「ヘル・アンド・ヘヴン!」
…なんだこの熱さは…
季節は夏。だが今の熱さは夏の暑さではない。
数日前、「おもしろいですよ」 と古泉に言われ渡されたDVDの中にはガオガイガーが入っていた
最初は、あいつはロボ物が好きなのか と思っていた俺だったが、見始めるとその熱さに身も心も引き込まれていった
トゥルルルルル トゥルルルルル
なんだよ 今いいとこなのに 仕方がない。
受話器をとる
「はい、もしも・・「ちょっとキョン?あんた今暇よね?」
暇じゃない。そう言いたかったが、こいつ相手にそんな大それたことを言うと奢りだけじゃすまなくなる可能性がある。
いや、可能性があるどころの話ではない、確実にそうなる
何か用か?
「何か用か?じゃないわよ。今すぐ駅前に集合。不思議探索よ」
15分以内にこないと死刑だから そういって電話は切れた
はぁ…俺は魂まで一緒に出てしまうのではないか、と思うくらいの深いため息を吐きつつ、着替え始めた
たまには休息も必要なんじゃないか?ハルヒ
はぁはぁ 後3分、余裕だ。距離的に見れば300メートル。いくら疲れている体でも走れぬ距離ではない
「遅い!キョン。なにしてんの!」
遅くない。間に合っただろ
「あたしの時計では5分遅れてるの」 理不尽だ 理不尽すぎる
「今日は昼からの活動だから喫茶店に行くのは勘弁してあげるわ。あたしに感謝しなさい。それと、組み合わせももう作ってあるから…」
どうやら、俺と長門。ハルヒと朝比奈さんに古泉。の組み合わせらしい
「今日は絶対不思議を見つけるわよ。特にキョン、遅れたんだからそれなりの働きをしなさい。」
集合は5時にここ。じゃあ出発! と声高だかに叫び不思議探索は始まった
「………」
どうする長門?また図書館にでも行くか?
「今日はいい」
珍しい。長門が図書館に行かないとは
じゃあどこに行く?どこか行きたい場所とかはあるか?
「読みたい本がある」
何だ。やっぱり図書館じゃないか
「いつもの図書館にはその本がない」
ふむ、どうやらものすごくマイナーな本らしい。
「だから探すのを手伝って欲しい」
「……………………」
分かった。長門。手伝うから。手伝うからそのブラックオパールみたいな目で見つめるのはやめてくれ
いつの間にそんな技を覚えた、長門……
普通の図書館に無いとすれば…やっぱり古本屋あたりにしかないのか?
長門、それはなんて名前の本なんだ?
「わからない。しかし、タイトルは4文字だと聞いた」
聞いた?誰にだ?
「喜緑江美里」
あの人か…あの人はどんな本を読むのだろうか…
それで、話の内容は知っているのか?
「知らない。だが、西洋魔術系統の話だと聞いている」
…喜緑さんがそんな本を読んでいるのか。人は見かけによらないものだ
なら行くか、どこか探すあてはあるのか?
「さっきあなたが言った場所」
ん?古本屋のことか?
「そう、まずはそこから回ってみようと思う」
分かった。それじゃあ行くか。
コクリと珍しく分かりやすい角度で長門はうなずいた。
見つかったか?一軒目の古本屋を2人で見て回っている最中に聞いてみた。
「見つかっていない。場所を変える。」
そうだな、ここには無いのかもしれないし…
次はどこに行く?
「情報によると、隣町に新しい本屋ができたらしい。そこに行く」
把握した。道案内は任せるぜ?長門
コクリと、またも分かりやすい角度でうなずいた
ここか…想像以上にでかいな。
「ここならばあると思われる。」
よし、探すか
「今度は二手に分かれて探す。わたしはこちら側で探す。あなたはそっち。」
OK、了解だ。
…二手に分かれて30分ほど過ぎたころ、俺はある一つの本が目に留まった
これか?
条件には当てはまる。タイトルは4文字。内容はどこか西洋魔術っぽい。
いや、だが、しかし…
…………………
長門以上に三点リーダを量産しつつ考えてみる。
一応持っていってみるか…
長門
「なに」
十中八九違うと思うのだが、お前の探している本ってこれか?
本を受け取り中身を確かめている長門。いつになく、その速度は速い
「……………」
「こんな言葉を聞いた」
「フェイトは文学」