朝比奈さんと官能的な体験をしてから数日  
あれからも普段と変わりなく接してくる朝比奈さんを見てると  
すべてが夢だったんじゃないかというような気がしてくる  
『また、ね』  
消せずに残してあるメールが、現実だと俺に教えてくれているのにも関わらず、だ。  
……どう考えても(もう一度しましょう)ってことだよなぁ……  
これはあれか、男の方から手を出してくれるのを待ってるって事なのか?  
まて俺、それで朝比奈さんに手を出して引かれたら立ち直れないぞ?  
でもあそこまで誘っておいて今更拒否するとか普通ありえないだろ?  
しかし、あの時の朝比奈さんが今の朝比奈さんと同じかどうかも考えないといけないんじゃないか?  
……だめだ……悶々と巡るばかりでいっこうに考えがまとまr、プスッ  
「う"っ」  
「何考え込んでるのよエロキョン」  
背中からシャーペンでの挨拶と共にハルヒが声をかけてきた  
「誰がエロだ」  
「授業中に鼻の下伸ばしてバカ面してるからエロキョンなのよ」  
くそっこいつは背中からでも俺の顔が分かると言うつもりなのか、…分かっていそうなのがちょっと怖いな  
「どうせみくるちゃんの事でも考えていたんでしょうけど、団内の風紀乱したら死刑だからね!」  
……相変わらず勘の鋭いことで……しかし本気で怖いな……  
「俺なんかが相手にされる訳ないだろ?」  
「まっ確かにそうなんだけどさ、襲う度胸もあると思えないし」  
そう言ったきりこの話題は飽きたようで、また校庭を眺める作業に入ったようだ。  
……ハルヒのこの勘の良さも正直問題だよなぁ、朝比奈さんと運良くつき合えたとしても  
下手すりゃ次の日にはばれているかもしれん。  
いや、本気で付き合ってることを理解させれば今のハルヒなら案外素直に認めてくれるんじゃないか?  
古泉の心配もいい加減過去のものだろうし、そうそう世界再編なんて起こすとは思えないしな。  
まぁ、理解させるも何も付き合ってすら無いし。確かめるのにも二の足踏みっぱなしだもんなぁ、俺。  
 
 
昼休みを告げるチャイムと共に教室を飛び出して行くハルヒの背中を見送り。  
弁当を取り出して国木田達と合流しようとしたら、弁当の包みに挟まるようにしてピンク色の便せんが見えた。  
『昼休みに部室で』  
差出人無しの短い文章でそれだけ。いや、この丸みがかった文字に可愛いピンクの便せんときたら  
朝比奈さん以外にありえないんだけどな。  
国木田達にちょっと用事があるんだと断りを入れて、弁当を持ったままクラスを後にすると  
SOS団部室へと足を進めていった。  
さて、グダグダと悩んでいるうちに朝比奈さんの方から誘われた訳だが、冷静に考えると未来関係の話だろうな。  
わざわざ昼休みに長門の城とも言うべき部室に呼び出すんだ、色っぽい話とは考えない方がいいだろう。  
弁当食わないで持ってきちまったが、食べてから向かった方が良かったかもしれん。  
でも、(キョンくん何で私を食べてくれないの?ずっと待ってるのに)という可能性も無きにしもあらずなわけで…  
 
 
色々と考えながら部室の前にたどり着き、ノック三回。  
「どうぞ」  
朝比奈さんの声を確認し、俺は扉を開けた。  
「お久しぶりです、キョンくん」  
そう言いながら長机に寄りかかるようにして座っていた朝比奈さんは、タイトスカートに薄手のシャツという  
いつもの悩殺女教師スタイルで迎えてくれる朝比奈さん(大)だった。  
「あ、お久しぶりです朝比奈さん。」  
まさかこっちの朝比奈さんとは。少々意表を突かれた形になり  
さっきまの期待を込めていた、脳内妄想会議の大半を破棄した。  
「む、なんかつまらない顔してる、傷つくなぁ」  
頬を少し膨らませて、それでいて優しい瞳で俺の顔をのぞき込むようなポーズを取ってくる  
「そんなことありませんよ、その、なんていうか、ちょっとびっくりしただけです。」  
「ふ〜ん」  
 
