小学校か中学校で習う保健体育の授業内容の中に、男の生殖機能に関する授業がある。
生物学的に言えば人間の雄は常時繁殖可能な状況にあるのだが、その機能は例え自分で処理
したとしても、年齢が若ければ三日程度で再装填を終えてしまうらしい。
故に男は数日置き、もしくは連日連夜自らを慰める必要がある悲しい生き物なのだと。
さて、何故急に俺がこんな事を思い出しているかといえば……だ。
現在時、午前二時。
カーテンを閉め切った俺の部屋の中では、小さな駆動音を立てるノートパソコンが絶賛稼動
中だった。
モニターに写っているのは所謂……まあ、その何だ。誰に聞かれるわけでもないから言うが、
性交渉に没頭する男女の動画が映し出されている。
この動画の入手経路、またこれが何の用途に使う物なのかについては黙秘させてもらおう。
今の状況を考えれば黙秘してても解るだろ? だったら聞かないで欲しい。
ヘッドホンに響く喘ぎ声や動画の中で繰り広げられる行為は十分に刺激的なのは間違い無い
んだが。
「……駄目だ、飽きた」
俺はこの動画では自分の目的を達成出来ない事を認め、動画を再生していたアプリケーショ
ンを閉じた。
この動画もけっこう見たからなぁ……。
次の体位、どこで声を出すか。全部覚えてしまっていては、興奮したくても出来やしない。
深夜に目が覚めて、ふと思い立っての行動だったんだが……何とも無駄な時間を過ごしてし
まった。
これで俺の部屋にネット環境でもあれば、それこそ満足するまでネットの海に浸ってるんだ
ろうけどな。
はぁ……どうしたもんかなぁ……って、寝るしかないか。
身体の方は既に臨戦態勢だが、それを暴走させる術が無いのではただ疲れるだけでしかない。
寝よう、明日も学校だ。
そう自分に言い聞かせ、パソコンの電源を落とした時、
「……あの、今日はしないんですか?」
机の下から現れた喜緑さんが、当たり前の様な口調でそう言った。
……えっと……落ち着け、俺。
ここは俺の部屋だ、うん。間違いない。
今は午前二時、踏み切りに行くか眠っているかの二択の時間だ。そしてここは踏切ではない
のだから寝るのが正しい選択しでいい。あってる。
つまり俺は熟睡中であり、これは現在ノンレム睡眠中である俺の頭脳が見せている記憶の
「あの。申し訳ありませんが、ここから出たいので少し下がっていただけないでしょうか……」
あ、すみません。
机の下で見た上級生の存在を夢で片付けようとしていた俺の前で、制服姿の喜緑さんが腰に
手を当てて背伸びをしている。
最近の夢ってのは随分リアルだな……ああ、これが科学の勝利か。
思い浮かんだ単語を疑う事無く受け入れ、俺はベットの中へと潜り込んだ。
しかし、何で俺は喜緑さんの夢なんかみたんだろう……殆ど面識だって無いのに。
これはやはりあれなのだろうか? 下手に親しい相手は現実的な部分が見えてしまっている
から、あえて自分から遠い人を妄想する事で自分に都合のいい解釈をそこに付与
「すみません。こちらとしてはベットの中で続けられると……その、都合が悪いので。出来れ
ば布団をはぐった状態でお願い出来ませんか」
布団の上からそっと揺すってくるその感触は、間違いなく現実の物だった。
え……これ、現実? マジ?
恐る恐る振り返ってみると、そこにはまだ笑顔の喜緑さんが居る。
自分の頬をつねってみる、それなりに痛い。
「……もしかして、それも興奮する為の行為なんでしょうか」
頬をつねったまま固まる俺を、喜緑さんは不思議そうな顔で見ている。
「えっと、貴女は喜緑さん……ですか?」
「はい、お久しぶりです」
これはどうもご丁寧に。
深々と頭を下げる彼女につい合わせてしまったが、こんな深夜に喜緑さんが来てるんだ、和
んでる場合じゃない。
「何かあったんですか」
また宇宙人の組織がどうとか、そんな感じの事が。
「はい。貴方にお願いがあってきました」
俺に?
