「チュウしてもいいですよ」  
 
ほんの冗談のつもりだったんです。  
それに、彼は優しい人だから本気にはしないだろうと・・・  
呆気に取られてわたしを交互に見る姿が可愛いと思ったのもつかの間でした。  
 
あ、ここでいうわたしは正確にはわたしではなくて高校に通っていた頃の  
わたしです。要するに過去のわたしですね。って説明するまでもないですよね。  
ええと。それで、その。しばらくして彼は・・・キョンくんはおもむろに・・・  
過去のわたしの・・・その、口を・・・  
塞いだんです。  
 
さっきも言ったように、まさかと高をくくってたんです。  
お姉さんぶって彼を困らせちゃおうというほんのいたずら心でした。  
だけど、彼はわたしが思っていたよりずっと男の子だったんですね。  
キョンくんはあの、最初はただ口をくっつけるだけだったんですけど、  
そのうち・・・過去のわたしが起きないということを悟ったのでしょうか。  
それだけじゃ満足できなくなったみたいで、あの・・・  
 
あの、もう許してはもらえませんか?・・・だめ、ですか・・・  
 
そ、それから彼は、わたしの口の中に、し、舌を・・・ねじこんで・・・  
わたしの。は。はの・・・うら、がわ・・・なめ・・・て・・・あ、あぁぁぁぁぁ・・・  
ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・もう・・・これ以上・・・思い出したく・・・  
 
 
ご、ごめんなさい、大丈夫です。  
止めようと思えば止められたと思います。でも・・・できませんでした。  
最後にはわたし・・・年甲斐もなくわんわんと泣き出してしまいました。  
気が付いたときには彼の記憶を消去していました。  
 
あの後目覚めたわたしは・・・その、うう・・・下着に・・・違和感が・・・あって・・・  
覚えがなかったということは、つまりそれまで知らなかった、  
ということですから・・・本当に、その・・・ショックでした・・・  
 
 
 

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