意地悪な笑みを浮かべながらこちらを値踏みするように見つめてくる朝比奈さん(大)  
なんとなく居心地が悪くなりいつもの席に弁当を置いて、わざとらしく咳払いをして話を促してみた。  
「えー、それで今回は何が起こるんですか?また時間旅行なら急いで弁当食べちゃうんで、少し待っててもらっても良いですかね?」  
「あ、そうね…ご飯は食べない方が良いかな、キョンくんはお腹がふくれるとあっちも満足しちゃうしね。」  
何やら意味が分からない  
「もう、ほんとに可愛いんだからキョンくんたらっ」  
そう言いながら近づいてきた朝比奈さん(大)は、楽しそうに俺の肩を掴んで、押し倒すように俺をいつもの椅子に座らせた。  
「……ねっ」  
……いや、マジで分かりません  
「……ばか……」  
何やら既視感を感じながら朝比奈さん(大)に理由を聞こうと口を開きかけたその時  
…柔らかい、とても柔らかく熱いもので唇を塞がれていた…  
んっ……ちゅっ……  
気がつくとすぐ目の前には朝比奈さん(大)の顔と閉じた瞳、それと、香水だろうか?  
甘い香りが鼻孔を刺激してくる、完全に固まってしまった俺から、そっと唇を離して  
「セカンドキスだよね?うふふ、ごちそうさま。」  
えっあっえっ、我ながら間抜けた声を出しながら狼狽する俺を優しい声で包み込むように  
「今日はね、教えに来ました。」  
えっとその、え、えっちな家庭教師ですか?噛みながらも冗談ぽく言い放つと  
「はい、大正解です♪ご褒美あげますね。」  
にこやかに言い放つと、柔らかい唇が啄むように俺の頬や唇の上を歩き始めた  
その間に、朝比奈さんの柔らかな手は俺のYシャツのボタンを一つ一つ外して行き  
Tシャツの上から胸板を滑るようになで回してくる。  
丁度俺の膝の上に座りながら、覆い被さるような格好で俺の体を啄み、指と香りで  
俺の体の一番敏感な所を触らずして急激に刺激してきた。  
熱いため息がどちらともなく漏れる…朝比奈さん(大)は完全に火が付いてしまったようで  
ガチガチに固まってしまった俺の心身をこじ開けるかのように  
舌を滑り込ませ、俺の舌を飲み込むように強烈に吸い上げてきた。  
思わぬ感触に体を仰け反らせ、完全に吸い取られた舌先を朝比奈さん(大)から抜き取ろうとするが  
いつの間にか頭を両手で固定されていて、逃げようにも逃げられない。  
その間に、ドロドロに解け合い蛇のように絡みあった舌は  
付け根の奥を甘噛みされ、脳に痺れにも似た快感が走るのを感じた。  
「……そこ、キョンくんの口内の性感なの、初めての快感だったでしょ?」  
ようやく解放された唇から、粘りけのある橋をかけ、朝比奈さん(大)は満足そうに呟いた。  
「……なんでっ……そんなところ……」  
分かるんですか。と、言い切る前に、また朝比奈さん(大)に唇を塞がれた  
今度は飲み込むような吸引ではなく、舌をこちらの口内に挿入れてくる。  
舌先は歯茎や舌の裏を撫でるように優しくなめ回して、甘い感覚が俺の脳内を埋め尽くそうと浸食してきた。  
気が付けばシャツのボタンはすべて外され、捲られたTシャツの中で、朝比奈さん(大)の指が這うように俺の地肌をなで回している  
「キョンくん、私も触って…」  
俺の口内をすっかり自分の味で犯したことに気を良くしたのか、朝比奈さん(大)は耳元で囁くように俺に愛撫を促してきた。  
俺の手を取って、自分の腰と太股に押しつけながら  
「ここから撫でるように触って私の首もとまでたどり着いて」  
そう言いながら自分は、俺の体にまた指を滑らせてくる。  
……たどり着けって言われたって…両手に感じる女性の柔らかさに驚きながらも  
朝比奈さん(大)に言われたとうりに、ゆっくりと指に力を込めながら少しづつ上を目指していく……  
シャツの上から腰に押し当てられた左手は、そのまま引き寄せるような形で背中に。  
太股に置かれた右手は、スカートの上を通りながらシャツの中に通していった。  
右手が丁度臍の辺りまでたどり着いたとき、熱い吐息が朝比奈さん(大)から漏れ、俺を見つめながら微かに頷いた。  
…俺に触られて感じているんだ…そう思った瞬間、言いようのない黒い衝動が俺の中を駆けめぐり  
「朝比奈さん!」  
自分でも驚くほどに強く出た言葉と共に、俺は一気に朝比奈さん(大)を引き寄せ  
右手で女性のもっとも柔らかな場所を揉み上げた。  
ダイレクトに伝わる柔らかさに、今更ながらノーブラだったことに気が付く  
 
