俺が身を起こし、ぐちゃぐちゃに汚れた制服をどうやって親に言い訳しようか考えていると。  
「……キョンくん」  
起きあがった朝比奈さんが真剣な声で俺に呼びかけてきた。  
「どうしました朝比奈さん?」  
もしかしたら未来的パワーで、服のスペアでもまた取り出してくれるのかと期待して振り返ると、真剣な目で扉を見ている。  
つられて扉の方を向くと。  
「……終わり?」  
長門有希が立っていた。  
「……」  
――世界が停止した――未だに下半身丸出しの俺に向かい、躊躇無く近寄ってくると。  
「次は私の番」  
両手で俺の顔を挟み込んで。  
んっ………  
唇を重ねてきた。  
離れようとして手を掴んでみるが、まったく動かない。まさしく唇を奪われた状態でしばらくそのままの体勢で、固定さ、れ、る………………  
 
…………気が付くと長門が心配そうな顔で俺を見下ろしていた。  
「……ごめんなさい」  
長門が瞳を曇らせて心配そうな表情で見つめてくる。…長門に膝枕されているようだ…  
「もう、長門さんたら、いくらなんでも無理矢理すぎます」  
朝比奈さんが制服姿で長門を叱りつけた。どうやら俺は酸欠でぶったおれたらしい。  
「……朝比奈みくるが約束の時間より18分35秒延長した事が原因の一つ」  
そう言って朝比奈さんを非難するように見つめる長門。そう言われるとばつが悪いのか長門から目をそらし。  
だってキョンくんが、とか、ムードも大事、などと顔を赤くしながら呟やいた。  
しばらく朝比奈さんを見つめていた長門だが、ゆっくりとこちらに向き直ると俺の頭を撫で始めた。  
「……ごめんなさい」  
もう一度俺を見つめながら申し訳なさそうに呟く長門。いや、大丈夫だよ。  
そう返事を返して体を起こそうとすると、長門に押さえつけられた。  
「……」  
いつもの三点リーダで俺をじっと見つめてくる長門、その瞳には不安の色が見て取れる。  
不安?この万能宇宙人長門有希が?何かの間違いだと思ったが、微妙に視線を揺らしながら俺を見る眼差しには、やはり…不安、か?  
何かを言いたそうに言葉を探し、見つからずまた口を閉じる。  
そんな事を数回繰り返しただろうか。俺は自分の胸に置かれた小さな長門の手を握りしめ  
「……どうしたんだ長門、言いにくいことなのか?」  
そう言葉を掛けてから、先程、朝比奈さんとの情事をどうやっても言い訳できないくらい長門に目撃されたのを思い出した。  
あぁぁぁぁぁ、死にてぇぇ。体の中心から急速にこみ上げてくる羞恥心。  
言いにくいに決まってるだろ!バカか俺は!自分に突っ込みを入れて長門から目をそらすように体を背ける。  
……その時妙に軽く、肌寒い下半身に気がついて、俺は息子が丸出し状態なのにも気がついた。  
……下半身丸出しで気を失い、同級生に膝枕で介抱されていたのか……オレオワタ  
先程までの朝比奈さんとの官能の世界を完全に吹き飛ばし、一人絶望に打ちひしがれていると。  
「……内部エラーが蓄積されている」  
そう言いながら長門が俺の手を握り返してきた。  
「……現在の情報から予測できる可能性を模索した結果、蓄積されたエラーの除去にはあなたの協力が不可欠」  
白磁の指で俺の唇を薄く撫でてくる。  
「このままでは又、世界再編を起こしてしまう。協力して欲しい」  
その言葉に眼鏡をかけたもう一人の長門が脳裏に浮かぶ。  
見上げる形で再度長門の瞳を見つめると、不安の色は益々度を強めている。  
「………世界を守るために私を」  
「長門有希!」  
突然朝比奈さんから強い口調で名前を呼ばれ、長門が大きく震える。  
丁度俺を挟み込むような形で移動した朝比奈さんは、見下ろすように長門を睨んでいた。  
強い眼差しで見下ろす朝比奈さんに、瞳を揺らしながら怯えるような目で見上げる長門。  
…いつもとは真逆の構図に俺が二人の間で固まっていると。意志の疎通が図られたのか、長門が小さく首肯するのが見て取れた。  
もう一度俺の瞳を見つめ直し、強い覚悟を持った眼差しで長門が俺に語りかけてくる。  
 
