「好奇心は猫をも殺す」その3  
 
今日は俺の人生最大の厄日だ。  
朝っぱらから女と口論だ。まあ色恋のいざこざなら、武勇伝のひとつにでもなるかもしれん。だが相手が悪い。なにせ涼宮ハルヒだ。北高  
では知らないやつはいまい。いやピアノコンクールで日本一とかそういう華々しい類のものじゃない。SOS団なる奇妙な団体を立ち上げて  
わけのわからない活動を全校規模で行っているとんでも女、という要注意人物としてだ。  
そんな女と口論だ。そのへんの人から見ればなんと無謀と思われることだろう。  
・・・いや、見られたくなかった。担任の岡部に制止されてようやく、実にしょうもなく恥ずかしいことでハルヒと口論していたことに気付かさ  
れたのだ。  
 
「それはそれは、クラスメイトの方々もさぞや対処に困ったことでしょうね」  
文芸部室へと続く旧校舎の階段で古泉が苦笑する。  
朝の大喧嘩で懲りたかと思ったら、ハルヒは休み時間のたびに俺のちんこの具合を聞いてくる。大丈夫だと答えると寂しそうな顔をされる  
俺の気持ちにもなれ。ハルヒが来るまでの少しの間でも気を休めたいぜ。掃除当番が長引いてくれりゃあな。谷口のやつがゲロでも吐いて  
くれないものかな。  
「俺たちが一番乗りか」  
朝比奈さんのお茶を頂きたかったが残念だ。谷口、頼むからゲロ吐いてくれ。  
「ところで古泉、おまえも他人事じゃないぜ」  
オセロを用意する超能力者に忠告する。ハルヒは団長の務めとしておまえの面倒も見るとぬかしてやがったからな。  
「それはつまり、僕が勃起してたら涼宮さんが抜いてくれるんですか?」  
・・・朝比奈さんがまだ来てなくてよかった。間違いなく朝比奈さん特製のお茶をこのニヤケ面に吹きかけてしまうところだった。  
「抜く、とかストレートな言い方はやめろ」  
でもそういうことですよね、と古泉。おまえこのあいだから頭のネジがゆるんでないか。  
「ふうむ、涼宮さんはどうやら先日あなたに肉体をいいように弄ばれた後から心境に変化が起こっているようですね」  
とっさに目をオセロに逸らす。・・・どこまで知ってるんだ。  
「いやあ、あれは鬼畜そのものでした。あなたにそんなサドっ気があったとは」  
古泉はどこか茶化すような口ぶりだったが言い返せん。いまだ箱から出されないオセロに手を伸ばそうとしたとき  
「でも、本当に涼宮さんが僕のちんこを鎮めてくれるとおっしゃるのならお願いしてみましょうか」  
古泉もオセロに手を置いてきた。その目には妙な圧迫感があった。  
 
「それは推奨できない」  
 
唐突に声が聞こえてきた。その声には聞き覚えがあった。俺がハルヒに連れられて初めてこの部室に来たときにもこんな声を。  
「長門?」  
いつのまにか長門が窓際の定位置にいた。いたのか?  
「ええ、ずっと」  
そ、そうか。  
「もっと言うと鬼畜なあなたが27回絶頂に達した涼宮ハルヒをここへつれて来たときもその後現れた朝比奈みくるが涼宮ハルヒを介抱  
したときもここにいた」  
すまん、まったく気付かなかった。  
 
