エンドレスエイト ―VER.長門―  
 
―――現時点での時空域の測定を行う。  
 現在、平成○年8月17日のAM7:00と断定。  
 特に何の問題も無くこの時間帯へと帰還したことを確認。  
 以降、8578回目の8月17日を記録する。  
 
 8月17日。私は、情報統合思念体へとこれまでの情報をまとめていた。  
 通算8578回目の8月17日。8月31日のPM23:59を境に再度  
8月17日へと戻ってくる。否、その表現は不確か。正しく言うならば、  
この世界は8月17日に誕生し、8月31日に終焉を迎えている。  
それが連続してつながっているため、あたかもループしている錯覚に囚われる。  
とは言うものの、その瞬間を観測できる存在がほぼ皆無に等しいため、ループと言う  
状況が起こっているという現象自体誰も感知できていないのが現状。  
 1回目のループを体験したときにはすでに情報統合思念体との連絡は途絶えている。  
どうやらこの世界は、全くの個別しているものと断定した方がいいようだ。  
 とりあえず、現状の確認はこれまでとして今回の涼宮ハルヒの行動の観測を行うこととする。  
 
 17日の10:00。涼宮ハルヒの集合の合図とともに、市民プールへと向かう。  
もちろん、過去8578回すべてに共通する出来事だ。  
 彼女たちが話す言葉一字一句同じとは言わないが、内容はほぼ全て同じ話のため、  
それを記憶するのは少し飽きが生じ始めているが、私の役割は涼宮ハルヒとその周りの  
観測であるため、今回も記録を開始する。ただ、数年前(暦の上でのことであり、  
体感的にはもうすでに330年以上前のことになるのだが)の、七夕頃の私にはこの  
『飽き』と言う感覚は無かったように思う。数百年という時間を情報統合思念体と  
切り離してすごしたため、私の中に何か齟齬が発生し始めているのかもしれない。  
 そして、日が変わり18日。この日は夏祭りのための浴衣の購入日。  
浴衣の柄は涼宮ハルヒが決めるため、ここでは私は彼女たちと付き添うだけだった。  
 
 その夜。盆踊り会場にて。ここから私は毎回少しずつ違う行動を取るようにしている。  
と言っても、全体の流れから見てもほんの些細なことだ。つまりは、階段を上り始める  
足を右足からだったのを左足からにしてみたり。全く違う行動としても、前回買わなかった  
お面を買ってみたりする程度。それくらいでこの『世界』が終焉、あるいは変革が起こる  
とは到底思っていない。一応すでに8578回同じ出来事を体験しているのだ。  
多少くらいの遊び心は許されるはずである。  
 ちなみに、この時に一番楽しみにしているのは変な柄のお面を買ったときであり、  
それを見せた時の『彼』の表情を毎回観測するのが今の私の数少ない娯楽だったり、  
カンフル剤だったりとなっている。  
 今回は、昔の特撮ヒーローものの敵役のお面にしてみた。そのお面をつけたまま彼の  
表情を覗き見してみる………何だかかなり微妙な顔をしているが、それもすでに  
見慣れた表情である。  
 