「…私の中のエラーが増大している、このままでは世界再編を再度行う可能性も高い…」  
………もう一つの世界に逃げ込むしか無かった長門  
 
「……でも、世界のためじゃ…私は……私が………あなたが………」  
……それを拒絶して非日常を選んだ俺に  
 
「………今度は……………」  
…再度の拒絶を恐れながらも、誤魔化さずに言葉を紡いだ  
 
「おいていかないで」  
「当たり前だろ」  
そう言い切って瞳を涙で滲ませた長門を引き寄せ、その細い体を強く抱きしめた。  
 
長門は何を思っていたんだろうか。いや、俺は何を考えていたんだろうか。  
またエラーをため込まないように。世界を再編しないように。見守っていこうとした俺は、本当の意味で何一つ見守れてなどいなかった事をようやく理解した。  
確かに長門は消えなかったさ、12月の病室後も変わらず俺たちの前に居てくれて、いつもどおり部室の角で本を読みながらSOS団を見守ってくれていた。そこに、どんな想いを抱えて見守っているかなんて俺は考えもせずにいたのだ。  
すまない、喉元まで出掛かった謝罪の言葉を飲み込み。  
「……ありがとう」  
ずっと俺を想っていてくれたこの少女に感謝と  
んっ……  
優しいキスを交わした。  
涙の混じったキスは少ししょっぱくて、頬が赤らんだ長門の横顔を見つめながら、二度と離れないように強く強く抱きしめた。  
 
 
唇を離すと、名残惜しそうにゆっくりと身を起こす長門。  
俺も身を起こそうとすると下半身に何やら柔らかい物が被せられる。  
見上げると、朝比奈さんが先程まで着ていたメイド服をタオル代わりに投げ被せたようだ。  
さっきまで激しく愛し合っていた女性の前で、違う女性を抱き寄せキスをする。  
間違いなく背中を刺されてもおかしくない状況を前にして、俺は今日何度目かの心身硬直に陥った。そんな俺に  
「キョンくん…想っているのに…叶わないなんて…悲しいじゃないですか」  
朝比奈さんは後ろを向いて表情を隠しながら、呟くと  
「……長門さんの事もよろしくお願いしますね」  
そう一言声をかけて部室から出て行った。  
朝比奈さんの予想外の態度に、未だに長門の膝の上で固まっていた俺は、先程の言葉を噛みしめる。  
『長門の事も』  
……聞き間違いじゃないよな。そんな事を考えながら長門の顔を見上げると、短く首肯を返し  
「朝比奈みくるとの間には既に共闘の約束が為されている」  
そう言って自らの服を脱ぎ始めた。  
うぉぉぉぉ、まっ待て長門!男として確かに嬉しいがさっぱり意味が分からないぞ!共闘ってなんだ!  
勢いに任せて今度こそ立ち上がろうとする俺をあざ笑うかのように、長門は素早く膝を抜いて先に立ち上がった。  
急に支えを失い景気の良い音と共に後頭部を床に打ち付けしばし悶絶していると  
素早く衣服を脱ぎ捨て、生まれたままの姿になった長門は。俺の体に馬乗りになるような形で座り込んできた。  
 
