『古泉一樹の溜息』
あなたの選択肢は二つある。
私とともに宇宙をあるべき姿へと進行させるか、
彼女に味方して未来の可能性を摘み取ることである。
本来我々への選択肢だけであれば
あの日彼が階段から転落し意識不明になる事で話が終わるはずなのに
何故彼が世界改変が行われた事や時間移動した話をするのか?
言い換えれば何故彼を過去に飛ばしたり
未来からの助けが必要な流れにしたのか?
何か漠然とした疑問が湧き出す。
彼女は我々だけでなく未来人にも選択肢を提示したという事か?
そして未来の朝比奈みくるは自らの未来でなく彼を助けるべく動いたと…
なるほど…
彼はどの程度にこの事が重大であったか理解しているのだろうか?
我々も彼も未来の朝比奈みくるに関しては余り信用していなかったが…
とはいえ今後遭遇するであろう未来の朝比奈みくるもまた信用出来ないのだが…
とりあえずあの日の件について彼がどの程度認識しているか確認すべきだろう
適当にタイムパラドックスの話を流しながら
あの日の核心部分に彼がどの程度迫っているか話を振ってみる。
まずは階段の件からズバリ犯人を指摘してみる。
超能力者うんぬんのときの方がまだマトモな話だと言うような顔をしている。
超常現象を日頃目の当たりにしてるとしても思い当たるという事がないのだろう
理由についてまで話が発展していくのも望ましくないので
ここは仮説という事で話を納めるべきか
そして未来の朝比奈みくるの件にも質問を投げ掛けてみる。
やはりこちらに関しても完全に見当外れな答えが返ってきた。
彼は自分が死ぬことがあの日の規定事項だったとは気付く事はないだろう
そして消えていった未来の朝比奈みくるの想いに気付かない方が幸せだろう