ーー私は ほぼ一カ月のあいだずっと考え続けていた  
私の生と死と それからひとりのクラスメイトについてーー  
 
その朝朝倉涼子は下駄箱に一通の手紙を出した  
 
まぢかに夏  
 
私は ほぼ一カ月のあいだずっと考え続けていた  
私の生と死と それからひとりのクラスメイトについて  
 
私は成熟しただけの端末だ ということはじゅうぶんわかっているし  
だから この少女の時としての愛が  
性もなく正体もわからないなにか透明なものへと向かって  
投げだされるものだということも知っている  
 
これは単純なカケなぞじゃない  
それから 私が彼を愛したことが問題なのじゃない  
彼が私を愛さねばならないのだ  
どうしても  
 
今 彼は死んでいるのも同然だ  
そして彼を生かすために  
私は私のからだが打ちくずれるのなんか なんとも思わない  
 
人は二度死ぬという まず自己の死 そしてのち 友人に忘れ去られることの死  
 
それなら永遠に  
私は二度めの死はないのだ(彼は死んでも私を忘れまい)  
そうして  
私はずっと生きている  
彼の目の上に  
 

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