『涼宮ハルヒの消失をp.20まで嫁。話はそれからだ』  
 
「いつまで寝てんのよ! 起きなさいよっ!」  
ハルヒの馬鹿でかい声が部室に響く。  
「まったくこのエロキョン! みくるちゃんのパンツ覗こうとするなんて、あんたには  
二億五千六百万年早いわ! さてはワザとね、ワザとなんでしょ」  
キョンはゆっくりと立ち上がるとハルヒを正面から見据えて、言った。  
「お前が急に開けるから悪いんだろうが。これは事故だ、事故。それに足しか見えなかったっつーの。  
(む、まだ少し遠いな)  
なのに俺のことをなんだって?エロ?  
言ってくれるじゃねえか。  
じゃあ、男子高校生がどれくらいエロいか、教えてやるよっ!」  
キョンが豹が獲物に飛び掛るがごとく突進する。  
「(だが、狙いは既に身構えて防御体制に入ったハルヒじゃない)」  
「ふえっ!?」  
ムニュウ そのような音をその場に居た全員が聴いた気がした。  
真っ直ぐ伸ばされたキョンの右手人差し指が、みくるの左乳房を突き刺していた。  
北国のコスチュームにしては布地が薄いその赤い服の上に盛られた見事な二つのかまくら、  
そのひとつが、その美しい曲線を保持したまま、ブラックホールの特異点のごとく中心を窪ませている。  
「………な、ななななな、何してんのよ!?アンタっ、その手を離しなさい」  
ズッと、ハルヒがキョンに詰め寄る。  
「(来たな。…三歩、二歩、一歩 今だ!)」  
キョンはハルヒに振り向きつつ、腕を雲のごとく流れるように移動させる。  
諸手を体の正面に並べて構え、掌が朝顔の花が咲くがごとく柔らかく開かれ──  
「撃壁背水掌ッ!」  
その掌にハルヒの胸の膨らみが吸い寄せられるように納まった。  
ふにっ そのような音を(以下略  
「…なるほど。雲のように自由な動きなら、さすがの涼宮さんにも読めないということですね」  
古泉が呟いた。  
並の女なら、そこの腰を抜かしたみくるの様に茫然自失としてしまうだろう。だがハルヒは並みの女ではない。  
「ッ、このっ!」  
バックステップで距離をとりつつ、すぐさま上段回し蹴りを放った。  
足が鞭のようにしなり、美しい弧を描いてキョンの側頭部に吸い込まれる。  
──スッ──  
だが、ハルヒのつま先がキョンに触れることは無かった。  
なんとキョンは元Jrミドル級世界チャンピオンばりに上体を反らし、蹴りをかわしていた。  
「ふっ、今までの俺の行動、すべて囮だァっ!すべてはこの瞬間のため。  
貴様に自ら俺の目の前にパンツを晒させるためよ!フハハハハハハハハァ!」  
さすがのハルヒもあまりのショックでその場にへたり込む。  
「白地に赤のリボンのワンポイントか。なかなか可愛い趣味してるな。  
だがお前の脳みそ同様、子供っぽい趣味だぜ。次はもっと色っぽいパンツを履いて来なっ!クカカカカ──ッ」  
笑いながらキョンは風のようにその場を去った。  
「キョンの、ばか─────っ!!」  
ハルヒは涙目だった。  
 
 
 −完。先生の次回作にご期待ください!!  
 

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