俺は現在、今までの人生で……
いや、訂正。多分一生のうちで一番の屈辱を味わっている。
簡単に言おう。
俺は今、床に座り込まされている。
ついでに言うと、下半身は脱がされている。
ん?座り「込まされてる」がわからんだと?
要するに、座った状態のまま動けないってことだ。
もちろん、縄で縛られてるわけでも、強力接着剤で固定されているわけでもない。
となると、これを出来るのはただ一人って訳で。
そしてその一人は、自発的に俺をそんな目に遭わす奴ではない。
じゃあ何故?と思うだろう。
その答えは簡単だ。
その一人、長門は「あいつ」に命令されてやった。
そう、目の前にいるあいつだ。
くそったれ。俺がもし動けたなら、あいつの顔がボコボコになるまで殴ってやったのに。
いや、俺じゃなくとも男なら誰だって今の状況であいつをぶっ飛ばすな。
そしてあいつは俺を見下げながら、堂々とパイプ椅子に座ってやがる。
その笑いをやめろ。ムカついて仕方がない。
動けないことよりも、下半身丸出しよりも、もっとも屈辱的というかムカツク目の前の状況。
右に長門、左に朝比奈さん、そして下にハルヒを従えてるあいつは……
「どうしました?怖い顔して」
その爽やかスマイルで俺をあざ笑っているのは、小泉一樹、そいつだった。
目の前の状況を説明しよう。
正直、読者諸君がこの風景を見れないのが俺には惜しい。
見ることが出来た男なら、必ず俺の同志になると断言していいからな。
俺の見ている、見せられている状況。
顔を真っ赤にして、必死に小泉のモノを咥えているハルヒ。
その大きな胸を揉まれ、寄りかかるようにしている朝比奈さん。
そしてあの長門でさえ、目をトロンとさせて小泉の頬をペロペロ舐めてやがる。
最後に、小泉の顔はいつもの爽やかスマイルだ。
うわ。コイツ、絶対、殺す。
俺が心に誓ってしまうほど、ムカツクね。これは。
「この状況を作り出すのには苦労しましたよ。『機関』の費用がどれくらい飛んだと思ってるんですか?」
知らん。つーかこんなつまらんことに使わず、まともに使いやがれ。
「朝比奈さんが一番簡単でしたね。抵抗できないようにして調教しましたら、
恐怖心から頭が真っ白にでもなったんですかね?白痴のように従順になりましたよ」
この……俺のエンジェル、朝比奈さんを……
「次に涼宮さんですね。彼女は薬を使ったら案外素直になりましたよ。
一度鼻を挫けば、マゾっ気が強くて面白かったです」
くそ。ハルヒ!お前も人にあんだけ命令してたんなら、簡単に奴隷になるなよ!
「長門さんにはかなり苦労しましたね。最初は全然反応無さげに見えましたから。
でもTFEI端末にも、人と同じように性感があったのは驚きです。ホント言うと少し諦めかけてたんですよ」
くそくそ。長門までこうなるとは……
俺の頭は、沸点に達しているのか、それとも絶望で絶対零度なのか。
とにかく、目の前の小泉ハーレムが許せん。
今俺が死んだら、絶対小泉を恨み殺せる自信がある。
「屈辱的ですか?そりゃあそうですよね。あなたが好意を寄せている3人を全て僕が堕としたのですから」
くっ……コイツ白々と……
「こいつら3人が墜ちたなんて俺は認めんぞ!」
「おやおや。目の前の状況から現実逃避ですか?」
……認めたくない。
ハルヒも、朝比奈さんも、長門も、認めん。
3人とも、幸福そうな顔してるなんて俺は絶対認めん。
俺の頭がトチ狂って、そう見えるだけだ!
「でも、あなたの体は正直みたいですよ?3人の痴態を目の前で見て」
指摘されて気がつく。完全に興奮しきっている俺の分身。
違うだろ、俺!落ち着け。静まれっての!!
「あなたが悪いのですよ?自分がモテモテだと思い上がってたんじゃないですか?」
「何だと!?」
「大体あなたはおいしすぎるんですよ。この板じゃ僕の面目ないじゃないですか。
……と、これは私事でしたね。忘れてください」
「はぁ!?」
「とにかく、あなたがつけあがっているからこうなるんですよ。僕の気持ちも知らないで……」
何だ。勘違いに嫉妬か?
言っとくが俺は全然モテてねぇ!
「嘘をつかないでください。あなたは気づいているんでしょう?
涼宮さんも、朝比奈さんも、長門さんも、みんなあなたに好意を寄せてることに」
「知らねぇ!んなこと!」
「まあ、いいでしょう。敵は捕まえた。僕の気持ちも果たせそうです」
敵とは俺か?俺はお前に恨まれるようなことはした覚えがないぞ。
お前の気持ちを晴らすって、俺はさらに屈辱を味わうのか!?
何をされるんだ……一体……
イライラしながら小泉の口が開かれるのを、じっと俺は見ていた。
そして、小泉は俺へ無情な宣告をする。
「ようやく僕は、あなたを手に入れることが出来そうですね。」
……はい?今、なんつった?
「僕はあなたのことが好きなのに、あなたはいつもこの3人のことばかり。
でも今、敵は僕の奴隷です。僕らの間に邪魔は入りません。」
あの〜……小泉?もしもーし?
なんかすっげぇ薔薇の花が散っているのが見えるんだが、気のせいだよな?
「あなたに屈辱を味わわせ、完全に屈服させて僕のものにする。
楽しみですね。あなたが従順になる、そのときが。」
そう言って小泉が指を鳴らす。
するとハルヒ、朝比奈さん、長門がフラフラとこっちに歩いてくる。
おい、ちょっとマテ。なんだその手に持ってる怪しげな道具は!?
危ない。マジで洒落にならんからやめろ、な?な?
尻が悪寒に震えるじゃねぇか。
おい、やめろ。いや、やめてください。マジで。
こら、近づくな、やめろ!やめてくれぇぇぇっっっっ!!!
「ふふふ……あなたは調教のしがいがありそうですね。」
続かない