……染み一つ無い新雪の肌、背中に翼が有っても疑問には思わないだろうな。そんな事を考えながら、しばしその姿に目を奪われる。  
そっと俺の胸に手を掛け、シャツの上から両手の指を滑らせるように撫でてくる。こちらの呼吸に合わせるかのように強く。弱く。強く。弱く。  
妖しく誘うように踊っていた指先は、不意に動きを止めると。今度は長門自信の体に向かって歩み始める。  
馬乗りになり、体に密着した膝先から登り始めた右手は、太股を駆け上がり臍を乗り越え緩やかな膨らみを見せる桜色の先端の周りを円を描くように踊り始める。  
左手は俺の胸板から真っ直ぐに長門に向かうと、そのまま長門の両の付け根、文字どうり産毛すら生えてない柔らかな線が一つだけ描かれた極上の舞台の中へと侵入していった。  
それぞれ違う場所で踊りながらも与えてくる感情は同一のモノ。世界最高のワルツに魅了されて、俺が大きく喉を鳴らすと。  
それに満足したかのように、瞳を僅かに緩ませ一つ吐息を紡ぐ。  
天使の身体を次第に女の身体に変化させながら、今度は腰を振るように俺に擦り付けてきた。  
艶混じりの音楽隊に合わせるように左手の踊り子も卑猥な音を俺の耳に届けてくる。  
胸周りの踊り子も徐々に下に降りて行き、気が付けば左手と共に共演を…いや、饗宴を始める。  
俺を向かい入れるためだけに催された晩餐会。主賓に招待状を送るべくゆっくりと膝を立て、俺の顔に少しずつにじり寄り、別の生き物のように充血し嬌声を上げながら俺を誘惑してくる。  
シャツに涎を垂らしながら俺の顔の真上にたどり着いた『それ』は、今度はゆっくりと口付けを求めて降りてきた。  
両手で見せつけるように広げられた『それ』を、目の前でゆっくりと誘うように揺らしながら、触れるギリギリでまた引き上げる。  
……欲しい、本能のまま唇にしたたり落ちる淫靡な液体を舌で舐め取ると、両手で長門の腰を捕まえる。  
引き寄せるように腰を落とさせていき、舌先は迎え入れるようにそそり起たせる。  
未だ長門自身により広げられたピンク色の『それ』に…舌の先端が微かに触れる…  
「…あっ……」  
久しぶりに聞いた長門の声。いつもとは違う色の付いた甘えた声に応えるように、俺は両腕に力を込めて舌先を埋めていった。  
舌先の無いディープ・キスそんな事を考えながら熱く蠢き、粘りけの出始めた膣内に舌を這わせ愛液を啜るように集める。  
ぢゅっ……くちゅっ……  
舌を動かす度に聞こえる雌の響きに応じるように、長門は両手を俺の頭の横に投げ出すようにして身体を丸めた。  
顔を見上げると、唇をきつく締めて声を出さないように耐えている表情が見て取れる。  
あれほど雄の本能に訴える誘い方をしておいて、嬌声を聞く楽しみを奪うのは如何なものか。  
そう思うと、丁度手の届く距離に降りてきた二つの苺を両手で摘んだ。  
「あぁ!……」  
一つ大きく嬌声を上げたかと思うと両手ですぐに口を塞いでしまう。  
……どうやら長門は嬌声を上げる方が恥ずかしいらしい……では、と、目の前に一つだけ見える小さく赤い実でも摘むとしますか。  
逃げられないように両手で腰を固定すると、舌先を一度膣内から引き抜き先端で赤い実をつついてみる。  
「んっっっ!……」  
先程より大きな嬌声を漏らし、舌先より逃げだそうとするが腰は完全に俺が押さえている。  
頭を振り身体を揺らしなんとか逃げようとするものの余計に擦り付ける結果となり下の唇からはますます蜜が溢れてくる。  
身体を丸め謝るように身を屈める長門を見て、チャンスとばかりに二の腕を掴み上げ強引に塞いでる口から引き剥がす。  
一瞬動きが止まる長門の隙を見逃さずに舌先に力を込めて、陰核を舐め上げた。  
「いっ!!…あぁぁ……っっっ」  
完全に腰が落ちて膝で俺の頭を挟み込むと嬌声を上げながら身体を振るわせ、力なく倒れ込んだ。  
 