「んっ、キョンくん、もう少し優しく…ねっ?」  
優しい声で諫められ、俺の右手の上にシャツの上から優しく両手を重ねてくる。  
気が付けばかなりの力で胸を押しつぶしていた事に気が付き、慌てて右手を引き抜くと  
喉の奥まで乾いて、うまく言葉を出せない俺に天使の微笑みを浮かべながら、自らシャツのボタンを外し始めた。  
上から四っつほどボタンが外され、残り最後のボタンとなった時に  
「どうしよっかなぁ……」  
そう言いながら小悪魔の微笑みで俺に語りかけてきた。  
「優しくしてくれる?」  
胸の先端をギリギリ隠すようなセミヌードで、甘い吐息と共に投げ出された質問に、  
俺のぎこちない首肯で満足したのか、妖しい微笑みと共に最後のボタンを外してくれた。  
……うっすらと上気した肌から雄を興奮させる匂いが漂ってくる……  
予想よりも遙かに大きな乳房が二つ、桜の花びらのような色合いの乳首を乗せて現れた。  
その圧倒的な質感の前に、食い入るように見つめていると。  
「キョンくんがつけた印、慰めて欲しいな」  
そう言いながら、俺が強く握りしめてまだ赤くなっている左の乳房を  
覆い被さるように俺の口元まで運んできて、先端をゆっくりと押しつけてきた。  
世界一幸せな柔らかさで息苦しさを感じながら、俺は舌先を伸ばし、桜色のそれをそっと舐め上げた  
「あっ……んっ…」  
今日一番の嬌声を上げて俺の頭に中腰でしがみついてくる朝比奈さん(大)を今度は優しく迎え入れる。  
両手で柔らかな感触を楽しみながら、舌先でツツくように先端を刺激し、乳輪を飲み込むように甘噛みを繰り返す。  
熱い嬌声と共に細かく痙攣を繰り返す朝比奈さん(大)は  
「……お願い、下も……」  
と、懇願してきた。魅惑的な果実から右手を滑らせるように臍、腰、臀部と撫で降ろして行く  
「……あぁ、じらさないで……」  
最初の勢いは最早完全に消え失せ、腰を振りながら泣きつくように俺の頭を強く抱きしめる。  
太股をなぞるようにスカートの中に指を滑らせ、湿り気を帯びた内股を伝い彼女が望む場所にたどり着く  
「…みゃっ…ひゃっ」  
指先で微かにつつくと、喘ぎ声を上げながらさらに強い刺激を求めて腰をどんどん落としていき  
俺の指先が、自分の太股と朝比奈さん(大)の秘所に挟まれたところでようやく落ち着いた。  
熱く柔らかい肉の感触が薄布越しに伝わり、指をゆっくりと押し上げてみる。  
「あぁっ、うんっ……」  
嬌声を上げながら激しく俺の指に自分自身を擦り付け、両手で俺の頭を強く抱きしめる朝比奈さん(大)  
もう自分の快楽のことしか考えられないのか、ひたすらに腰を動かし、乳房を俺の顔に押しつけてくる。  
「んっ…あっ…ひゃっ…」  
益々激しくなる息づかいが今日最高潮に達したとき、舌で愛撫していた乳首に軽く歯を立て、指に力を込めて立ててみる  
「ひっ!………あっ!…ん……ん…………」  
一度大きく震えながら大きな嬌声を上げると、四肢の隅々に力を入れて、体がどこかに飛ばないように  
必死でしがみついてきた。俺は左手で余韻に震える朝比奈さん(大)を支えるように背中を撫でながら  
一人取り残された息子をどうしようかと、甘い果実に埋まりながら考えていた。  
 
