いつもと変わらない放課後、掃除当番で遅くなるハルヒを横目に  
一人SOS団が占拠している文芸部室へと足を向けた。  
ノックをしてしばし待ち、扉を開けると珍しいことに朝比奈さんしかおらず  
いつものメイド服で俺の定位置に突っ伏して寝ていた。  
「…朝比奈さん?」  
どじっこメイドとしてSOS団の癒しの大部分を担っているお方ではあるが  
そこはそれ、年頃の女性らしくここまで無防備に眠るほど迂闊な方でも無いと思ったが…  
「……んっ……」  
なにやら色っぽい寝声で多少体をずらしながらも起きる気配はみうけられない。  
まぁ、ここまで安らかに寝ている人を起こすのも悪い気がするし  
朝比奈さんの寝顔など中々見れるものでもない、誰かが来るまでの短い間  
脳内asahinaフォルダに焼き付けておきますかね。  
そう思いながら朝比奈さんから少し離れて同じテーブルに着席すると  
頬杖をつきながら可愛い寝息を立てるメイド型天使様を観察することにした。  
しかし…凄い胸だよな、また成長したんじゃないか?  
SOS団関係者は美女が多いが、その中でも朝比奈さんの胸というか肉付きは  
ほんとたまりません。いや、溜まるんだけどな。などと愚にもつかないことを考えていると  
「……あっ……ん」  
と、なにやら息子の睡眠を妨げるかのような声を上げながらこちらの方に顔と胸を  
見せつけるかのように向きを変えながら体をクネらせる朝比奈さん。  
こっこれは…テーブルと顔によって潰れた胸がメイド服の上からでも  
その張りが確認できそうなほど押し上げられ、第三ボタンまで外されていた谷間が  
いつぞやの特盛り以上の迫力で目の前にさらけ出された。  
思わず喉を鳴らしながら呆然と見入ってしまった後、我に返り2〜3度頭を振る。  
流石にこれ以上は誰かが入ってきたときに気まずいだろ、と言う脳内音声と  
いやいや、これは朝比奈さんが自主的に見せてくれているんだし  
やましいことなど何もない、見れるところまで見ようじゃないかと言う脳内音声が対立する  
しばらく、といっても数秒程度だろうが辛うじて理性が優勢勝ちを収め  
朝比奈さんを起こそうとパイプ椅子から立ち上がり、朝比奈さんの肩を揺らした。  
「朝比奈さん、起きてください」  
そう声をかけると、少し寝ぼけたような瞳で朝比奈さんが俺を見つめていた。  
「えっと…そんな体勢で眠ると、体を痛めますよ?」  
「………」  
「……起きてます?」  
寝起き弱そうだよな朝比奈さんって、などと思いながらしばらく見つめていると  
朝比奈さんの肩に置いた俺の手に、暖かく柔らかい指がそっと絡まってきて…  
「……キョン……くん……」  
いつの間にだろうか、朝比奈さんの俺を見つめる目が、いつものSOS団員の目じゃなく  
俺に…誘いかけるような…、…絡まる指も俺の手を少しづつ胸元に引き寄せ…  
「……つかまえた……」  
桜色の唇から呟くような声で、俺の指先を理性と共に溶かしながら、ゆっくりと  
白桃のような谷間に導いていった。  
「あっあのですね朝比奈さん、ハルヒがもう直ぐっ、つっ」  
爪を立てられた…  
 
「……ばか……」  
谷間に丁度納まるように落ち着いた手の甲が一部赤くなっている。  
非難するように軽く目でこちらを睨んでから、赤く熱を持った場所にそっと舌を伸ばし  
ツツくように感触を確かめ、徐々に舌先を指の骨をなぞるように指の先端を求めてきた  
ちゅっ……ちゅっ……  
甘い音が二人きりの部室に響きわたる。唾液をすり付けるように指に絡ませて  
潤んだ瞳で俺を見つめてくる朝比奈さん。その瞳に吸い寄せられるように  
空いている右手で形のよい顎をそっと撫でるように触れていく。  
濡れた唇が呼んでいる、声にならない声で俺の唇を……  
誘われるまま、もうこの場所からは逃げられ無いことも、逃げ出す気も無いことも自覚しながら  
吸い寄せられるように柔らかな先端にたどり着こうとしたとき  
「ぼぉーけっんでっしょでっしょっ♪」  
やたら陽気な歌声を響かせた涼宮ハルヒの声が聞こえてきた  
それまで緩慢に、しかし確実に俺の心を浸食していた空気は霧散していき  
ガタンッと勢いよく立ち上がり俺から離れていく朝比奈さんは服装と髪の乱れを直し  
ハルヒが扉を蹴り開ける頃にはすっかりSOS団のマスコットメイドに戻っていた。  
 
 
しばらくしていつものメンバーがそろい、古泉とまったく集中出来ないオセロで不覚にも黒星を先行させ  
妙にこちらに視線を飛ばしてくる長門に気づかないふりをしながら、いつもの合図を待っていた。  
 
 
5人で帰る道すがら  
「何か悩み事でも?」  
いつものニヤケ顔で古泉が聞いてきた  
「………」  
長門張りの三点リーダーで視線を返してやると、肩をすくめながらいつものように  
「くれぐれもあなたは涼宮さんの鍵であるという自覚を忘れないようにお願いしますよ」  
と、すべて分かってるような口調で言ってきた。  
軽く舌打ちで返すと、また肩をすくめるような身振りで  
「やはり女性は女性ということでしょうか、出来ることならこのまま何事もなく  
SOS団として穏やかに過ごしていきたいと願っているのですが」  
願望を言い聞かせるように言ってきた。  
俺だってあんな妖しい朝比奈さんに逢えるなんて思いもしなかったよ、ってか古泉、てめーどこまで知ってやがる。  
ニヤケ顔を浮かべながら苦笑する器用な顔を作りながら  
「禁則事項です♪」  
などと見るものすべてに殺意を思い出させるような顔でごまかしてるつもりなら  
本格的に貴様とのつき合いを考え直さねばなるまい。  
 
「みんなまったねーー」  
「では、また明日」  
「また明日会いましょうね」  
「…」  
別れの挨拶と共にみんなと分かれてから少し、携帯のメール音が鳴り響いた  
『また、ね。』  
朝比奈さんからの短いメールに、言いようのない心のざわつきを感じて  
俺はしばしその場に立ち尽くした。  
 

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