いつも通り、ハルヒが部室のドアを勢いよく開け、開口一番に  
「凄い物を手に入れたわよ!」  
と嬉々として叫んでいる。その片手にはボロボロの紙切れ。なんだそれは。  
「こいつはスゴイ財宝の在処なのよ!!」  
ちょっと見せてみろ。  
なんだこりゃ、いかにも胡散臭くて安っぽいし、財宝なんてあるわけないだろ。  
でもハルヒにとっちゃあ宝の地図ってだけで宝物みたいなもんだな。  
「こんどの日曜は、お宝探しよ!!」  
信じきったハルヒはとうとう、その真偽を確かめるため、動き出した。  
俺は言ってやったね。  
「お前はデタラメの地図に目が眩んでるだけだ。やめとけ」  
間髪いれずに  
「うるさいわね!行くって言ったら行くのよ!」  
結局、俺たちはお宝捜しに付き合うことになった。  
 
その日、俺たちは当てにならない地図を見ながら、ありもしないお宝探しをしていた。  
でも、なんだか小さい頃を思い出して、なんだか・・・そう。懐かしい気持ちになった。  
長門は無表情だったが、何も言わずハルヒに付き合っていた。  
古泉は  
「いやあ。童心に還りますね」  
朝比奈さんは  
「なんだかロマンチックですよねぇ」  
なんて言っていた。  
それはどこまでも酷く胡散臭くて安っぽい宝の地図だった。  
だが、宝の地図ってだけで、それ自体で、誰にだって宝物になっちまうのかもな。  
なんて鼻が曲がりそうになる臭いセリフを考えていた。  
金銀財宝なんて誰もが耳疑うような馬鹿でかい夢物語でも、  
ハルヒがあると信じたなら、あいつのことだ。自伝だって書き残すだろう。  
俺たちが公園を散策していると、雨が降ってきた。結構強いぞ。  
「おい、ハルヒ。今日はもうやめにしよう。こりゃ大降りになるぞ」  
と俺が言うと、ハルヒは  
「何言ってんのよ!お宝が見つかるまで帰らないわよ!」  
どうやら、ハルヒの覚悟の前には俺なんて大した障害じゃないらしい。  
夢の終わりはあいつが拳を下げたときだけ、みたいだな。  
 
すると―――  
「そうですね。ここまで頑張ったんです。きっとありますよ」  
古泉がいつもの口調で言い放つ。  
続いて朝比奈さんが  
「もうずぶ濡れだし、それにもし宝物が見つかったら素敵じゃないですかぁ」  
とずいぶん楽しそうだ。  
長門、お前はどうなんだ。  
「もんだいない」  
気付けば誰もが宝捜しに夢中になっていたようだ。  
「ほら、みんなこう言ってることだし、キョン、あんたも手伝うのよ!」  
 
死に際の騎士 その手にグングニル  
狙った物は  必ず貫く  
 
そんな歌詞の歌があったな、なんて思い出しながら、  
「しょうがない、ここまでやったんだ。付き合ってやるぜ」  
と最初はバカにしていた宝の地図を信じて、財宝を探す事にした。  
 
俺たちは今、嵐のような雨の中、ありもしないお宝を捜し求めている。  
傘を差した通行人が、変な目でこちらを見たり、クスクス笑ったりしている。   
例え世界の誰もが俺たちを、ハルヒを笑おうとも俺は決して笑わない。  
 
財宝だってそのうち見つかるだろ。  
 
    ハルヒ  
なんせ、世界の神が俺たちの味方だからな。  
 
Fin  
 

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