「みくるちゃん、スカートに何かついてるわよ」  
「え?」  
振り向くと、涼宮さんがあたしの制服スカートを指差していた。  
差された辺りに目をやると、スカートの裾に何か白っぽいものがこびり付いている。  
なんだろう。指先で触ってみると、ちょっとごわごわする感じ。  
「なにかな、これ」  
そう呟いてから、気が付いた。  
「あ、あれです――」  
「やっぽー、みっくっる〜、いる〜?」  
「――液、だと思います。やだなぁ、付いちゃったんだ。う〜ん。あ、鶴屋さん」  
そう言って、部室のドアを開いたまま立っている鶴屋さんに返事をしようとして、  
涼宮さんの様子がおかしいことに気が付いた。唖然としてると言うか、愕然としていると言うか。  
うまく言えないけど、ぽかんと口を開けている。  
どうしたんだろうと考えていたら、口をぱくぱくさせて、  
「せぃ……? ぇ、えき…………?」  
と搾り出すような声で訊いてきた。  
「え? あ、あの、その、今日のお昼休み、ここでキョンくんと……」  
その瞬間、急に涼宮さんが真顔になって、  
「キョンが!?」  
そう叫ぶなり、物凄い勢いで部室を飛び出して行った。どうしたのかな。  
 
「や、やあ、みくるっ。ハルにゃん、どーしたにょろ?」  
鶴屋さんがびっくりしたような顔で、こっちを見ている。  
「え? よくわかんないです。お昼休み、ここでキョンくんとって言ったら、急に……」  
「へぇ。どうしたんだろうねっ? ハルにゃん、みくるに嫉妬でもしてるのかなっ?」  
「そんなぁ〜、キョンくんには、童話の挿絵を手伝って貰っただけですよぉ」  
「童話? ああ、文芸部の機関誌かいっ?」  
「うん。没ばっかりで、もう時間もないし、大変なんで、少しでも早く書き上げようと  
お昼休みもここで挿絵を書いてたら、キョンくんも小説書きにやって来て、  
それで、少し手伝って貰ったんだけど……」  
 
そう言うと鶴屋さんが、少しにやけた顔をしたので、慌てて、続けた。  
「べ、別に二人きりじゃないですよ。古泉くんも長門さんも一緒だったし」  
例の会誌作りで、みんな大変なことは、涼宮さんが一番よく知っているはずなのに。  
 
「ふ〜ん、なるほどっ。じゃあ、どうしたんだろうね。あれ? みくる、それなにっ?」  
少し考え込むような顔をした後、わたしのスカートを指差す、鶴屋さん。  
「これ? さっき涼宮さんにも訊かれたんだけど」  
「ふんふん」  
「たぶん、修正液です」  
きっと、お昼にキョンくんと挿絵を直してたときに、付いちゃったんだ。  
「しゅう、せい、えき?」  
「うん。挿絵にペン入れするとき、よく間違えるから」  
そう言って、これってクリーニングでちゃんと落ちるのかなと、ぼんやり考えていると、  
鶴屋さんが、急に何かを我慢しているような表情になり、肩を震わせたかと思ったら、  
「……ぷ、ぷ、ぷひゃひゃひゃ〜、みくる〜、君は最高だっ、うわっはっはっはっひゃ」  
大声で、おなかに手を当て笑い出した。そして、目尻を拭いながら、  
「は、早く逃げたほうがいいっさ、みくるっ。って、ふっ、ふぁはっはっはっはっ」  
そう笑いながら、部室を出て行った。  
 
ふぇ? なになに? 何が可笑しいの?  
と言うか、鶴屋さん、あたしに何か用事があったんじゃないの?  
 
三十分後、真っ赤な顔をした涼宮さんが、目の下に痣のあるキョンくんと一緒に戻ってきて、  
鶴屋さんの言葉の意味が理解できた気がした。  
 
ごめんなさいキョンくん。でもでも、あたしが悪いんじゃないですよぉ。  
 

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