俺はハルヒを助ける方法はないかと考えある思いつきを口にした。  
そうだハルヒ、ビデオの事が心配なら警察にいって相談しよう、俺も一緒にいくから。  
 
「警察ってどこの警察? ビデオは海外でとられたんだから日本の警察に相談しても動いてくれないわ」  
 
……じゃぁ現地の警察だそこなら……さほど確信があったわけではないが日本が駄目ならと俺は思った。  
 
「無駄よ、これを見て、あたしのこと…すべて受け入れるんだったら最後まで黙って見てよね」  
 
ハルヒはまた壁のパネルを操作しビデオを映し出す。  
 
画面は野外だ、どうやらどこかの駐車場らしい。並べた車の間でハルヒは着衣のまま立ちバックで犯されている。車の前後にはそれとなく男達が立ち外部からの視線を防いでいる。  
ハルヒが手をつかされた車が男の律動にあわせて揺れる。そしてハルヒは南国の日差しを全身に浴び嬌声を搾り出されていく。  
 
「この時はね、もう完全に諦めていて…何をされてももうどうにもよくなってて……」  
 
そこへパトカーに乗った警官達が現れる。現地の法律はよく知らないがやはり違法行為なのだろう。  
 
「最初はね誰が来たのかわからなかったの」  
 
白人の警官が鋭く何事かを尋ね、もう一人の黒人の警官がカメラを下に向けるよう合図しカメラが下を向く。  
アイツがブロークンな英語で警官達に答える、するとなぜか字幕が表示される。  
 
『だから、おまえら俺達の持ち場でなにやってるんだ』  
『すいません、旦那…ちょっとしたお遊びで……』  
『遊び?、おいおい遊びにししちゃ随分だな』  
『旦那、これはホンのご挨拶で』  
 
恐らくは金だろう、何かを渡すらしい気配がする。  
するとカメラは元にもどり警官達とアイツを映す。  
 
『これじゃたりねぇぞ、なぁリカルド』  
『まぁまてジェームズ、別に金じゃなくてもいいだろう』  
『んっ、あぁそうだな』  
 
警官達は好色そうな視線をハルヒに向ける。  
そしてアイツはしたり顔でうなずく。  
 
アイツがハルヒを警官の方へと追い立てる、警官たちがズボンを下ろす。  
警官の制服とパトカーに気がついたのかハルヒの目に鈍い光が戻る。  
今の状況がわかっていないのか『…助け…て…おうちに…かえして…』と警官達に向かい何度かつぶやく。  
 
「あたし……パトカー見てね、助けに来てくれたんだ、もうこれ以上酷い目に合わなくてすむんだって思ったの……でもそうじゃなかった、あいつら……あたしに……」  
 
もとより日本語のハルヒの呟きなど警官達に理解できる筈もなくやつらはハルヒに襲い掛かる。  
そして服が裂かれる音、ハルヒの鈍い悲鳴、そしてそれを打ち消すかのように警官達の怒号が響きわたる。  
カメラは希望が裏切られ絶望感におおわれたハルヒの表情を捉える、目にあった光は既に消え去っている。  
一番槍はジェームズと名乗った警官だった。  
 
ハルヒの体内に打ち込まれる律動音、それに伴う男達の荒い息遣い、そしてハルヒの啜り泣く声が南国の透き通るような青い空に響く。  
カメラは容赦なくハルヒの泣き顔を追い続ける。そしてリカルドと名乗った警官はハルヒの口を開かせ己の黒々とした分身を打ち込む、上下で串刺しにされたハルヒは苦悶の表情を見せる。その表情もカメラは容赦なくとらえる。  
リカルドはハルヒに愛撫を開始しろとでもいうように手で軽く頭を叩く、しかしハルヒの反応は鈍い。  
リカルドはハルヒの顔を持ち上げ、どなりつけ、顔を軽く小突く、ハルヒはゆくっりと愛撫らしき動作を開始する。  
そんな程度では満足できないであろうリカルドはハルヒを叱咤する、するとハルヒの動きが早くなる。リカルドは満足げな呟きを漏らす。  
カメラはそんな泣きながら必死に奉仕するハルヒの様子を克明に映し出す。  
 
一通りハルヒの上下に欲望を放つと警官達はパトカーを指差しアイツに合図する。  
アイツがうなずくと警官達はハルヒをパトカーに追いたて自分達も乗り込む。流石にこれ以上、野外では続けにくかったのだろう。  
そしてパトカーが激しく揺れ始め、ハルヒのすすり泣き、男達の荒い息遣いが再開される。  
 
