朝…カーテンから漏れる光が俺の顔を照らし、そこで俺は起床する。
今日は日曜だが、予定がある。もちろんハルヒ大魔王の探索とやらに付き合うのである。
正直それに慣れてきた自分が悲しい。
おっと遅刻するとハルヒ大魔王から死刑宣告されちまう。急がなくては
うむ。財布にはいつもより多く予算を入れておこう。備えあれば憂いなしだ
とまぁ、時計をみるとなんと9と6をさしてるじゃないか。まずい。確か待ち合わせは十時だったはず。
でも奴らは来るのが早い。財布よ。すまん。死ぬことになりそうだ
取り敢えず急いで家を出るもちろん交通法は無視だ。俺の足よ。音速を超えろ。だが実際は九時五十八分につくという散々な結果であった。
財布よ。死亡確定だ
「こぉらー!キョン遅いわよ!」
お決まりの台詞ばかり吐くな。返答に困るだろ
俺はボキャブラリーってやつがないんだ
「うるさいわよ!キョン、さっさとクジ引いて」
おや?ハルヒさん死刑宣告はしないんですか?
「毎回奢らせちゃ悪いしね」おぉっ!?どうしたんだ急に。熱でもあんのか?
とハルヒの額に手を当てる俺。
するとハルヒは、
「な、なにすんのよ!?」
とか言って顔を赤くしやがった。やべ。今俺すごい恥ずかしいことしたぞ。
朝比奈さんが恥ずかしそうにこちらを見てるし、長門はピクッと反応してるし。あの爽やかスマイル野郎はやっぱり笑ってやがる。
みなきゃよかったぜ。
急に空気が悪くなったな二酸化炭素のせいにしておこう。さっさとクジ引いてこの場から離脱しなくてはそして素早くハルヒの手元からクジを奪う。
なんか意識してるみたいじゃないか。これじゃ。
俺のクジの先端は赤く染まっていた。みんなもクジを引いて見せ合う。
えーっと朝比奈さんと長門とハルヒが無印か。女子トリオか
てことは、俺は古泉とか?
「よろしくお願いしますよ」お断わりします。
何が楽しくて男二人で仲良く歩かなきゃならんのか。
「まぁ、そういわないでくださいよ。色々話したいこともありましたし」
俺はまったくないけどな
「じゃあ、一時にまたここに集合でいいわね。」
ハルヒが二人を従えて、明後日の方向に歩を進める
朝比奈さん、気を付けてくださいね。
するとこちらを振り向き手を振ってくださった。
なんていい人なのだろうと思っていたら長門がこちらを見てる。
なんだ?おまえも何か言われたいのか?
「…」
三点リーダとセットで頷くな。まぁあれだ本を読みながら歩くな。
うーむこれしか言えない自分が情けない。
もっとボキャブラリーってやつを増やさなきゃならんな。
「わかった。あなたも」
いや、断っておくが俺は本はよまんぞ。歩きながらは決して
「そう。」
「さて、僕達も行きましょうか」
仕方ない。その笑顔をやめてくれたら行ってやる
「なんで今日は涼宮さんはあなたに奢らせなかったのでしょうか?」
おまえは俺の大事な財布が殺されてほしかったというのか。まったく嫌なヤツだ「そうじゃありませんよ。僕が気になっているのはなぜ涼宮さんが、あなたにペナルティを課すことなく、しかも同じグループになることを選ばなかったのでしょうか?彼女が望めば叶ったでしょうに。」
そんなこと俺が知るか
「そこで推測したのですが」推測しなくていい
「僕が思うにですね。涼宮さんはあなたを意識していますね。だから奢らせては可哀相だからと。そういうことなんじゃないでしょうか?」
ちょっと待て。仮に、ハルヒが意識していたとしても、おかしくないか?
「なぜ同じグループにならなかったですか?」
くそ。読まれてやがる。
そうだ。
「おそらくあなたと一緒だと色々と問題なのでしょう」
まったく意味がわからん
「それが乙女心です」
そんなもんなのか?
「そんなもんです。」
そうか。
だからあいつあんなに顔赤くしてやがったのか
てことは、俺は火に油を注ぐようなことをしてしまったのか。
「正にその通りです。おそらく午後はあなたと彼女が二人で行動することになるでしょう。」
なに?じゃ、おまえはなにか?朝比奈さんと長門の両手に華状態か?
「そういうことになるでしょうね。まぁ、あなたには涼宮さんがいるじゃないですか。」
おい、ちょっとまて。なんだ。その俺とハルヒがカップルだみたいな言い方は
「あなたもまんざらではないんでしょう?」
こいつは本当に嫌なヤツだ「あなたは以前涼宮さんのポニーテール姿が気に入ってたでしょう?」
俺はポニテ属性があるだけだ。
「どちらにせよ、同じことです。あなたがジョン・スミスとして出会ったときから彼女はあなたを意識していました。だからあなたは選ばれた。それに閉鎖空間での出来事。あれはどうやって戻ってきたんですか?」
思い出させるな。こっちは必死だったんだよ。生きるか死ぬかの瀬戸際でな。
「ですが、あなたはこうして生きている。」
生きてて悪かったな
「そうひがまないでくださいよ。」
ふん。だったら余計な詮索はするな。気に障る
「それは謝ります」
相変わらず爽やかスマイルは途絶えずに
「そろそろ戻りましょうか。約束の時刻が迫っています。僕としては色々話せたので大変満足です」
俺は満足じゃない。むしろ不愉快だ
「まぁ、そういわないでください。この後は満足できるはずですから。」
なんだその意味ありげな発言は。
「ほら、皆さんが待っていますよ。急ぎましょう」
また、はぐらかされた。
なんだコイツは?バカにしてるのか?
「遅いわよ!キョン!」
本日二回目である。
「じゃあ、午後はあたしとキョン。みくるちゃんと有希、古泉君ね。いい?」
もともと拒否権なんかないだろ。くそっ。古泉め。さらに笑いやがって。
言ったとおりになっちまったじゃねぇか
「そういうことだから。行くわよ。キョン!あ、そうそうこっから自由行動よ。団長からのサービスよ。」だったらグループにならなくてもよいんじゃないんですか?
「遅れた罰よ!団長に付き合いなさい。」
付き合いなさいっていうフレーズに反応してんなよって突っ込まないでくれ。
頼むから
そんな反応を爽やかスマイルは楽しんでいやがる。
完璧に。
しかも唇だけ動かして「頑張ってくださいね。」じゃねーよ。まったく
「キョン!付いてきなさい」無理矢理ハルヒが俺を引っ張ってつれていく。
腕が痛い。それに一人で歩ける。
そう訴えたがハルヒはお構いなしに俺を引っ張っていく。
しばらくするとハルヒの足がとまった。
やっと解放された
「キョン。目閉じて」
急に女らしい声で言ってくるもんだから素直に従ってしまった。
「いいわよ。目、あけて」
やっとか。何やってたんだ?
目を開けるとそこには、髪をポニーテールにしているハルヒがいた。
「一回しか言わないからよーく聞きなさいよ?」
なんだ。ハルヒ
「あたしは、キョンが好き!!」
あぁ、そのためだけにポニテにしたのか。可愛いヤツだ。
ポニテにしなくても俺の心は決まっていたさ
追伸
なんて返事したかって?
それは秘密さ。
男ってのは同じこと二度は言わないだろ?
男ってのは背中で語る生きものだと俺は思っているしな。