・・・くそっ  
 
 俺は決意したはずだ。  
あの世界。眼鏡をかけた長門。俺にありがとうと言った長門。  
それらを見て思った。頼りっぱなしにせず、一緒に考え、一緒に悩み、一緒に苦難を乗り越えていこうと。  
頼りにするだけじゃなくて、頼られる存在になろうと。  
  でも。  
実際はどうだ?  
こんなけったいな館にぶちこまれ、長門が見えない所で戦いをしていたっていうのに、俺は何もしちゃいなかった。挙げ句の果てにそのせいで熱を出して倒れちまった。  
俺はその時、ただ役に立たない頭を動かしていた。  
 
 くそったれ。  
 
俺が少し前長門の親玉に言った台詞。だが、今はそれを自分に向かって言っている。  
それでも足りない。まるで足りない。足りるわけがない。  
自分への怒りに任せ、冷蔵庫のドアを何度殴りつけようが。どれだけ自己嫌悪の言葉を吐こうが。  
自分の無力さへの怒りは消えない。  
・・・いや、自分対してぶちキレるよりも、先にやることがあったな。この氷枕を長門に持って行かねば。  
俺は血の滲む右手に氷枕を持ち換え、先ほどの数倍の力をこめて冷蔵庫のドアをぶん殴った。  
何かに、亀裂が走る音がした。  
 
 
冷蔵庫の扉が音を立てて割れ落ち、  
 
…………。  
 
そこには全裸で踊り狂うハルヒがいた。  
 
 

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