今日もいつも通り、ハルヒの提案によるSOS団の休日を盛り上げて行こうという、突発的なイベントに  
強制参加を虐げられた俺たちは、いつも通りの待ち合わせの駅から少し遠出をすることになった。  
 
 
しかしこの場で俺は、何かの能力を手に入れてしまったことを、お伝えしておこう。  
簡単に言うと、逆サトラレだ。  
 
そんな電車の中での一コマを綴る。  
 
朝比奈視線  
 
あーうぜぇ。今日も糞涼宮の馬鹿とんでもねぇ企画の強制参加のお陰で、前々から目論んでいた、キョンくんの自宅私室へ無法侵入計画の遂行を来週に見送ることになっちまったじゃねーか。まぁ、今日は愛しのキョンくんが来てくれているから我慢はしてやるが、  
もし、キョンくんがいなかったらまっさきに糞涼宮を八つ裂きにしていただろうよ。その後はTPDD使えばなんとかなるしな。  
 
で、今は電車のホームにいる。糞涼宮の発案で今日はちょっとした小旅行をすることになったんだよ。  
私はキョンくんと二人っきりでデェトできるということをひたすら妄想し、その後どうやってこじつけたらホテルへインできるのかを模索しながら、  
ホモ泉と無口宇宙人を一瞥する。  
こいつらは敵だ。上辺では仲間とか言ってやがるが、実際のところそんなわけない。  
つい一昨日も宇宙人と超能力者の仲間を袋叩きにしてやったところだ。ざまあみろ。  
 
糞涼宮のセクハラ行為にひたすら我慢し、あぁこれがキョンくんだったら一瞬で昇天できるのにと思いながら、キョンくんに視線を向けていたが、  
畜生め。あのホモ泉がニヤけた顔をしてキョンくんと話してやがる。しかも、幾度か私に視線を送っては、キョン君くんへは絶対向けないであろう、いつもとは違った糞ムカツクスマイルで口の端を曲げてきやがった。  
あとで覚えてろよ。  
 
古泉目線  
 
はてさて、今我らSOS団は、駅のホームにいまして、涼宮なんとかの急すぎる企画に強制的に連れ出され、あの火球を顔面にぶつけてやろうと思ったのですが、  
マイスイートのキョンさんがきていらっしゃったので、あえて抑えてキョンさんへといつものスマイルを向けて差し上げる。  
あぁ。そのまた嫌そうな表情を僕をそそるんですよ。イケナイ人だあなたは。  
 
電車が来るまでの待ち時間、役に立たない未来人が胸を涼宮なんとかに揉まれているところを一瞥し、僕の自慢の笑顔を愛しのマイスイート、キョンさんへと向けては、未来人へ「どうです?」  
と言わんばかりの作り顔をかましてやりましたよ。  
キョンさんの隣に無口宇宙人がちゃっかり位置していたので、更なるアプローチには失敗しましたが、まぁ、いいでしょう。  
この会合が終わったら、真っ先にあなたを抹殺してあげましょう。代わりはいくらでもいそうですしね。  
 
長門目線  
 
やっほうっ!今日も元気な有希だよっ!今日はハルにゃんの企画で、皆で旅行することになったの。  
私の一番好きなキョンくんも来てくれるっていうんだからもう大変!  
今日は二人っきりでいようね。とか言えたらいいなぁ、と思いながらこっそりキョンくんの隣でそっけない振りをしながら本を読むの。  
キョンくんが、「何の本読んでるんだ?」って話しかけてくれるだけで、私の心臓は臨界点を超えんばかりの鼓動を行って、  
眼を見て素直に話すことができないの・・・。はぁーあだよもう。  
でもね。私はこれだけでも十分幸せだよっ!でも、も、もし、きょ、今日のデートでキョンくんとホテ・・・・。  
ふぁあ、考えたらまた顔が赤く・・・。  
なるところを、キョンくんに気づかれないよう、緊急冷却ファンを回転させ、急激に顔の体温を下げる。ふぅ、危ない危ない。  
 
で、今は駅のホームにいるんだけど、目の前でキョンくんとお話してる、ホモ野郎の存在はなんとも言えないけど、でもでも更なる問題女。腹黒未来人が今、ハルにゃんに捕まってて  
ほんとにざまぁみろ!って感じだよ。ずっとそのままハルにゃんといればいいのにねっ。  
まぁ、今はこのホモ野郎をキョンくんの目の前で潰す分けにはいかないから、今日のデートの終わりにでも情報操作でもして、未来人と超能力者を消しちゃおっかなっ。  
 
 
すまん。俺の聞き間違いならいいんだが、どうもそういうワケにはいかないようだ。  
だ、誰か助けてくれ・・・俺のSOS団員へのイメージが音を立てて崩れてゆく・・・・  
一体何が起こっているっていうんだ??ハルヒの悪ふざけとはいかなさそうだ・・・。  
 
 
そして電車がやってくると、表には到底見せそうにもないそれぞれの思惑を胸に、  
お互いに笑いあい、話をしながら電車へ乗る。  
電車の中は人が少なく、5人が余裕で座れるスペースがあり、俺は現実逃避したい気持ちを抑えつつ、ゆっくりとシートに座る。  
 
すると、また逆サトラレが始った。  
 
「よし、糞涼宮の拘束から逃れたぜ。以外に乗客は少ないな。あっ、キョンくんがシートに座った!隣のポジションゲーーーーーーット!!そして、この自慢の胸をキョンくんの腕に・・・・。あはぁ。想像しただけで、熱い何かが・・・・」  
俺は鼻血が出そうなのを抑えつつ、朝比奈さんを見る。  
当の本人はにこやかに俺を見てこちらにやって来る。  
 
すると、今度は別の声が聞こえてきた。  
「おっと、腹黒未来人はキョンさんの隣で薄汚いブツをなすりつける作戦ですか。  
まぁ、いいでしょう。女方にはキョンさんの隣を特別に譲ってやることにし、  
僕は彼の正面に立って、美しいお顔を目的地に到着するまで網膜に焼き付けることにしましょう」  
寒気がした。俺は決して顔を上げるないことを心に誓い、後ろの車窓の景色へ目線を映した。  
 
次はハイテンションなありえない声が聞こえてきた。  
「電車だ。電車だっ!わーい。キョンくんの隣だぁ。今度もこっそり本を読む振りしながら、キョンくんのかわいいお顔を30秒単位で気づかれないように観察して、目と目が偶然にあわないかなーって、思いながらやってみよっ。あはっ楽しみ」  
・・・・・マジで助けてくれ。俺は唯一の救いであるハルヒを見たが、当の本人は、長門の隣で  
いびきをかきながら、グースカ寝てやがる。  
 
勘弁してくれ・・・・・。  
 

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