またこの学校に戻ってきました01
朝 倉「朝倉涼子です。皆さんまた仲良くして下さいね♪」
その瞬間、俺の頭は真っ白になり身体がカチンと固まっちまった。
あの冬の日の様に、わめき出さなかったのは不思議だったが。
岡部に続いて入って来たその女は、相変わらず校内でも一二だろう美貌に、
特に男子生徒なら必ず蕩けてしまう様な優しい笑顔を浮かべた…
岡 部「あー。知っての通りお家の都合で、カナダに転校していった朝倉涼子くんだ」
岡 部「戸惑う事も多いだろうから、みんな気を配ってやってくれ」
そんな心配は無用だろうぜ。
再転校の挨拶に、はにかむ表情の愛らしさは誰をも魅了するに違いない。
数少ない人間…俺を除いてな
岡 部「じゃ、空いてる席に座って貰おうか」
わがクラスには、他ならぬ朝倉自身が残した空いた机が一つある。
その空席に向かう朝倉は、左右のかつて仲が良かった娘らと小さく手を振りあい、
無言で笑顔を交わしながらその空き。すなわち俺の隣の席に着いた。
黒い殺意の霧が徐々に広がり這い寄るかのような嫌悪感が背筋を走る。
飛び上がって叫び出さないのは、二度目の馴れのおかげか?
朝 倉「キョンくん。お久しぶり!クラス替えまでの少しの間よろしくね♪」
+
涼 子『今度はアナタに取り入って涼宮さんの願いをかなえる為にやって来たの!よろしくね』
今度こそ何故飛びあがらなかったんだろう?この化物の隣で!
そう。後の言葉は俺の頭に直接響いてきたのだ。
涼 子『おあいにく様。アナタの横に座ってる美少女♪は全く普通の人間よ』
涼 子『特にアナタに関心が有る訳では無いし、情報操作能力も無し』
涼 子『アナタを殺そうとした記憶も無いし、インターフェースだった記憶すら無いのよ』
涼 子『その普通の女子高生に乗り移ってる「私」だけが、言わゆる宇宙人よ』
涼 子『アナタが毛嫌いしても当然な悪魔だよね』
キョン『お前…、俺の頭の中を…』
涼 子『そうよ。お見通しw』
涼 子『前と違って、今じゃ涼宮さんが潜在意識を実現させる為の妖精みたいなものになっちゃったの』
涼 子『誰も居ない放課後の教室にもう一度呼び出したって来てくれ無いだろうしね』
涼 子『こうやってアナタの身体反応を抑制して話しかけてる訳!』
キョン『…情報操作…、か』
涼 子『違うわw今度はアナタを殺そうとしたりしないから安心して♪』
涼 子『なにしろ今のアタシは涼宮さんに創られたんだから』
涼 子『私を信用出来なくても涼宮さんの事なら、まぁ信頼してるでしょう?』
キョン「おま…」
涼 子『駄目!実体に話しかけたら。その子は普通の人間なのよ』
朝倉「なに?キョン…くん?」
涼 子『私を罵りたくても頭に思い浮かべるだけにして』
涼 子『ほら!不思議そうな顔してアナタを眺めてるじゃない。さっさと校庭でも眺めて誤魔化して!』
朝倉「なによ。もう‥ん?私の勘違い?」
キョン『ふっ。お前が俺になにかさせたいなら、前の様に俺を操ればいいじゃないか』
涼 子『そこが違うンだなあw。今のアタシはそんなに大した力は無いの。』
涼 子『せいぜいあなたの感情や反応を高めたり鎮めたり出来るだけね』
涼 子『とは言っても私に隠し事なんか出来ないわよwあなたの記憶を探る事なんて簡単に…あらぁ。へぇー』
涼 子『キョンくんって、私をオカズにした事有るんだねwwしかも1回じゃ無いんだwふふふ♪スケベ!』
キョン『く!お前なぁ!』
涼 子『仕方ないよねー。だって目立ってカワイイ…と言うか絶対に愛される様に作られた女なんだもんww』
涼 子『欲情くらいしたって当然なのよw』
涼 子『でも良いのよ。今回はアナタの想い通りにさせて上げる』
キョン『お前はいったい何を…』
涼 子『良いんだって!一発ズブってハメちゃってよ。ちゃんとバージンだからwww』
涼 子『嫌がるオンナの身体へ強引に押し入るのって、男はとってもイイんでしょう?』
涼 子『ふふふ♪まぁそれが今回の私の役目でもあるし』
涼 子『繰り返すけど今の朝倉涼子は、全くの普通の女のコよ。』
涼 子『あなた未来人じゃない朝比奈みくるや宇宙人じゃない長門有希にも会った事あるでしょ。あんなものよ!』
涼 子『それになんと今度は親すら居て、あの505号室で同居しているの』
涼 子『しかも人間に絶対愛される様に造られた完璧な性格から、特殊なワタシの…』
