたいっ。  
「それじゃ、鶴屋さん、合宿の日にまた会いましょう。今日はありがと!」  
「こっちこそ誘ってくれて大感謝だよっ。ハルにゃん、またねー」  
両手を振って応える。ハルにゃんを筆頭に、SOS団のみんなは手を振りつつ、坂を下っていった。  
 
みんなが見えなくなって、急に寂寥感が沸いてくる。  
いまから走っていって、やっぱり参加させてって言ったら、喜んで迎えられると思う。  
でも、それだと団員と変わらないよね。団員になったときの楽しさもあるんだろうけど  
こうやってちょっぴり離れたところから、みんながわいわいやってるのを眺める楽しさもあるしょっ。  
あたしはたまに参加させてもらうのがいいなっ。  
最初に会った頃のキョンくんならどうかな、あたしの意見に賛同してくれたかも。  
いまのキョンくんは、してくれるとは思わないけどねっ。  
 
「さーて、帰りますかっ」  
みんなっ、SOS団のこと、少しでもわかってくれたかな?  
こんなに楽しい人たちと知り合えて、あたしは幸せものだっ!  
 
(おわり)  
 

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