「このような自分本位なえっちがダメな見本なのよ。」  
余韻から回復して現実世界に戻ってきた朝比奈さん(大)の最初の言葉がこれだった  
「えっちは二人でするものなんだから、パートナーと一緒に気持ちよくならないと」  
服装と髪の乱れを直しながら  
「一人だけ絶頂を迎えて満足しちゃうなんて、オナニーと変わりないんだからね」  
呼吸を整え、しかし、上気した肌だけは熱さを持ったままで言い切った。  
「……ようするに?」  
「……ごめんなさい!!」  
人間素直が一番である。  
 
俺に向かい合うような形でパイプ椅子に座った朝比奈さん(大)に  
「えー、反面教師って事を教えに来たんですか?」  
「うーー」  
俺の疑問に唸るような声で答えながら  
「ほんとにね、ちゃんと教えに来たのよ?でもね、キョンくんの体に触れているうちにもう、どうにも我慢が出来なくなっちゃって…」  
自分の頭を軽く小突くあのポーズで誤魔化した  
「……怒ってます?」  
まるで、粗相をしてご主人様からのお叱りに怯えるメイドのような声で聞いてきた  
「いぇ、怒ってるというよりは…残念だなーと」  
完全に放置プレイを食らった息子に一瞬目線を向けてみた  
「あ、そうよね……」  
こちらの意図に気が付いたのか、少し恥ずかしそうにしながらも朝比奈さん(大)は俺の股間を見つめながら  
「……お口で」  
そう言いながら俺のズボンのベルトを外し始めた。  
驚いて立ち上がろうとする俺に構わず、慣れた手つきで息子を取り出そうとする  
「ちょっ、待ってください朝比奈さん!」  
「こんなに膨らましといて、待ってなんて説得力ありませんよ?」  
奇しくも立ち上がった事によって仁王立ちフェラの体勢になってしまい  
勢いよくズリ下げられたパンツから、俺の本音も勢いよく立ち上がった  
「……あぁ、ご主人様……」  
何やらうっとりとした表情で俺を見上げながら変なことを口走る朝比奈さん(大)  
口をすぼめて舌を突き出し、まるでそこに『突き入れて下さい』と言わんばかりの形で俺を見つめてくる。  
…潤んだ瞳でじっと俺を見上げながら涎を垂らすのもお構いなしに待ち続け…  
俺は両手で朝比奈さん(大)の頭を固定すると、亀頭を舌に乗せ  
初めて感じる舌肉の暖かさに興奮しつつ、その口膣にゆっくりと突き入れた。  
喉の中まで亀頭を侵入させ、完全に奥まで犯し挿入れたとき、朝比奈さん(大)が  
舌を竿に張り付かせながら、ゆっくりと引き抜き始める。  
思わず声を漏らした俺から片時も視線は外さずに、竿の部分を舌で撫でるように這わせ  
奥までくわえ込んだ亀頭は喉で絞めるようにしながら、徐々にそのペースを上げていった  
じゅっ……くちゅっ……  
唾液とカウパー腺液が混ざり合い、潤滑油となって卑猥な音を立てる  
「あ、朝比奈さん…もう、俺…」  
散々じらされて正直爆発寸前だった俺は、すぐ出したら流石にみっともないという  
小さなプライドを簡単に投げ捨て、素直に白旗を揚げることにした。  
「ひゃい」  
くわえたまま返事をすると、俺の腰に両手を回し、しっかりと固定した。  
視線に微笑みを浮かべながら、止めとばかりに頬を狭めながら吸い上げる  
「うぁ、それは…出ちゃいますって」  
俺の白旗などまるでおかまいなしに、喉の奥で強烈に締め上げられた俺は  
肺の中の空気をすべて絞り出すような、声にならない声を上げて  
朝比奈さん(大)の口膣に白濁した欲望をすべて吐き出した。  
足に力が入らず、長机と朝比奈さん(大)に手をついて、肩で息をしながら体を支えていると  
尿道に残った精液をさらに吸い出すように吸引してきた。すべてを吸い尽くしたのを確認して満足したのか  
亀頭の先端に喉の鳴る音が伝わってきて、ようやく朝比奈さん(大)がぐったりした息子を解放した。  
唇をまだ残滓で光らせながら、満足そうに一つ息を吐くと、俺の方に目を向けて  
「また私だけ楽しんじゃったみたいで…ごめんなさいね」  
そう言いながらも、また火がくすぶりだした自分自身を持て余すかのように妖しく微笑んだ。  
 