「気にしなくていい。わたしの役目は観測だから」  
そ、そうか。そんなことより、推奨できない、ってのはどういうことなんだ?  
「・・・」  
な、長門?  
「なにか一言あってもいいと思われる」  
古泉は肩をすくめた。  
「あー、その・・・なんだ。今まで無視したような形になっちまってすまない」  
俺を見つめるニュートリノのような瞳に謝罪した。  
「涼宮ハルヒの発言および行動は基本的にあなたに対してなんらかの償いをしたいという気持ちからきている」  
長門は俺の謝罪を無視して話し出した。気にしないでおこう。  
「それゆえ涼宮ハルヒの行動はあなただけにむけられていなくてはならない。古泉一樹も、と言ったのは言葉のあや。言ってみれば  
ただの照れ隠し」  
どんな照れ隠しだ。  
「つまり僕が涼宮さんの口内に精子を流し込むようなことをしたら涼宮さんの行動原理が変わってしまうと?」  
オセロを箱から出しかけた古泉が割って入った。  
「そう。勃起している男性をみればだれかれかまわず口を開く口軽女になってしまう」  
おいおまえら。なんか俺を飛び越えて話していないか?  
「口が軽いというのをエロい方向にもっていくな」  
それで俺はどうすればいいんだ?  
「簡単なこと。涼宮ハルヒの気持ちを受け入れればいい」  
長門はそう言うと、分厚い本に目を落とした。  
「遅れてごっめーん!!」  
それを合図にするようにハルヒが風圧を感じるほどの勢いで飛び込んできた。その後ろからそろそろと朝比奈さん。  
「ど、どうしたんですか?」  
いつもと違う雰囲気を感じ取ったのか、マイスィートエンジェルが俺たちを見る。  
「どうしたのキョン?ひょっとしてちんこ勃起しちゃったの?」  
あー始まった。なんて快活な顔してやがんだ。  
「ひゃっ!ちょ、涼宮さん、突然ナニ言い出すんですかっ?」  
両手で口を覆い顔を赤くする朝比奈さんを脇にハルヒは俺に近づいてくる。視線は明らかに俺の股間に向けられている。  
「ちょっとお待ちください、団長殿」  
蛇ににらまれた蛙のような俺に助け舟か?と思ったが違った。  
「実は僕も勃起してまして」  
股間にテント張った古泉がそこにいた。朝比奈さんで勃起したんじゃないだろうな。  
「僕のも静めて頂けませんか?」  
おいおまえ。いまの長門の説明聞いてなかったのか?ハルヒを口のユルい女にするつもりか?  
古泉に耳打ちする。が  
「僕のちんこの戦闘力は53万です」  
このやろうとうとうネジが取れたな。  
「そ、そうね。団長たるもの団員の面倒見なくちゃ・・・」  
お、おいハルヒ?  
ハルヒは古泉の股間に引き寄せられるように歩き出した。だが足取りが重い。  
「そうよ、そうなの・・・キョンに、ひどいことしちゃったから・・・これは・・・キョンじゃなきゃ・・・ちがう・・・」  
ハルヒの頬にポロポロと涙が伝う。俺はとっさにハルヒの手をつかんだ。その手にはまだ俺の痕がついていた。  
 
くそっ。  
「ハルヒ・・・見てくれ。俺のもこんなだ」  
おまえに、鎮めて欲しい。ハルヒは俺の股間を見ながら  
「キョン・・・やっと勃起してくれたのね」  
すまん古泉。おまえにはこの仕事はやれん。  
「僕の三段階変身をお見せできず残念です」  
ああ残念だ。機関の女性陣相手に星が壊れるまで闘ってくれ。  
 
それからの俺は、ハルヒしか視界に入らなかった。ハルヒが犬のように俺の下半身に抱きつき、ガチャガチャとベルトを外そうと  
してきたからだ。  
「おい、あんまりがっつくな」  
ちんこはどこにも逃げやしない。  
「ご、ごめんなさい。やっとキョンの役に立てれると思ったらうれしくって・・・」  
おどおどした目で謝ってくるが、手は止まらない。  
「で、でも、全部あたしにやらせて。おねがい」  
俺は返事をする代わりにハルヒの頭を撫でた。ハルヒがにこりを微笑む。  
「えへへ、キョン・・・」  
お絵かきで先生に褒められた幼稚園児のような表情で男のちんこを欲するハルヒはズボンとパンツを一緒にぬがしやがった。情緒も  
なんもねえ。  
ところが  
「はむっ」  
俺のちんこを見るや否やがぶりついてきた。  
「ふむぅ、じゅぶぶぶぶ・・・」  
ハルヒの口内に唾液が溜まっていくのが伝わってくる。やばい、この段階でめちゃくちゃ気持ちいい。唾液の泡がジャグジーみたいだ。  
「はふう、キョンのちんこ、ちんこ・・・」  
自分の唾液でぐっしょりの俺のちんこを愛しそうに見つめるハルヒの目はさっきまでとうって変わってトロけていた。  
初めてハルヒをいやらしいと思ってしまった。  
じゅぼっじゅぼっじゅぼっ・・・  
キツツキのようなストローク。女の子にフェラされるのは初めてだが、こんなすごいのか、フェラって。  
「ぐっ、は、ハルヒ、ちょっとまて」  
かろうじて残る発声能力をフルに活かし、ハルヒをとめる。  
「ぷは・・・、ど、どうしたの?はあ・・・はああ・・・」  
お前、息してるのか?  
「だあ、・・・だ・・・ふう、だいじょう・・・ぶよ・・・」  
全然大丈夫じゃねえじゃねえか。ハルヒのカチューシャの位置を直す。  
「いい・・・のっ、よ。はあ・・・はあ・・・続けさせて・・・あたしの口・・・塞いでよぉ・・・」  
じわりと、ハルヒの目に涙が浮かぶ。  
「この口が・・・悪いの。憎まれ口しか吐き出さない。だから、キョンにひどいこと・・・そんなことできないように塞いで・・・おねがい・・・」  
ちんこを握りながら俺の顔をじっと見つめてきた。必死だ。  
こいつは・・・、こいつは疲れマラを馬鹿にしたことをこんなにも後悔してるのか。朝比奈さんに介抱してもらったと長門が言っていたが、  
それと何か関係があるのだろうか。はっきりいって、学校中にイキ顔を晒させまくった俺のほうがひどいのに。それを責めることもなく  
おわびに俺のためになにかしたいだと?  
 
