『合理主義』
教室をちらっと覗いてみる。中には誰もいない。
「ちっ、やっぱりイタズラだったか。誰かに見つからないうちにとっと帰ろう。んっ?」
窓際後ろから2列目の席、そこはちょうど彼の席だったが、その席の向こうの窓が開いていた。
彼がそれを見つけてしまったのは偶然か、それとも運命だったのか。
「しょうがねえな」
彼は教室に入り、窓に近づいた。
「…あれ?初めて気づいたが、長門のマンションてここからよく見えるん──」だな…
最後の言葉は発せらることはなかった───言い終わるより早く、風を切る音と共に飛来した見えない何かが
彼の喉を壊れた蛇口にしていた。
ゴボゴボと音を立ててどろりとした赤い液体が滴る。
「タ─────ン」
遅れて乾いた音が待ちに響くが、彼の耳がその音を聞くことはもうなかった。
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「さあ、涼宮さんはどう出るかしらね。フフフフッ」
−終