小刻みに震える長門の下から頭を抜き取ると、子猫のように丸まった長門の背中を優しく愛撫しながら、可愛い声だったよと耳元で囁いた。  
長門は震えながらもなんとか頭を動かし、俺を潤んだ瞳で見上げて  
「……けだもの」  
そう一言呟くと俺を恨めしそうに睨んだ。  
……そう言うがな、あのスネークダンスで散々誘っておいて我慢しろと言うのは無理があるぞ  
見つめ返してそう言うとちょっと迷ったように瞳をたゆたわせてから  
「私の体は朝比奈みくるのように男性の劣情に訴えかける卑猥な体型では無いため  
あなたの性的興奮を満足に引き出せない可能性を考慮した。」  
……ようするにスタイルで劣る分を技術でカバーってことか…しかし卑猥な体型とか、朝比奈さんの事嫌いなのか?  
「……嫌いではない、しかし……」  
身体を起こし俺をじっと見ながら  
「……見せつけられた……」  
そう言って少しだけ表情を曇らせると俯いた。  
み、見せつけられたって…どれだ?…思い当たる節が有りすぎてちょっと迷う。  
「……ばか」  
顔を上げた長門に少し睨まれ、幾分温度が下がった瞳が俺を射抜く。  
内心汗を掻きながらも長門を引き寄せるように抱きしめ、その口を塞ぐ。  
…可愛い唇だな。そう呟いて唇を啄むように吸い上げ、頬や目尻にも優しくキスを落としていく。  
長門も最初こそ小さな拳でこちらの体をポカポカと叩いていたが、徐々に力を落としこちらの背中に手を回して抱きついてくる。  
…よし、なんとか誤魔化せた…そんな事を考えながら長門の舌先を求めてディープ・キスに移行し、口膣を犯そうと舌先を差し入れたら、突然強い力で舌を飲み込むかのように吸引された。  
「……!」  
俺が声にならない驚きを上げると、そのまま舌の奥を甘噛み、、いや、小さな八重歯を立てるように噛んできた。  
脳内に光が走る。一瞬、身体全体を舐め上げられたような感覚が覆い、続いて舌の付け根から甘い快楽が脳内に向かって走り始める。  
あ、やばい…。理性がこれ以上この快楽を受け入れることを拒み、右手で長門の身体を軽く叩き降参の合図を送る。  
名残惜しそうに俺の舌を唇で銜えながらゆっくりと引き抜くように解放していく。  
「……あなたはここが弱い」  
そう言うと長門は、悪戯が成功したのが嬉しいのか小悪魔的に微笑んだ。  
俺が主導権を取り戻そうと肩で息をしながら呼吸を整えていると、今度は俺の股間に顔を埋めるように沈めてきて、先程までの口撃で涎を垂らしながら立ち上がっていた息子を、躊躇無く口で銜えた。  
「うぁっ!」  
間の抜けた声を出す俺を尻目に、一気に喉の最奥まで飲み込み、吸い上げながら亀頭の手前で止めると、また飲み込み始める。  
吸い上げる瞬間の頬をすぼめる淫靡な顔が普段の長門の仕草とはかけ離れていて、どうしようもない劣情を催す。  
間抜けな喘ぎ声を出しながらなんとか耐えている俺をあざ笑うかのように、  
蟻の門渡り―睾丸とアナルの間―に指を忍ばせ、なぞるように袋の方に這わせてくる。  
…う、上手すぎるだろ長門!…  
射精の準備の為に体内に潜り込んだ睾丸から、精液を絞り出すように長門の指に若干の力が込められる、今の俺にはそれが限界だった。  
長門の身体を抱え込むように倒れ込み、怒張した欲望を全て吸い上げられるような快楽が脳内を浸食する…。  
白濁した液を口膣で受け止め、その奔流で喉を潤していく長門。  
十分に愛された息子を未だに吸い続ける長門を見て、俺は大きく息をつくと今度こそはこちらから攻めようと考え、指先を長門の胸に手をかけようとした。その途端また長門の強力なバキュームフェラが始まる。  
敏感になって、未だに軽く痙攣してる亀頭にもお構いなしに舌を絡ませてくる。……ずっと長門のターン……そんな恐ろしくも甘美な考えが一瞬頭に浮かぶが徐々に激しさをます舌技に耐えながらようやく声を絞り出す。  
「だ、だめだ長門。これじゃ俺が気持ち良いだけだ、二人で良くならないと」  
特に意識もせずに、思わず出た言葉だが長門は何かを思い出したかのように動きを止め。  
「……そう」  
ようやく息子を口膣から解放し、そう言うと俺に向き直ってどうすれば良いのか視線を向けてくる。  
「と、取りあえず休ませてくれ」  
情けない本音を口に出して仰向けに崩れ落ちた俺に、そっと寄り添うように長門も横になる、お互いに見つめ合いながら、どちらともなく指を絡ませる。  
艶のある桜色の唇、ほんのり上気した肌、汗でしっとりと濡れた前髪。  
一つ一つを今更確認するように見ながら、濡れた瞳をまた見つめる。  
…綺麗だ…  
思わず口に出た言葉に、薄く微笑んだ長門は、絡めた指先を強く握り返し応えた。  
 