違う。  
そうじゃない。  
こいつは自分に罰を与えたいのだ。今度のことはきっかけにすぎん。こいつはずっと周りに敵を作るような言動しかしてこなかった。だが  
心の片隅ではそれを矯正したいと思っていたんだ。  
「ハルヒ。おまえの口が壊れる覚悟しとけよ」  
俺はハルヒの髪を鷲づかみにして引き寄せる。  
そんなに俺に嫌われるのが怖いのか。  
「うぎゅっ?!ぐひゃっぐぶ、ぐぶ・・・」  
両手でハルヒの頭を固定し、これでもかと乱暴に腰を振る。疲れるとハルヒの頭のほうをシェイクする。ハルヒの口技なんざどうでもいい。  
ハルヒの口内はそれだけで最高に気持ちいいからだ。  
「おらっ、どうだ!」  
ハルヒの口からはぐびゃっという水音しか聞こえない。ハルヒは最初身体をばたつかせていたがしだいにおとなしくなった。  
「どうだって聞いてんだ!」  
ぐぼっという音を立ててちんこを抜く。カチューシャのない髪の毛を掴み顔を上げる。  
「ひゅー・・・、ひゅー・・・」  
ぽっかりと口を開け、うつろな目をしてただ息をしているだけの女に言った。  
「いいか、他のやつの事なんか考えるな」  
ピクリ、と女の体が反応した。  
「おまえの口は、俺だけのものだからだ!」  
再び俺はちんこをくわえさせ、のどちんこをつぶしてしまう勢いでハルヒの頭を振る。  
「ぐはっ!うげぇ、げええ・・・」  
たまらずハルヒが胃の中のものを吐き出した。この馬鹿、ゲロはくのは谷口の仕事だ!  
ゲロが残る口に躊躇なくちんこを突っ込み、ゲロを喉奥に送り込むようにピストンする。ったくゲロくせえったらありゃしない。  
「口、だけじゃっ、ねえ!手も、おまえの体すべてだ!おまえは俺専用になってればいいんだ!」  
ハルヒが頷いたのをちんこ越しに感じ、射精に向けスパートをかける。  
「よし、ごほうびだ!しっかりうけとめろおおっ!」  
 
どぷっ!びゅ〜っ!びゅっ!・・・!  
 
気絶してしまいそうな快感とともにハルヒの口内にありったけの精液を送り込む。いまのちんこの位置じゃ、食道に直接かもしれん。  
射精の衝動がこみ上げてくるたび腰を突き出し、ちんこの先の位置を変え満遍なくハルヒの口内を蹂躙した。  
「ハルヒ・・・こぼしたら・・・承知しねえ、ぞ・・・」  
ばったりと、大の字に寝そべってしまった。こいつにエネルギーみんな持ってかれたな。やべ、ハルヒの髪の毛少し毟りとっちまった。  
周りを見渡す。古泉や朝比奈さんを完全に忘れていたが、いないな。古泉は朝比奈さんを連れてナメック星に行ってくれたか。くれぐれ  
も朝比奈さんは途中で降ろせよ。  
「キョン・・・」  
ちょこちょこと四つんばいのハルヒが俺に近づき「あ〜ん」と口を開けた。俺の精液をすべて飲み込んだことを教えているのだろう。  
歯の間に俺の陰毛らしき毛が挟まっていた。汚い女。頭を撫ででやると頬を赤くして喜び、そのまま俺の胸元にいろんな体液まみれの  
顔をうずめてきた。  
汚ねっ。  
「キョン、ありがとう・・・」  
上着をがっしりと掴まれる。これじゃ引き剥がせない。  
 
ま、今日はいいか。  
 
 
それから数日も経たないうちに、俺は奇妙な噂を耳にすることになる。  
『涼宮ハルヒを服従させた男がいる』  
その男は涼宮ハルヒと三日三晩の死闘を繰り広げ、ついに倒した。弱った涼宮ハルヒの肉体をその男は有り余る精力で弄び、服従を  
誓わせ、身の回りの世話はもちろん、夜の世話までさせている・・・。  
そのとき男の部下が撮った涼宮ハルヒの恥ずかしい写真が水面下で出回っているとか何とか。  
 
大嘘だ。  
 
「遅い!罰金!」  
そんなけなげな女がこの俺の財布を強制的にダイエットさせるか。  
「まあ、よいではないですか。涼宮さんの精神は大変安定しています。これに勝るものはないでしょう」  
とハンサム顔。  
「え、えっちなのはいけないと思いますぅ・・・。けど、キョンくん、涼宮さんのこと大切にしてあげてね?」  
とSOS団専属のメイドさん。  
「わたしは、ここにいる」  
と、無口な読書少女。いたのか?  
 
俺の大切な休日を奪うSOS団恒例の市内不思議探索に参加しながら、俺は罰金制度についてハルヒをどう躾けようか考えていた。  
 
 
 
 
今度こそ終わり  
 

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