今日も私の本を閉じる音が合図になってSOS団の活動が終わる。
最近また溜まり出した原因不明のエラーのせいで重い体を揺らしながらなぞる今日の事。
家の前まで来て気づいた事は無くした鍵と猫背の私。
あなたに話したいことは山ほどあるけどなかなか言葉になってくれない。
話せたとしても伝えられるのはいつでも、本当の気持ちの少し手前。
耳障りな電話のベルが鳴る。
「よぉ長門。元気か?」と尋ねるあなたの声。
私の気持ちなんか何も知らないくせに。
私の事なんか明日には気にしないくせに。
そのひとことが温かかった。
私の事なんか何も知らないくせに。
原因不明のエラーのせいで疲れた心の毛布で隠して
溜息でなぞる今日の事。
くしゃみをして気づいた事は今日買った本と読まない私。
話したい事は山ほどあるけどなかなか言葉になってくれない。
…もう寝てしまおう。私でも夢を見るんだろうか。
もし見れるなら、底抜けに明るい夢を見てみたい。
目を閉じると思い出す。
「元気か?」と尋ねるあなたの声。
私の事なんか知らないくせに。
私の事なんか明日には気にしないくせに。
そのひとことが優しすぎた。
優しすぎて、言葉も出ない。
ねぇ。
私の事なんか何も知らないくせに。
私の事なんか明日は気にしないくせに。
あなたの声が温かかった。
私の事なんか…。
あなたの事なんか…。
あなたに話したいことは山ほどあるけど
あなたには話さないと決めたこともある。
電話の後で私が涙を流したことも
いつまでもあなたは知らないまま。