「隣りにいっていいか?」
自分のベッドに制服姿で腰掛けていた佐々木に尋ねた。
「いやだ、という理由がない」
佐々木の照れ隠しの了解を得て俺が隣りに腰掛けると、ベッドが僅かに軋む。肩さえ触れ合うような距離だが、今の俺には絶望的な程遠く感じられた。
もっと近くへ。
その感情だけにつき動かされて、俺は佐々木の細く幼い首へと腕を回す。そっと、確かめるように唇が重なった。
これがキスか。唇は柔らかく、ほんの少しだけ甘い。俺の腰は蕩け、頭の奥は微かに痺れそうになる。
さらに奥へと侵入しようとする舌が閉じられた歯に拒まれた。
俺はまるでノックでもするかのように立ちはだかる壁をなぞる。すると、佐々木は観念したように力を抜いた。
細く震える舌先が佐々木の舌を絡めとると、くちゅくちゅと音を立てた。
組み伏せるように蠢く口内とは別のところで魔の手が忍びよっていたことに佐々木は気付かなかった。
俺は制服の上から佐々木の胸へと手を伸し、力を込めた。手のひらにすっぽりと収まりきる早熟の果実は、唇とはまた別の柔らかさでその形を変える。
「んっ……ふっ」
繋がった唇の隙間から、吐息が漏れた。
僅かに唇を離し、訊く。
「先にいってもいいか?」
「それも悪くないと思った」
ムードもへったくれもない言葉が俺を安心させ、裾の方から肌を撫ぜるように右手を差し入れた。
「……やっぱり……怖い」
肌理の細い絹のような肌が粟だっていくのが分かる。
今度は俺が安心させる番だ。
「大丈夫。任せてくれ」
その言葉に佐々木は僅かに身を震わせてから、こてんとベッドに倒れた。再び肌をなぞり始めた手がブラジャーの中へ忍び込むと、佐々木は固く目を閉じた。
「あっ……んっ」
柔らかく力を込める度、先端の膨らみを摘む度に佐々木の口から声が漏れる。そのままセーラー服を捲り上げると、淡い色をした乳房が現れた。
美しく、ぬらぬらと光る乳頭をそっと口に含み転がす。
「いっ……あっ」
佐々木の声が大きくなるとともに、俺自身も快楽への焦躁が激しくなり、スカートの中へと手を入れてパンツを一息に脱がした。意外にも茂みの深いクレパスはぴったりと閉じている。
どうすればいいんだろうか。扱いも知らず、勢いだけでここまできてしまったことに後悔を覚えた俺は動物的本能に導かれるまま口をつけた。
「ふぁっ」
ぴくんと佐々木の腰が浮く。
その反応に安堵を覚えて、俺は舌先を動かした。
「あんっ……いっ……ふっ」
口の中に唾液ではないさらさらとした液体が広がり、ことに至る決心がついた。
「佐々木。いいか?」
こくんと赤らんだ顔が縦に振られた。
財布に入れてあったコンドームをつけると、俺自身の先端をあてがい力を込める。
「つっ……」
いくらか表情を歪ませた佐々木の中は俺の侵入を許さなかった。
さらに力を込めても俺自身が力なく曲がるだけで、一向に入る兆しすらない。
「痛い痛い痛い……キョン……無理だよ」
「さきっぽだけだから! さきっぽだけだから!」
土下座せんばかりに頼み込んだ俺を尻目に、佐々木はそそくさと服を直すと、
「もう……帰ってくれ」
こうして俺の初体験は終った。