涼 子『時には破滅的な存在が抜き取られちゃって』
涼 子『根っこで変に主体性が無い、ただただ好い人って状態なの』
涼 子『だから無理矢理とか少々悪どい手を使ってでも一度モノにしちゃったら、もう簡単にメロメロになるわねぇ』
涼 子『そう、もう何だってあなたの言いなりな、凄く都合の良い女が手に入るわよw』
キョン『そんなモン要らん!』
涼 子『あらぁとっても便利よ?アナタに首ったけで、なのにちゃんと控え目な』
涼 子『例えばアナタが他の娘と付き合ってて、気の向いた時だけやらせろって酷い身勝手を言ったとしても』
涼 子『喜んで脚を開いてアナタの欲望を迎え入れるようなそんな女』
涼 子『そんな扱いをされたって、ホントもういそいそと、あなたのお弁当を毎日かいがいしく作って来るような女のコw』
涼 子『全くもう愛人体質とでも言うのかしらね』
涼 子『ましてちょっとでも優しくされたら、もうしっぽを振ってアナタに尽くすでしょうね♪』
涼 子『要らない?そんな便利なオンナ』
キョン『なんの罠かはしらんが、あいにく俺は女のコにそんな扱いをする趣味はなくてな』
キョン『それに妖精だぁ?ファウストの悪魔の持ち出す契約の様にしか聞こえないな』
キョン『たった一つのこの世での願い事と引換に永遠の魂を騙し取るメフィストフェレス』
キョン『詐欺師には用は無いよ。他をあたんな』
涼 子『罠ねぇwへぇー売り手は信用してなくても、商品については中々興味がお有りのようね♪』
涼 子『はいはい、ごもっともごもっともw』
涼 子『でもね。それ、ちょっと違うの。詐欺師…じゃないかどうかは自信無いけど』
涼 子『コレッてたった一つの願いをかなえて貰う為に、私の全存在を差し出しても平気な取引なのね』
涼 子『ほらぁ、私には死の概念が無いでしょ?』
涼 子『第一アナタにそんな気がカケラもない事なら、私にはどうしようも無いのよ』
涼 子『繰り返すけど、私に嘘や誤魔化しは通用しないわよ。まぁゆっくり楽しませて貰うわ♪』
キョン『そんないいかげんな話で誤魔化されるより、お前が再登場なさった理由の方を聞かせて貰いたいな』
キョン『ハルヒに関わる今回のお役目とか、たった一つの願いとかな』
涼 子『そんなの追々話して上げるわよ。私はその為に来たって言ったでしょ』
涼 子『その中にはあなたへの説得もちゃんと入ってるわよ、ソレを説明出来なきゃ私は無意味な存在なんだもの』
涼 子『それより、細かい話に入る前に長門さんや他の人に相談して来たら?』
涼 子『その方がこっちの話の信憑性が高まるわ』
キョン『言われなくともそうするつもりさ』
キョン『まぁ確かに以前よりはお前さんに落ち着きが欠けるようにも見えるしな』
涼 子『キョンくん。キョンくん。それ話が逆よ。ちらちらアナタを気にしてる事を言ってるんでしょうけど』
涼 子『違うわよ。逆にアナタがちらちら見るもんだから意識してるんじゃない』
涼 子『あーあ。りょーこちゃんのロストバージンは早速決定かあ』
涼 子『誘導したのは私だけどあんなに可愛い娘なのにもうかぁーw』
涼 子『せいぜいボロボロにして可愛がってあげてね♪ww』
涼 子『早速休み時間になったら話し掛けられるだろうから頑張ってね〜』
キョン『勝手に言ってろ。しかしなんだな。こんな日に限ってハルヒが休みってのは吉なのか凶なんだか』
涼 子『とりあえずアプローチがしやすいからワタシには吉ね♪』
涼 子『まぁ今はそろそろ話が込み入ってアナタがブツブツ独りごとを言い出す前に切り上げるわ』
涼 子『あと身体ごと私がアナタに話し掛ける時はポニーテールにして近づくからそう思っておいてね』
涼 子『まぁ携帯電話で話すふり、なんかでもいいんだけど!じゃ』
なんとまあ…目まぐるしい状況の変化だぜ。
あまりの急展開に、ぜんぜん頭がついて行かない
テレパシーによる交信で宇宙人と…今は妖精か…授業中に会話するだなんて、
俺の頭がおかしくなったって考えた方が納得出来るじゃないか
しかしハルヒが関わってるとなればなんでも有りだからな
なんて言ってたかな
〔ハルヒの潜在意識の願望を満たす為に、俺に取り入って何かをさせる妖精として現れた〕だったかな。
そして横に座ってる朝倉涼子は普通の人間で、妖精に操られてるんだって?
