「なぁ、ハルヒ…」  
朝比奈さんの入れてくれたお茶を手に取りながら  
俺はあくまでさりげなく、何気なく会話を切り出してみた。  
でも、緊張しているせいだろうか?微妙に不自然な気もする。  
いや、不自然だな。  
実はちょっとだけ俺はハルヒに対して疑問というか不可思議な部分がある。  
ハルヒは結構、謎の女だと思う。  
いや、確かに奇怪な行動を取ったり、奇人変人と呼ばれるまでの色んな問題はあるのだが  
それより何より、明るく行動的なようでいて意外とそのプライベートは一切見えてこない。  
わざと見せないようにしているのだろうか?それもSOS団の団長としての責務?  
それともただ単に自分を他人に見られたくないだけ?  
意外とこいつは繊細な部分も持ち合わせているんだなと感じる時はあるが。  
そこで俺はその万里の長城のように積み上げられた不思議な壁に  
小さな一点で良いから穴を開けてみたくなっただけだ。  
要するにただの興味本位。  
「ハルヒはハルヒって名前を付けられた名前の由来は何だ?」  
部室にいる全員の顔に「は?何を言っているんだ?」という色が透けている。  
ちょっと切り崩し方を間違えたか?  
「いや、ハルヒって結構変わった名前だろ?どこから付けられたんだろうなと思って…」  
我ながらアホらしい、苦し紛れの言葉に苦笑せざるを得ない。  
「何言ってんのよ?あんた」  
俺もそう思う。  
 
「…小春日和」  
お、答えた。  
「とかそんな感じ?親父にでも聞かないと分かんないわよ、そんなもの」  
まぁ、そりゃそうだ。  
「小学校の時にそんな作文課題、出されなかったか?」  
「忘れた。あんたこそキョンとか変な名前じゃない?」  
それはあだ名。本名は…  
「有希は?」  
おい!俺の話も最後まで聞いてくれよ。  
「…雪」  
実にシンプルな回答でファイナルアンサーだな。  
「冬の雪と掛けている訳ですね。それに希望が有るとは考えてみると素敵な名前ですね」  
こういうキザな台詞でもサラッと口に出せる古泉の笑顔に少しだけイラッときた。  
「そういうお前はどうなんだ?古泉。一樹ってのも変な名前だぞ」  
「変ですか?自分では結構、気に入っているのですが。  
読んで字の如く、太く長く一本筋の通った大きくそそり立つ樹のイメージでしょうか?」  
なんか今、もの凄い嫌なイメージが浮かんできた事は口に出さないでおこう。  
むしろ口に出されたくない、色んな意味で。  
「朝比奈さんは?」  
「禁則…あ!いえ…ひ、秘密です…」  
ハルヒの前で禁則事項なんて言い方をしちゃいけないのは分かりますが、  
それでも秘密なんて言い方をしてしまうと…  
「秘密とは気になるわね、みくるちゃん!」  
ほら、ハルヒが食いついてきた。  
「いえ、秘密というか…じ、自分でもよく分からないんです」  
「本当に?」  
蛇に睨まれた蛙。二時間ドラマで船越英一郎に崖っぷちまで追い詰められる真犯人。  
「未来って言葉の読み方を変えると『みくる』とも読めるんでそこからですかね?」  
ちょっと朝比奈さんをからかってみた。驚く顔もキュートなマイスイートハニー。  
大丈夫ですよ、朝比奈さん。そんな事であなたが未来人だなんてバレませんから。  
「それとも『Milk』とか『くるみ』を並べ替えたりとか?」  
フォローはばっちり。  
「確かにみくるちゃんの胸は牛並みだしね」  
そういう意味じゃないんだぞ、ハルヒ。  
「ところで何故、急にそのような話を?」  
良い突っ込み所だ、古泉。  
「さて、何でなんだろうな?」  
確かに俺にもよく分からんな…なんで、そんなどうでも良い話を…  
「きっと何となく知りたくなったからかな?そういう何気ない事でも」  
なんだか、さっきまでより部室の温度が少し上がった気がする。  
今日のお茶は美味しい。  
甘みと渋みのバランスが最高ですね、朝比奈さん。  
こいつはなんて名前のお茶ですか?  
 

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