「はい」
……どんな事でしょうか。
真剣な空気の中、寝ぼけていた頭がようやく目覚めようとしていた時。
「実は、貴方の遺伝子を解析する様にと指示がありまして。少しで構いませんので精子を頂き
たいんです」
早朝のテレアナの様な爽やかな笑みを浮かべて、エロゲの中でしかありえないような卑猥な
単語を喜緑さんは言った。
やっぱり夢だ、これ。間違いない。
っていうか俺も色々とやばいのかもしれんな……部室の中では色々と刺激的な物を見ている
せいか、脳内じゃこんな願望が蔓延っちまってたのかよ。
「こちらとしてはなるべく新鮮な状態の物が望ましいのですが、今日の体調はいかがですか?」
ってぇ?! き、喜緑さん?
何の躊躇いもなく、喜緑さんの手がついさっきまで膨張状態にあった俺のアレの上を撫で始
めていた。パジャマ越しに感じる彼女の細い指が這う感触に、一度は引いていた血液が再集合
を始めたのも無理は無い。
「あ、大丈夫みたいですね。ではお願いします」
スカートのポケットから試験管を取り出した喜緑さんは、何の恥じらいもなくそう言うのだ
が……あの、本気ですか?
「何がですか?」
「ええ。あなたのおちんちんから、ここへ精子を出して頂きたいんです」
喜緑さんの口から放送禁止用語に該当するその単語が飛び出した瞬間、俺のアレは一気に膨
れあがり、彼女の手によって下げられていたパジャマの裾から飛び出していた。
あ……え……その。
喜緑さんは、目の前に現れた臨界状態のそれを見て。
「大丈夫、平均より少し大きめですよ。自信を持ってくださいね?」
先端を優しく包むように指先を沿え、試験管を準備するのだった。
何故喜緑さんには俺のこれが平均サイズ以上だと断言できるのか、それについては保留して
おくべきだろう。うん、何となく聞かない方がいい気がする。
「アダルトビデオ、という物で勉強して参りました」
……あの、人の心を読むのはお控えいただけないでしょうか。
採血の様な事務的な手順で、喜緑さんは俺の行動を待っている。
彼女の大きな瞳が見つめる中、ではせっかくですし遠慮なく自慰行為を……って続けられる
かいっ!!
「あの、すみません。喜緑さんが冗談でこんな事をしてるんじゃないってのは何となく解った
んですが」
「はい」
「男ってのはその、メンタル的に割と弱いというか何と言うかですね? いきなり出してと言
われてもすぐにはお答えできないというか……」
その試験管さえ置いていってくれたら、後で一人になったら喜緑さんの希望通りにしておき
ますので、今日は一つお引取りの程を。
「ああ、なるほど」
解ってくれましたか?
