強気な少女は「3人の中の1人」でいることにうんざりした。宇宙人は人間になろうとした。  
未来人の少女は過去の世界の住人として一生を終えることを望み、残り2人の男の子の内少なくとも1人は、平穏な世界を望んだ。  
5人の内、少なくとも4人の願いが一致して、世界は改変された。それが12/18の真実である。  
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夢の中で、あたしは重度の精神病にかかっていた。そして、あたしは3人の中の1人だった。その中で、一番というわけでもなく。  
それは、とても不幸なことだった。男でも女でも、あたしと同じ状況にある人なら、誰でも、あたしの不幸がわかるだろう。  
いや、あたしが気付いていないだけで、3人なんてものじゃなかったかもしれない。  
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あたしとキョンは、周囲から付き合っていると見られるようになって半年になる。  
でも、それは大きな勘違いだ。贔屓目に見ても、あたしはキョンにとって3人の中の1人。  
キョンがあたしだけを見ていると自惚れるのは、『夢でキスされたからキョンはあたしを好きなはずだ』と思うくらい馬鹿馬鹿しいことだ。  
キョンはみくるちゃんや有希の方を、あたしよりずっと好きなのだ。  
あたしに隠れて二人と何か楽しいことをしているのも、バレバレだ。  
 
 
あたしは、いつものように、自分の立てた『冬休みの計画』を自慢気に話す。  
キョンは、うんざりした様子で(またかよ、勘弁してくれよ)といった感じで計画を聞く。  
キョンはあたしなんかといるより、みくるちゃんや有希と二人きりで、まったり過ごしたいのだろうか?そうだろうな。デートの邪魔して悪かったわね。フン  
また失敗して嫌われたのだろうか?(いやいや、ここで冬休みを本当に楽しいものにしたら、キョンはあたしを見直してくれるはず。それに、何もしないとジリ貧じゃないの)と自分に言い聞かせて納得した。  
 
相変わらずキョンはみくるちゃんと有希しか見ていない。そして、時々楽しそうに内緒話をする。  
そんなキョンを見て、心が痛んだ。いつものことだが。  
 
 
あたしは、夜中、悔しくて淋しくて、切なくて、涙に濡れていた。とっくの昔に日付変更線は超えている。  
「キョン、せめてみくるちゃんか有希のどっちか一人に決めなさいよ。あたしを選んでくれなくても良いから」  
あたしは、3人の中の1人であることにうんざりしていた。キョンなんかを好きにならなければ良かったのに。  
恋愛の神様が、もし存在すれば、会って文句を言いたかった。  
 
キョンのいない遠い世界に行きたい。そこで、あたしだけを見てくれる人に恋をして、、、  
それとも、あたしが遠くに行ったら、キョンはあたしを追いかけてくれるかしら。だったら良いのだけれど。  
そう思った瞬間、世界が変わったような気がした。  
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夢から覚め、気付いたら、あたしの隣りには古泉君だけがいた。  
そう、あたしと古泉君は付き合って半年になる。最長記録更新中だ。  
でも、どこかよそよそしいのが傍目にも判るだろう。あたしは既に、古泉君に飽きていた。  
 
心の中の天使、あたしの理性そのものが語りかける。  
『古泉君のどこが不満なのよ』  
(古泉君で満足できないのは贅沢だって判っているわよ。でも)  
『あなた、100%の幸せとか世界一の幸せなんてこの世には無いのよ。そんな物を追い求めても良い事無い。中学時代で懲りたはずでしょ』  
(うるさいわね)  
『古泉君以上の男なんて滅多にいないわよ。いたとしても、既に彼女いるわよ』  
(判っているわよ、でも、つまんないのよ)  
『あなたってずっとそう。宇宙人と友達になろうとして、人間の友達全部なくしちゃうし、中学時代告白してきた男の子の中にも、すごく良い男いたじゃないの』  
あたしは黙って、道端の空き缶を蹴っ飛ばす。  
『あなた、今のままじゃ古泉君に愛想つかされて、挙句の果てに軽薄な女たらしに捕まって、3人の中の1人にされるわよ』  
(夢の中のように?)  
『あれは夢じゃないわ。あなたの願いが叶って、灰色の世界から抜け出したばかりなのよ』  
(どっちでも良いわよ。そんな事)  
 
「あーあ、退屈。何か面白いこと無いかしら」  
「そうですね。一度話のタネにコミケでも行ってみませんか?」  
「そーね。何もしないよりはマシかもね」  
 
 
そんな時、あいつに会った。  
会った瞬間に怒りが込み上げ、次の瞬間には訳もわからず、あいつに惹かれていた。あいつは、夢の中の女たらしと同じ顔をしており、七夕で会ったジョンでもあった。  
あたしは、また3人の中の1人になるのだろうか?そうなることが、うすうす判っているはずなのに、あたしの胸は高まった。まるで、悪い病気にかかったみたいに。  
『また3人の中の1人になりたいの?』心の中の天使の忠告を、あたしは高まる鼓動と共に静かに無視した。  
(終わり)  
 

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