時刻は19時過ぎ。いつもの長門の部屋のドア前に着く。…朝倉はいるのだろうか。
長門がノブを廻し中に入っていく。それに続く。
「朝倉、いるか?」
奥で食器を扱う音がする。いるんだな。
「おかえり。ご飯一応作っておいたけど食べてきちゃったかな?」
スリッパをぱたぱたとはためかせ玄関前までわざわざ来てくれた。
「…まだ食べてない」
「良かった。何? 呆然としちゃって。二人とも早く上がって」
何故こんなに元気なのだ?おまえは消されるかもしれないんだぞ。
首を傾げる朝倉を見ながら思う。理解できない。スリッパを履き上がる。
「今日はシチューにしたの。自分で言うのもなんだけど結構美味しいから」
香ばしい匂いが部屋を満たしていた。テーブルへ向かう。長門は隣へ。
朝倉はキッチンでシチューを皿へ移していた。
その顔を見ながら座り思う、俺に知られているのを朝倉は知らない訳がない。
長門の経験した事は伝わっている筈なのだ。…バックアップ。俺にはもう通用しない。
「朝倉! こっちへ来てくれ」
このままでいいわけがない。
「わっ、ちょっとまってシチュー持って行くから」
朝倉はおタマを持ちながら驚いた様子で言った。二皿持ちながら、おぼろげな足取りでよたよたとこちらへ近づいて来る。
「すまなかった!!」
テーブルに頭がぶつかるが痛みは無い。
「俺のせいで、朝倉はまずいことになってしまった。本当にすまないッ!」
頭を垂れながら誠心誠意込めて謝罪した。謝って済む問題ではないのは解ってる。
だが………反応は一向に返って来なかった。顔を上げ見る。
「ふふ、気にしないでいいの」
驚いた顔をすぐ微笑みに変え諭すように言ってきた。皿をテーブルに置きこちらへ歩み寄ってくる。
「あのね」
座る俺の前に立ちゆっくりと屈みこちらの背に手を廻し抱き締められた。テーブルに何かがぶつかる音。
「私がそうしたいからそうしただけ。だからあなたは何も気にする必要はないの」
肩に顔を乗せながらそう言うこいつは…とても儚く感じる。優しい抱擁。その温もりは母が子供をあやす様。
「有希ちゃん、言っちゃダメって言ってたのに…やっぱり二人になったら言っちゃったか」
……買い物の時一緒に行こうって言ったのは。
「………なぁ」
「何も言わないでいいから。こうしているだけでわかるの」
そのまま何分経過したかも定かではない。隣にいた長門もずっと黙ったまま俺達を見ていた。
ただ解った事は、この人は本当に愛してくれているのだということだけで――
記憶が余り無い。夕食を食べ終え、一番風呂に入らせて貰い居間へ出ると
朝倉は今後の事は朝話すとと言い、早いうちから朝倉の事とこの世界の事で話すことが
あるだろうと言ってもニコニコ顔で無視されどうやってもそれ以上の返事は貰えず
長門もいつものように表情を隠し同様反応を返してくれなく苦い顔、
そんな顔をしていたと思うが諦めそのまま隣の部屋の床に入った――――
6、H
柔らかい布団、一日の疲れを取るにはやはり睡眠を取るのが一番だ。
でも眠れない。ずっとあいつの事が頭から離れんのだ。あいつを助けるためには。
「どうすりゃい……ん?」
風を感じた。頭に熱でもあるのか、その涼しい風は心地よい。だが、窓は開けていなかったはず。
なら開いてるなら、襖だろう。首だけ回し視線を向ける。
「おまえか…」
考えていた人物がいた。暗くて顔はよく見えず、返事もくれない。
後ろ手に襖を閉めていき、段々とこちらへ近づいて来ている。
「どうした?」
布団の足元で停止。怖くなってきた…。
「何か言え…って!?」
ゆっくりと脚を布団の上へ降ろし、腕も同様降ろし四つん這いで顔の方まで登って来る。
「待てッ! 何のつもりだ」
肩を掴み制する。
「…寂しいって思っちゃった。だから…」
薄明りの中ようやく顔を見ることが出来た。その言葉通りの顔、どこか儚く見える。
「思い出が欲しいな」
思い出が欲しい、この行動は…そういうことだろう。こいつは諦めているのかよ。なんてこった。
「…おまえがさ、俺が好きだというのは知っている。
でもどっちの俺なんだか正直よく解らない。昔からいた‘俺’の方が好きなんじゃないか?」
こいつとは知り合って間もない。付き合いの長い‘俺’を選ぶのが普通。
「どっちのあなたも好きよ。でもあなたのほうが好きなの」
俺を選ぶというのか?腑に落ちない。
「それは何故だ?」
「あなたは優しい。惹かれるのよ」
どう違いがあるのかは解らないが、今の朝倉の気持ちを考えるととても断れない。
いや、俺は嫌がってなどいない。まだ短い付き合いだけど、どれ程好いてくれているのかは