喜緑さんはゆっくりと頷き、
「服装は北高の制服では無い方がいいんですね。では、こちらなどいかがでしょう」
喜緑さんの服が急に透け始めたかと思った次の瞬間、そこにはナース服に身を包んだ喜緑さ
んが居た。
しかもピンク、更にキャップ付き。
「精液の採取というシチュエーション的に考えると、この服装が適切でしょうか」
襟元まできちんとボタンを閉め、清楚な雰囲気の中にも淫靡さを感じさせる。完全無欠のナ
ースがそこに居た。
俺が言いたかったのはそんな事じゃなかったんですが、俺の理想的には完璧な回答です。
さっきまで俺の頭にあったはずの理性は身体を残して早々と就寝したらしく、視覚から与え
られる刺激を前に俺の身体は解りやすい程に反応していた。
「あ、もうすぐ出そうですね」
先走りが先端から漏れ出すのを見て、喜緑さんは顔を寄せながら嬉しそうに微笑む。
この顔を汚してみたい、そんな欲求が俺の中に芽生えたのは当然の事だろう。
非現実的な状況による興奮を抑えないまま、俺は自分のモノに手を添えて擦りたて始めた。
俺の視線の先にあるのは喜緑さんの顔だけ、俺のアレを見つめている喜緑さんの顔だけ。
上品そうなその顔は今にも発射してしまいそうな先端部のすぐ目の前にあり、触れてしまい
そうで触れないじれったさが背中を走るような強い快感に変わっていく。
……くっ……喜緑さん。
「はい」
「で、出そうです」
「いつでもいいですよ。いっぱい出してくださいね?」
その言葉が引き金となり、限界を超えたアレの先から勢い良く精液が噴出し始めた。
まるで身体が抜け出ていくような感覚が身体を覆い、やがてそれは軽い気だるさへと代わっ
て行く。
先端部の前に添えられた試験管の中だけではなく、喜緑さんの顔や髪、更にはナース服にま
で飛び散った所で、ようやく射精は終わった。
「こんなにいっぱい……ありがとうございます、これで任務を達成出来そうです」
試験管の先をキャップで閉じながら、喜緑さんは自分の顔にかかった精子を拭おうともしな
いままそう言って、
「……あら」
そんな喜緑さんの姿を見ている間に、一度は小さくなり始めたモノは再び膨張を始めていた。
若すぎるだろ、俺。
もう用件は済んだはずなのに、喜緑さんの視線は膨張していくそれに向けられたままになっ
ていて、
「……綺麗に、しますね?」
びくびくと脈打つそれに手を添えてきた喜緑さんの言葉に、俺は何かを期待していた。
ベットに座る俺の前に跪いていた喜緑さんは、その場で立ちあがりながら
「ふふっ……服に、キョンさんの精子がこんなについてしまいました」
自分の襟首や胸元に飛び散る液体を眺めて微笑みつつ、ピンクのナース服を脱ぎ始めた。
プチプチと音を立てつつ、喜緑さんの身体が少しずつ俺の前に広がっていく。
彼女の着けている下着の色は……って、黒?! しかもガーター!
いくらなんでも完璧過ぎている、喜緑さんのこの服装のセンスはいったいどこから来ている
んだ?
この清楚な上級生をここまで教育したのは、いったいどこの幸せ者なのかと考えていると、
「アダルトビデオで勉強しました」
あの……もしかして本当に俺の心読んでません?
「はい」
え、ま……マジですか?
「ええ、確か「サトラレイレラレタベラレタイ」というタイトルのビデオの中で、人間の男性
には女性に隠し事が出来ないというシチュエーションに興奮するといった内容の説明がありま
したので」
正直そのタイトルはどうかと思いますが……えっと、つまりこの思考も全部。
というか、さっきまで俺がしていた想像も含めて、
「はい。ちゃんと聞こえてますよ」
嬉しそうに微笑みながら再び俺の足の間に跪いた喜緑さんは、
「では……お掃除させていただきますね?」
その時俺が妄想していた通りに、口を使ってアレの掃除を始めるのだった。
彼女の舌がゆっくりと近づき、ぬるっとした感覚が俺の先端に触れたかと思うと、それは焦
らす様に触れるか触れないかのぎりぎりの距離で上下に彷徨い始める。
く……これはやばい、というか最高過ぎます! 一気にそのまま口の中へ入れちゃってくれ
ませんか?
そう俺が思ったのがスイッチだったかのように、喜緑さんは手も添えないまま口の中に俺を
飲み込んでいく。もっと奥まで……そう願ったからなのかどうかは知らないが、喜緑さんはそ
の小さな口で含むというより、喉までを使って俺のモノを締め付け始めた。
既に掃除とは言えない行為に達してしまっている気もするが止める気にはなれない、という
か是非続けてください!