「………」  
 自分の顔にきっちりとお面をかぶり、彼の顔を盗み見る。別にお面で私の顔を隠す  
必要は無いのだろうけど、万が一私の表情に変化が起きた場合、すこし不都合が発生する  
可能性があるため、念のためにお面をかぶるようにしている。  
 と言うのは、私自身に変化が起きていることを自覚しているためである。  
 5000回目のループを超えたあたりで、私は『飽き』と言う感覚をそれとなく感じる  
ようになった。さらに回を重ねるたびに、私の心情は更なる変化を起こし始めた。  
 涼宮ハルヒの観測よりも、『彼』の観測を行う回数が増えていること。つまりはそういうこと。  
 前に図書館で読んだ本のテーマにあった、『人の恋愛感情』。人間の知識として私は  
その本を読んでいたのだが、まさか自分がそれに当てはまるような状況に陥る時が来ると  
は想像だにしていなかった。  
 しかし、ここはいつもとは違う『世界』の中。あの世界の中の場合、この感情は今でも  
少ない私のココロの奥底に封じ込めなければならなかっただろうが、この世界では違う。  
 もし、彼に私の心情がばれてしまっても、また8月17日と言うスタート地点へと  
戻っていくのだ。つまり、何回でもやり直しが効く、と言うこと。  
 ただ、それも涼宮ハルヒにばれてしまっては、意味が無い。彼女が私の異変に気づけば、  
そのときにこの誕生と終焉が手をつないでいる世界からまた変革を起こす可能性がある。  
私個人の意見としてはそれはなるべく避けたい事象だ。統合体の意見の中に現状のままで  
はなく変革を望む意見もあるが、今の状況では現場の私の判断を最優先としている。  
 それにその意見は少数派のため、もし統合体と連絡が取れる状態だったとしても、  
きっと今と同じく現状維持に努めていることだろう。  
 と、誰かに聞かれている訳でもないのに論理武装を自らの頭の中で繰り返したところで  
意識を外に向けることにする。どうやら、盆踊りが終わるところのようだった。  
 その後、河川敷にて手持ち花火を5人で楽しんだが、特に目新しいことは何も無かった。  
 
―――数日が過ぎ。  
 朝比奈みくるの一言により現時点での空間が切り離されていることが涼宮ハルヒを除く  
SOS団員に判明した。もちろん、初めての事ではないし回数を重ねる度に気づく頻度が  
上がっている。それでも、この繰り返しの日々は終焉を迎えていないのだが。  
「長門。お前、今までの事全て記憶しているのか?」  
 彼が、私に真剣な眼差しで問いかけてきた。  
「そう。これまでに8578回同じ日を繰り返して行ってきた。その日事の内容はほぼ同じ、  
 ただ細部は少し変わることが低い確率で起こっている。例えば、盆踊り会場に行ったが  
 金魚すくいを行わなかった日もこれまでに数回確認している。」  
 情報統合思念体へと報告する内容なので、何の偽りも無い情報だ。だが、彼には  
信じられかったようで、両目を見開き絶句していた。だが、この表情や反応も過去  
何千回と見たものなので何も感じることは無い。  
「そう……か。そんなことが起こっているなんて露にも思わっていなかった。  
 謝る事ではないんだろうが、すまないな。長門」  
「……私は、涼宮ハルヒの観測を行っているだけだから」  
 私は彼から私の顔が見えない位置に立ち、そのまま彼にそう返答した。  
 
 もちろん、彼がそう返事することは私が答えた時から判っていた。過去数千回と同じ  
台詞を聞いているから。  
 それでも、私は感情の高まりを抑えることは出来なかった。  
 彼の心からの謝罪を聞き、心の奥底で何かが私の心を震わせる。  
(あと数日……あと数日で今回の最終日が訪れる―――)  
 それまで、私はこの感情をさらに心の奥底に、絶対に行動に移らないように封じ込める。  
毎回毎回、それをこの夜の集まりで再認識させられているが、その程度なら何ら厭わない。  
ただ、最終日をいつものように迎えるのか、それとも低い確率の壁を乗り越え9月1日へ  
と続く最終日を迎えるのか。それだけが少し心残りなるこの日の今の自分の心境に毎回  
少なからずとも驚きを覚えてはいる。  
   