しばらく見つめ合っていると朝比奈さん(大)が  
「あ!もうこんな時間、キョンくんこれに着替えてください」  
いきなり跳ね起きて、長机の下にあった紙袋から北校の制服と下着を取り出した。  
これ、俺の?  
「はい、キョンくんの今着てる服のコピー品です、細かいほつれや汚れまで再現してあります」  
何やら無駄に凄い未来的パワー?を見せられたが、確かに、自分の姿を改めて確認すると  
シャツもズボンも俺と朝比奈さん(大)の体液で染みと汚れだらけである。  
「着替えたら、紙袋に汚れた服を突っ込んで、私のクローゼットの影に置といて下さい」  
そう言ってコスプレ衣装が吊してあるホワイトボードを指さすと朝比奈さんは(大)は  
「キョンくん…小さな私をこれからもよろしくお願いしますね。」  
と、言いながら深々と頭を下げた。  
「あ、はい、責任を持ってお預かりします」  
などと小さな子供の面倒を頼まれた身内のような返答をすると  
「はい♪」  
よほど嬉しかったのか、満面の笑みを浮かべて朝比奈さん(大)は大きく頷いた。  
「…それじゃ、またねキョンくん」  
去り際に、頬に軽くキスを残して朝比奈さん(大)はあの時のように部室の扉から出て行った。  
後に残された俺は、しばし呆然としながら扉を見つめていたが  
昼休みの終了を告げるチャイムの音で我に返り、慌てて着替えをすませると  
紙袋に汚れた衣服を突っ込んで、ホワイトボードの裏に隠すようにしまい、教室に向かって駆けだした。  
さっきまで情事が行われていたとは思えないほどに静まりかえった部室  
「光学迷彩モード解除」  
呟きと共に姿を現した少女、長門有希はいつもの丸テーブルの横で  
パイプ椅子に座りながら、先程までの行為が行われていた空間を凝視していた。  
しばしの間、猫のように空間を見つめていたかと思うと。音もなく立ち上がり  
ホワイトボードの前に移動すると、朝比奈クローゼットの中から紙袋を引っ張り出し、先程までの残滓  
-残り香や体温がまだ残る-を確かめるかのように取り出した下着に顔を埋めると  
「………」  
微かに、持ち主の名前を呟いた。  
 
 
……腹減った……  
部室から飛び出して。洗面所で顔を洗って。ギリギリ次の授業に間に合い  
席に着き安堵のため息を漏らしたら、腹の虫が不満の声を上げた。  
「あんた、昼休みどこほっつき歩いてたのよ」  
ハルヒが背中から声をかけてくる  
正直、答える気力も、上手い言い訳も考えつかなかった俺は、無視を決め込み机に突っ伏した。  
その態度が気にくわないのか、今度は椅子の下を蹴り上げてくる。  
その後もシャーペン攻撃や消しゴム乱舞など一通り試され、ようやく諦めたかと思ったら  
「……調子悪いの?」  
などと妙な声で聞いてきた。くそっ、乱暴に当たり散らすなら無視も決め込めるが  
不安そうな声で問われると、どうにもばつが悪い。顔だけ後ろを向けて、ちょっとな、と返すと。  
何か言いたそうな顔をしながらも、ふぃ、と顔を窓に向け、つまらなそうに外を眺め始めた。  
 