画面が切り替わる、パトカーの揺れはやんでいる。ドアが開けられ、ハルヒが文字通り放り出される、その有様は捨てられたボロ雑巾のようだ。  
そこへ破られてボロボロになった服が投げられる。  
放心状態のハルヒの表情と投げ捨てられた服の残骸をカメラは映す、服は雑巾代わりにでも使われたのか警官達の欲望の汁にまみれている。  
去り際に警官が窓越しにいう。  
 
『この女サイコーだったぜ、最初はイマイチだったがちょいと気合を入れてやったらすぐによくなったぜ』  
 
カメラはさっていく車、すすり泣くハルヒを映す。  
 
「ねぇキョンわかったでしょ警察なんか頼りになるわけないわよ、グルなんだから……あたし…あのとき助かったって思ったのに……」  
 
つらい記憶を思い出したのか、ハルヒの目から涙がこぼれる。  
すまん、ハルヒ、俺考えが足りなくて……。ハルヒの涙に耐え切れなくなった俺はハルヒを力一杯抱きしめた。  
 
「……キョン、痛いからいい加減に離して」  
 
ハルヒの言葉に自分を取り戻した俺は腕をゆるめた。抱きしめていた感触……このハルヒはあったかくてやわらかい、昔のままだ。  
あの夜、ふたりしかしない世界、校庭の真ん中であいつを抱きしめたその時のままだった。  
なぁハルヒ、こうやって俺の腕で感じるお前のぬくもりは昔とかわらない、やわらかくて…あったかくて…甘い匂いがする。  
その制服だって昔着てたやつなんだろ、昔のまんまだよ、高校のときのハルヒと今制服きて俺の目の前にいるハルヒとはなにもかわらない、だから……。  
 
「…ばかねぇ、昔着てた制服なんかとっくにブルセラショップ行きよ。アイツに無理矢理連れてかれて…着てるところ写真に撮られて……それで5万円、その5万円だってアイツ…その日のうちにパチンコで…  
 …今着てるのは業務用、プレイしやすいようにした特注品よ。とにかく汚れるから同じのが何着もあるの、キョンは平気で触ってるけど汚いわよ。  
 とにかく皆掛けたがるから、それに着衣欲尿のオプションでも使うの、これ着たままおしっこかけられるのよ…それで2万円。男の人のザーメンやおしっこがそこら中にかかってるの、一応クリーニングはしてるけどね。  
 ……まるであたしね、…そりゃお風呂で体を洗ってるけど染み付いた汚れは絶対に落ちない、昔と同じに見えたらそれは錯覚」  
 
そんなことないよ、ハルヒは俺は平気だよ、ほら。と俺はハルヒのスカーフに頬を寄せた。  
 
「この制服って需要あるから何着もあるのよ、あたし目当てで北高の人達が沢山お店にきてくれるの、大体みんなこの制服をリクエストするわね」  
 
北高の人達って……ハルヒ…それは……  
 
「同級生や先輩後輩、それに先生達、……あたし指名が沢山ほしいから、北高のみんなに宣伝してってこっちから頼んでるの  
 この間なんか誰が来たと思う? 校長先生よ、北高の制服をリクエストして五千円払ってあたしのおしっこ呑んでかえってたわ、おまけに口止め料だっていって一万円くれたの。あっキョン、校長先生の話は内緒よ」  
 
俺は突きつけられた新たな重い現実に言葉もなかった。  
 
「キョンはあたしの事、北高の誰かから聞いてなかったの? あたしが相手した北高のお客さんは百人じゃきかないのよ」  
 
俺達が進学した大学には他に北高出身者はいなかった、そしてハルヒと別れた気まずさもあり俺は北高出身者との接触を意識的にさけていた。俺が知らなかったのはそのせいだろうか…。  
 
「それよりキョン、あたしは嬢であんたはお客なの、そしてあたしは来たお客さん全てが満足させるNO.1フードルなの  
 だからキョンには気持ちよくなって帰ってもらうわよ。団長命令よ、服を脱ぎなさい!」  
 
ハルヒはずびしっと俺を指差す、やはり昔ながらのハルヒだと思い俺はその姿に見とれた。  
 
「……それともキョン、着たままがいいの?」  
 
そういながらハルヒは俺の顔を両手で挟む、ハルヒが俺の目を見つめる、そして吸い込まれるようにハルヒの唇が俺の唇に合わさる。  
脳髄がとろけるようなディープなキス、文芸部の部室で初めて自分達の意思で交わしたキス、その時のぎこちなさとはまるで違う。  
口内を伝うハルヒの舌、その甘美さに俺は理性を刈り取られそうになる……、やはり俺たちはもう昔には戻れないのだろうか……。  
 