体を起こした俺は、握りしめた指先を口元に運び、中世の騎士のようなキスをすると、長門の太股に体を割り込ませた。  
「……ぁ」  
少しだけ戸惑うように小さな声を上げて、俺を見上げた長門は、俺が見つめているのに気が付き…しっかりと首肯を返した。  
空いている左手を少し舐めて湿らせると、長門の入り口をゆっくりと撫でる。  
十分に濡れて熱くなっているが…やはり狭そうだ。  
舌を入れたときから感じていたが、体型よりもさらに幼さの残るその場所に、一抹の不安を感じながらも息子を長門の膣口に当て、腰を落としてみる。しかし、先端が少し入ったところで早くも強力な圧迫感を感じる。  
動きを止め長門に確認するように目線を送ると。  
「私の身体的特徴は四年前から大きな変化がない」  
そう呟いて俺をじっと見つめてきた。ってことはあれか、長門のここは中学一年生の時から成長してないってことで……不意にセーラー服を着てこちらに微笑みかけてくる長門の姿が脳内に浮かんできた……息子にさらなる力が宿る。  
「……けだもの」  
………否定できる要素がないよ!!自分でも気が付いてなかった性癖に気が付かされ、軽くヘコんでいると。  
「……あなたが望むなら情報操作で使い込まれt「今のままが良いです!」  
不安げにそう呟いた長門にそう断言して真剣な表情で見つめる。  
「……そのままの長門が良いんだ」  
「……そう」  
俺の声に大きな安心と、僅かの疑念を思わせるような瞳で、いつものように短く首肯を返して俺を見つめた。  
長門の呼吸に合わせて、ゆっくりと腰を押し進める。…表情を見る限り痛みは無いようだが、とにかくキツい。  
膣内もまるで意志があるかのように絡みつき、少し堅めの肉襞が締め付けてくる。  
長門を気遣うというよりは、俺自身が暴発しないように慎重に腰を落としていく。  
じっと結合部を見ながら挿入して行き、ようやく根本まで差し入れた時に先端に当たるような感触を感じた。  
これって、子宮口……か?ピッタリだな。そう思って長門を見つめると  
「……あなた専用」  
そう言って妖しく微笑んだ。  
……あぁ、駄目だ、今の言葉で完全に脳内の最終装置が外れると、長門に抱きつきがむしゃらに腰を打ち付けた。  
長門っ!長門っ!子供のように名前を呼びながら胸に吸い付き、強く抱きしめる。  
突然獣に変わった俺に驚いて拘束から逃れようと手足を動かすが、その行為が俺の嗜虐性を一層満たしてくれる。  
「あぁ、んっ…」  
嬌声を上げ始めた長門に……良い嬌声(こえ)だな……そう呟いてさらに突き上げる。  
やはり嬌声を聴かれるのは恥ずかしいのか、なんとか堪えようと口を閉じるが、俺の一突き事に嬌声は激しさを増していく。  
「やっ…あっ…だ、め……」  
ダメじゃないだろ長門、ちゃんと鳴いてくれ。自分が発した言葉に酔いそうになりながら長門の乳首に歯を立てる。  
「いっ!…いっ、くっ……」  
そう言って四肢を強ばらせたと思うと、長門の身体が大きく震え力が抜けてくる。  
…長門の絶頂と同時。熱いミルクを搾り取るように締め上げてきた肉壷に、俺は止めとばかりに本能の全てを解放した……  
最奥に突き挿入れたまま、しばし心地よい射精感を味わい。出し尽くしたのを感じると俺は長門に覆い被さった。  
「……けだものは嫌いか?」  
荒く息を吐きながら、囁くようにそう訪ねると。  
「……嫌じゃない」  
そう呟いて俺の胸板に子猫のように頬をすり寄せた……  
 