 
「今日は用事があるからSOS団は休みにするわ、みんなにもメールしとくから  
あんたは真っ直ぐ帰ってその辛気くさい顔を明日までになんとかしてきなさい。」  
苦行の終わりを告げるチャイムと共に俺にそう言い放つと、ハルヒはさっさと扉の向こうに消えていった。  
「なんだ、嫁さんに振られたのか」  
谷口のバカを軽く睨みながら、部室に忘れた弁当の処理を悩んでいた俺は  
ハルヒの気まぐれに感謝しつつ部室へと向かった。  
「お待ちしておりました」  
部室へ向かう途中にニヤケ面に出会い。今日は休みだとさ、と声をかけて通り過ぎようとしたら  
見慣れた包みにくるまれた物が差し出された。  
「中庭で少し話があるのですが、よろしいでしょうか?」  
口調こそ疑問系だが、答えなど待たずにさっさと歩き出す古泉の背中を見ながら  
物質となった弁当を取り返すべく渋々と後を追った。  
「どうぞ、僕のおごりです」  
 
いつぞやの話をした席で弁当と一緒に差し出されたお茶を見ながら、返事もせずに弁当を食べ始めた  
「最近涼宮さんの能力は非常に安定しています、それこそ月に1〜2度  
しかもかなり小規模なもので神人も小物が一体のみが殆どです」  
今日はヒジキの煮付けか  
「当初機関の間では、こんなにも早く安定期が訪れるとは、完全に予想外でした  
少なくとも最も多感な時期の一つである高校生活においては、見守ると決めた派閥でも  
多少の犠牲と混乱はやむなしとの見方が主流でしたから」  
キンピラは昨日の残りだが、今の俺には文句など出ようはずもない  
「これも全てはSOS団に関わった者達の努力の結晶と言えるでしょう。特にあなたの  
涼宮さんに対する働きは、程度の差はありますが機関内部からも賞賛の声と拍手が  
鳴り止みません。あなたに一言だけでも礼を言ってくれと毎日のように言われてるんですよ」  
……仕事でSOS団に居るわけじゃねーよ、礼もいらん。  
「ええ、もちろん分かってますよ、あなたはあなたとして立ってるんだということは」  
そう言いながらニヤケ面を向けてくる古泉、どんな理解をしてるのやら  
「弁当食い終わったら帰るからな」  
そう告げると、肩をすぼめるようにいつものポーズを取った後、こう切り出してきた。  
「最近、未来人の動きに不穏な動きがあります」  
「佐々木の所の奴か?」  
「いえ、あなたに一番近い位置に居る未来人です」  
くそっ、少しは付き合えよ……つーか、お前等機関が護衛と称したデバガメなのは知ってるが  
いい加減にしないと、マジで俺も切れるぞ。  
「すいません、その点に関しては不愉快な思いをされているのは謝ります  
しかし、あなたと涼宮さんは世界そのものと言っても過言ではないのです。」  
……忌々しい……  
「ご理解感謝します。さて、今までは利害の一致から共闘状態に合った未来人ですが  
最近の動きは、どうも涼宮さんに刺激を与えようとする宇宙人の一部  
長門さんは強硬派と言っていましたが、それとよく似た動きが見られます」  
思わず脇腹に手をやりながら、苦虫を噛み潰したような表情になる。くそっ弁当が不味くなった  
「個人の思いで作りならまだ見過ごせますが、組織だって動いているとなると話は別です  
どんな思惑があるのか分からない以上、あなたにも気をつけてもらわないといけませんから」  
無理矢理飯を喉に詰め込んで、お茶で流し込んだ。じゃぁな古泉  
弁当を片づけ立ち上がった俺を見て、古泉も立ち上がる  
「…古泉、お前は朝比奈さんが何か企んでるとでも思ってるのか」  
「…このまま何事もなくSOS団として過ごして行ければと思っていますよ」  
答えになってるんだかよく分からん答えを返して  
「それでは僕はこのへんで、長々とすみませんでした」  
と、話しながら校舎の方へと消えていった。  
 
 
家に帰って風呂と飯をすませ、ベットに転がりながらボーっとしていると。  
『また、ね』『…それじゃ、またねキョンくん』二人の朝比奈さんの顔が交互に浮かんできて。  
『何考え込んでるのよエロキョン』何故かハルヒの顔まで浮かんできやがった。  
「……どうしたもんかね……」  
なんとはなしに呟いてみたところで、どうなるもんでもなし。  
今までどうりなるようにしかならないだろ、などと極めて優柔不断な結論に落ち着いて。  
徐々に押し寄せてくる睡魔に身を任せていった。  
 
 

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