彼女の狭い口の中と喉の締め付けは、自分の手とはまるで違う次元の快楽を俺に与え続けて
いて……ついさっき果てたばかりだというのに、第二射の準備は完了してしまっていた。
もっと気持ちよくなりたい、でももう出してしまいたい。
そんな相反する欲求に苛まれていた俺は……も、もう限界です!
最後にもっと速度を上げようと喜緑さんの頭に手を伸ばしたが、急に口を離してしまった彼
女の前でその手は空しく空を切った。
え……な、何で。
限界寸前で止められてしまったアレは、突然快感が途絶えてしまった事に絶えられず膨張し
たままになっている。
すみません、苦しかったんですか?
言葉にしなくてもいいのだろうから、心の中でそう聞いてみた俺を見て、
「……今度は、私をサトってみません?」
喜緑さんはそっと腰を浮かし、俺の足の上に座ってきた。
彼女の下着が押し付けられた足の甲には……なるほど、これは口にしなくても解ってしまい
ますね。
生地の保水量を明らかに超えたその感触に、俺は喜緑さんの身体を抱えてそっとベットに座
らせた。ベットに座る喜緑さんの足の間に座る俺、つまりはさっきと逆の体制に居るという事
になる。
ここでまず俺がするべき事は……ああ、そうか。サトってみるってのは多分こういう意味な
んだろうな。
俺が考えてる事は喜緑さんには解っている、つまり。
足の先から舐められたいですか?
そう心で考えた俺に、喜緑さんは恥ずかしそうに……でも、嬉しそうに頷いた。
黒のストッキングは十分に魅力的ではあるのだが、俺はその中身に強い興味がある。
自分にもっと余裕がある状態なら視覚から楽しませて頂きたいが、今は味からみさせてもら
うとしよう。ガーターベルトを外し、彼女のストッキングを丁寧に脱がしていく……つもりだ
ったんだが、途中から荒っぽくなってしまった。
っていうか我慢できるか!
「……くすぐったいです」
足先から這う様に上る俺の舌を見ながら、喜緑さんは小さく口を開けて蕩けそうな目をして
いる。彼女の視線が既に洪水になっているであろう部分へと進むのを見て、俺は舌を離して反
対の足先へと向かった。
当然喜緑さんの表情は一度不満そうに変わったのだが、
「あっ……お、お上手なんですね」
足先を舐める時の感覚も、彼女の興奮に合わせて最初とは違ってきたらしい。
舌がふくらはぎから内ももへと進み、やがて彼女の秘所へと届きそうになった所で、俺は一
度舌の動きを止めて彼女の腰へと片手を回した。
これは相手が逃げようとしても逃がさない為なのだが、
「大丈夫です、怖くありませんよ」
いえいえ、そんな理由で捕まえてるんじゃないんですよ。
俺は残った手で下着の上を縦に何度か撫でた後、その生地を横にずらして秘所へと口付けを
した。
「はあぁ……あ、あの……もっと強くしても平気だと思います。部屋から外に声が漏れないよ
うに遮音フィールドは展開しておきましたから」
そっと触れたり離れたりを繰り返すだけの時は、まだそんな気が使える位に余裕だった。
「くっ……あ、あん! あ……舌が……入ってきて……ああん!」
彼女の中を味わい始めた頃になると、前傾姿勢になった喜緑さんの手は俺の頭に添えられて
いた。もっと強くと押し付けてくる彼女の手に従い、ゆるゆると中へ、出口へ、淵へ、また中
へと舌や唇を躍らせていく。
やがて、彼女の中から粘性の高い液体が溢れ始め――
「やぁっ! だ、駄目ぇ? あ、もう駄目です! キョンさん、あの、私もう……やあぁっ!