「……聞いて欲しいことがある」  
そう言って甘えた瞳で俺を見つめてくる長門、俺は言ってみろと目線で促す。  
「あなたが望むなら、このまま受精する事も可能」  
…さらっとんでもない事を言ってきた。  
「許可を」  
いつぞやのコンピ研との勝負を思わせるように訊いてくる。  
「………うん、それ無理……」  
掠れた声でなんとか絞り出すと。  
「………そう」  
残念そうに呟いた。  
……ゴム買っといた方が良いかな……  
 
「……これ」  
身を起こして、もはや誤魔化すってレベルじゃねーぞ!的まで薄汚れた制服を見て悩んでいると、長門が朝比奈クローゼットの奥から紙袋を持ってきた。  
中身を見てみると、見慣れた制服と下着。……未来的じゃなくて宇宙的パワーでしたか……  
ありがとな、そう言って着替え始める俺と長門。  
コンコンコン、ノック三回  
「……平気?」  
朝比奈さんが部室の扉をノックしてきた。  
はい。条件反射的に思わず返事をすると。  
お邪魔します。と、言いながら覗き込むように朝比奈さんが顔を見せた。  
着替え終わった俺と長門を見ると安心したように大きく息を吐いて、トコトコと部室に入ってくると、横目で俺を見つつ、長門の元に真っ直ぐ向かう。  
何やら二人して内緒話を始めると、時折俺を見ながら可笑しそうに笑う二人の女神。  
…なんか、居心地悪いな…そんな事を考えつつどうにも先の見えない二人の女神様の行動を所在なさげに待った。  
「キョンくん」  
先程の色事を思いだし少しボーッとしていた俺に朝比奈さんが呼びかけてくる。  
「な、なんでしょう」  
ぎこちなくそう応えると、小悪魔の笑みを浮かべながら  
「…どっちが、良かった?」  
…あーあー聞こえなーい  
「………どっち」  
あーあー聞こえなーい  
「そこで笑いながら『二人とも最高だったよ』って言えるなら問題無かったんですけど。ねー」  
などと最後の『ねー』で、長門に呼びかけるように微笑んでから、でもそんなキョンくんなら好きにならなかったかな?  
そんなことを呟いて、舌を出し頭を叩くあのポーズで俺に笑いかけた。  
 
「……私、キョンくんに伝えなきゃいけないことがあるんです」  
朝比奈さんが幾分真剣な声で俺に話しかけてきた。  
「涼宮さんの事なんだけど…」  
……ハルヒ……その名前を聞いた瞬間に腹に落ちてくるこの痛みはなんなんだろうね。  
そんな俺を見て、少し悲しそうな顔をしながら。  
「涼宮さんが周りの環境情報を自分の都合の良いように変えられるのなら……彼女が本気で好きになった人は誰も彼女を拒めない」  
はっきりと言い切るように俺に伝えてきた。  
「…好きになった人に自分の事も好きになって欲しいと願うのは自然なことだもの」  
なぜか、胸の中心に小さな亀裂が入った気がした。  
「……キョンくんが今想ってる人は」  
この先は聞いちゃいけない、脳のどこかで警鐘が鳴り響く。  
「……ほんとうにキョンくんが選んだ人?」  
胸を押さえて俯いた俺に『ごめんなさい』そう呟いて朝比奈さんは部室から出ていった。  
 