既にあの件が証明しているではないか。
「あなたの気持ちはどうなのかな…?」
俺の気持ち。気持ちは…。
「正直言うな。まだ恋愛感情かはわからない。でも大切にしてやりたいとは思う」
「それって好きって言ってるのと一緒」
そうなのか。
「なら…いいよね」
「待て今は向こ…」
暗い部屋に明りが差し込んできた。そう、俺の考えていた人、長門が襖を音も立てず開け、
こちらをじーっと見つめていたのだ。空気が重い。良からぬ事をしようとして見つかった犯人の気分。
「見つかっちゃったっ。まぁこうなると思っていたけど」
小さく舌打ちをし朝倉は長門と向かい合う形で相対する。動揺など微塵も感じない。今の状況を理解しているとは思えん。
片手を襖に置いたままでリビングの電光の光を背に正面は暗く見えない長門は何とも言えない迫力があった。
パジャマ姿は初めて見たが感動している場合ではない。
「これは何事」
う、うぐ。少し感情が垣間見えた。
「なにって、わかってるくせに」
「…これは許せない事態。篭絡しようとしている」
「篭絡なんてつもりはないわよ。このキョン君は有希ちゃんの好きなキョン君と違うでしょう?
私はこのキョン君が好きなの。だから黙っていて欲しいな」
沈黙が訪れた。ぴりぴりとした空気とはこういう状況を指す。何度味わっても慣れないもんだ。
朝倉が言いたいことは解るが、今の長門は複雑な気持ちなんじゃないか。黙っていられないからこそ来たんだろうし。
たぶん今二人は視線を交差させ火花を散らしているであろう。俺はそっちを見る勇気などないわけで想像するしかできん。
「見過ごせない」
「しょうがないなぁ…」
ん?朝倉は諦めたのか?見ると右腕を上げていた。その先の手は何かを指差している。見えない線を辿ると
エアコン?エアコンしかない。…意味がわからんな。長門よ、おまえには解るのか?
「………」
固まっていた。表情は微妙に驚愕、何時も以上に微動だにしない。これはいったい。
「いいよね…? こんな手は使いたくなかったけど」
もう手はない悪役の切り札のように朝倉は言った。
「………お姉ちゃんはやはりずるい」
渋々といった様子で長門は腰を降ろし正座。ちょっと待て、今何が起こった?
エアコンが長門を黙らせる事になるとは。理解できる奴は手を上げて俺に教えてくれ。
「…有希ちゃんは見てるつもりなの?」
俺も思った。長門は一部始終見るとでもいうように、その場に正座したのだから。
「全く構わない」
威圧のつもりかもしれない。棘のある言い方であった。見ていれば姉はやめてくれるとでも思っているのか。
「有希ちゃんには悪いけど、私はやめるつもりはないわ」
ああ、そう出ると思っていたさ。
「…全く…構わない」
意固地にそう繰り返す長門がいた。
「俺は構うっ。意地になるなよ。こんなのは嫌だし、ひどいぞ朝倉」
「ひどいのは誰なのかな。ちょっと説明が必要みたい。…そうね」
一瞬の事だった。その向かってくる指をかわす暇もなく額に触れた瞬間意識が落ちた――
≪/長門xキョンH≫
(…朝倉よ、なんてものを見せるのだ。俺はとんでもない状況に立たされていた。ここは仮想世界なんだと思う。
大体の流れで過去の記憶だというのは理解できた。激しい行為が現在進行中。)
「……ん」
有希がモノを飴でも頬張るように口に咥え直した。
「ちゅっ、あふ……んん…んっ」
小さな舌を這い回らせ先程出した精液を余さず吸い上げていく。その目の奥には恍惚が見えた。
じっと見つめながら奉仕をされるのは堪らない。昂ぶりに応じて再度モノは硬度を取り戻していった。
(長門の家、リビングでその行為は始まった。長門は薄いカーペットの上に身をかがめ跪き
両手でモノを抑え奉仕している。俺は今、‘俺’となり二つの感情を共有。
シ○メリアって知ってるか?いやなんでもない。とにかく自分の意思で体は動かせない。
足掻いたが無駄であり、こうして傍観するしかないわけで。)
「くちゅ、……じゅるじゅる、れろ…。まだ出そう」
やはり大きくなると少し歯が当たり引掻いてしまうが、それももう慣れた。程好い刺激に感じる。
「ここが…好き?」
舌先だけを唇から出し裏筋のくびれの辺りを反応を見ながら探る様に突っつかれる。
返事をする前に、有希は弱い部分を理解しぴたりとくっつけ上下にゆっくりとなぞり始めた。熱い。
「んっ…」
濡れた唾液と精液の混じる体液が竿を伝って垂れていく。ぞくりと体が震えてしまう。
このままではまたすぐ出してしまいそうだ。有希だって気持ちよくしてやりたい。
「有希、もう充分だ」
「…」
まだ続けたいみたいだがこの辺で許して貰いたい。