―――さらに数日が過ぎ。月日は8月30日を迎えていた。  
 いつもの駅前の喫茶店。そこに涼宮ハルヒ率いるSOS団が集合していた。  
「うーん、こんなもんかしらね」  
 手元のメモ帳を見ながら涼宮ハルヒはそう呟いた。  
 そのメモ帳の一覧には全てにチェックが入っており、予定していた行動が全て  
完了したことを示していた。  
「何かし忘れていること無いわよね?」  
 その場にいる全員に問いかける涼宮ハルヒだが、その問いに誰も答えられない。  
 きっとその場にいる誰もが何かをしなければならないと思っているのだろうが、その  
答えは誰もがわからない。もちろん、私も含めて。  
「それじゃあ、今日はこれで解散! 明日は予備日に空けておいたけどこのまま休みで  
 いいわ。それじゃ、また明後日。学校の部室で会いましょ!」  
「あ……! 待て、ハルヒ……!」  
 彼が涼宮ハルヒを引きとめようとするが、それからどうするか、と言うのがわからない。  
 そして涼宮ハルヒは颯爽と喫茶店を後にした。  
 涼宮ハルヒがいなくなったこの席には、重い沈黙が我が物顔で居座っていた。  
「では、我々もそろそろ解散いたしましょうか。何、我々に出来ることは全て行った  
 つもりです。後は天命を待ちましょう」  
「本当にそうだといいんだが……しょうがない、か」  
 古泉一樹が、その思い沈黙を破り解散を促した。  
 もちろん、誰もがそれを拒む理由も無いためその場はそれで解散となった。  
 ここまで、今までとほぼ同じ流れのため、今回もきっと8月17日に戻ることになるのだろう。  
 彼や古泉一樹もうすうすとそれを肌で感じているのか、ピリピリとした空気は解散した  
後もその場に残っているのを感じていた。  
 
 そして迎える最終日。  
 今日一日は自分の部屋で本を読んでいれば過ぎ去っていく何もない一日。  
 けれど、今の私には行うことがある。別に必ず行わなくてもいいことなのだが、今の  
この状況下においては唯一の私の楽しみといっても過言ではないことだ。  
 時刻は16時を過ぎた頃。私は普段使うことの無い携帯電話を手に取り、とある人物に  
電子メールを作成した。その内容は以下のようなものである。  
『よければ、私の部屋まで。待ってる』  
 話の内容も何もない簡潔なメール。今回だけでなく、毎回この内容のメールを送っている。  
 もちろん、それで『彼』は間違いなくやってきてくれるだろう。過去数千回の経験が  
そう言っている。  
 メールを送ってから約1時間後。彼は私の部屋のインターフォンを押した。  
 
「どうしたんだ? 長門。俺にメールなんて珍しいな。もしかして、何かわかったのか!?」  
「別に、何も変化はない。ただ、あなたと少し話をしたかっただけ」  
「話、だって?」  
 彼が驚きに表情をかえる。この表情も反応ももう見慣れたもの。  
「そう。きっと、この時間はまた巻き戻されるから」  
「………」  
 彼に反応はない。やはり薄々気づいていたのだろう。  
「だから、私は、今の私にしか出来ないことをしたい」  
「長門……」  
 彼はやはり驚きを隠せていないが、何か思うところがあったのか納得してくれた。  
「それで、俺は一体どうすればいいんだ? ただ、本当に話をすればいいだけなのか?」  
「………」  
 私はいつもここですぐに返答を返せない。  
 確かに、ほぼ間違いなくループは繰り返される。けれど、いままで数千回と繰り返して  
きた事と同じことが起きるとは実証されていない。それこそ、あの夏祭りの時の  
金魚すくいのごとく。  
 それでも、彼をここまで呼んでしまったのだ。もう後に引くことは出来ないだろう。  
それに、私はこの日のために2週間我慢してきたのだ。  
「……キス、して」  
 そして、私は細々とした声で、彼にお願いを始めたのだった。  
 
「あむ、んむ、ちゅぱ」  
 始めはついばむ様だった口付けも、すぐに舌を絡める激しい動きへと変わっていき、  
すでにどちらの唾液かわからなくなっているほどだった。  
「ぷはぁ、な、長門。そんなに焦らなくても、んむぅ!」  
 この2週間の自らへの戒めが解き放たれた後遺症とでも言うべきか。  
彼の口内を貪る様に吸い上げる。まさに、彼の口を犯しているといってもおかしくない。  
「ぷはっ、ほぅ……」  
 2週間ぶりに味わう彼の唾液の味はやはり甘く感じ、この2週間で口にした水分の中で  
一番のいい味がする。  
「長門、取り合えず落ち着いたか?」  
 こくっ、と首を縦に振る私。  
 ここからは、いつも私がしたいようにするため、毎回彼の反応が違う。  
 なるべく、彼に失望されないように、尚且つ自分の内側に溜まっているこの感情を全て  
吐き出すために。その答えを出すためにひとまず私は慎重に彼へと体重を預ける。  
「少し、このままで……」  
 彼の胸板に顔をうずめ、これからの行為に想いをはぜる。  
 彼の脈動が、息遣いが彼の胸から直に伝わってくる。それだけで私の心が満たされて  
いくのを感じる。  
―――このまま眠ってしまおうか。そう思ったりもしたが、やはり少し物足りない。  
 
