これが恋なんだと思う。
いつからだろうか、感情と呼べるものを手に入れたのは
けれど絶対このことは情報総合思念体には報告しない。
今も、これからも。この感情と彼の掌の感触は私だけの物……
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彼はよく私の髪をくしゃりと撫でてくれる。
決してハンサムなわけではないし、運動が出来るわけでもない
だけど掌は暖かくやさしさにあふれていて……
コンコンコン。
無音の部室に響くノックの音。彼だ、毎回律儀に扉を叩くのは彼しか居ない
熱をもったスカートの中身へと伸ばしかけていた手を本の上へと引っ込めた
入ってきた彼はそれには気付いたそぶりも無くやれやれ。とでも言うように話し掛けてくる
―――やっぱりいたか、長門。
……やっぱりは余計。
そう非難の意味をこめて視線と…ほんの少しだけ頬を膨らます……と、撫でてくれた。
しっゃぁ、キョン君のなでなでゲット。これからも積極的に拗ねてみよっ……っとマズイマズイ。
「ハルヒからの連絡があったとおもうが今日は団の活動が休みだそうだ。」
そう言いつつもここまで足を運んだ彼は、私を気にかけてくれているのか単に暇だっただけか。
たとえ後者であってもここにきてくれたのだから文句はいえない。
無言で彼を見つめているとやはり彼が口を開く。
「その…なんだ、一緒に帰るか?」
……うん。
口には出さない、おそらく朱に染まってるであろう頬を差し込む夕日でごまかしながら私は頷いた。
-END-…?