「あっ」
未だに舐め続ける有希の肩を押し床へそっと押し倒す。
お返しをするために制服のスカートを持ち上げ、はらりとめくった。白の下着が露になる。
「今度は俺が」
こくりと首を傾いだ。了解の合図は得た。両手で脚を広げていき顔を有希の下半身に近づける。
うっすらとした縦のスリットが眼前に現れる。
「少し…濡れてる」
ショーツの表面にはじわりと薄い染みが出来ていた。
「………」
脚を閉じようとする抵抗を腕に感じた。
「いやっ気にするな。俺は嬉しいぞっ」
さっきのはまずかった。これは恥ずかしいだろうよ。
こんなに無防備な姿を晒してくれているのに追い討ちをかけるように言ってしまったんだから。
「有希はかわいいな」
恥ずかしげもなく今なら言える。
(こっちはめっちゃ恥ずかしいぞ。どうやら初めてのようだし。俺には快感など伝わって来ない。正直悲しい。
って…待てよ、このまま見届ける羽目になるのかッ!?おい、朝倉!!)
その言葉に脚の強張りは抜けていった。ああ、この太ももの柔らかさも何たる事か。
俺の鼓動の速さは本気で走る犬より早くなっていた。興奮し過ぎかもしれん。
(おまえも俺も落ち着いたほうがいいのかもしれん。いや落ち着けねーよッ!)
「有希、俺めっちゃドキドキしてるんだ」
そっと長門の手を掴み自身の胸へと導いた。
(それな、普通は女がする方だ。)
「…心臓が大変な事に。私も同じ」
照れくさそうな長門。くすぐったい嬉しさでますます鼓動が高鳴っていくのを感じた。
「同じか…安心したよ。続きしちゃうからな」
再度脚を開いていく。綺麗な曲線を描く美しい控えめなお尻。秘部を隠す白のショーツ。何度見ても堪らない。
「脱がしても…いいか?」
「……いい」
躊躇する必要はなかったようだ。ショーツへ手をかけると長門は自分から腰を浮かせ脱がしやすくしてくれた。
生唾を飲み込む。
「いくぞ……」
壊れ物でも扱うような手つきで、腰から薄布をずり降ろしていく。見えた、が。
「………」
またもや、脚は閉じようと抵抗を見せていた。
「俺のは見ただろ? 頼むよ」
ぐっと少し強めにその脚を開いていく。
「……恥ずかしい」
丸見えだった。眩暈がするほどに美しく魅力的、もういてもたってもいられない。
目の前にある閉じた割れ目へ手を伸ばす。
「………んあっ」
指先を少し押し付けてみると、秘部から漏れ出る粘り気のある愛液が付着した。感じている。
好奇心が沸いてきた。そのまま指だけでタッチを繰り返してみる。
「ん……くっ」
指と膣口とに粘液の糸が伸び走り、出来た橋は再生と崩壊を繰り返す。有希の気持ちよさという
快感を構築しているようだった。もっと乱れる様を見てみたい。
(こんな声出すんだな…。)
「我慢してるか? しなくていい」
「してな…あっ! ぁ」
クリを探り当てた瞬間、有希は足を突っ張らせ震えていた。やはりここは弱いみたいだ。
「うっ、ぁ! んく…! し、刺激が…つよ……いっ」
ほんのりと朱をさした顔は我慢していますって言わんばかり。
「狙ってやってるからな」
言いながら、くりくりと指でその刺激の強い部分とやらを弄り回す。
「あ……くっ…んぁッ!?」
片手で秘部をよく見えるように開き、少しずつ膣口へ指先を進ませていく。
生温かな愛液が指を絡ませ、隙間からはそれが零れ落ちる。きつきつだ。
指は三分の一も入らない。これで俺のは入るのだろうか?もっと馴染ませる必要がある。
「いっ…ぁ…ああっ、あふ」
敏感な突起を片方の指の腹で撫で、膣口へ差し込んだ指を痛くない程度に加減しながら廻す。
「指止め…あっ…はぐっ!…止めない…とっ」
そうは言うがおまえのここは凄い濡れてきているじゃないか。
膣内からは止め処なく愛液が流れ指を伝い手の甲までを濡らしている。
「我慢しないでいいから」
「んぁっ! ふぁ…、あ…ち、ちがっ」
少し強めに中を掻き回してみた。艶の入った可愛らしい声は脳を蕩けさせる。
有希の足は俺の顔を挟み、その手はスカートの裾をぎゅっと握り締めていて。
こんなの見ちゃどうにも止まらない。
「っ……………」
「……?」
震えていた体は止まり、スカートを掴んでいた手は力なくだらりと床へ落ちた。何か音がする。
「こ、これは」
我が目を疑った。あの有希が…お漏らしをするなんて。
おしっこがちょろちょろとお尻を濡らし伝い床の薄いカーペットに丸い跡を残していく。
やっちゃった。
(…長門よ、獣ってのはよーくわかった。朝倉はあてにならん。おまえが助けてくれないか。
正座したまま俺が布団で身をよじっているのを見ているのかっ!?)