「それにね、ここでキョンと駄弁ってるだけじゃ今日のノルマが達成できないのよ、オプション料をとってナンボの商売なのよ  
 店長にはキョンの事『大切なお客さんだからずっと貸切、オプション料も全部店が払う』っていわれてるの  
 だからキョンはお金の事なんか気にしないでじゃんじゃんオプション頼んでいいのよ」   
 
いやハルヒ……俺は……  
 
「それともキョン、汚れきったあたしとなんかじゃいやなの?」  
 
ハルヒはやや悲しげな表情でそういう。  
いや……、そんなことないよ、それにハルヒは汚れてなんか……  
 
「じゃぁまずは簡単なオプションね、はい、脱ぎたてほやほやあたしのパンツ!」  
 
ハルヒは笑顔で下着を脱いで俺に手渡そうとする、俺は条件反射で思わずそれを受け取る、手のひらに感じる暖かさが生々しい。  
白無地のシンプルなコットンだショーツというよりはパンツという言葉が相応しい。  
 
「このパンツね箱買いしてて百枚千円よ、つまり原価10円ね。それをお客さんの目の前で脱いで渡す、それであたしは千円貰うの薄利多売の人気商品かしらね、ほらキョンも持って帰っていいのよ」  
 
文芸部の部室で俺がクマさんパンツを見たといって真っ赤な顔で恥かしがったハルヒ、それがいまや原価10円の自分の下着を誰彼かまわず目の前で脱いで一枚千円で売りさばいている。  
 
「そうだキョンは変態仮面がお気に入りだったわよ、はいかぶせてあげる。ほらこれでキョンも変態仮面ね」  
 
そういえばこの頭にパンツを被った格好で一晩中したこともあった。俺はハルヒのぬくもりを頭に感じた。  
 
「キョンはこの格好でお口でして貰うのが大好きだったわよね、ほらお口でしてあげる、生尺でごっくんもしてあげるから五千円ね、それとも顔にかける? そっちも同じ五千円よ」  
 
そういいざまハルヒは手馴れた動作で俺の分身を取り出すと素早く自分の口に含む。  
その昔俺がベットの上で土下座してハルヒを拝み倒してやっと口でして貰った、その時のぎこちない手つきとはまるで別物だ。  
あの時は技巧とか関係なくハルヒに口でして貰っているというその事実だけで俺はすぐに達してしまった。  
そして今回はハルヒの巧みな舌使いであっという間だった、多分あの時よりも早かったかもしれない。  
 
「あのときは『出したら呑むのが当たり前』って嘘ついてあたしに無理やりのませたわよね、やっぱり今も苦い……キョンの味ね」  
 
俺から搾り取ったものごくりと飲み込みハルヒはいう、そういえばそんなこともあった…あのあとバレて怒られて一週間お預けだったな……。  
そんなどうでもいいことが今はとても懐かしかった。  
 
その後ハルヒは俺に様々なオプションを薦めてきた、俺が断ろうとすると悲しげに『汚れたあたしじゃ駄目? あたしの全てを受け入れるんでしょ』という  
それが本心からのものなのか、それとも嬢としての手練手管なのか怖くて俺はハルヒに問いただせなかった、そしてハルヒの薦めるままにすべてのオプションを受け入れた。  
 
「キョンがあたしの役に立ちたいっていうんならオプションどんどん使ってあたしに稼がせて、そうすれば少しでも早く借金を返せるから、  
 そうしてくれればあたしも助かるのおまけにキョンも気持ちよくなって一石二鳥ね、ほら次はいちじく五千円よ、キョンもしてあげよっか? それだと三千円よ、全部だすとおなかがすっきりするわよ」  
 
何度も沢山のオプションをこなし疲れ果てた俺はハルヒの膝枕の上で目を覚ました、どうやら寝ていたらしい、俺の目が覚めたことに気が付かないのかハルヒは俺の頭を軽くなぜている。頭に伝わるハルヒの生膝と手がとても心地よい。  
 
「ねぇキョン、あたしはもう普通に戻れないの今日キョンとしたこと全部をお金貰って誰とでもする、そんな女。普通なキョンには似合わないの。だからあたしの事はもう忘れて……」  
 