俯いたまま固まっている俺に、いつのまにか近寄ってきた長門がそっと手に触れる。  
「……さっきの出来事は、古泉一樹が所属する『機関』には気づかれていない」  
そう言って俺の指を取り。  
「情報操作により、私と朝比奈みくるがあなたと話しをした事になっている」  
その指を一舐めすると、そっと噛んだ。  
「……もし、涼宮ハルヒによる情報フレアが起きた場合の記憶の保護を行った」  
そう言って指を離すと。  
「それともう一つ」  
そう言って俺の脇腹をさすりながら言葉を紡いだ。  
 
家に帰って着替えもしないままベットに体を投げ出すと。待っていたとばかりに携帯が鳴り出す。…この着信音は古泉か。  
「お休み中に申し訳ありません」  
なんのようだ  
「随分と沈んだ声ですね、朝比奈さんと長門さんが真相を告げたはずですが、お気に召しませんでしたか」  
    『ほんとうにキョンくんが選んだ人?』  
朝比奈さんの言葉が脳内に木霊する。  
「冗談でも僕と涼宮さんが付き合うことになるのはそんなに気に入りませんか?しかし、それほどまでに素直になっていただけたのなら朝比奈さんの策もなかなかですね」  
俺の無言を肯定と受け取ったのか、古泉が得意げに弁舌をふるう。……まて、冗談だと?  
「えぇ、『いい加減にあの二人には、はっきりして貰わないと私達も踏ん切りが付かないから』と、同じ部室に居ながら三人の美女全員の心を独り占めとは…正直、羨ましいですよ」  
そう言っていつものニヤケ面で語りかけてくる古泉が脳内に表れる。  
「お二人とその事で今まで相談していたのだと思いましたが、何か不都合でも?」  
 
        『もたもたしてるとどんどん取り返しの付かない方に転がっちゃいますから』 あぁ  
 
                    『だから、動かないと駄目なんです。自分の欲しい人を手に入れるためには』 あなたは  
 
  『綺麗な形じゃなくてもいい、あなたがそばにいてくれるのなら』 そんなにも  
 
             『……つかまえた……』 俺を…  
 
「……大丈夫ですか?」  
……悪いがハルヒに電話しなきゃいけないんだ。  
そう言って電話を切ると慣れた手つきで登録してある番号を呼び出した。  
コール五回。  
「……何よ」  
ちょっと不機嫌そうな声でハルヒの声が俺を迎えた  
「古泉と付き合うってのは本気か?」  
「そ、そんなの、あんたに……そうよ古泉君と付き合うの」  
ハルヒは少し声を荒げながらも、どこか可笑しそうに言い切った。  
「なんで古泉なんだ?」  
普段の俺とは違う遠くからもう一人の俺を眺めるような感覚  
「何よ、あたしが古泉君と付き合ったってキョンには関係ないでしょ!」  
悪戯をして、ワクワクしながら親を騙す子供のような声で言い募るハルヒ  
「関係あるだろ」  
そんなハルヒの声を聞きながら  
「………ど、どうしてよ」  
俺は夢遊病患者のように意識をフラフラと揺らし  
「ゲームの相手が居なくなるからな」  
「!バカキョン!!」  
そう怒鳴られて電話が切られた……  
どこか焦点の定まらない瞳で、切られた電話を見つめながら。  
長門に噛まれた指先が妙に熱いなと思いつつ、俺は押し寄せる虚脱感に身を任せてベットに倒れ込んだ。  
 
 
  *某部屋某時間  
鈍色の空間で人には聞き取れない高音域の『詩』が紡がれる。  
「協力して欲しい」  
「うん、それ無理」  
「……情報連結の解除をしんs」  
「やーーやー待って嘘よ嘘、冗談だから!」  
「あらあらうふふ、ペットは躾が大事よね」  
「……しくしくしくしく」  
三つの人影は暫し『詩』を奏でるといつの間にか消えていた。  
 
 

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