駄目、変になっちゃう?」
熱く震える秘所の上に位置した可愛らしい膨らみを責め始めると、喜緑さんの声は一変して
俺から逃げようと腰を蠢かせるのだった。だが彼女の細い腰はしっかりとホールド済みであり、
指が加わった俺の愛撫を前に喜緑さんには抵抗手段は残されていなかった。
いや、多分それは違うのだろうな。
宇宙人である彼女が本気で止めて欲しいのなら、ただの人間でしかない俺を止める方法なん
ていくらでもあるはずだ。
つまり、喜緑さんは恥ずかしいからそう言ってるだけで、本当は俺にもっと続けて欲しいん
ですよね?
意地が悪いと思いつつも、心の中で俺はそう問いかけてみた。
「……あっ……う……ああ……」
喜緑さんの抵抗は緩み、否定的だった言葉も急に途絶えた。
これだけでも答えは解った様な物だとは思うが、やはりここは最後まできちんと聞くのが言
葉責めの様式美って物ではないだろうか。
喜緑さん、このままイかせて欲しいなら俺の頭を撫でてください。
彼女が迷ったのはほんの僅かな間だけだった。
前に身体を屈めた彼女の両手が俺の頭を包むのを感じながら、俺は小さいなりに膨張しきっ
ていた膨らみを甘噛みしながら入り口の上部を指で擦りたてると
「ひっ……あ、もう……だ、駄目、来る……来ます……あ、や、あっああああああぁっ!!」
悲鳴に似た嬌声が響く中、彼女の中にあった俺の指が締め付けられる。
俺の身体を抱きしめながら、喜緑さんは強く身体を震わせていた。
絶頂の余韻に浸る喜緑さんと抱きあったまま、彼女の震えが治まるまでじっとしていた俺な
のだが、そんな穏やかな空気を無視するかの様に、俺のアレは臨戦体勢に突入していた。
ま、確かに俺だってこの先まで進んでみたいとは思ってるぜ? でも喜緑さんはぐったりし
てるし、いくら精子を提供したからってこれ以上の事を要求するってのは正直どうかと思う。
……と、考えてるんですが……どうでしょうか? 喜緑さん。
俺を抱きしめたままくすくすと笑っていた喜緑さんの答えは、
「キョンさん、回診のお時間ですよ」
ベットの上を手で指し示し、そこに横になる様にと伝えてくる事だった。
いったい何をするつもりなんですか? 何て聞く必要なんて欠片も見当たらないね。
示されるままにベットに横になり、俺はベットの横に立つ喜緑さんの姿を見守った。
言うまでも無く俺の考えは喜緑さんに伝わってるはずだし、
「お体の調子はどうですか? 少し、触診してみますね」
彼女のこの淫らな笑顔を見る限り、それは俺にとって素敵な事を企んでいらっしゃるとしか
思えない。
彼女がどんなアダルトビデオを見てきたのかは知らないが、多分これもその中のプレイの一
環なのだろう。喜緑さんの手が俺の服を脱がしていく間、特にする事が無かった俺は喜緑さん
のブラに指をかけてみた。
「あらあら、悪戯さんですね……」
困った様な顔をしてみせるものの、実際は俺のアドリブを楽しんでいる様にしか見えない。
というか、もしかしたらこれもビデオの中と同じ展開だったり……。
無言のまま小さく頷く喜緑さん、どうやら世の男が考える事はそれ程差異が無いらしい。
そうと解れば遠慮する必要も無い、俺は彼女のブラのフロントにあったホックを外し、豊か
な胸元を圧迫していた黒い生地を取り去った。
想像より随分大きなふくらみが、重力に引かれてたゆんと揺れる。
視覚だけでも十分に楽しませてくれる膨らみだが、さて……感触はどれ程のものだろうか。
パジャマのズボンとトランクスを脱がせ終え、上半身に取り掛かった喜緑さんの胸に、俺は
さっそく両手を添えてみた。
……重い。
グレープフルーツを連想させるずっしりと重い重量感、朝比奈さんとまではいかないものの、
これはハルヒ以上ではな
「あ、こんな所が膨らんでいますね」
ぐぉっ?!