俺に聞かせるでもなくハルヒがつぶやく。  
 
「キョンがあたしの事なにも変わって無い、全てを受けいれるって言ってくれた時はすごくうれしかった。  
 でもあたしはもう駄目、ビデオだってネットで流れてるし、あたしがこんな仕事してるってこと北高のみんなに知られてる。  
 昔知り合いだったお客さんから酷いこと沢山言われたりされたりもした。  
 お金を全部返してこの仕事を辞めてもそのことはずっとついてまわる。  
 どこにいてもそう……、そんなことにキョンを巻き込めない…、だってキョンは普通の人なんだもの……」  
 
俺の顔に温かい雫が落ちる、耐え切れなくなった俺はわざとらしく大きく伸びをし、たった今目が覚めた振りをした。  
 
「さぁキョン、もう店じまいよ、アンタはもう帰って、あたしは片づけをするから」  
 
さっきまでとは一転しハルヒは手際よくイチジクや検尿カップやパンストや眼鏡、様々な制服などなどのオプションの残骸を片付け始める。  
 
「実をいうとね、あたしはお金を節約するためにお店の控え室に布団敷いて泊まってるの、ご飯も自炊ね。それで稼いだお金はほとんど返済にあててるの」  
 
ハルヒ……俺……。  
 
「いいことキョン、ここはキョンのバイト代くらいじゃ滅多にこれないんだから、もうここに来ちゃだめよ。あたしのことはもう忘れて頂戴」  
 
俺が…俺がなんとかする……だから……  
 
「帰って、もう帰ってよキョン、そして…もうこないで!」  
 
……俺は言い知れない挫折感を味わいながら店をでた。  
 
「お疲れ様でした、お送りしましょう」  
 
そしてにやけ顔が俺を出迎える。俺は流されるまま古泉の車にのった。  
 
「どうでしたか」  
 
………。おれは古泉の問いには答えず、流れて行く景色を見つつづけた。  
そうだハルヒの親父さん達はどうしてるんだ、勘当とか絶縁とかそういうのだったら相談してなんとか……  
 
「お二人は…涼宮さんのために全財産を使われました、しかし焼け石に水、おまけに心労がたたり揃って倒れられて人事不省、今もって入院されています  
 実はその費用だけで毎月十万以上必要なんです、ですから借金を全額返済されても涼宮さんがお金が必要な状況には変わりありませんね」  
 
新たに知らされた事実に俺は胸を突かれた、ハルヒと付き合い始めたころハルヒの家に呼ばれ『娘を宜しく頼む』と頭を下げられた、その親御さん達がそんな羽目になっているとは……。  
そうだ入院ってもしかしてあの病院か?  
 
「えぇ例の病院です、あなたも入院されましたよね」  
 
だったら入院費用とかは何とかならないのか、俺の時はそうだったよな。お前ら機関の病院なんだろ。  
 
「元機関のです、今は普通の病院ですよ、それでも便宜ははかっているんですよ。普通なら退院させられて自宅療養に切りかえさせられている所です」  
 
そうなのか……すまん。  
 
「まぁ涼宮さんが事務長に頼み込んだという事情もありますがね、いわゆるバーターです」  
 
……バーターって……。  
 
「事務長は事務室でのナースプレイがお好みとだけいっておきましょう、つまりはそういうことです」  
 
またもや突きつけられた汚い現実に俺は押しだまった。  
 
「涼宮さんはあの店では大変な人気で今日だってあなたにあわせて予約をあけるのが大変だったんですよ  
 北高関係者だけでなく我々元機関の者達も涼宮さんのもとに通ってますからね。  
 なにせ我々元機関の者にとってはかつては女神とあがめていたお方です、そして北高の関係者にとっては学園一の美少女  
 そんな美少女がお相手をしてくれるとあってはみなこぞって駆けつけようというものです。  
 そうそうこれはむしろ彼女が望んだことなんです、『知り合いに自分の事を宣伝してくれ』ってね、それだけ返済のために必死なんですよ」  
 
おれは古泉の昔ながらの解説をBGMにこれからどうすればいいのかを考えた。  
そういえば…古泉……お前はアイツの客に……。  
 
「まさか、そんなことをしたら鶴屋さんにしかられます、あぁ見えても結構ヤキモチ焼きなんですよ」  
 
鶴屋さん……そうだ、あの人に相談すれば……、なぁ古泉頼む鶴屋さんに今すぐあわせてくれ  
 
「涼宮さんの事でですか、それは……いや……まぁ会って話せばわかることでしょう」  
 
俺達は鶴屋さんのところへと向かった。  
 
− つづく  
 

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