 そして考えること数分。私は彼に、簡潔にこう伝えた。  
「このまま、仰向けに寝そべって」  
「わかった。これでいいか?」  
 彼は何も文句を言うことも無く、そのまま背中を床へと倒した。  
 私は彼から一度離れ、両足を伸ばしてもらった。そして、彼のジーンズパンツの  
チャックを緩める。  
「な、長門!? 一体、何を!?」  
「大丈夫、心配しないで」  
「いや、それは大丈夫だが……うおっ!?」  
 私は彼の話を流して、そのまま行為を続ける。  
 そこから彼の男根を取り出し、右手で少し上下させる。  
 そうすると、今まで柔らかかったその部位に段々と硬さが増してくるのを感じた。  
「あむっ。んん、ちゅっ」  
「うあっ、な、長門!!」  
 そのまま、私は何の前振りも無くそれを口に含んだ。  
 先ほどの口付けとは違う、彼の人間としての『雄』の匂いが口内に充満していく。  
 始めは亀頭を口に含む程度だったが、カリ首を舌で舐める様になるとそのまま  
彼の肉棒全てを口内へと頬張りこんだ。  
「ちゅっ、ちゅぱっ、ちゅぽっ」  
 私の唾液と彼の半透明な液体が混ざり合い、激しい水音へと変化していく。  
 彼の肉棒は剛直と化し、私の小さめな口では収まりきらないサイズへと膨らみを  
増していた。それでも、私は彼の全てを味わいたいが為に、一心に彼のソコを舐め続ける。  
「んっ、んっ、くちゅっ、」  
「く、そっ、なが、とっ!」  
 彼にも余裕が無くなって来た様で、ビクンビクンと彼の肉棒にも小刻みに震えを感じる。  
そんなことで止めるはずも無く、むしろ逆に行為を激しく、大きいものへと変化していく。  
 半被りとなっている亀頭の皮の中へと舌を差し入れ、その中に微量に溜まっている恥垢を  
舐め取る。つんとした生臭さが口内から鼻腔へと抜けるが、今ではそれが逆に快感に  
感じるほどだ。  
「うおっ! そ、ソコは!!」  
 そして、その瞬間、彼の声色が変わった。つまり、彼はこの部分が弱点なのだ。  
もちろん、そんなことは百も、いや千も承知。彼にもう余裕は無いことを知った私は、  
その部分をメインに舐め、肉棒全体を口内で包み込み、まるで膣内でピストン運動を  
しているかのような動きへと変更した。もちろん、彼の尿道の吸引も忘れてはいない。  
一番奥まで飲み込んだ時に、喉に彼のモノが当たっていたがまるで気にはならなかった。  
それどころか、体内で彼を直に感じることが出来て嬉しささえ感じていた。  
「なが、と! もう、限界だ! 早く離すんだ!」  
 私は彼の肉棒を口内に含んだまま彼の目へと視線を向けた。もちろん、否定的な意味を込めて。  
「く、そんな表情をしても……くそっ! もうしらん!」  
「っ!! んくっ、んっ、ぷはっ」  
 