突然アレを強く握ってきた喜緑さんは、
「あらあら、どうしたんでしょうか」
素知らぬ顔で握り締めた物をぐりぐりと無遠慮に動かし始める。
急にいったい何で……あ! す、すみません! 間違ってました! 喜緑さんが一番です!
ついさっき連想した順位を訂正した事で、
「……ただの生理現象みたいですね」
喜緑さんはアレを手放してくれたのだった。
あ、危なかった……危うく再起不能になるとこだったぜ。
Hの最中に他の女の子の事を考えない。
そんな教訓を心に刻んだ俺は「ちゃんと確かめてくださいね?」とでも言いたげに目の前で
揺れている喜緑さんの胸に顔を寄せた。
両手でそっと包むように支えながら、膨らみの先端で既に突起していた乳首を口に含むと
「……あ……はぁ……」
顔にむかって押し付ける様に、喜緑さんは胸を差し出してきた。
かなり大き目の胸と違って、喜緑さんの乳首は小振りだ。だが感度はかなりいいらしく、舌
で掠る程度の愛撫を繰り返すだけで、俺の腹部には愛液が滴り伝い始めている。
再び匂い始めた女の香りに、俺の欲求が向かったのは――
「こんなに腫れてるなんて……静めないといけませんね」
彼女の欲求と一致していたらしく、喜緑さんは俺に口付けしながら自分の中へと俺を沈めて
いく――ぬるりとした感触が先端に触れ、そのまま喜緑さんは最後まで飲み込んでしまった。
熱い肉壁に搾り取られる様な感覚は足掻らい難く、このまま中へと吐き出してしまいたい欲
求に駆られるのだが、
「あっ! あっ! あっ! ああんっ! 凄い、こんなっあ、あん! キョンさん、あのこん
なに気持ちいいなんて、わたし……あ、あの、あんっ!」
俺の上で跳ね始めた喜緑さんを満足させてあげたいと思ったのは、男の性とという物なのだ
ろうか。恍惚とした顔で喜緑さんが跳ね回る度に、結合部からは夥しい愛液が流れ出し、行為
に拍車をかけていく。
このままでも喜緑さんはいけそうだとは思うが……あの、キス、もう一度しませんか?
俺がそう思い浮かべると、惚けた顔の喜緑さんは倒れる様にして俺に唇を差し出してきた。
彼女と舌先を絡め、その舌を口内へと導き入れると――俺と喜緑さんの体格の関係から、彼
女の自重は上半身側へと移って来る訳で。
「やっ? 急に、あ、あ、あ、あ! 深い所まで……あ、あ届いて、あっ! もっと、もっと
お願いしますっ! もっとぉ!」
いいですとも!
イニシアチブを確保した俺は彼女の腰に手を当てて、下から思う存分突き上げる事にした。
普通に考えれば居たい筈の強さでぶつかりあっているはずなのだが、喜緑さんと繋がってい
る快感の前では少しも気にならない。
それは喜緑さんも例外では無いらしく、
「あ……あああっ……あっ……こんなの……こんなの、凄い……また、あのっあんっ! あの、
また、私またイきそうです! イっちゃいます?!」
いいですよ、どうぞどうぞ。
まだ余力があった俺は、彼女が望むままに腰を振り続けた。
徐々に力が入らなくなってきたのか、俺に覆いかぶさるだけになっていた喜緑さんの身体を
抱きしめ強引に突き上げ続けると、
「いい、いいですっ! そこ、そこもっと、もっと突いて……あ、あっああああああああああ
あああああああああああああああああっ!」
身体を上に逸らした喜緑さんの声が、俺の部屋の中に響き渡った。
二度目の絶頂はさっきよりも深かったらしく、まるで握り締めている様な強さで喜緑さんの
中は俺を締め付けてくる。絶え間なく溢れる愛液と、中へと射精を導く様に蠢く肉壁は、そん
な強さの締め付けすら快楽に変えていた。
崩れるように倒れてきた喜緑さんの顔がすぐ横にあって、俺は彼女の頬にそっと唇を当てた。
気持ちよかったですか?