「だから…違うと言った。後で拭かなければならない」
顔を少し上げ股の俺を見ておっしゃった。突然のおしっこよりも平然としてる方に驚いたね。
(同感だ…)
「あ…ああ。後でいいよな」
もう待ってなどいられない。欲望のままに未だ開かれた太ももの間に顔を寄せる。
鼻先には突起が数センチといったところ。おしっこの匂いは余りしない。
「匂いは嗅がないで」
ばれた。ごまかそう。瞬時に舌を突き出しそこを突きにいく。
「んっ…、あっ…ぁっ、あ…あ!?」
休み無く矢継ぎ早に突っつきはじき、時にはぴたりと触れさせたまま細かく上下に舐め上げる。
「少しっ…待って…ふあっ!……ほしい」
「すまん、無理な話だ」
指で花びらを広げ中を覗き込む。ひくひくと脈動するそのピンク色の膣口は誘うようで。
「………あっ!」
思わずかぶりついてしまった。
「あくっ!? うぁ…、ああぁっ」
普段からは想像もつかないその悲鳴のような有希の嬌声、淫らな行い自体に頭がおかしくなりそうだ。
…もうなってるのかもしれない。淫猥な水音が脳の奥にまで浸透していく。
「んん…ぁっ…あああぁ、うぅぅっ」
温かな液体を吸い取って、飲み込んだ。少し粘り気があり、舌にまとわりついてくる様な感覚。
(移動する人参を延々と追い続ける馬ってのがある。今俺は長門の足を持ち上げ股間に顔を埋め
舐め回しているが…何も感じられない。これは新手の拷問か。)
次から次へと止め処なく湧き出てくる愛液。幾ら飲んでも切りがなさそうだ。
ほぐれたのか中までよく見える。…これなら充分だろう。
「そろそろ…いいよな」
「…好きにして構わない」
どこかぼーっとした顔をした有希は了承してくれた。モノはさっきの行為から完全に勃ったままだ。
だが、これがはたして入るのだろうか?無理な気がする。先端さえ入りそうにも無い。
「構わない」
「痛かったら…言ってくれ」
正常位の体制だが、これでいいのかどうか。出来れば余り痛がらせたくないが、いい体位なんて知らない。
まあ、痛がったらやめよう。
(な、長門の処女が…あ、あああ! なんだこの複雑な気持ちは!!)
さらけ出された割れ目へとあてがった。柔らかいその感触。溢れ出る液体をモノに馴染ませる。
それだけで途方も無い快感が背筋をぞわりと駆け上がる。我慢だ。
「……入れて」
「ああ…」
綺麗な花びらをかき分けながら、押し込んでいく。
「ぅ…………」
ほんの少し入った…けど。その狭さは侵入を阻み、抵抗を見せるようだった。
先端に感じる刺激は強く、びくびくと震えてしまう。まずいッ。
(あ)
「……………」
射精してしまった。その入り口からは咄嗟に、はずせたが、その秘部の周りは白濁の液体で汚れてしまっている。
未だ射精し続けるモノが非常にかっこ悪いッ。
「………早漏」
(…どうやら‘俺’は呆然としているようだ。視界は固定されたまま奴からは何も感情など浮かんでこない。ん?
白と黒の線が走り出し、しばらくするとちらちらとしたパラレルな光に変化。合わさるようにノイズを形作り広がり、
眼前の光景を覆いだした。綺麗だな…。微妙な空気の中俺の…意識は……落ちてい…。)
≪長門xキョンH/≫
続く おやすみ