 その瞬間、彼は限界に達したらしく、その快感を全て白い半液状に変換し私の口内へ  
と放出した。私は、それを一滴たりともこぼす事無く全て口内で受け止め、それを少し  
ずつ咀嚼しながら飲み込んだ。  
「……おいしい」  
 2週間ぶりとなる彼の精液の味。少し苦くて、生臭い。それでいて、何処かで  
彼の味がする。そんな感じ。  
 きっと、今私の顔は興奮で耳まで紅潮していることだろう。  
 そんな私の顔を彼は覗き込んで、軽くはにかんだ。  
「お前、そんな顔するようになったんだな」  
 鏡で自分の顔を見ていないため、どのような表情になっているのかはわからないが、  
きっといつもとは全く違う表情を作っているのだろう。  
「8800回だったか。日数に直すと大体12万日以上か。それくらい日が過ぎれば、  
 やっぱりお前の思うところがあるんだな」  
 そう言って彼は、私の頭を抱きかかえ、耳元でささやく。  
「ところで、長門。今までお前は何回こうやって来たかは知らんが、こっから先はどうなんだ?」  
 私は視線を彼の顔から下腹部へとむける。そこには、先ほどと同じ位に凛々しく  
そそり立つ彼の肉棒の姿があった。  
 私は再度彼の顔へと視線を戻すと、何も言わずにこくん。と、頷くのみだった。  
「そうか、すまないが、長門。俺はもう限界だ。これからは俺の我侭に付き合ってくれ」  
 言い終わったと同時に、彼は私に口付けをした。  
 
 
 
―――ふと、目が覚める。どうやら外が白んでたようだ。  
 いつの間にか、私は眠っていたらしい。もちろん、隣に彼の姿は見当たらない。  
 それどころか、この部屋に彼が来た形跡すら見当たらなかった。  
「現時点での、時空域の測定を行う」  
 そして、これから8579回目の夏休みの日常が繰り広げられる。  
 最終日の一日。その日だけが唯一、私に残されている日常。  
 それまでの8月17日から30日の13日間は彼とはまだ何の関係も持っていない。  
 当然、彼にこの記憶は残っていないし、その方が色々と都合はいい。  
 けれど、一度くらいは二人ともその記憶をもって、17日の朝へと帰ってきてみたいものだ。  
 それはまた、いつもと違う日常を繰り広げることになるのだろうが、きっとそれでも  
何事も無かったかのように17日へと戻っていくのだろうから。  
 それよりも心配なのは、この永遠とも思える繰り返しの先にある、『9月1日』だ。  
 あと何日この生活を過ごす事になるのかはわからない。それでも、きっといつかは  
その日がくるのだろう。  
 ただ、今のこの状況でさえ私はかなりの我慢する日々を繰り返している。  
 たった14日間という日だが、その最終日。彼との交じあいの時間を待ち望んでいる。  
 
 そして、それはループを繰り返すごとに、日を重ね彼の顔を見るたびに酷く強く望む  
ようになってきている。  
 もし、問題なく『9月1日』を迎えたとして、これまでと同じように彼と毎日を  
過ごすことができるだろうか? あの、彼の精液の味を忘れて、涼宮ハルヒの観測の日々を  
過ごせるだろうか?  
 実際にそのときになってみないとわからないことだが、今からそれだけが私の不安材料だ。  
 元の生活サイクルに戻ったとき、私は涼宮ハルヒに今までと同じ接し方が出来る  
だろうか? 彼の顔をみて、この生活をまた送りたくなるのではないだろうか?  
―――ピリリリリ、ピリリリリ。  
 私の携帯電話が着信していることを主張している。  
 きっと涼宮ハルヒからのプールの誘いだろう。  
 今はまず、このループの記録をすることが最優先だ。その後のことは、その後に思考  
するべきだろう。  
 そう結論付けした私は彼女からの着信を受けるため、携帯電話を手に取る。  
 もうすでに彼女が発する言葉はすでに一字一句間違うことなく記憶している。そして、  
再度夏の一ページを繰り返していくのだろう。  
 そして、最終日。私は心の奥底で願っている。先ほどのあの時間が再度訪れることを。  
出来れば永遠に9月1日へと移らないで延々とループを繰り返してほしい、とも。  
 私は、彼女からの伝言を聞くために、まだ終わらない夏休みの始めるために、  
携帯電話のボタンを押し、耳に当てた―――  
 
 
<以下エンドレス>  
 

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