「……」
無言のまま、彼女は頷く。
髪がお互いの汗で張り付いた喜緑さんの顔は、ぞっとする程に色っぽかった。
収縮を押し返すように最大サイズへの膨張を果たした俺を感じたのか、喜緑さんが嬉しそう
に笑う。
「キョンさんは、どうされたら気持ちいいですか?」
そうですね……速度はゆっくり目が好きです。
「このくらいで……ん……どうでしょう……」
いいですね。
胸を押し付けたまま、喜緑さんは腰だけを浮かせてゆるゆると上下運動を繰り返す。
二度もイった後だけあってそれはのんびりとした動きだったが、素早く動くよりも俺はこっ
ちの方が気持ちよかったりする。
「他には、どうすればいいでしょうか」
そうですね……じゃあ、俺も乳首を責めてもらえますか?
「はい」
言われるままに喜緑さんは俺の乳首へと口を添える、舌でチロチロと責めつつ、時折甘く噛
む事も忘れない。俺の期待する通りの動きと、喜緑さんのアレンジによる想定外の刺激の繰り
返しは俺を一気に限界へと押し上げていった。
あの、そろそろ。
「……」
喜緑さん? あの……俺、もうすぐ出ちゃいそうなんですが……。
「……」
俺の心は読めるはずなのに、喜緑さんは動きを止めようとしない。いや寧ろ、さっきよりも
強く俺のモノを締め付けながら腰を前後させている。
ここまで来て聞くのは……いや、聞くべきなんだろうな。俺は。
俺には喜緑さんみたいに心を読む力なんて無いんだが、きっと彼女は待ってるんだと思う。
「どこに出して欲しいですか?」
あえて口に出して聞いた俺に、
「……中へ、お願……あっは、入ってきました……いっぱい……キョンさんが……」
喜緑さんの切なげな目を見ながら、俺は彼女の奥へと吐き出していた。
ところで、勉強に使ったアダルトビデオって何処から持ってきたんです?
「クラスメイトに貸して頂きました」
……え、レンタルビデオとかじゃなくて?
「はい。クラスの男子生徒にお持ちではありませんか? と聞いてみましたら、快く貸して頂
けました」
それは、何ていうか大騒ぎだったでしょうね。
「どうして解るんですか? ……私が休み時間にそのお願いをした所、確かにクラスは一時騒
然となりました」
−−喜緑さんとの情事の後、俺達はそのままベットの中で横になっていた。
シングルサイズの俺のベットで二人が寝るのは窮屈なのだが、こうして身を寄せ合って話し
をするには丁度いい。
こうして一戦を終えて落ち着いてみると、何だか……まるで夢だったみたいです。
「あら、悪夢ですか?」
まさか、毎日でも見たい夢ですよ。
「ふふっ……そう言って頂けて光栄です」
嬉しそうに笑う喜緑さんの髪が胸元で揺れるのをくすぐったく感じていると、
「……そろそろ、帰りますね。心の中を覗くのもここまでにします」
喜緑さんは寂しそうにそう呟いて、俺を残してベットから立ち上がった。
本音で言えばこのまま一緒に眠りたかった。
喜緑さんの温もりを感じて眠れたら、どんなに幸せだろうとも思う。でも、喜緑さんは仕事
の為にここへ来たんだ。彼女が帰ると言うのであれば、引き止める権利は俺には無い。
それでも、せめて部屋を出て行くまでは見守ろう。そう思っていた俺なんだが――
「あ……どうしましょう、困りました……」
ピンクのナース服に着替えていた喜緑さんの手には、蓋が外れて中身が零れてしまった試験
管があった。
喜緑さん、全然あなたの声が困っていない気がするんですが……俺の気のせいでしょうか?
END