「なあ、ポニーテールにしてみないか?」
ハルヒはキョトンと俺を見つめ、
「なんで? あんた、ポニテ好きなの?」
ああ、大好きだ。俺の趣味さ。
ふん、と鼻を鳴らしつつハルヒは満更でもなさそうに、
「簡単そうに見えるかもしれないけど、ちゃんとするの、結構面倒なのよ」
言いながらも、ハルヒは地に落ちた黒ジャケットのポケットから髪留めゴムを取り出して、長い黒髪を器用に後頭部でまとめあげた。
「まあね、このほうが運動部らしいかもね。……そんなわけだから、いいかもって、思ったの。まぁ、七夕のとき手伝ってもらったし、いいかもって。好きって言うし。だからその、お願い、とにかく、その」
ハルヒは光陽園学院制服のスカートのすそを、するすると持ち上げて口に咥えた。華奢な足と、白いレースの下着が覗く。
そして本気度百パーの声が、のどから躍り出る。
「……優しくして」
ばっちりだ。俺の目には魅力度三十六パーセント増になったように見えるぜ。