なんかロクでも無い事になりそうだなあ
涼 子『あ!潜在意識にキョンくんの事が気になる様に、今すりこんでおいたから』
涼 子『話しかけてくるってより、絶対にアプローチされるからね』
キョン「やかましい!」
朝 倉「ご、ごめんなさい。別に涼宮さんとキョンくんが付き合ってるかとか聞きたかったんじゃ無いのよ。ただ欠席してるから聞いただけよ」
しまった。ホームルームはもう終わって、朝倉がなんか質問して来たのか
え、えーと
キョン「すまんすまん。ちょっと考え事しててな。相変わらずカワいさ満点の女のコが隣の席に来たんで舞い上がっててな」
えっ!、おい
朝倉「やだあ。キョンくんどうしたの?そんな口の回るタイプだったっけ」
キョン「カワイイ花は先手必勝。他の悪い虫がつく前に摘み取っておかないとな」
ちょっとちょっと何を言ってんだオレ
朝倉「へー。強引〜!キョンくんってそんなタイプだったんだ。私、さっさと花びらを散らされちゃうの?www
でもまぁ、そう言う強引なのも嫌いじゃないわよww」
キョン「朝倉って、見た目は誰にでも優しそうだけど、意外と身持ちが固くて一途そうだからな。
狙うんなら素早くしないと誰かに奪われちゃうかもってね」
こ、これは…
朝倉「カナダでも随分アプローチはされたわよ。でもそうねぇ、ちゃんと身持ちは固かったかなw」
朝倉「だけど普段は無愛想なのに私にだけ積極的に迫ってくれるようなヒトにならちょっとなら心を許しても良いかなあwふふふ♪」
キョン「大丈夫大丈夫。ちょっと心を許してくれたら、グイグイつけこんでメロメロにしてやるよ(笑)」
涼子…お前か
朝倉「あら。随分勇ましいわねぇ私なんか簡単にモノに出来るって威勢の良さじゃない。
チャレンジャーねぇwじゃあ、少し釣られてあげようか」
朝倉「私ね♪今日は久しぶりに誰かと一緒に食べようとお弁当とおやつ、余分に持って来たの。ね♪一緒に食べない?」
キョン「余分って、それ。以前の四人あたりで久しぶりに食べる積もりだったんだろ。
遠慮しとくよ。それより放課後どっか行こうぜ。ハルヒが休みだから俺も久しぶりにフリーだからな」
谷 口「国木田」
国木田「どうしたのさ、そんな眼で睨まれちゃ怖いよ」
谷 口「お前は誰かを呪いたいって思ったこと無いか?」
国木田「その目を見たら遠慮するよ」
谷 口「ちなみに俺はあるぞ。それは今だ」
谷 口「俺がキョンを眼力で呪い殺しても誰も責めたりしないと思うぞ」
国木田「穏やかじゃないなあ。誰だって遠慮すると思うよ」
谷 口「いいや、断言できる!」
国木田「どうしてさ」
谷 口「誰でもそう思うからに決まってるじゃねえか!あのエロキョン野郎に」